今回は、坐骨神経痛の方が病院で診療を受けたときに処方される「リリカ」という薬が腰痛に効くのか?ということについて徹底解説します。
下記に該当する方は、ぜひこの記事を最後までご覧ください。
- 自分の腰痛の原因が何かを知りたい
- 腰痛にリリカは効くのか知りたい
- リリカを使用することで得られる3つの効果を知りたい
- リリカを使用する危険性や副作用はあるのか?
結論からお伝えすると、リリカに腰痛の鎮痛効果は一部で認められていますが、根本原因を解決する薬ではありません。
この記事ではリリカ情報について知らない人でも短時間で理解できるように、基礎的な部分から解説しているので、ぜひ最後までご覧ください。
目次
はじめに:腰痛を引き起こすよくある3つの原因
まずは、腰痛を引き起こす原因について解説します。腰痛と一口に言っても、その原因はさまざまで、対処法も異なってくるのです。
腰痛は多くの人々にとって、日常生活に不快感を与える嫌な症状の一つです。しかし、腰痛の約85%は検査してもその原因が特定できません。
そのような、どこが痛みの原因なのか特定しきれない腰痛を「非特異的腰痛」と呼びます。一般的に呼ばれている「腰痛症」とはこのことです。
「整形外科に行ったけど治らない…」「スポーツしているけど腰痛になった…」など多くの方が十人十色の悩みを抱えていることでしょう。とは言え、多くの場合、腰痛の原因は様々な要因によって引き起こされますが、その中でも特によくあるのは下記の3つです。
- 筋肉の緊張や炎症
- 椎間板の障害
- 神経の圧迫
ひとつずつ見ていきましょう。
原因①:筋肉の緊張や炎症
1つ目の原因は、筋肉の緊張や炎症です。運動する習慣の少なさや長時間の座り仕事、不適切な姿勢などによって、腰回りの筋肉が緊張したり炎症することで腰痛が次第に引き起こされます。
実際、職場環境によって腰痛を発症する人は非常に多く、労働災害全体の6割以上を占めているのです。多くの人は工事現場などの肉体労働を行うと腰痛になると思っていますが、デスクワークのし過ぎも原因となるため、普段の生活から改善策を考える必要があるでしょう。
原因②:椎間板の障害
2つ目の原因としては、椎間板の機能の低下が挙げられます。
「椎間板」は背骨と背骨の間にあり、クッションの役割を果たしています。その椎間板の形が変形したり、圧迫されることで、椎間板ヘルニアなどが引き起こされ、腰痛の原因となります。
通常、椎間板の構造は下記のようになっています。
- 内側:ゼリー状で柔らかい
- 外側:硬い「線維輪」で覆われている
しかし、加齢などにより線維輪が変性・断裂してしまい、中のゼリー状の部分が飛び出し、脊髄神経根を圧迫することで痛みが引き起こされるのです。
椎間板ヘルニアの原因も1つと断定することはできませんが、悪い姿勢の状態で長時間のデスクワークを行うことは避けたほうが良いでしょう。
原因③:神経の圧迫
最後、3つ目の原因は、神経の圧迫による腰痛です。
腰には脊柱管という神経を入れた管があり、1対ずつ左右に神経が分かれて出ています。その神経の基部を「神経根」と呼ぶのです。
その神経根が圧迫されることで、腰に痛みやしびれが生じてしまいます。また、腰椎や仙骨部分にある神経が圧迫されることで、腰痛が生じる場合もあります。
文字で読むと理解しにくいですが、以下のような経験は誰しもがあるのではないでしょうか。
- 長時間の中腰の姿勢で腰が痛くなった
- 冬の寒さで筋肉が硬くなって腰が痛くなった
- 運動不足で腰が痛くなった
このような腰痛も、神経痛に由来している場合が多いです。以上が、腰痛を引き起こすよくある3つの原因でした。
これらの原因によって引き起こされる腰痛は、患者の日常生活や仕事に大きな影響を与えることがあります。
リリカとは?
いよいよ、本題です。「リリカ」とは一般名が「プレガバリン」で知られている、神経障害が原因で引き起こされる神経痛を和らげる薬です。
リリカに含まれる主な成分としてプレガバリンが含まれているため、プレガバリンとも呼ばれています。
プレガバリンは中枢神経系に作用して神経の興奮を抑制する効果があり、神経痛やてんかんなどの症状の治療に用いられることが多いです。リリカはリリカカプセルという形で服用します。そのため、コップ1杯程度の水またはぬるま湯で飲みましょう。
インターネット上では「リリカが腰痛に効く!」と謳っている記事もたくさんあるため、リリカを使って腰痛を治したい人々に注目されています。
実際、リリカを服用することで神経からくる痛みを和らげることが可能です。そして、それは坐骨神経痛にも当てはまります。
しかし、リリカはあくまで「痛みを和らげる薬」であって「病気を治す薬」ではありません。
そのため、薬を服用することで坐骨神経痛の症状が楽になるという方はいますが、坐骨神経痛の原因そのものが治るわけではないのです。
つまり、服用中は痛みを感じないが、服用をやめれば痛みが再発することになります。
また、現時点ではリリカを使用するには「末梢性神経障害性疼痛の病名」が必要となり、その診断結果がないと処方されることはないのです。
次に、より詳しくリリカを使用することで得られる3つの効果を見ていきましょう。
リリカを使用することで得られる3つの効果
ここからは、具体的にリリカを使用することで得られる効果を3つ紹介します。その効果というのがこちら。
- 神経痛の緩和
- 筋肉の緊張の緩和
- 睡眠の改善
ひとつずつ詳しく解説します。
効果①:神経痛の緩和
リリカを使用することで、神経痛を緩和できます。
前述したように、リリカに含まれるプレガバリンという主成分に神経の興奮を抑制する作用があり、神経痛の緩和が期待できるのです。実際、帯状疱疹後の神経痛にも使われる場合があります。
特に慢性的な腰痛や坐骨神経痛など、神経に関連する疼痛に対して有効だと言われています。
ただし、リリカはあくまで「痛み止め」的な効果が期待できるのであって、症状を根本から改善する効果はないことを覚えておきましょう。
効果②:筋肉の緊張の緩和
また、筋肉の緊張を緩和する効果もリリカにはあります。これにより、腰痛が筋肉の緊張によって引き起こされている場合にも、症状の改善が期待できるでしょう。
同じ姿勢をとり続けるなどの筋肉への負担によって、筋肉が収縮して硬くなり、コリやはりが生じます。
腰痛の原因が「神経痛によるものなのか」「筋肉の緊張によるものなのか」を明らかにすることは簡単ではありません。普段の生活を振り返ってみて、可能性として考えられるものがどちらかであるなら、リリカ服用による痛み止めは効果があるでしょう。
そのため、腰痛だけでなく肩こりなどの”筋肉が収縮することで引き起こされる痛み”にも十分に効果があるでしょう。
効果③:睡眠の改善
また、リリカを服用した後、腰痛以外の部分にもポジティブな効果が期待できます。
その1つが、睡眠の改善です。
といっても、この睡眠改善というのは「腰痛などの神経痛によって睡眠障害が引き起こされている人の睡眠を改善する」という意味になります。
つまり、神経痛などによって睡眠障害が引き起こされている場合、リリカを服用することで、疼痛が軽減されて睡眠の質が向上する場合があるのです。
以上が、リリカの服用で得られる3つの効果でした。
ここまででリリカの仕様に興味を持っている方も多くいるかも知れません。しかし、リリカを使用することで得られる効果は良いものばかりではありません。
次の項目では、リリカ服用で生じる副作用やデメリットについて徹底的に解説します。
危険性は?リリカの使用で起こる副作用について解説
リリカは神経痛やそれが原因の睡眠障害を改善する効果が期待できる薬ですが、決して良い面ばかりではありません。
リリカ服用のデメリットについて正しく理解することは非常に大切です。そうすることで、自分の症状の改善と副作用を天秤にかけ、正しい判断ができますよ。
リリカ服用で起こる副作用というのがこちらです。
- ふらつきや眠気
- 悪心や吐き気
- むくみなどの体重増加
- 意識消失
- 心不全・筋肉の脱力感等
ひとつずつ見ていきましょう。
ふらつきや眠気
リリカ服用で引き起こされる副作用の1つ目は、ふらつきや眠気です。
リリカを服用することで、ふらつきや眠気が生じる場合があります。特に初めて使用する場合や、投薬量を増やした場合に注意する必要があるでしょう。
他にも「頭痛」や「めまい」「発熱」「食欲不振」「かゆみ」などの症状が発生する可能性もあり、これらは個人差があります。
体が慣れるまでは量を少なめに設定し、様子を見ながら少しずつ服用量を増やしていってください。ただし、使用料の判断を個人で行うのは危険なので、病院側の指示に従いましょう。
悪心や吐き気
また、悪心や吐き気のリスクもあります。
悪心とは「心窩部や前胸部、咽頭にかけて生じる“吐きたい”という不快感」のことで、嘔吐前に感じるえづきなどの原因です。
リリカは依存性のある薬です。神経痛が無くなるというメリットを1度経験してしまうと、手放したくないという感覚に陥ります。
しかし、急にリリカの投与量を過剰に減らしたり、やめてしまうと、悪心などの離脱症状が生じることがあるでしょう。適切な用量を守りながら、徐々に薬から脱却する心がけを忘れないでください。
投薬量などについては医師の指示に従って、適量を服用してください。少しでも違和感や異常状態が発生した場合や、不安を感じた際にはすぐにお近くの病院へ駆けつけましょう。
むくみなどの体重増加
また、リリカを服用することで足などがむくむ(浮腫)、体重が増加するというデメリットもあります。
これは個人差があるので、服用中に上記のような副作用が現れて、不快に思われる場合は別の薬を服用するように変更してもいいかもしれません。
意識消失
また、リリカを服用した方の中には意識が消失して、転倒し骨折してしまったという報告もあります。
確率としては高くありませんが、このようなリスクもあることを念頭に置いておきましょう。どれだけ素晴らしい薬でも、良い面と悪い面があるので、しっかりと客観的に効果を見定めることが大切です。
心不全・筋肉の脱力感など
また、こちらも発現率は高くありませんが、中には心不全や筋肉の脱力感、機能障害などの重大な副作用が引き起こされる場合もあります。
副作用のない薬はありませんが、肝機能障害や劇症肝炎が発症したケースも見られており、正しい用量で使用することが大切でしょう。
この項目で紹介した副作用はあくまで一例です。
副作用には個人差があるので、服用前には医師の方としっかり相談して、リスクを熟知したうえで服用を決断しましょう。
また、服用中に少しでも違和感や体調の変化があった場合はすぐにお近くの医療機関やかかりつけ医に相談することを忘れないでください。
よくある質問:痛み止めが腰痛に効かないのはなぜ?
ここまで、リリカという神経痛を和らげる薬について解説してきました。
リリカを服用することで腰痛などの神経痛の痛みを和らげられますが、症状の根本的な改善が期待できるわけではありません。
また、あらゆるサイトでは「腰痛には痛み止めは効かない」と言われています。実際、リリカを服用しても腰痛の痛みを軽減できなかったという人は多くいるのです。
では、なぜ腰痛に痛み止めや鎮痛剤が効かないのでしょうか。
その理由として最も有力なのが「腰痛の痛みには炎症が起きていないから」というものです。
痛み止めなどの痛みを和らげる薬は、患部の炎症を和らげることで痛みを軽減させています。
しかし、欧米の研究では以前から「ぎっくり腰や慢性的な腰痛が起きても、腰に炎症は起きていない」ということが報告されています。
そのため、痛み止めの効果のある薬を服用しても、炎症が起きていない腰には効果がないと言われているのです。
皆さんも、ロキソニンやボルタレンなどの炎症性の痛みに効果のある薬を使っても、腰の痛みが取れなかった経験があるのではないでしょうか。その背景には、このような理由があったのです。
そして、この原理は今回のメインテーマである「リリカ」にも当てはめることができます。
リリカも神経の炎症による痛みを和らげる効果がありますが、腰痛が起きていても、神経に損傷などの炎症が起きているわけではありません。そのため、リリカを服用しても腰痛の痛みを和らげられないという意見もあります。
また、神経が障害されることで引き起こされた痛みに効果があるリリカですが、坐骨神経痛やヘルニアでリリカを服用して楽になったという方は意外と少ないです。
もともと、腰痛の根本的な原因を治す薬ではありませんが、痛みを和らげることもできないなら服用したくないという人も多いと思います。
しかし、自分にリリカの服用が合っているかどうかは一人で判断できることではありません。
なので、腰痛に悩みがある方、リリカの服用に興味のある方はお近くの医療機関で相談してみることをおすすめします。
まとめ:リリカ服用で腰痛は治らないが、痛みを和らげる効果がある
この度は、腰痛の改善に効くと噂されている「リリカ」という薬について網羅的に解説しました。
最後に改めてこの記事の内容をまとめておくので、しっかり確認しておいてください。
- リリカは腰痛を治す薬ではない
- リリカは腰痛による神経痛の痛みを和らげてくれる
- リリカ服用には副作用があるので注意が必要
リリカは神経から伝わる痛みを抑制し、痛みを和らげる効果があると言われています。
病院では、坐骨神経痛を引き起こす「椎間板ヘルニア」や「脊柱管狭窄症」といった症状をお持ちの方に処方されることが多いのです。
リリカの服用や他の薬との併用に興味がある、腰痛の痛みを改善したいという方は、まずはお近くの病院に来院して、相談してみてはいかがでしょうか。