「坐骨神経痛の症状は鍼治療で改善できるの?」と疑問に思う方も多いでしょう。
実は、鍼灸院で鍼やお灸で特定のツボを刺激することで、神経の痛みやしびれを和らげることが可能です。
坐骨神経が通る筋肉や神経の近くに鍼を刺して刺激することで、血流が良くなり、筋肉の緊張がほぐれて、痛みやしびれが軽減されます。
具体的には、腰のツボやお尻のツボに鍼を刺すことで、腰から足にかけての痛みが和らぎます。
そこで今回の記事は、知っておきたい坐骨神経痛の原因や症状、そして鍼治療がどのように効果的なのかについて詳しく説明します。
目次
坐骨神経とは?その重要な役割
坐骨神経は、腰の骨(腰椎)の下の方やお尻の仙骨から出た神経が束になり、骨盤にある坐骨孔(ざこつこう)を通って足に伸びる神経です。
この神経は、お尻の筋肉の隙間を抜けて腿の裏側を通り、ひざの裏で二つに分かれます。
一つはスネの方に、もう一つはふくらはぎの方に向かい、足の甲や足の裏まで伸びています。
要するに、坐骨神経は腰椎の下からお尻の筋肉である「梨状筋(りじょうきん)」を通って足に向かって伸びている神経です。
人体の中で最も太く長い末梢神経で、腰からつま先まで繋がっています。
例えば、椎間板ヘルニアや筋肉の緊張が原因で坐骨神経が圧迫されると、足の痛みやしびれ、運動障害が発生します。
このような状態を「坐骨神経痛」と呼びます。
坐骨神経痛の役割
坐骨神経は、身体を動かすための運動神経、痛みや感覚を脳に伝える知覚神経、そして内臓や血管の働きを調整する自律神経の3つの神経で構成されています。
3つの神経の役割を簡単にまとめると以下のとおりになります。
①運動神経の役割
坐骨神経の運動神経は、足を動かすための信号を脳から足の筋肉に伝えます。
例えば、歩いたり走ったりする際には、脳からの指示が坐骨神経を通じて足の筋肉に伝わり、動作を行います。
要するに日常動作で「立ったり」「座ったり」「歩いたり」する動きを支配する神経と覚えておきましょう。
②知覚神経の役割
坐骨神経の知覚神経は、足の痛みや温度、触れた感覚などを脳に伝える働きがあります。
例えば、足を踏んだり火傷したりしたときに感じる痛みや熱さは、この知覚神経が信号を脳に送ることで感じることができます。
したがって、お尻や太もも、足先にかけて痛みや温度を感じた場合に反応する神経と覚えておきましょう。
③自律神経の役割
坐骨神経の自律神経は、足の血流を調整したり、汗をかくなどの反応をコントロールする役割があります。
また内臓や血管機能を整える働きがあり、「交感神経」や「副交感神経」の2つの神経をバランスよく調整します。
例えば、運動しているときには、足の血流が増えることで酸素や栄養が供給されやすくなったり、深呼吸をするとリラックス効果で筋肉のこわばりを和らげたりする働きがあります。
坐骨神経の重要性
坐骨神経が正常に機能することで、私たちは日常生活でスムーズに動いたり、痛みを感じたり、体温調節をしたりすることができます。
例えば、椎間板ヘルニアや筋肉の緊張が原因で坐骨神経が圧迫されると、足の痛みや痺れ、運動障害が発生します。
この神経が障害されると、足の動きが鈍くなったり、痛みや痺れを感じたりすることがあります。
なぜ坐骨神経痛が起こるのか?
坐骨神経痛は、坐骨神経がどこかで圧迫されることで生じます。
主な原因には、以下の疾患があります。
- ・腰椎椎間板ヘルニア:椎間板が飛び出して神経を圧迫される
- ・脊柱管狭窄症:背骨の管が狭くなり、神経を圧迫される
- ・筋肉の緊張:お尻や腰の筋肉が硬くなり神経が締め付けられる
坐骨神経痛は、老化や長時間のデスクワーク、立ち仕事が原因で発症しやすくなります。
筋肉がこわばり、肩こりが生じたり、背骨が変形したりすることで坐骨神経を圧迫し、痛みやしびれが起こりやすくなります。
また、坐骨神経痛の症状は、痛みやしびれが目立つのに対して、痛みの場所や強さは、神経がどこで障害されているかによって異なります。
例えば、腰に問題がある場合でも、痛みは足に出ることがあったり、強い場合は、歩くこともむずかしくなったりします。
鍼ツボ治療で坐骨神経痛は改善する?
鍼灸治療では、坐骨神経が通る筋肉に鍼を刺すことで、筋肉の緊張を緩和し、神経の圧迫を軽減するのに効果的です。
その結果、血流が改善され、神経の痛みやしびれが和らぎます。
さらに、お灸を使って患部を温めることで、鍼の刺激と温熱刺激が組み合わさり、内臓の働きが良くなります。
これにより、免疫細胞が増加・活性化し、風邪を引きづらくなったり、寝つきが良くなったりと、身体と心にポジティブな変化を感じやすくなります。
鍼治療は、病状や体質に合わせて施術を行うことができたり、保険が適用されたりする場合もありますので、経済的な負担を軽減しながら治療が受けられます。
坐骨神経痛に効く!鍼治療で効果的なツボ10選
坐骨神経痛に効果的なツボがあります。
そこでここからは、鍼治療で坐骨神経痛にアプローチできるツボについて紹介します。
腰のツボ①腎兪(じんゆ)
東洋医学では「腎」が生命力と深く関わっています。
この腎の働きを正常に戻すツボとして有名なのが腎兪(じんゆ)です。
腎兪は腎の気が集まる重要な背中のツボで、その名前の由来になっています。
腎兪にはさまざまな効果が期待できますが、具体的には足腰の疲れやだるさ、ぎっくり腰、冷え性、耳鳴りなどに役立ちます。
また、腎兪の位置は、へその高さで、ウエストの一番くびれているラインにあります。腰に手を当てたときに親指が当たる部分が腎兪です。
このツボは特にぎっくり腰や腰痛に効くことで知られており、腰に痛みや重さを感じたときに刺激すると良いでしょう。
刺激することで血行が促進され、痛みを和らげる効果があります。
また、腎兪を押すことで腰背筋の緊張を緩め、背骨を整えたり姿勢を改善したりすることもできます。
たとえば、デスクワークで長時間座っていると腰が疲れやすくなりますが、そのときに腎兪を押すと疲れを軽減できます。
さらに、腎兪は冷え性やめまい、耳鳴り、足腰のだるさにも効果があります。
冷え性に悩む人が腎兪を刺激すると、体温が上がり、体が温まる感覚を得られるでしょう。
このように、腎兪はさまざまな症状に効果的なツボで、日常生活の中で簡単にケアできるポイントです。
腰のツボ②「大腸兪(だいちょうゆ)」
大腸兪は、腸の働きを正常に整えることからその名前がつけられています。
特に便秘や下痢に効果があり、即効性も期待できます。
また、腰痛や坐骨神経痛にも効果があるとされています。
東洋医学では、胃や腸は「気」を生み出す重要な場所と考えられています。
「気」は生命活動を維持するエネルギーであり、腸の健康は全身の健康に直結します。
大腸兪は、骨盤の一番高いライン上で、背骨から左右に指2本分(約4〜5cm)外側の筋肉の上にあります。押してみて、痛いけれど気持ちいい場所が大腸兪です。
押し方のコツは、親指を使って腰を中心に上半身をひねることです。
このとき、下半身は固定してください。ひねることで大腸兪を深く刺激し、腸への効果を高めることができます。
特に便秘と冷えに効果があり、ツボを押した後すぐに便意を感じる人もいます。
腰のツボ③「下腸兪(かちょうゆ)」
上髎は大腸兪の下にあるツボで、臀部(お尻)の平らな骨である仙骨の一番上の凹んだ部分にあります。
このツボは、女性の生殖器、特に子宮に関連や坐骨神経痛にも効果があります。
例えば、生理痛で苦しんでいる女性がこのツボを刺激すると、痛みが和らぎ、快適に過ごせるようになります。
また、子宮内膜炎による腹部の不快感も軽減されます。
坐骨神経痛の患者は、腰から足にかけての痛みが和らぎ、歩行が楽になるでしょう。
お尻のツボ①「環跳」
環跳は東洋医学の少陽胆経に属するツボです。
「環」は曲げることを、「跳」は跳ねることを意味し、膝を曲げて腰を曲げた姿勢で見つけやすいことから、この名前がつけられました。
足の少陽胆経に属する環跳は、筋肉に作用すると言われています。
これにより、腰痛の改善に効果があり、筋肉のこりやむくみにも有効です。
また、腰痛や筋肉の歪みを改善することで、膝の痛みも和らげます。
環跳(かんちょう)というツボは、お尻の側面にあり、このツボを見つけるには、横向きに寝て股関節を曲げると、お尻にえくぼができる部分を探します。
環跳は、坐骨神経がちょうど出てくる場所にあり、坐骨神経痛の治療によく使われます。
お尻のツボ①「胞肓(ほうこう)」
胞肓(ほうこう)は、太陽膀胱経という経絡に位置するツボです。
東洋医学では「胞」が膀胱を、「肓」が深部や膀胱を守る脂膜を意味します。
このため、膀胱の症状を改善するために名付けられました。また、「胞」には子宮を意味することもあります。
胞肓は体の不調を和らげるだけでなく、ヒップラインを引き締める効果があるとされています。
このツボは、お尻の仙骨という骨の近くにあり、比較的見つけやすい位置にあります。
胞肓は特に腰痛に効果があると言われています。
さらに、膀胱経に属するツボであるため、排尿障害や生理痛といった婦人科の症状にも期待できます。
このように、胞肓は幅広い効果があるため、妊娠中の女性もセルフケアとして活用することができます。
このツボを刺激することで、体の不調を軽減したり、女性にとって嬉しい効果を得ることができるので、日常生活の中で手軽にケアすることができます。
太もものツボ「風市(ふうし)」
風市(ふうし)は、頭や耳、視力などに関わる少陽胆経に属するツボです。
東洋医学では、「市」という言葉は集まるという意味があり、風市は風のエネルギーが集まる場所を指しています。
また、脚の痛みやだるさに効果があると言われているツボであり、特に脚やせに効果があるとして知られ、下肢の様々な悩みに幅広く効果が期待できます。
このツボは靱帯の際に位置しているため、ほぐすことで脚の筋肉や腱の柔軟性が向上します。
例えば、長時間の立ち仕事で脚が疲れているときに風市を押すと、脚の疲労感やだるさが和らぎます。
また、脚のむくみを感じるときにも風市を刺激すると、血行が促進されてむくみが改善されます。
風市は、疲労感やしびれ、麻痺などにも効果があり、血行が促進されることで得られる効果も期待できます。
風市は太ももの外側にあり、直立して腕を自然に下ろした姿勢で、手の中指の先があたる場所が風市です。
具体的には、太ももの外側にあり、骨盤前後の筋肉をつないでいる腸脛靱帯の後ろの際にあります。
膝の裏のツボ「委中(いちゅう)」
委中は、腰や背中の症状に効果が期待できるツボです。
「委」という言葉は、「ゆだねる」「屈する」という意味があります。
膝を曲げた(屈した)ときに、このツボがちょうど真ん「中」に位置するため、委中と名付けられました。
委中は、左右の膝の裏側にあるへこみの真ん中にあります。
例えば、長時間座っていた後に腰が痛くなった場合、委中を押すと痛みが和らぎます。
また、坐骨神経痛で足がしびれるときにも、委中を刺激すると症状が軽減されます。
変形性膝関節症やふくらはぎの痛み・ひきつりにも効果があります。
委中を押すことが難しい場合や痛みが強い場合は、お灸を使って刺激することもおすすめです。
お灸を使うことで、ツボを温めて効果を高めることができます。
ふくらはぎのツボ①「陽陵泉(ようりょうせん)」
陽陵泉(ようりょうせん)は、足の少陽胆経という経絡に位置するツボで、腰痛や筋肉の緊張に特に効果があります。
このツボは、膝の外側にある骨の出っ張り(腓骨頭)の斜め下にあるくぼみで、比較的簡単に見つけられます。
東洋医学での「陽」は足の外側に位置することを示し、「陵」はツボが周囲よりも高い位置にあることを示唆しています。
続いて「泉」はくぼみを指し、ツボがくぼんだ場所にあることを表しています。
陽陵泉は腰痛や坐骨神経痛、さらには胃もたれなどに効果があるツボで、適切な刺激を行うことで、症状の改善が期待できます。
特に、腰痛や坐骨神経痛に悩んでいる方は、日常的にこのツボを意識して刺激することで、快適な生活を送る手助けになるでしょう。
ふくらはぎのツボ②「承山(しょうざん)」
承山(しょうざん)は、東洋医学で足のむくみや痛み、腰や背中の張りに効果があるツボです。
名前は「承」(受ける)と「山」(突起)から来ており、ふくらはぎの真ん中、膝裏と踵(かかと)の中間地点に位置しています。
このツボは、足のむくみを軽減し、ふくらはぎの痛みや張りを和らげる効果があります。
特に、スポーツ後や長時間立った後に有効です。また、承山は腎臓や膀胱に関連しており、押して痛みを感じる場合は腎機能が低下している可能性があります。
ツボを押す際はふくらはぎをつまんだり引っ張ったりすることも良いでしょう。
また、お風呂上がりに温めたタオルを使うと、血行が良くなり、筋肉がリラックスします。
このように、承山は手軽にケアできるツボで、特にスポーツをする方や長時間同じ姿勢でいる方におすすめです。
痛みや不安が続く場合は、医療機関で相談することが重要です。
ふくらはぎのツボ②「崑崙(こんろん)」
崑崙(こんろん)は、東洋医学で足の太陽膀胱経という経絡に位置するツボです。
このツボは、自分で指圧やお灸を使って温めて刺激できます。
名前の由来は、足の外くるぶしが中国の「崑崙」という山に見立てられ、また「高いところ」という意味もあります。
崑崙の位置は、外くるぶしの後ろにあり、アキレス腱との間の中央のくぼみの場所で比較的見つけやすいです。
このツボは、坐骨神経痛や腰の疲れに効果があり、刺激することで足から腰への疲労感が軽減されます。
例えば、長時間座った後に腰が痛くなったときに、崑崙を押すことで痛みが和らぐことが期待できます。
また、崑崙は自律神経を整える効果もあり、自律神経の乱れによるめまいや頭痛に対しても有効です。
このツボは、目頭から背中を通って足先まで繋がる経絡に位置し、足首の崑崙でも頭痛やめまいに効果があります。
たとえば、仕事のストレスで頭が痛くなったとき、崑崙を刺激することで気分がスッキリすることが期待できます。
さらに、お灸で崑崙を温めると、めまいや頭痛への効果が高まります。
お灸を使うことで血行が良くなり、リラックスできます。このように、崑崙は腰痛や自律神経の調整に役立つ重要なツボです。
【鍼灸師在籍】坐骨神経痛は当院での施術もおすすめ
坐骨神経痛には、鍼治療だけでなく、整体やセルフケアのマッサージもおすすめです。
当院の院長「NOBU先生」は、自身も坐骨神経痛を経験したことがあり、患者様の痛みや症状に寄り添った治療を行っています。
また、鍼灸師としても坐骨神経痛の悩みにアプローチした治療が可能です。
初めての方でも、電話やLINEでカウンセリングの予約ができます。
新宿駅から徒歩7分の距離でアクセスも便利です。
詳しい案内情報や料金は、当院のHOMEページでご確認ください。
皆様のご来院をお待ちしております。
また、YouTubeでも活躍しており、腰痛のお悩みに特化した動画を随時アップしていますので、チャンネル登録も忘れずに行ってください。
当院の院長「NOBU先生」について詳しく知りたい方は、こちらを参考にしてください。⇩
坐骨神経痛に効く!鍼ツボ治療で筋肉と筋膜のこわばりを解消
今回は、坐骨神経痛に効果的な鍼ツボ治療について紹介しました。
鍼治療は、坐骨神経が通る筋肉に鍼を刺すことで、筋肉の緊張を緩和し、神経の圧迫を軽減します。
その結果、血流が改善され、神経の痛みやしびれが和らぎます。
さらに、お灸を使って患部を温めると、鍼の刺激と温熱刺激が組み合わさり、内臓の働きが良くなります。
これにより、免疫細胞が増加・活性化し、風邪を引きにくくなったり、寝つきが良くなったりするなど、身体と心にポジティブな変化を感じやすくなります。
例えば、腰の筋肉が硬くなっている場合、その部分に鍼を刺し、緊張をほぐすことで痛みを和らげます。
また、足のしびれがある場合も、関連するツボに鍼を刺すことで、血流が良くなり、症状が軽減します。
鍼治療は、病状や体質に合わせて施術を行うことができ、保険が適用される場合もあり、経済的な負担を軽減しながら治療を受けることが可能です。
坐骨神経痛の原因となる筋肉や筋膜のこわばりや短縮は、1回の鍼治療で改善する場合もありますが、多くの場合は改善するまでに時間がかかります。
症状が改善するまでの期間は、症状の程度や発症してから治療を開始するまでの期間などによって変わります。
そのため、鍼灸師と相談しながら、坐骨神経痛の治療間隔を決めていきましょう。