「うつ伏せで寝てしまって腰が痛くなった」
「仰向けは大丈夫なのに、なぜうつ伏せだと腰が痛くなるんだろう?」
「腰に良い寝方が知りたい!」
こんなお悩みをお持ちではありませんか。
腰痛持ちの人も腰痛持ちで無い人も、うつ伏せになって腰を痛めたり、違和感を感じたことがある人も多いのではないでしょうか。
うつ伏せは、腰痛持ちの人には避けてほしい姿勢のひとつです。腰椎は元々前方へカーブしているのに、うつ伏せになることでより重力がかかって腰に負担のかかる姿勢です。腰痛持ちの人は、うつ伏せになるとより痛みを感じるでしょう。
しかし、反対にうつ伏せが楽だと感じる腰痛の人もいます。この記事では、うつ伏せになると痛みが現れる理由と、寝るときの姿勢を紹介します。ぜひ最後までお読みください。
目次
うつ伏せになると腰が痛くなる理由
うつ伏せになると腰が痛くなる人は、腰を反る動作で椎間板が圧迫されて痛みを引き起こしている場合があります。
人の背骨は横から見ると緩やかなS字カーブになっています。頸椎(首)は前方へカーブし、胸椎(胸)は後方へカーブ、腰椎(腰)は前方へカーブして仙骨へと繋がっています。
うつ伏せの姿勢は、前方へカーブがかかっている腰椎に対し、さらに背中側から重力がかかることで腰がより反れてしまっている状態です。そのため、反れた腰周りの筋肉や関節は緊張して硬くなり、血流が悪くなって痛みを引き起こしてしまいます。
また、うつ伏せになり、上半身を肘で支えて本やスマホを見る人も多いのではないでしょうか?この姿勢はうつ伏せよりも腰を大きく反らしているので、腰椎が圧迫されています。腰痛持ちの人も腰痛持ちでは無い人も、腰だけでなく肩こりや頭痛の原因にもなる姿勢なので控えるようにしてください。
うつ伏せになると腰が痛くなりやすい人
うつ伏せになると腰が痛くなりやすい人は、常に腰が反れている人や、腰を反ると痛みが現れるタイプの腰痛持ちの人です。腰痛は人によって痛みの原因や症状が違いますが、以下のものが、うつ伏せになると腰に痛みが生じやすい人です。
反り腰の人
反り腰は骨盤が前傾になっている状態のことです。女性に多いと言われている反り腰ですが、腹筋が弱く背筋が強いなどの、筋肉のバランスが崩れて反り腰になっています。
反り腰の主な原因には、以下のものが考えられます。
- ・お腹の筋肉(腸腰筋)が硬くなっている
- ・お尻の筋肉が(大殿筋)ない
- ・背中の筋肉(脊柱起立筋)が過剰に働く
お腹の筋肉(腸腰筋)
腸腰筋とはお腹の深層部の腰椎から骨盤内、足の付け根に位置している筋肉で、大腰筋・小腰筋・腸骨筋の総称のことです。腸腰筋は上半身と下半身を繋ぐ筋肉で、姿勢の維持や足を持ち上げるなどの動作に加え、骨盤を前傾に維持する働きがあります。腸腰筋が硬くなってしまうと、骨盤が前へ引っ張られて反り腰になることや、下半身の動きも制限されます。
お尻の筋肉(大殿筋)
大殿筋とは、お尻にある大きな筋肉のこと。立つ・歩く・座るなどの動作や、骨盤を安定させる働きがあります。また、大殿筋は腸腰筋と拮抗して、足を上下や前後に動かす働きがあります。大殿筋が硬くなると、骨盤が安定せずに前へ倒れてしまい、反り腰の原因になります。
背中の筋肉(脊柱起立筋)
背骨の両側にあり、後頭部から腰まで伸びている筋肉のことで、最長筋・腸肋筋・棘筋の総称のことです。脊柱起立筋は姿勢を保つ(背筋を伸ばす)という大きな役割に加えて、腰を前屈させたり反らしたりする働きがあります。脊柱起立筋が過剰に働きすぎると、腰痛に加えて背中の痛みや肩こりなどの原因になります。
腰部脊柱管狭窄症の人
背骨の中には神経が通る脊柱管という道があります。腰椎の骨と骨の間にはクッションの役割をする椎間板があります。腰椎や椎間板が変性や変形することで脊柱管を圧迫したり刺激したりすることで痛みが生じてしまうことを腰部脊柱管狭窄症といいます。
症状は下肢の痛みやしびれなどがあり、排尿や排便障害が発症することがあります。腰部脊柱管狭窄症の特徴に間欠性跛行があります。間欠性跛行とは、歩くと痛みが現れ、少し休むと痛みが和らぐといった症状です。また、前かがみになると楽になり、腰を反ると痛みが生じる、又は痛くて腰を反らせられないといった状態になります。
腰部脊柱管狭窄症は、腰に負担をかける動作や肥満、加齢や骨の老化などが原因で引き起こされます。
腰椎変性すべり症・腰椎分離すべり症の人(前方)
腰椎は前側に椎体、後ろ側に椎弓と棘突起があります。椎体と椎弓の間には神経が通る脊柱管がありますが、椎体が前へすべり出てしまうことを腰椎変性すべり症といいます。また、椎体と椎弓が分離して前へすべり出てしまうことを腰椎分離すべり症といいます。
症状は、どちらも腰椎がすべり出てしまうことで脊柱管を圧迫したり刺激したりしているので、下肢の痛みやしびれなどがあります。また、腰部脊柱管狭窄症と同じ間欠性跛行の症状が現れることもあります。すべり症の人が腰を反らす動作をすると、すべり症を強めてしまい、痛みが悪化するでしょう。
中高年の女性に多く、加齢が原因で発症することや、交通事故などが原因で発症します。
「腰痛が原因で座骨神経痛の症状が現れている人へ」の記事はこちら⇒https://selfcareseitai.com/blog/youtsuu-ashinoitami/
うつ伏せが楽と感じる人
人の身体の構造上や重力の関係で、腰痛を引き起こしてしまう可能性があるうつ伏せですが、実はうつ伏せが楽だと感じる人がいます。それは、主に前かがみになると痛みが現れる人です。腰痛の病気だと、腰椎椎間板ヘルニアの人や人によってはぎっくり腰を発症した人が、うつ伏せが楽だと感じることがあります。
腰椎椎間板ヘルニア
骨と骨の間にはクッションのような役割をする椎間板があります。椎間板の中にはゼリー状の髄核があります。腰に負担のかかるような動作や姿勢不良などが原因で椎間板が飛び出し、背骨を通る神経を圧迫したり刺激したりすることで痛みが生じることを、腰椎椎間板ヘルニアといいます。腰椎腰椎椎間板ヘルニアは前かがみになると痛みが生じたり、重症化していくと、下肢の痛みやしびれなどの坐骨神経痛の症状が現れます。
腰椎椎間板ヘルニアの人におすすめの体操
腰を反ると気持ち良いと感じる腰椎椎間板ヘルニアの人は、マッケンジー法という体操がおすすめです。マッケンジー法とは、腰痛や首の痛み、手足の痛みに対して健康回復の為の自己管理方法です。やり方を解説するので、無理のない範囲で一度試してみてください。
引用:マッケンジー法®とは | 国際マッケンジー協会日本支部 (mckenzieinstitute.org)
- 1.うつ伏せになり、両手は肩の近くの床に置く
- 2.上体をゆっくりと上げます
- 3.両肘を伸ばして腰を反らす(2秒間キープ)
- 4.状態をゆっくりと下げる
- 5.2~4を繰り返す
上体を持ち上げるときは、肘が伸びきらない人や、痛みが出そうだと感じる人は手を肘に置き換えてください。肩の下に肘がくるようにして上体をゆっくり起こすと良いでしょう。また、回数は無理の無い範囲で行ってください。
痛みが軽減される寝方
朝起きた時に、腰が痛いなんてことになりたくないもの。寝る時の姿勢は、意外にも腰に負担がかかって睡眠の質を下げてしまっているかもしれません。また、布団やマットレスの柔らかさ、枕の高さにも注意が必要です。柔らかい布団やマットレスだと、重心が一番かかる腰やお尻の部分が沈み込んでしまい、腰痛の原因になります。逆に硬すぎると、重心が分散されずに頭や背中、お尻やかかとなどの、特定の部位に重心が集中して圧迫してしまいます。
枕の高さも重要で、高すぎるとストレートネックが悪化したり、低すぎると頸椎に負担がかかって寝違えの原因にもなります。寝具選びはお店で専門的な意見を聞き、寝返りがしやすく腰の負担にならないものを選ぶと良いでしょう。
腰痛が寝起きに起こる原因の記事はこちら⇒https://selfcareseitai.com/blog/youtsuu-neoki/
仰向け
『仰向けで両足を軽く曲げて、足の下にクッションや座布団を入れる』
仰向けで寝る姿勢は、腰と布団やマットレスの間に隙間ができます。股関節が硬い人や前側の太ももの筋肉が硬い人は、仰向けで寝ることで骨盤が引っ張られてより腰を反ってしまいます。仰向けで寝るときは、足を軽く曲げることで、腰の反りを軽減できて、腰痛の予防ができるでしょう。
横向け
『横向きになり、両足を少し曲げて、足と足の間に座布団やクッションを挟む。腰と布団やマットレスの隙間には、丸めたタオルなどを入れる』
横向きになったときは骨盤が安定せず、歪んでしまいます。足と足の間に座布団やクッションを挟むことで骨盤が安定し、寝やすい姿勢が取れるでしょう。また、腰と布団やマットレスの間には隙間ができてしまいます。丸めたタオルなどで隙間を埋めて重心が均等になるようにしましょう。
うつ伏せで腰が痛くなる人のストレッチ方法
うつ伏せで腰が痛くなる人は、主に背中やお尻、太ももや股関節のストレッチがおすすめです。日常生活でストレッチを行うことで、腰痛の対策ができます。以下で紹介する部位別のストレッチの一覧を参考にして行ってください。他にも、骨盤矯正の体操などを取り入れると良いでしょう。ただし、ストレッチを行う際は整骨院や整形外科などで腰痛の治療を行っている人は、医師に相談してから行うようにしてください。
背中のストレッチ(キャットアンドカウ)
- 1.四つん這いになり、左右の足は腰幅、両手は肩の真下に手首がくるようにセット
- 2.息を吐きながら背中を丸めて天井方向へ持ち上げる(目線はお腹)
- 3.息を吸いながら腰を反らしてお尻を突き出す(目線は軽く天井方向へ)
- 4.2~3を繰り返す
腰を上下に動かしているときは、ゆっくりと呼吸を行いながら動いてください。また、無理に腰を反らしたり丸めたりせずに、伸びていて気持ちの良いところでOKです。
お尻のストレッチ
- 1.仰向けになり、両足と両手は軽く開く
- 2.右足を曲げて持ち上げ、左手で右膝を持ってゆっくりと左側へ倒す
- 3.ゆっくりと右足を戻し1の姿勢へ
- 4.左足を曲げて持ち上げ、右手で左膝を持ってゆっくりと右側へ倒す
- 5.ゆっくりと左足を戻し1の姿勢へ
2や4のポーズをとっている間は、息を止めずに呼吸をしてください。また、腰を反らしにくい人や、違和感を感じた場合はすぐに中止してください。
前側の太もものストレッチ
- 1.左膝を立て膝にし、右膝は床につけて足首を持ち、足先は天井へ向ける
- 2.身体の重心を左足に乗せたり、右膝の位置を後ろに引いて太ももの前側が伸びているところに調節する
- 3.ゆっくりと右手を解放する
- 4.右膝を立て膝にし、左膝は床につけて足首を持ち、足先は天井へ向ける
- 5.身体の重心を右足に乗せたり、左膝の位置を後ろに引いて太ももの前側が伸びているところに調節する
床においている膝が痛くなってしまうので、タオルなどを敷くと良いです。ゆっくりとポジションを調節しながら、前側の太ももが伸びているところを探すようにしましょう。
後側の太もものストレッチ
- 1.仰向けになる
- 2.右足を持ち上げ、タオルを足裏に引っ掛ける
- 3.ゆっくりと両手でタオルを顔の方へ寄せる
- 4.右足を解放して1の姿勢
- 5.左足を持ち上げ、タオルを足裏に引っ掛ける
- 6.ゆっくりと両手でタオルを顔の方へ寄せる
- 7.左足を解放して1の姿勢
足裏にタオルをひっかけて引き寄せるときは徐々に、自分のできる角度を探りながら行ってください。物足りない人は、膝裏を伸ばしたり、足先を顔の方へ向けたりすると、後ろ側の太ももに加えて、ふらはぎが伸びているのを感じられるでしょう。
股関節のストレッチ
- 1.足裏と足裏を合わせて座り、手は足首や足先を持つ
- 2.両膝を上下にバウンドさせて股関節を緩める
- 3.背筋を伸ばしてゆっくりと上体を前方へ倒す
上体を前方へ倒すときは、頭だけを倒すのでは無く、背筋を伸ばして骨盤から倒すイメージで行うと良いでしょう。
身体のどこかにお悩みの人は当院「セルフケア整体」へ
うつ伏せで寝て腰痛を引き起こしてしまった人や、身体のどこかに痛みが出るなら、当院「セルフケア整体」へ起こしください。当院では、一人ひとりにあったセルフケアをお伝えして施術を行っています。軽傷の人は1回で効果がありますが、重症の人は6回コースをおすすめしております。初めての人は1回と比べて料金が高く感じるかもしれませんが、通っていくうちに痛みが緩和されて、整体いらずの身体作りができるでしょう。
まとめ
うつ伏せになると痛みが現れる人は反り腰の人や、脊柱管狭窄症やすべり症の人です。これらの人は、腰を反ると痛みが現れる傾向にあり、うつ伏せで背中側から重心がかかることで腰椎に負担をかけ、痛みが生じてしまいます。
逆に、椎間板ヘルニアの人は、前かがみなると痛みが現れ、うつ伏せなどの腰を反った状態が楽だと感じる腰痛の人もいます。
うつ伏せになると痛みがある人の対処法は、腹筋や背筋、お尻や前後の太もものストレッチなどを行うと痛みが軽減されるでしょう。また、ストレッチだけでなく、自分の使えていない筋肉のトレーニングも同時に行うことをおすすめします。
寝るときの姿勢にも注意が必要で、腰痛持ちの人や腰に違和感を感じている人は、普段の寝る姿勢に意識を向け、改善するように心がけましょう。