「お尻が痛くて座っていられない」
「座ると痛いのに、立つと楽なのはなぜ?」
「お尻が痛くならない座り方が知りたい!」
こんなお悩みをお持ちではないでしょうか。座ると痛くなる理由は、臀部を通る神経が圧迫されたり、血行が悪くなったりすることが原因で、痛みを引き起こしています。たとえば、長時間のデスクワークなどでは、椅子に座った状態が続くことで、お尻や腰部分の筋肉が硬くなります。そのため、周辺を通る神経に影響を及ぼして辛い痛みが現れてしまいます。この記事では、座ると痛くなる理由や、正しい座り方と対策を解説します。ぜひ最後までお読みください。
目次
坐骨神経痛で座ると痛い3つの理由
坐骨神経は、腰から両側の足先にまで伸びており「運動神経」や「知覚神経」、「自律神経」の3つで構成されています。座っている姿勢は、お尻や腰周りの血流が悪くなることや、筋肉や神経が圧迫されていること、座った姿勢は腰に負荷がかかることなどが原因で、座った時に痛みが生じてしまいます。この章では、坐骨神経痛の症状で、座ると痛いと感じる理由についてそれぞれ詳しく解説しています。
姿勢が悪い
坐骨神経痛の症状が現れる主な原因は、椎間板ヘルニアや脊柱管狭窄症、梨状筋症候群などです。これらは、加齢やスポーツなどが原因で発症することもありますが、多くは日常生活の姿勢不良が原因で症状を引き起こしています。加えて、座ったときの姿勢が悪く、腰椎に過度な負荷がかかって痛みを強くしています。
それぞれの腰痛の説明は、次の章で解説しています。
「坐骨神経痛と姿勢」についての記事はこちら⇩
血行が悪くなっている
座った姿勢は、お尻の筋肉が圧迫されている状態です。圧迫された筋肉は、血流が悪くなって緊張し、硬くなってしまいます。硬くなった筋肉は、周辺の血管を圧迫して更に血流を悪くするという悪循環が生まれてしまいます。また、お尻は坐骨神経が通っているため、硬くなった筋肉が周辺を通る坐骨神経に影響を及ぼして、痛みを引き起こしてしまいます。長時間座った姿勢を取り続けている人は、これらが原因で強い痛みが生じていると考えられます。
そもそも座っている姿勢は腰椎に負荷がかかる
座った姿勢は、立っている時よりも腰椎に負荷がかかると言われています。スウェーデン生まれの整形外科のナッケムソン医師の調査では、立っている時の椎間板の圧力を100%とすると、椅子に座っている時は140%の圧力がかかっていることがわかりました。座った姿勢は坐骨神経や腰椎に負荷がかかる上に、腰椎に何らかの疾患がある人は、座ることで症状を悪化させてしまい「座ると痛い」と感じる理由だと考えられます。
坐骨神経痛を引き起こす主な腰痛の病気
お尻や下肢に痛みや痺れなどの症状があらわれることを「坐骨神経痛」といいます。坐骨神経痛の症状は主に以下のものが挙げられます。
- ・お尻や下肢に激しい痛みやしびれ
- ・太ももの裏側やふくらはぎに痛みやしびれ
- ・痛くて座っていられない
- ・痛くて立っていられない
- ・体を動かすと痛みが現れる
- ・足に力をいれにくい
坐骨神経痛は患者様によって症状はさまざまですが、重症の人は手術が必要なケースもあります。強い坐骨神経痛の症状が現れた人は、立ち上がることも困難となるほどの痛みが現れるでしょう。まずは楽な姿勢をとり、安静にしてください。無理に体を動かすと症状が悪化する恐れがあります。痛みが和らいで徐々に体が動かせるようになったら、すぐに整形外科などを受診して検査をするようにしてください。しっかりと診察し、坐骨神経痛の症状が現れた原因を突き止めて、原因となる病気の治療をすることが重要です。
また、坐骨神経痛を引き起こす原因のすべてが腰痛からくるものだとは限りません。さまざまな疾患が原因で坐骨神経痛の症状を引き起こしますが、この章では、坐骨神経痛を引き起こす主な腰痛の病気をご紹介します。
腰椎椎間板ヘルニア
腰椎の骨と骨の間には椎間板があります。椎間板は、ゼリー状の髄核とそれを覆う線維筋で構成されており、衝撃を吸収する役割があります。髄核の一部が飛び出して、神経を圧迫したり刺激したりすることを腰椎椎間板ヘルニアといいます。椎間板ヘルニアの原因は、長時間座り続けることや、中腰での作業です。ヘルニアの人は前かがみになると激しい痛みが生じます。
腰部脊柱管狭窄症
背骨の間には神経が通る道の脊柱管があります。椎間板や髄核が変形や変性をして、脊柱管を狭くし、神経を圧迫したり刺激したりすることを腰部脊柱管狭窄症といいます。脊柱管狭窄症は加齢で発症することが多いです。脊柱管狭窄症には、間欠性跛行という特有の症状があります。間欠性跛行とは、歩くと痛みが現れて休み、少し休むと痛みが和らいでまた歩き出せると言った特徴があります。脊柱管狭窄症の人は、腰を反ると激しい痛みが生じます。
梨状筋症候群
梨状筋とは、おしりの深層にある筋肉のことで、股関節を動かす際に働く重要な筋肉です。梨状筋の周辺には、坐骨神経が通っており、梨状筋が硬くなることで周辺を通る坐骨神経にまで影響を及ぼすことを梨状筋症候群といいます。梨状筋症候群の原因は、スポーツなどで過度に足を動かすことや、長時間のデスクワークや車の運転で梨状筋などの一定の部位を圧迫することです。梨状筋症候群の人は、特に座ると痛みが生じる傾向があります。
してはいけない座り方
座っている姿勢は無意識に行っているので、自分では気付きにくいかもしれません。この章では、してはいけない座り方について解説します。ご自身の座り方が当てはまる場合は、坐骨神経痛を悪化させてしまう座り方なので対処しなければなりません。
椅子に座るとき
- ・足を組む
- ・浅く座って背もたれにもたれる
椅子に座ったときに、足を組むのが癖になってしまっている人も多いのではないでしょうか。片側に重心が寄ってしまうことや骨盤や背骨が歪む原因になります。浅く座って背もたれにもたれる座り方は、重心が背中側になってしまい、腰椎に負荷がかかってしまいます。
どちらも、無意識に座ったり、疲れてくるとついついやってしまう座り方ですが、腰に負荷がかかるので、このような座り方は避けるようにしてください。
床に座るとき
- ・横座り(お姉さん座り)
- ・体育座り(三角座り)
横座りは骨盤や背骨が歪むだけでなく、股関節が内旋している状態なので、変形性膝関節症を引き起こすリスクが高まります。体育座りは、骨盤が後継になって後ろ重心とり、背中が丸くなりやすくなるので腰椎に負荷がかかり、腰痛を悪化させてしまうでしょう。
車の運転のとき
- ・浅く座って背もたれにもたれる
- ・片手運転
浅く座る姿勢は、椅子に座るときと同様で腰椎に負荷がかかります。また、車の運転のときに、左手は肘掛けに置き、右手だけで運転している人も多いのではないでしょうか。この姿勢は、体の重心のバランスが偏っており、腰痛を引き起こす原因になります。長距離ドライバーの人に腰痛持ちが多いのは、これらの姿勢不良が原因です。
坐骨神経痛の正しい座り方
座ると痛みを感じる人は、出来るだけ座る姿勢を避けた方が良いですが、お仕事などで避けられない人も多いと思います。この章では、坐骨神経痛に良い正しい座り方を解説します。ぜひ参考にしてください。
椅子に座るとき
- ・椅子に深く座って骨盤を立てる
- ・膝の角度が90℃になるようにし、足裏全体を地面に付ける
- ・顔が前方へ出ないように顎を引いて、背筋を伸ばす
- ・机と椅子の距離は、肘を90℃に曲げたときに机に手が乗る位置
- ・パソコンを使用する場合は、パソコンとの距離を50㎝ほど空ける
- ・ディスプレイの高さは、目の高さとディスプレイの上部が同じか少し下になるように設置する
パソコン作業をする人は、パソコンのディスプレイの高さにも注意が必要です。ディスプレイが低すぎると、顔が前へ出て前傾姿勢となり、首や肩、背中などの筋肉に負荷がかかってしまいます。逆に高すぎると、眼精疲労やドライアイの原因になります。
床に座るとき
坐骨神経痛や腰痛をお持ちの人が床に座る場合は、正座がおすすめです。また、お尻に座布団やクッションを少しかまして骨盤を立てて、あぐらをかくのも良いでしょう。ただし、長時間座り続けることで痛みを発症するリスクがあるので、小まめに姿勢を変えたり立ったりすることが大切です。
車の運転をするとき
- ・背中や腰、お尻がシートにしっかりと密着するように深く座る
- ・ブレーキやアクセルがしっかりと踏める位置にシートを調節する
- ・手は、少し伸ばすぐらいの距離にハンドルや背もたれの角度を調節する
- ・頭は、後頭部がヘッドレストの中央になる位置に調節する
運転時は以上の正しい姿勢を取るようにし、小まめな休憩が必要です。正しい姿勢を保っているから大丈夫と思っていても、長時間の同じ姿勢は筋肉に負荷がかかってしまいます。また、運転は神経も使っていることから身体が緊張状態となるので、疲れたと感じる前に休憩するようにしましょう。
「坐骨神経痛を改善するための正しい座り方」の記事はこちら⇩
坐骨神経痛で座ると痛い時の対策
立っているのが辛くて座ろうと思っても、座るとまた痛みが生じてしまい、ストレスに感じる人も多いでしょう。また、座るという動作は日常生活を送る上で避けられない動作です。重い荷物を中腰で持ち上げないことや、腰に負荷のかかる動作を避けるなど、坐骨神経痛の対策にはさまざまな方法があります。この章では、座ると痛いときの対策をご紹介します。
長時間座ることを避ける
長時間座り続けることは、腰に負担がかかることや、梨状筋が圧迫されることで痛みが生じてしまいます。座ると痛い人は、できるだけ座ることを控えてください。痛みを我慢して座り続けると、重症化してしまう可能性があります。しかし、お仕事などでどうしても座ることを避けられない人は、この記事で紹介した「正しい座り方」を実践してください。また、クッションなどの腰痛対策グッズなどを利用しても効果があるでしょう。ただし、長時間座る姿勢を保つことは痛みの原因になるので、小まめに休憩を挟むようにしてください。
姿勢不良の改善
日々の生活で姿勢を改善するように心掛けてください。座った時の姿勢はもちろんですが、歩くときや立っているときの姿勢にも注意が必要です。歩くときは、いつも決まった方の肩で荷物や鞄を持っている人も多いのではないでしょうか。信号待ちなどで立った姿勢は、左右どちらかの足に重心を乗せて立っていませんか?これらは身体や骨盤を歪めてしまう動作です。
荷物は左右均等になるように持つか、行きは右肩で持っていたから帰りは左肩で持つなど、交互に荷物を持つようにしてください。立っている姿勢は、片側に重心を乗せるのではなく、しっかりと両足で踏ん張るように意識しましょう。
身体を冷やさない
身体が冷えると血管が収縮してしまいます。血液は身体に栄養や酸素を運び、不要な老廃物を回収してくれます。腰回りや下半身などに栄養や酸素が行き届かずに、不要な老廃物が蓄積されてしまうので、坐骨神経痛の症状が現れてしまうでしょう。
冷えは夏でも対策が必要です。エアコンの風や、冷たい飲み物や食べ物などで身体や内臓が冷えてしまっているかも知れません。エアコンが直接当たらないようにしたり、冷たいものを摂り過ぎないように注意してください。また、身体を温めるには、入浴はシャワーだけで済まさずに、湯船にお湯をはって浸かるようにしてください。時間がある人には、半身浴もおすすめです。
「坐骨神経痛は湯船に入ると効果的な理由」についての記事はこちら⇩
運動やストレッチをする
運動やストレッチで筋力を鍛えることで、坐骨神経痛や腰痛の予防になります。腹筋や背筋などの腰回りの筋肉を鍛えることも良いですが、坐骨神経痛でお悩みの人には、ウォーキングがおすすめです。体に負荷のかからないウォーキングは、下半身や股関節周りなどの関節を含めた全身の血行が促進されて痛みが軽減されます。また、お尻の筋肉のこりが解消されることから、坐骨神経痛の人におすすめの運動法と言えるでしょう。運動の前後には、怪我の予防や使った筋肉を伸ばしてあげるために、必ずストレッチを行ってください。
お尻の筋肉がこり固まっている人は、テニスボールを使って、お尻の筋肉をほぐすのもおすすめです。ほぐす場所は、お尻の窪んだ部分です。テニスボールを床に置き、左右どちらかの窪んだ部位や、やや外側に当てて座り、身体を揺らすと刺激が加わります。筋肉が硬くなっている人は、激しい痛みが生じるので、テニスボールの上に座ってゆっくりと呼吸を繰り返すようにマッサージしてください。ただし、テニスボールを使用してお尻の筋肉をほぐす場合は、人によっては痛みが増してしまう可能性があります。お尻をほぐしたい場合は、必ず専門の医師に相談してから行うようにしてください。
まとめ
坐骨神経痛で座ると痛い理由は、姿勢不良や、長時間座り続けていることで血行が悪くなっていることなどが考えられます。また、そもそも座っている姿勢は、立っているときよりも腰椎に負荷がかかってしまいます。これらが原因で、座ると痛いと感じてしまうのでしょう。
座ると痛い時の対策は、長時間座り続けることを避けることや、姿勢の改善、体を冷やさないことです。また日常生活に運動やストレッチを取り入れることも重要です。この記事を読んで、正しい座り方や坐骨神経痛の対策を行い、痛みのない身体づくりが可能となるでしょう。