「足の痛みや変形が気になる」
「靴を履くと小指が痛い」
「親指の付け根が出っ張って履きづらい」
こんな症状にお悩みの方はいらっしゃいませんか?
足のトラブルとして多いのが、親指が外へ曲がる外反母趾と、反対に小指が内側に曲がる内反小趾です。どちらも足指の変形によって痛みを引き起こし、歩行に支障をきたすこともあります。日常生活の質を低下させる一因になりやすいため、正しい理解と早めの対策が大切です。
本記事では、外反母趾・内反小趾の原因・症状・対処法をわかりやすく解説。お悩みを抱えている方のお役に立てれば幸いです。
目次
外反母趾と内反小趾の基礎知識

外反母趾とは
外反母趾は、足の親指(母趾)の付け根が外側へ飛び出し、指先が反対に内側へ曲がってしまう症状です。親指の付け根部分が「く」の字に曲がるようなイメージで、痛みが強くなると歩くのも辛くなります。
- 原因として考えられるもの
- 先の細い靴やハイヒール、パンプスなど、足指を圧迫しがちな靴の長時間使用。
- 扁平足・開張足・足指の筋力低下による足裏のアーチ崩れ。
- 横アーチが崩れ、足首の正常な転がりが出せないため、歩行時に不自然に親指側で擦るように蹴る動きが出る。それにより、親指側の変形が進んでしまう。
- 遺伝的要素・骨格の特徴。
- 症状
- 親指の付け根の痛み・赤み
- 靴を履き続けるとタコや魚の目ができる
- 指が曲がったまま固まる(変形の進行)
内反小趾とは
内反小趾は、小指(小趾)が内側に向かって曲がる変形です。親指の変形である外反母趾とは対になるトラブルですが、発生要因はほぼ同じであることが多く、併発することも多いと言われています。足首の過剰回内(足の骨組みが緩んでいる状態)が起きている状態では、上手く歩くことができず、前に進むために不自然な力を小指側にかけて地面を蹴るため、だんだんと変形が進行してしまいます。
- 原因として考えられるもの
- 幅が合わない靴(先が狭い、外側がきつい)による小指の圧迫。
- 足指の筋力低下で足裏のバランス(特に横アーチ)が崩れている。
- アーチが崩れ関節が緩んでいるため歩行時に足首の正常な転がりが出せず、小指側で不自然に蹴る動きが出る。それにより、小指側の変形が進んでいく。
- パンプス等のハイヒールは、足裏の荷重バランスが崩れ、足の外側が落ちるような傾きになりやすく、小指が圧迫される。
- 不自然な歩き方や姿勢(O脚やX脚など)
- 症状
- 小指に力が入らない、小指の爪が横に向いている(寝指)。
- 小指が内側に入る角度が10度以上になると内反小趾。10度~20度以内は中度、30度を超えると重度の内反小趾。
- 小指の付け根や指先に痛みが生じたり腫れることがある。
- タコや魚の目ができる。
- 変形が進むと指同士が当たって爪が食い込むようになり、歩行が困難になる。
足のトラブルを放置するとどうなる?
外反母趾や内反小趾を放置し、靴を履くたびに圧迫や摩擦が続くと、痛みが増すだけでなく変形がどんどん進行していきます。
- 痛みを庇う歩き方になり、足だけでなく膝、腰や肩に余計な力が入ってしまう
- 歩行バランスが崩れて膝痛・腰痛・首肩こりを招く
- 姿勢が安定しない、姿勢が悪くなる
- 魚の目やタコができやすくなり、さらに痛みが強まる
- 足が不安定になるためスポーツで十分に力が発揮できなかったり、日常生活の動作に支障が出る
足は全身を支える重要な土台です。健康な足を保つためにも、症状が軽度のうちに正しい方法でアプローチすることが大切です。
外反母趾は病院に行くべき?変形は治る?足の健康を守るための適切な治療方法と受診のタイミングについて
外反母趾・内反小趾の対策・治療法

患部を冷やす
靴の圧迫などで指の付け根部分が痛んだり腫れたりといった場合、炎症を起こし、関節周辺の組織がダメージを受けています。これを繰り返すことで変形が進み症状が悪化してしまうため、腫れを鎮め悪化を予防することが大切です。痛みや腫れを感じる部分を保冷剤や湿布を用いて15分程冷やしましょう。
靴の選び方
一番重要なのは、足に合った靴を正しく履くことです。
- サイズや幅(ワイズ)の確認
- 靴選びの際には、縦のサイズだけでなく幅(ワイズ)もしっかりチェックしましょう。小指側にゆとりがあるかどうかが、内反小趾の進行を防ぐポイントです。紐やベルトで幅を調整できるものが良いでしょう。
- ヒールの高さ
- ヒールが高すぎると、身体の重さを前足部で受けるようになるため足指の付け根に負担が集中します。3~4cm程度のローヒールを普段使いとする方が望ましいでしょう。
- インソールやクッションの使用
- 足裏のアーチをサポートし、関節への負担を軽減します。内反小趾は横のアーチの機能が低下し足幅が広がっている状態。アーチ機能を働くように作られた、足の前側(中足骨部分)を支えてくれるインソールは外反母趾・内反小趾いずれの場合もおすすめです。
足指の体操・ストレッチ
足指じゃんけんやタオルギャザー、ゆびのば体操など、手軽にできるケアがあります。
- 足指じゃんけん
- グー(指を丸める)、チョキ(親指・小指を別々に開く)、パー(すべての指を開く)を繰り返す
- 付け根から指先までしっかり動かし、筋肉や関節を柔らかく保つ
- 足裏マッサージ
- テニスボールなどを使って足裏の筋膜をほぐす
- 足裏を刺激することで血行を促進し、足指の可動域を高める
テーピング・サポーター
変形が軽度のうちや運動時には、テーピングや足指サポーターを活用するのも有効です。指の変形や足裏の崩れを補正しながら歩けるので、痛みの軽減や進行予防につながります。
医療機関での治療
痛みが強い方や、変形が進行して日常生活に支障が出ている場合は、整形外科や足の専門医を受診しましょう。
- 保存療法(インソール作成・リハビリテーションなど)
- 手術療法(骨切り術など)
症状の程度や生活スタイルに応じて治療法を選択することが大切です。
内反小趾の歩き方で気をつけること

内反小趾や外反母趾で、歩くとすぐ疲れてしまう方や、ふくらはぎが太くなったり浮腫みで悩んでいる方は、歩き方を見直してみましょう。
足指にいつも力を入れている
アーチ機能の低下から、常に不安定を感じ、ついついバランスをとろうと足指に力を入れ過ぎてしまいます。指に力を入れていると膝や股関節まわりにも余計に力んでしまい非常に疲れやすくなってしまいます。立っているときも出来るだけ力を抜き、足指で踏みしめないことを意識することで、膝や股関節を働かせることができます。
地面を力強く蹴っている
「しっかりと地面を蹴って歩きましょう」とアドバイスを受けて、意識している方も多いのではないでしょうか。実はしっかり蹴ろうとすればするほど、足指に不自然な負担がかかり続けています!足の変形を進めてしまいますので、意識してやっていた方は蹴ろうとしないで歩くようにしてください。
顔を上げ目線を遠くに移し、効率よく歩くことを実践する
①歩行時の目線をチェック
歩きスマホや、座っているときもスマホを目にすることが癖になっている方は、歩くときの視線が下に向いていませんか。数歩前の地面を見て歩いているならば、姿勢が悪くなっています。前のめりに歩くことで前足部で体重を支えている状態です。これでは、ますます親指や小指の負担が増してしまいます。
②目線を上げて歩く
まずは、目線を上げてみて下さい。目安としては歩いているときに、空と地面のどちらも視界に入っていると良いです。目線が上がり、頭の傾きが数センチ変わるだけで、踵にも体重が乗るようになり、足が安定します!頭を支えていた首や肩の負担も減るため、首肩の余分な力が抜ける感覚がすぐにわかると思います。
③足の付け根から歩く
歩行時の目線が良くなってきたら、次に足について少し意識してみましょう。足を出すときに「脚の付け根から歩く」または「みぞおちから歩く」ようにします。脚を上げる筋肉は、みぞおち辺りから付いています。1日数分だけでいいので、意識することで、以前より体が引きあがり楽に歩けるようになります。
歩行や姿勢の癖というのは長年のものなので、あせらず、一気に治そうとせず、「少しだけ」意識することが大切です。気長に継続しましょう。いつの間にか、今までより楽に歩けていたり、疲れにくくなってきていたら歩行が改善されている証拠です。
まとめ

- 外反母趾と内反小趾は、足の指がそれぞれ反対方向に変形する症状ですが、原因や対策が共通する部分が多いのが特徴です。
- いずれも「合わない靴(幅が狭い、ヒールが高い、サイズが合っていない)」「足指の筋力低下(アーチの崩れ)」といった要因が大半を占めるため、生活習慣の見直しと正しいケアが重要になります。
- 症状の進行を促すような歩き方をしている場合が多いため、歩き方を見直すことが大切です。
- 適切な靴選びや体操・リハビリ、インソールの活用で痛みの軽減と進行予防が期待できます。症状が進行している場合は専門医に相談し、手術も含めた治療法を検討しましょう。
外反母趾や内反小趾に代表される足の悩みは、症状が酷くない方も放置せず正しく対策することで痛みや変形を改善していくことが可能です。できるだけ早めにケアすることで一人でも多くの方が快適な生活を送っていただければ幸いです。