筋肉が固まったり疲れたり、筋力が低下したりすると、坐骨神経痛の痛みが強くなることがあります。
そこで、筋肉を鍛える運動をすることで、筋肉の硬さをほぐし、痛みを和らげることができます。
この記事では、坐骨神経痛と筋肉がどう関わっているのか、痛みが出る原因や症状、そして効果的な治療法について説明します。
具体例として、腰回りや足のストレッチや簡単な筋トレ方法も紹介しますので、日常生活に取り入れて痛みを予防できる方法も一覧ください。
目次
坐骨神経痛とは?筋肉との関係性も解説
筋肉が原因で神経が圧迫されることでも、坐骨神経痛が起こることがあります。
ここからは、坐骨神経痛と筋肉の関係について詳しく説明します。
坐骨神経痛の場所
この神経はお尻から足にかけて通っていて、すごく大事な役割をしています。
ちょうど、電気のコードみたいに体の中を通っていて、足に動きや感覚を伝えるための「信号」を運んでいるんです。
つまり、坐骨神経に何か問題があると、お尻や足に痛みやしびれが出ることがあるんですね。
坐骨神経痛と筋肉との関係性
坐骨神経痛は、神経に何か問題が起こることで、お尻から足にかけて痛みやしびれが出る状態です。
たとえば、「ビリビリ」や「ピリピリ」とした痛みを感じたり、足がしびれたり、感覚が鈍くなったりすることがあります。
さらに、梨状筋というお尻の筋肉が固くなり、この筋肉が坐骨神経にふれてしまうと、神経が押されて痛みが出ることもあります。
筋肉がこり固まると、神経を圧迫して坐骨神経痛が起きやすくなります。
こういった症状は、筋肉が疲れていたり、正しい姿勢を保てなかったりすると悪化するので、筋肉をほぐしたり、体を動かして筋力をつけることが大事です。
坐骨神経痛の症状とは?
「坐骨神経痛(ざこつしんけいつう)」は、病気の名前ではなく、お尻から足にかけて痛みやしびれが続く症状のことです。
坐骨神経という大きな神経が原因で、何かがこの神経に触れてしまうことで痛みが出ます。
- ・臀部の痛み
- ・下肢の痛みやしびれ
- ・足首・足指が動きにくくなる
- ・歩くと陰部が熱くなるなど
(引用元:恩賜財団 済生会)
お尻や足が「ピリピリ」や「チクチク」することがあります。
特に、片方の足にだけ症状が出ることが多いですが、両足が痛くなることも少なくありません。
たとえば、立ち続けていると腰や足が痛くなったり、腰を後ろに反らすと足がしびれることがあります。
また、歩いているうちに痛みが強くなり、歩けなくなったり、少し休むと痛みが和らいだりすることもあります。
こうした症状は、日常生活でもよく見られます。
筋肉の状態の悪さが原因?坐骨神経痛を引き起こす3つの疾患
年をとると筋肉が弱くなることで、坐骨神経痛になることがあります。
また、デスクワークなどであまり体を動かさない生活や、悪い姿勢によって骨盤が歪むことも、坐骨神経痛を引き起こすことも原因の一つです。
さらに、スポーツで腰をひねる動きが多いと、腰に負担がかかりやすくなります。
ここからは、腰痛を生じる原因についてわかりやすく解説していきます。
椎間板のトラブルで起こる坐骨神経痛
腰椎椎間板ヘルニア(ようついついかんばんへるにあ)は、椎間板という背骨のクッションが飛び出して神経を押す病気です。
椎間板ヘルニアは、背骨の間にある「椎間板」というクッションが飛び出し、近くにある神経、特に坐骨神経を圧迫することで起こります。
例えばあぐらをかいたり、猫背の姿勢をすると椎間板がさらに神経を押すため、痛みが悪化します。
坐骨神経は腰からお尻、太ももの後ろ、ふくらはぎ、そして足先に至る大きな神経で、ここが圧迫されると痛みやしびれが生じます。
例えば、重い荷物を持ち上げるときに腰を丸めてしまうと、椎間板に負担がかかり、ヘルニアが悪化して坐骨神経痛が強くなります。
例えば、長時間の座位やあぐらをかく姿勢も症状を悪化させることが多い傾向です。
また、椎間板の老化が進むと、飛び出しやすくなり、痛みが頻発するようになります。
椎間板の老化で起こる坐骨神経痛
腰部脊柱管狭窄症(ようぶせきちゅうかんきょうさくしょう)は、背骨の中にある神経の通り道「脊柱管」が狭くなる病気です。
脊柱管という背骨の中の道が狭くなると、その道を通っている坐骨神経が圧迫されてしまいます。
そのため、坐骨神経痛が起こることがあります。
この病気は特に高齢者に多く見られ、加齢に伴い脊柱管が狭くなることが原因です。
脊柱管狭窄症による坐骨神経痛は、体を後ろに反らす(腰を伸ばす)と痛みが強くなり、逆に前かがみにすると症状が和らぐことが特徴です。
例えば、長時間歩いたり、立っているときに腰を伸ばすと痛みが増すため、痛みを避けるために自然と前かがみの姿勢をとるようになります。
また、歩く距離が短くなったり、しばらく立ちっぱなしになったりすると、足が痛んだりしびれたりすることもあります。
例えば、高齢の方がスーパーで買い物をしている際に、立ち止まって商品を見ていると腰から足にかけて痛みやしびれが強まり、前かがみになってカートを押しながら歩くと楽になる、というような症状が典型です。
お尻の筋肉(梨状筋)の硬さから勘違いしやすい疾患
梨状筋症候群は、坐骨神経痛と似た症状を持っているため、混同されやすいですが、別の病気です。
梨状筋(りじょうきん)は、お尻の深いところにある小さな筋肉です。
この筋肉は坐骨神経のすぐそばにあり、梨状筋が固くなると坐骨神経を押さえつけて痛みを引き起こします。
梨状筋症候群の場合は、例えば、長時間椅子に座った後に、お尻の奥の方が痛くなり、そこから足の後ろにかけてしびれや痛みが広がることがあります。
症状は、腰からお尻、足の後ろまでしびれや痛みが走る症状が現れます。
坐骨神経痛を改善するための効果的な治療法5選
坐骨神経痛の治療には、いろいろな方法があります。ここでは、それぞれの治療方法について詳しく説明します。
痛みを抑える「薬物療法」
薬を使って、坐骨神経痛の痛みや腫れを抑える方法です。
以下の痛み止めや筋肉をリラックスさせる薬を使うことで、生活が楽になります。
薬の種類 | 効能 | 代表的な薬 |
NSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬) | 痛みや炎症を抑える薬 | ロキソニン
ボルタレン ロピオン |
筋弛緩薬 | 筋肉をリラックスさせて痛みを和らげる薬 | スキサメトニウム
ロクロニウム |
血管拡張薬 | 血流を良くする薬 | べハイド
エパデール プレタール カタプレス アルドメット アプレゾリン アンプラーグ |
NSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬)は、頭痛や筋肉痛にも使われることがあります。
次に筋弛緩薬は筋肉が硬くなって痛みを感じるときに、筋肉をリラックスさせて痛みを和らげる薬です。例えば、腰や首の筋肉が緊張している場合に使います。
最後に血管拡張薬は血流を良くする薬で、これを使うと、血の巡りが良くなり、痛みやしびれが軽くなることがあります。
腰をサポートする「装具療法」
装具療法では、コルセットやベルトを使って腰をしっかり支え、腰や足の痛みを和らげる方法です。
腰痛治療で「腰サポーター」や「姿勢矯正ベルト」を使うと、姿勢が良くなり、体への負担が減ります。
まず、腰サポーターは腰に巻いて使う道具で、腰をしっかり支えることで、立ったり座ったりするときの痛みが減ります。
例えば、長時間座る仕事や立ち仕事をしている人によく使われます。
次に姿勢矯正ベルトは肩から腰にかけて装着し、体が正しい姿勢になるようにサポートします。
これを使うと、猫背が改善され、背中や腰の痛みが軽くなることがあります。
ただし、こういった装具を長い間使い続けると、腰の筋肉が弱くなってしまうので、通常は1ヶ月くらいの期間だけ使用するのが一般的です。
その後は、筋肉を鍛える運動なども一緒に行うことが大切です。
神経の痛みを止める「ブロック療法」
ブロック療法は、痛みの原因になっている神経に直接薬を注射します。
腰の神経に麻酔を注射するので、痛みの信号を一時的に止めることができます。
特に痛みがひどい筋肉に注射をして、その筋肉をリラックスさせるのに効果的です。
例えば、お尻や背中の痛みの強い部分に薬を注射して、筋肉をほぐし、痛みを軽くします。
保存療法が効かない場合の「手術療法」
手術は、他の治療法が効かない場合や症状がひどい場合に行われます。
以下の方法を組み合わせて治療を進めることが多く、それぞれの人に合った方法が選ばれます。
- ・椎間板ヘルニア手術:飛び出した椎間板を取り除く手術
- ・腰部椎間板除去術:圧迫している骨や椎間板を削る手術
手術では、神経を圧迫している部分を取り除くことで痛みを解消します。
さらに神経が圧迫されている部分を解放するために、骨や椎間板を取り除くことがあります。
手術後は、リハビリをして体を元に戻す必要があるため、医師と相談して行うことが大切です。
温めたり、電気を使ったりする「物理療法」
物理療法とは、温めたり冷やしたり、電気を使ったりして痛みを和らげる方法です。
- ・温熱療法:ホットパックやお風呂で体を温める
- ・冷却療法:痛い場所に冷たいタオルや氷を当てる
- ・電気療法:電気を使って筋肉をほぐす機械を使う
温熱療法は、温めることで血流が良くなり、痛みが減ります。
2つ目の冷却療法では、冷やすと炎症や腫れを軽減させるのに効果的です。
最後の電気療法は、筋肉を刺激してリラックスさせるために使います。
動いて治す!坐骨神経痛に効果的な「運動療法」
運動療法は、筋肉を強くしたり柔らかくすることで、坐骨神経への圧力を減らす方法です。
理学療法士という専門の先生が、その人に合った運動を教えてくれます。
たとえば、太ももの裏を伸ばすストレッチや、お尻の筋肉をほぐす運動が行われます。
さらに腰やお尻、足の筋肉を鍛えることで、神経への負担が減ります。
坐骨神経痛を予防するには?腰痛を予防する生活習慣
坐骨神経痛を防ぎ、症状を悪化させないためには、日常生活での習慣に注意することが重要です。
以下のポイントを守ることで、腰や足への負担を減らし、痛みを軽減することができます。
物を持ち上げる時はひざを曲げる
物を持ち上げるときは、腰を曲げずに、膝を曲げてしゃがむようにしましょう。
腰を曲げると腰椎や椎間板に負担がかかり、坐骨神経痛を悪化させる可能性があります。
例えば、買い物袋を持ち上げるとき、膝を曲げてしゃがみ、腰を曲げないようしたり、子供を抱き上げるときも、同様に膝を使ったり、腰に負担をかけないことが重要です。
しゃがんで物を持ち上げるときは、膝を使い、腰を真っ直ぐに保つようにしましょう。
前かがみを避ける
特に椎間板ヘルニアの人は、前かがみになると症状が悪化するため、前かがみの姿勢をできるだけ避けることが大切です。
例えば、物を拾うときや掃除をするときも、膝を曲げて体を支えながら作業します。
床に落ちたものを拾うときは、腰を前に曲げずに、膝を曲げて体を下ろして拾うと、腰椎の負担を減らせます。
また、掃除の際、ほうきを使って前かがみになるのではなく、モップや掃除機の柄を長くして立ったまま作業することで、腰の負担を軽減するのに期待できます。
体に合った靴を選ぶ
歩きやすい靴を選ぶことも、坐骨神経痛の改善に役立ちます。
かかとがしっかりと支えられ、足の甲をしっかりホールドする紐靴やクッション性のある靴が最適です。
靴が合わないと、歩くときに体重が片方の足にかかりやすくなり、腰や足に余計な負担がかかります。
例えば、靴屋で足のサイズをしっかり測り、クッション性の高いスニーカーを選ぶと両足にバランスよく体重をかけることができます。
また、通勤時にはハイヒールやサンダルを避け、歩行時に足全体をしっかり支える靴を履くのもおすすめです。
重いものはバランスよく持つ
坐骨神経痛を悪化させないためには、荷物をバランスよく持つことが重要です。
重い荷物を片手だけで持つと、体の片側に負担がかかり、腰や背中に負担が集中します。
リュックサックを使ったり、荷物を両手で均等に分けると、体全体に負担が分散され、坐骨神経痛を悪化させずに済みます。
例えば、パソコンやお弁当を持っていくときは、リュックサックを使用して、左右均等に負担を分けるがおすすめです。
また、ショッピング時には、大きなバッグを片方の肩だけで持たず、左右に荷物を分けて持つか、カートを使うと腰や背中の負担を減らすのに効果的です。
自宅で簡単!当院おすすめのストレッチ方法3つ
当院では、坐骨神経痛に効果的な動画を厳選してご紹介しています。
これらの動画はYouTubeで、いつでもどこでも視聴できます。
また、新しい動画も随時アップしているので、この機会にぜひチャンネル登録をお願いします!
【坐骨神経痛】たった30回!足を動かすだけ坐骨神経痛を解消するセルフ整体ストレッチ方法!
- ストレッチのやり方
- ①椅子に座る
- ②片方の足の指先を前に向ける
- ③片方の足の裏をもう片方のふくらはぎにくっつける
- ④足を上下に30回動かす
足を上下に30回動かすだけで、腰や足の痛みを和らげる効果があります。
このストレッチは、腸腰筋(腰から脚を支える筋肉)をほぐして、長時間座っているときの痛みを解消するのに役立ちます。
【騙されたと思って】以外な原因の隠れ反り腰を座禅足で解消し坐骨神経痛 ・膝痛・反り腰も解消!
- ストレッチのやり方
- ①座禅の姿勢をとる
- ②親指を天井に向ける
- ③踵を合わせたまま前後にさする
- ④股関節を立てる
- ⑤親指を浮かす
- ⑥おへそを前に出す
このストレッチは、腸腰筋とハムストリング(太ももの裏の筋肉)を刺激し、特に膝の痛みがある方に効果的です。
【スクワット100回より簡単】下半身の筋力・体幹力が3分で倍増する腸腰筋完全攻略法!『ぽっこりお腹/足痩せ|内臓脂肪/中性脂肪 減少』
- ステップ1: 椅子を使うストレッチ
- ①椅子に拳一つ分の隙間を空けて座る
- ②足の指を外側に向け、膝を90度に曲げる
- ③足を下に押し、左右交互に動かす
- ステップ2:片方の足を内側に向ける
- ①足の指を内側に向ける
- ②手のひらを外側に向ける
- ③膝を締める
- ④片方の肩を下げて30秒キープ
- ステップ3:足の裏を反対側に向ける
- ①足を反対側に動かす
- ②踵を押す
- ③30秒繰り返す
このステップを順番通りに行うと、100回のスクワットよりも効果的に腸腰筋を鍛えることができ、慢性的な腰痛や関節の痛みを和らげます。
坐骨神経痛の痛みは日常生活の過ごし方を見直そう
坐骨神経痛は、腰や足に痛みやしびれを引き起こす症状です。
日常生活での注意が、痛みの予防や症状の悪化を防ぐために重要です。
正しい姿勢を意識し、無理な動作を避けることが痛みの軽減につながります。
また、運動やストレッチで筋肉を強化し、体を柔らかく保ち運動不足を解消することも大切です。
痛みがひどくなった場合は、早めに病院で診てもらうことをおすすめします。
適切な治療を受けることで、坐骨神経痛の症状を改善できますが、痛みが体のさまざまな部分に広がることがあるため、正確な診断は難しいこともあります。
その際は専門医に受診し、相談するのが一番です。
当院では、坐骨神経痛の治療についてご相談を受け付けています。
お気軽にお問い合わせください。