この記事は「日本身体運動科学研究所 代表理事・笹川 大瑛」の監修のもと作成されています。
五十肩の痛みに市販薬を使用する場合、鎮痛・消炎成分の配合された湿布薬や飲み薬、漢方薬などが選択肢として挙げられます。急性期の痛みには鎮痛効果の高い市販薬、慢性期の痛みや肩の可動域制限には漢方薬が効果的とされています。使用する際は、医師や薬剤師に相談し、症状や体質に合った薬を選ぶことが大切です。
この記事では、専門家の視点から五十肩に効果的な市販薬の選び方とおすすめ商品をランキング形式で詳しくご紹介します。適切な薬剤選択により、つらい五十肩の痛みを改善へと導くサポートをいたします。
目次
つらい五十肩の痛み…市販薬で対処できる?
五十肩(肩関節周囲炎)は、40~60歳代に多く見られる肩の痛みと可動域制限を特徴とする症状です。突然の激痛から始まり、夜間痛や日常生活での制限が長期間続くのが特徴的で、多くの方が市販薬での対処を検討されます。
五十肩の市販薬での対処は十分可能ですが、症状の程度や時期によって適切な薬剤の選択が極めて重要になります。炎症が強い急性期には鎮痛消炎効果の高い薬剤の使用が推奨される場合があります。
一方、慢性期には血流改善や筋肉の緊張緩和を目的とした薬剤が効果的とされており、症状に応じた適切な選択が症状改善の鍵となります。
五十肩や石灰沈着性の関節炎などで、肩を安定させる筋肉を鍛えていくと痛みが取れていきます。炎症が起きていて結構痛くても、動かした時に痛いという場合でも、やった方が早く改善していくのでやっていただければと思います。
5分でわかる!五十肩の市販薬選びで失敗しないポイント
症状の時期に応じた市販薬の選択方法
急性期(発症から2-3週間)
強い炎症と激しい痛みが特徴的な時期です。この時期には鎮痛消炎効果の高い薬剤を選択することが推奨されます。冷感湿布や解熱鎮痛薬が効果的な場合が多く、安静を保ちながら炎症を抑制することが重要です。
慢性期(発症から数ヶ月後)
急激な痛みは軽減し、可動域制限が主な症状となる時期です。この段階では血流改善や筋緊張緩和を目的とした薬剤の使用が考えられます。温感湿布や漢方薬が適している場合が多く、リハビリテーションとの併用も効果的です。
体質・生活習慣を考慮した薬剤選択
胃腸の弱い方は外用薬(湿布・塗り薬)を優先し、皮膚がかぶれやすい方は内服薬を検討することが重要です。また、既に服用している他の薬剤との相互作用も十分に考慮する必要があります。
日常生活のパターンも選択に影響します。日中の活動が多い方は長時間作用型の貼り薬、夜間痛が強い方は就寝前の内服薬が適している場合があります。
五十肩に効果的な市販薬の種類と特徴を徹底解説
湿布薬(貼り薬)の詳細特徴
湿布薬は患部に直接作用し、局所的な鎮痛消炎効果が期待できます。ジクロフェナクトリウムやロキソプロフェンナトリウムを配合した湿布薬が特におすすめとされており、24時間持続効果のある製品も多数販売されています。
種類 | 主な成分 | 特徴と効果 | 最適な適用場面 |
---|---|---|---|
冷感湿布 | ジクロフェナク、インドメタシン | 急性炎症に効果的、血管収縮作用 | 痛みが強い急性期、腫れがある場合 |
温感湿布 | カプサイシン、メントール | 血流改善効果、筋緊張緩和 | 慢性期の可動域改善、冷え症の方 |
経皮吸収型 | ロキソプロフェン、フェルビナク | 高い浸透力、24時間持続 | 継続的な痛み管理が必要な場合 |
飲み薬(内服薬)の特徴と選び方
ロキソニンSプラスやコリホグスなどの市販薬は、内服で全身の痛みを抑える効果が期待できます。全身への作用があるため、広範囲の痛みや強い症状に適している場合があります。特に夜間痛で睡眠が妨げられる場合には、内服薬が効果的とされています。
塗り薬(外用薬)の適用と効果
塗り薬は患部にピンポイントで作用し、皮膚から薬剤成分が浸透することで局所的な効果を発揮します。ゲル状、クリーム状、ローション状など様々な剤形があり、べたつきの少ない製品も多く販売されています。
漢方薬の特徴と適応症状
シジラックや芍薬甘草湯などの漢方薬は、肩の炎症を抑制し、血行を改善する効果が期待される場合があります。体質や症状に合わせた選択が極めて重要で、薬剤師や漢方専門家への相談が推奨されます。
症状別おすすめ市販薬ランキングTOP10
飲み薬編 おすすめTOP5
1位. ロキソニンS プラス
有効成分:ロキソプロフェンナトリウム水和物
特徴:強力な鎮痛消炎効果、胃粘膜保護成分配合
適用:急性期の強い痛み、夜間痛に効果的
2位. バファリンEX
有効成分:ロキソプロフェンナトリウム
特徴:胃に優しい製剤設計、速効性
適用:胃腸の弱い方にも使いやすい
3位. イブA錠EX
有効成分:イブプロフェン
特徴:優れた持続効果、解熱作用も併用
適用:長時間の痛み管理、発熱を伴う場合
4位. セデス・ハイ
有効成分:イソプロピルアンチピリン、アセトアミノフェン
特徴:複合成分による相乗効果
適用:中等度の痛み、頭痛との併発時
5位. ナロンエース
有効成分:エテンザミド、アセトアミノフェン
特徴:穏やかな鎮痛効果、副作用が少ない
適用:軽度から中等度の痛み
塗り薬編 おすすめTOP5
1位. ボルタレンEXゲル
有効成分:ジクロフェナクナトリウム
特徴:優れた浸透力、べたつきが少ない
適用:局所的な強い痛み、関節炎
2位. フェイタス5.0
有効成分:フェルビナク
特徴:高濃度配合、速乾性
適用:日中の使用、スポーツ後のケア
3位. アンメルツヨコヨコ
有効成分:サリチル酸メチル
特徴:清涼感、マッサージ効果
適用:軽度から中等度の痛み、血行促進
4位. バンテリンコーワ液
有効成分:インドメタシン
特徴:液体タイプ、広範囲に塗布可能
適用:肩全体の痛み、広範囲の筋肉痛
5位. ロイヒつぼ膏
有効成分:フェルビナク
特徴:小さなシール状、ピンポイント治療
適用:特定部位の集中治療
貼り薬編 おすすめTOP3
1位. ロキソニンSテープ
有効成分:ロキソプロフェンナトリウム水和物
特徴:24時間持続効果、薄型で目立たない
適用:夜間痛の改善、日中の継続治療
2位. ボルタレンEXテープ
有効成分:ジクロフェナクナトリウム
特徴:強力な消炎鎮痛効果、高い密着性
適用:炎症が強い場合、急性期治療
3位. サロンパスEX
有効成分:インドメタシン
特徴:コストパフォーマンス優秀、入手しやすい
適用:継続使用が必要な場合、経済的治療
漢方薬編 おすすめTOP3
1位. シジラック(独活寄生湯)
配合生薬:独活、寄生、杜仲など15種
特徴:関節痛・神経痛に特化、血行改善
適用:慢性期の痛み、冷え症を伴う場合
2位. 芍薬甘草湯
配合生薬:芍薬・甘草
特徴:筋肉の痛みと緊張に即効性
適用:筋肉のこわばり、急激な痛み
3位. 葛根湯
配合生薬:葛根ほか7種類の生薬
特徴:初期の肩こり・頭痛に効果
適用:症状の初期段階、風邪症状併発時
市販薬を使う前に知っておきたい重要な注意点と副作用
湿布薬使用時の注意点と副作用
湿布薬は比較的安全な薬剤ですが、肌の弱い方はかぶれやすい場合があります。連続使用は避け、適切な間隔を空けることが重要です。入浴前には必ず剥がし、皮膚の状態を確認してから新しいものを貼付してください。
また、光線過敏症を起こす成分が含まれている場合があるため、直射日光の当たる部位への使用は注意が必要です。
飲み薬使用時の注意点と副作用
内服薬は胃腸に負担をかける可能性があります。空腹時の服用は避け、必ず食後に服用してください。他の薬剤との飲み合わせにも十分注意が必要で、既に服用中の薬がある場合は薬剤師に相談することが推奨されます。
長期間の服用は腎機能や肝機能に影響を与える可能性があるため、医師への相談が必要です。
漢方薬使用時の注意点
漢方薬は天然成分ですが、体質や症状に合わない場合もあります。効果が現れるまでに2-4週間程度時間がかかることが一般的です。副作用として胃腸障害や皮疹が起こる場合があるため、異常を感じた場合は直ちに使用を中止してください。
厚生労働省の医薬品情報は厚生労働省で最新情報を確認できます。
市販薬と合わせて行いたい効果的なセルフケア方法
専門家推奨の肩を安定させる筋肉トレーニング
理学療法士 笹川先生によると、肩を安定させる筋肉を鍛えることで痛みの改善が期待できる場合があります。以下のトレーニングを痛みの出ない範囲で実施してください。
肩甲下筋のトレーニング方法
1. 手のひらを下向きにして肘を前に出します
2. 反対の手で前腕部分を押さえながら肘を曲げる動作を行います
3. 10秒間力を入れ続ける動作を2セット実施
痛みが強い場合は、お腹に手を当ててグッと押し付ける軽い運動から始めてください。
肩の後ろ側の筋肉強化方法
1. 手のひらを外側に向けます
2. 肩が後ろに行かないよう注意しながら肘をグッと伸ばします
3. 脇のところに力が入る感覚で10秒間キープを2セット実施
痛みがある場合は壁を使って行うことで負荷を軽減できます。
温熱療法と市販薬の併用効果
五十肩の市販薬と合わせて適度な温熱療法を行うことで、血流改善と筋緊張の緩和が期待できる場合があります。入浴や温湿布、ホットパックなどを活用し、患部を温めることで薬剤の効果を高めることができます。
市販薬で改善しない場合は専門医療機関へ相談を
医療機関受診を検討すべき症状
- 2週間以上市販薬を使用しても痛みが改善しない場合
- 症状が3ヶ月以上継続している場合
- 日常生活に著しい支障をきたしている場合
- 発熱や明らかな腫れを伴う場合
- 痛みが徐々に悪化している場合
医療機関での専門的治療選択肢
医療機関では処方薬による治療や、関節内注射による直接的な治療も選択できます。理学療法やリハビリテーション、場合によっては手術的治療との併用により、より効果的な改善が期待できる場合があります。
専門家への相談は、適切な薬剤を選択するための重要な手段です。症状の改善状況を定期的に薬剤師に報告し、必要に応じて薬剤の種類や使用方法を調整してもらうことが治療成功の鍵となります。
日本整形外科学会による五十肩診療ガイドラインは日本整形外科学会で公開されています。
まとめ:自分に最適な市販薬を選んで五十肩の痛みを効果的に改善しよう
五十肩の市販薬選びは、症状の時期と程度、個人の体質に応じた適切な選択が極めて重要です。急性期には鎮痛消炎効果の高い薬剤を、慢性期には血流改善や筋緊張緩和を目的とした薬剤を選択することが推奨されます。
五十肩の市販薬による治療は、症状を和らげるための有効な手段ですが、適切なセルフケアとの併用により、より効果的な改善が期待できる場合があります。特に理学療法士推奨の筋力トレーニングは、根本的な改善に繋がる可能性があります。
症状が長期間継続する場合や市販薬で十分な改善が得られない場合は、無理をせず専門医療機関での相談を検討することが最も重要です。適切な診断と治療により、五十肩の痛みから解放される日が必ず訪れるでしょう。
五十肩の市販薬に関するよくある質問
Q. 五十肩に市販薬を使用する場合、鎮痛・消炎成分の配合された湿布薬や飲み薬、漢方薬などが選択肢として挙げられますが、どれが最も効果的ですか?
A. 症状の時期によって最適な薬剤が異なる可能性があります。急性期の強い痛みには鎮痛効果の高い飲み薬や冷感湿布が効果的な場合があり、慢性期の可動域制限には漢方薬や温感湿布が適している場合があります。体質や症状に合わせて薬剤師に相談することをお勧めします。
Q. 市販薬の選択肢として湿布薬、飲み薬、塗り薬がありますが、それぞれの特徴と使い分けを教えてください。
A. 湿布薬は患部に直接作用し長時間効果が持続する可能性があり、飲み薬は全身への効果があり強い痛みに適している場合があり、塗り薬はピンポイントで作用しかぶれにくいのが特徴です。症状の範囲や強さ、生活スタイルに応じて選択することが推奨されます。
Q. 五十肩の痛みに漢方薬は効果がありますか?
A. 漢方薬は慢性期の五十肩に効果が期待できる場合があります。シジラックや芍薬甘草湯などが代表的で、血流改善や筋緊張緩和作用が期待される場合があります。ただし、体質に合わせた選択が重要で、効果が現れるまでに2-4週間程度時間がかかる場合があります。
Q. 市販薬を使用する際の注意点はありますか?
A. 湿布薬は皮膚かぶれや光線過敏症、飲み薬は胃腸への負担や腎機能・肝機能への影響に注意が必要です。他の薬剤との併用時は相互作用にも注意し、症状が改善しない場合や副作用が現れた場合は使用を中止して医療機関を受診してください。
Q. 五十肩の薬はどこに塗る(貼る)のが効果的ですか?
A. 肩関節周辺の最も痛みが強い部位に貼付または塗布します。一般的には肩の前側から側面にかけての範囲が効果的とされていますが、痛みの部位は個人差があるため、最も痛みを感じる場所に使用してください。広範囲に塗布する場合は液体タイプが適しています。
Q. 市販薬で症状が改善しない場合はどうすればよいですか?
A. 2週間程度使用しても症状に改善が見られない場合、痛みが悪化する場合、日常生活に大きな支障をきたす場合は医療機関を受診してください。処方薬や関節内注射、理学療法などのより専門的な治療が必要な可能性があります。
Q. 五十肩の市販薬と一緒に行うと効果的なセルフケアはありますか?
A. 肩を安定させる筋肉のトレーニングが効果的な場合があります。理学療法士推奨の肩甲下筋や肩の後ろ側の筋肉を鍛える運動を、痛みが出ない範囲で継続的に行うことで、市販薬の効果をより高めることができる可能性があります。温熱療法との併用も有効な場合があります。