「坐骨神経痛の痛みで起き上がれない」
「朝起きると足がしびれて起き上がれない」
「朝になると坐骨神経痛の痛みが強く現れるのはなぜ?」
坐骨神経痛を治療している患者の人は、こんなお悩みをお持ちではないでしょうか。坐骨神経痛でお悩みの人は、腰を反ったり前かがみになったりなど、痛みの現れ方は人それぞれです。しかし、多くの人は、朝の起床時に痛みが生じて起き上がることが困難な人が多い傾向にあります。それは、寝ている時の姿勢や身体の冷えなどが原因だと考えられます。今回は、坐骨神経痛で起き上がれない理由と対処法、予防法などを解説しています。ぜひ最後までお読みください。
目次
坐骨神経痛とは
坐骨神経とは、腰椎から足先まで伸びている人類で最も長い神経のことです。坐骨神経が何らかの影響で圧迫されたり刺激されたりすることで、下肢に痛みやしびれなどの症状が現れることを「坐骨神経痛」といいます。電気が走ったようなピリピリやビリビリといった痛み方で、お尻や足の両側ではなく、左右どちらかに痛みが出るので、初めて経験された方は不安になるでしょう。坐骨神経痛の症状は主に以下のものがあります。
- ・お尻や太ももの裏側、ふくらはぎなどに痛みやしびれ
- ・腰を反らすと痛みが生じる
- ・前かがみになると痛みが生じる
- ・足が痛くて立っていられない
- ・お尻が痛くて座っていられない
- ・身体を動かすと痛みが生じる
- ・足に力をいれにくい
坐骨神経痛が起こる主な腰痛の病気
坐骨神経痛とは、神経が圧迫されたり刺激されたりすることで現れる症状のことですが、坐骨神経痛が発症する原因は腰痛の病気が関係しています。何かの動作をする度に痛みが伴い、ストレスになってしまうことでしょう。この章では、そんな坐骨神経痛を引き起こす主な腰痛の病気についてご紹介します。
腰椎椎間板ヘルニア
腰椎の骨と骨の間には椎間板があり、椎間板はゼリー状の髄核と髄核を覆う繊維輪で構成されています。椎間板は上下からの衝撃を受けるのを吸収してくれる、クッションのような役割があります。椎間板や髄核の一部が飛び出して神経を圧迫したり刺激したりすることを「腰椎椎間板ヘルニア」といいます。
椎間板ヘルニアの原因は重い荷物を持ち上げるなどの動作で発症することがあり、比較的若い男性に発症することが多いです。他にも、長時間腰に負担のかかる姿勢を取り続けていることで発症することもあります。また、ぎっくり腰が慢性化したり、繰り返し発症してしまうと、ヘルニアを併発する可能性があります。
腰部脊柱管狭窄症
背骨の間には神経が通る道の「脊柱管」があります。脊柱管が刺激されたり圧迫されたりすることを「腰部脊柱管狭窄症」といいます。脊柱管狭窄症の主な原因は加齢です。加齢により骨が脆くなってしまうことで、腰椎や椎間板が変形や変性をして神経にまで影響を及ぼします。
また、脊柱管狭窄症には「間欠性跛行」という特有の症状が現れることがあります。間欠性跛行とは、歩くと痛みが現れて休憩し、少し休むとまた歩きだせるといった症状です。
梨状筋症候群
梨状筋とはお尻にある深層の筋肉で、股関節を動かす際に使われる筋肉のことです。梨状筋の周辺には坐骨神経が通っており、梨状筋が硬くなることで周辺を通る坐骨神経にまで影響を及ぼすことを「梨状筋症候群」といいます。梨状筋症候群の原因は、長時間のデスクワークでお尻を圧迫していることや、股関節を過剰に使っているスポーツを行っていることなどで発症します。
腰椎変性すべり症・腰椎分離すべり症
腰椎のお腹側を椎体、背中側を椎弓といい、椎体と椎弓の間が脊柱管です。腰椎がお腹側へすべり出て脊柱管を圧迫したり刺激したりすることを「腰椎変性すべり症」といいます。変性すべり症は加齢が原因で腰椎を固定している椎間板や関節の安定性が損なわれることや、腰椎の変形などで前へ滑り出てしまうことが原因です。男性よりも女性に多く発症すると言われています。
背中側にある椎弓が分離して、お腹側へすべり出てしまうことを「腰椎分離すべり症」といいます。分離すべり症の原因は、激しい運動やスポーツなどで発症することが多く、比較的若い年齢の人が起こしやすい疾患です。
変性すべり症と分離すべり症の症状は、歩くと痛みが現れて休み、少し休むと痛みが和らいでまた歩き出せるという、脊柱管狭窄症間と同じ「間欠性跛行」の症状が現れることがあります。進行していくと、足に力が入らないことや、排尿障害などもおこる可能性があります。
坐骨神経痛で起き上がれない理由
痛みがあるので安静にして横になっていると、起き上がる時に「痛みで起き上がれない」と憂鬱な経験をしたことがある人も多いのではないでしょうか。特に朝の起床時などは痛みを我慢しながら時間をかけて起き上がり、歩くときにも痛みがまた現れる。やっとの思いで洗面所についても、洗顔や歯磨きをするために前かがみになってまた痛みが生じてしまうなど、朝の支度に時間がかかるうえに、痛みとの戦いでストレスがかかってしまいます。この章では、坐骨神経痛で起き上がれない理由について解説します。
骨盤や背骨の歪み
寝る姿勢は身体が楽に感じますが、間違った寝方で腰に負荷をかけているかもしれません。あお向けで片足を曲げて反対側の膝裏に入れたり、横向きで下側の足を真っすぐ伸ばして上側の足を曲げて掛け布団を挟んで寝たりなどしていませんか?これらは骨盤や背骨が歪む原因になります。また、横向きで寝る人は、痛みがある方を下にして寝ている人もいるのではないでしょうか。痛みのある方を下にすることで神経が圧迫されて、痛みを悪化させてしまいます。なお、ヘルニアの人はうつ伏せで寝るのが楽だと感じる人もいるでしょう。うつ伏せは重力の関係で腰部に過度な負荷がかかっているので、注意するようにしてください。
筋肉が硬くなっている
就寝中は、長時間同じ姿勢で寝ていることで筋肉が緊張し、痛みが現れている可能性があります。通常、人は寝ている時に20~30回の寝返りを打っていると言われています。寝返りの目的は、布団内の空気の入れ替えや温度調節、重力により圧迫されている部位の血行を促すことなどが挙げられます。そのため、うまく寝返りが打てていない人は、腰部を圧迫するような姿勢を取り続けていることで筋肉が緊張し、痛みで起き上がれないという症状は発症します。
引用:寝返りから見る睡眠
身体が冷えている
朝の起床時に痛みで起き上がれない人は、身体が冷えている可能性があります。寝室の温度設定が低い人や、薄着で寝ている人は身体が冷えてしまっているかもしれません。冬場は寒さ対策として、温かい恰好をしている人も多いですが、夏場はエアコンの風などで、体が冷えることもあります。また、人の身体は、日中は体温が高く、夜間は低くなるという体温調節がされます。これらが原因で身体が冷えてしまい、痛みを悪化させてしまっている可能性があります。
身体が冷えると血管が収縮し、坐骨神経周辺に栄養や酸素が行き届かずに、不要な老廃物が蓄積されてしまいます。このことから、朝方の冷えは坐骨神経痛の症状を悪化させて、痛みで起き上がれないと考えられるでしょう。
引用:ヒトの体温調節と睡眠
「坐骨神経痛に岩盤浴が効果的な理由」の記事はこちら⇩
坐骨神経痛で起き上がれないときの対処法
坐骨神経痛で起き上がれない朝は、相当なストレスになるでしょう。立っているときや座っているときに痛みが現れるので、安静の為に横になって寝ても起きるときにまた激しい痛みに襲われる。そんな経験をされた事がある人は、次の日もまた痛み伴うのかと、寝るのが不安になってしまいます。辛い思いをされている人に、この章では、坐骨神経痛で起き上がれないときの対処法をご紹介します。ぜひ参考にしてください。
寝方に気を付ける
坐骨神経痛を悪化させない為には、就寝時の寝方にも注意が必要です。普段何気なくとっている寝姿勢は腰に負荷がかかっているかもしれません。また、寝方だけでなく、寝具にも注意が必要です。マットレスや布団が柔らか過ぎると寝返りが打ちにくく、逆に硬すぎると一定の部位に重心がかかり、痛みの原因になります。枕が高すぎたり低すぎたりすると、首や肩を痛める可能性もあります。坐骨神経痛は、寝具選びにも気を使わなければなりません。腰の痛みが軽減する方法をご紹介するので、ぜひ参考にしてください。
【仰向け】
- 1.仰向けになり、両足を立てて軽く曲げる
- 2.立てた両足の下にクッションや座布団などを敷く
仰向けで両足を真っすぐに伸ばして寝る姿勢は、腰椎が反っていることや、股関節の筋肉(腸腰筋)が伸びた状態となって負荷がかかっています。両足を立てて軽く曲げることにより改善できます。
【横向き】
- 1.坐骨神経痛の痛みがある方を上にして横向きになる
- 2.両足を軽く曲げて、足と足の間にクッションや座布団と挟む
- 3.腰のくびれの部分に丸めたタオルを敷く
クッションなどを足の間に挟むことで骨盤が安定します。また、腰のくびれの部分に丸めたタオルを挟むことで重心を均等に保つことができ、坐骨神経痛だけでなく、首こりや肩こりの予防にもなります。
起き上がり方を工夫する
坐骨神経痛の人は起き上がり方を少し工夫することで、痛みを避けて起き上がることができます。基本的には痛みのある方を上にして、手や肘を使いながら起き上がるようにしましょう。また、痛みが煩わしく思い、勢いで起き上がろうと無理をするには控えてください。症状を悪化させてしまいます。起き上がるときは、腰の様子をみながらゆっくりと徐々に身体を起こすようにしてください。
【ベッドからの起き上がり方】
- 1.痛い方を上にして横向きに寝る
- 2.両足を揃えてゆっくりとベッドから少し下す
- 3.上側の手を下側の肩周辺に置き、腕の力を使いながらゆっくりと状態を起こして下側の肘をベッドに置く
- 4.手の位置を変えながら、腕の力を使ってゆっくりと上体を起こす
3~4の起き上がる姿勢の時は、頭から足まで一直線になっていることをイメージしてください。体が一直線になっていることで、腰が曲がらずに痛みが軽減できるでしょう。
「坐骨神経痛を軽減させる寝方」についての記事はこちら⇩
【布団からの起き上がり方】
- 1.痛い方を上にして横向きに寝て、両足は軽く曲げる
- 2.上側の手を下側の肩周辺に置き、腕の力を使いながらゆっくりと状態を起こして下側の肘を布団に置く
- 3.ゆっくりと手と肘を使いながら上体を起こす(体を起こし切らなくて良い)
- 4.上体がある程度起き上がると、両手で体を支えながら正座になる
- 5.正座から両膝立ちの姿勢になり、片足を立てて立ち上がる
予め椅子などを周辺に準備しておくと、5の立ち上がるときにつかまって起き上がりやすいでしょう。
坐骨神経痛の予防法
ビリビリとした激しい痛みが生じてしまう坐骨神経痛。気分転換に外出しても痛みで歩けず、自宅にいても座ったり立ったりなどの動作で痛みが現れてしまいます。何をしても痛みが生じて精神的に参ってしまうでしょう。この章では、坐骨神経痛にならないための予防法をご紹介します。
ストレッチをする
坐骨神経痛でお悩みの人は、ストレッチの重要性について、整骨院や整体院などの医師から説明されたことがある人も多いのではないでしょうか。坐骨神経痛は、日常生活の姿勢の悪さや、腰に負荷のかかる動作などで発症することがあります。これらは筋肉が緊張して硬くなり、坐骨神経痛の症状を引き起こしています。日頃からストレッチをして身体をほぐすと良いでしょう。また、長時間同じ姿勢を取り続けている人は、小まめに休憩をとり、伸びなどをして身体をほぐすようにしてください。
運動をする
坐骨神経痛でお悩みの人は、ストレッチと同様に運動が重要です。腰椎は、身体の上半身と下半身を支える唯一の骨です。お腹や背中、腰回りなどの筋肉は、腰椎を支える筋肉のコルセットのような役割をしています。腰回りの筋肉がないと、腰椎に負荷がかかってしまい痛みの原因になります。運動をして、腰回りの筋肉を鍛えることで、坐骨神経痛の予防に効果があります。ご自身で運動をするのが苦手な人などは、整体院などを受診した際に骨盤矯正や体の歪みを整えてもらい、患者様にあった運動方法などのアドバイスをもらうと良いでしょう。
「腰痛と散歩」についての記事はこちら⇩
身体を温める
身体の冷えは坐骨神経痛を悪化させる原因になります。身体が冷えると血管が収縮して血流が悪くなります。血液は栄養や酸素を全身へと運んで不要な老廃物を回収してくれます。血流が悪くなることで、坐骨神経周辺の筋肉に栄養や酸素が行き届かず、不要な老廃物が溜まってしまい、坐骨神経痛の症状を悪化させてしまうでしょう。
そのため、身体を冷やさずに温める意識をしてください。入浴をする際は、シャワーで済まさずに湯船にお湯を張り、浸かると良いでしょう。また、入浴は睡眠の2~3時間前が良いとされています。入浴で体温が一時的に上がり、下がってきたタイミングで就寝すると良く、質の高い睡眠がとれます。
引用:e-ヘルスネット
まとめ
坐骨神経痛の原因は腰椎椎間板ヘルニアや腰部脊柱管狭窄症、梨状筋症候群などが挙げられます。これらの疾患は長時間同じ姿勢を取り続けていることや、腰に負荷のかかる動作を繰り返し行うことなどが原因で発症します。
坐骨神経痛の症状でお悩みの人の多くは、朝の起床時に痛みで起き上がれない人が多いです。これは、就寝中に身体が冷えてしまって筋肉が硬くなっていることや、寝方が原因で骨盤や背骨が歪んで坐骨神経痛の症状を悪化させてしまっていることが考えられます。
起き上がれないほどの痛みを避けるためには、ストレッチをして筋肉をほぐしてあげることや運動を行い、ある程度の筋力を付けることなどで予防できるでしょう。また、大きなポイントとしては身体を冷やさないこと。冷えは症状を悪化させてしまいます。
これまで、坐骨神経痛で起き上がれないときの理由と対処法を解説してきましたが、坐骨神経痛の痛みが出た人は、すぐに医師に相談するようにしてください。まずは痛みの原因を検査して突き止めることで、痛みの原因に合った施術が必要となるでしょう。