外反母趾といっても一つではなくいくつかの種類がありそれぞれ原因があります。今回は外反母趾について、いくつかの種類と原因について詳しく解説しました。ご自身の症状はどれに当たるのか、ぜひ最後までご覧ください。
目次
外反母趾とは?
外反母趾(がいはんぼし)とは、足の親指の付け根が外側に突き出し、親指が内側に曲がってしまう状態を指します。この変形が進行すると、歩行時に痛みを感じたり、靴が合わなくなったりすることがあります。
外反母趾は特に女性に多く見られる症状であり、原因としては足の筋力低下、靴の選び方や歩き方、遺伝的要因などが挙げられます。
外反母趾の症状
外反母趾の症状は段階的に進行します。
初期症状
- 親指の付け根に違和感や軽い痛みを感じる
- 靴を履くと親指付け根が圧迫される
進行した状態
- 親指が大きく曲がる
- 親指の付け根に赤みや腫れが生じる
- 歩行時に痛みを伴う
重度の外反母趾
- 親指が第二趾の下に入り込む
- 靴が履けなくなるほどの変形
- 他の指の変形やタコ、魚の目の発生
外反母趾が女性に多い理由
重力下で生きるための筋力の問題
重力の下で生きている私たちは男性も女性も同じように重力の影響を受けています。男性に比べて少し筋力が弱い女性は、さらにその影響を受けてしまいます。動物と違って二本足で体を支えている人間は、足の安定性が大変重要です。安定に必要な足の親指の力が弱いことで、指の付け根部分で体を支えるようになっていきます。そうして歩くときに親指が押されていき、付け根部分の変形になっていきます。
足のアーチの崩れ
足の裏には縦アーチと横アーチがあり、これが崩れると外反母趾のリスクが高まります。親指の力が弱く、親指の付け根で歩いていると、足の横中足靭帯が緩み、ますます親指の筋力が低下していく悪循環に陥ります。こうした扁平足(縦アーチの低下)や開帳足(横アーチの低下)が外反母趾の変形を進める原因となることがあります。
靴の影響
外反母趾の主な原因の一つは靴の選び方です。女性はデザイン重視で自分の足に合っていない靴を履く機会が多く、足の指をしっかり使わない歩き方になり、外反母趾を知らず知らず進行させてしまいます。
ハイヒールや先の細い靴
サイズが合わない靴
これらの靴を長時間履くことで、足の指が圧迫され、親指の変形が進みやすくなります。
遺伝的要因
遺伝的な要素も関係しているとされています。親や祖父母が外反母趾の場合、自分も発症する可能性が高くなります。また、足の形にはいくつかの種類があり、そのなかでもエジプト型は外反母趾の割合が多くなります。
エジプト型:親指が一番長い。日本人の多くがこの形と言われています。親指が靴の中で圧迫されないような丸い靴先のフォルムが適しています。
ギリシャ型:親指より人差し指が長い。指先への圧迫がないオーバル型の靴先が良い。
スクウェア型:親指から小指までの長さがあまり変わらない。
お産をするために関節が柔らかい
お産という大仕事を担う女性の体は、男性よりも関節が柔らかめで浅く、筋力も弱いようです。
身体のバランスを靴に頼ってしまうと外反母趾になる
足指に力が入った歩き方
靴が原因で外反母趾になるのは、ハイヒールを履くことだけが直接の原因ではありません。女性だけでなく男性にも外反母趾になりますし、ヒールやつま先の細いパンプスを履いた経験の無い女性や、子供にも外反母趾は多く見受けられます。靴が足に影響を及ぼす理由とは、靴が脱げないように無意識のうちに足指に力が入ってしまい、足指が歩行時に本来の機能を発揮できなくなることにあります。この歩き方が続くと横アーチが緩んでいき、だんだんと親指が小指側に曲がっていき、さらに親指の付け根を強く打ち付ける歩き方になってしまうことで、親指の変形が進行してしまいます。
足裏への刺激の減少
また、現代人は昔に比べると歩くことが少なくなった分、足裏への刺激が減り足裏の筋肉が衰えてしまい体が不安定になっています。それから、足指を上げて靴の内側に引っ掛けるようにして、身体のバランスを靴に頼るようになっています。これが浮指(うきゆび)の原因になっています。
外反母趾の種類
外反母趾は5種類のパターンがあります。骨格的特徴、生活環境などによって個人差が出ています。
靭帯性外反母趾
足の横アーチを作る横中足靭帯が緩んで伸びてしまい、親指が小指側に曲がってくる状態。親指が大きく曲がっているのが特徴。
生まれた時から靴下を履かせていたり、畳・アスファルト・絨毯などの平らで安全な場所ばかりを歩くため、足への刺激不足から足指の本来の働きが起こりにくく筋力不足になり、靭帯が緩んだり足裏が衰えていくものです。歩いているときには、親指が踏ん張れないので足先が外に流れ、親指の付け根に負担がかかるようになります。この時、ねじれのストレスがかかり続け、疲労が蓄積した部分に腫れや痛みが起きていきます。重心の取り方は左右で違うため、外反母趾の形状も左右で違います。
・骨盤のズレ、左右の高低差、側弯症
・足指、足関節周辺の痛み
・股関節の高低差による脚長差
・顎関節症、偏頭痛、首肩コリ
仮骨性外反母趾
親指はあまり曲がっていないのに、親指付け根の骨が異常に発達して出っ張るため、指が曲がっているように見える状態。
浮指で歩行時に親指の付け根の母趾球部を過剰に打ち付けてしまうため、強い衝撃が繰り返し起こり、防御反応の1種として仮骨形成が起こり骨が出っ張っていきます。靴が脱げないように指に力を入れて縮こめてしまい、指の付け根で歩行しています。負担のかかる指の付け根部分の皮膚が分厚くなったり、タコができます。指を反らした状態の歩行は、重心がかかとに移り、衝撃のストレスを多く受けてしまうため膝、腰、首肩へ疲労が蓄積します。変形性の障害を発生させます。衝撃の影響は筋力のある右側に多く発生します。
・足底部の痛み
・変形性膝関節症、腰椎ヘルニア
・頸椎ヘルニア、頸部変形の変形や痛み、首肩コリ
・腰部疲労骨折
・半月板損傷
混合性外反母趾
「靭帯性外反母趾」と「仮骨性外反母趾」が合併した状態。
はじめは上記のどちらかの症状が出ていたのが、時が経過するにつれて両方の症状が出現する。横アーチが伸びてしまい、さらに浮指で歩いていると、親指付け根の出っ張った部分と靴で摩擦が起き、骨の上に粘液が溜まるバニオンという症状を起こすこともある。
・腰椎ヘルニア、分離症、骨盤のズレ
・変形性膝関節症、下腿部の痛み
・首の変形に伴う自律神経失調症、メニエール、更年期障害
・婦人科系疾患
ハンマートゥ外反母趾
足先がZ状に縮こまっている、足指が上を向きすぎていて足指が縮こまっていると、外反母趾が発生しやすい。
足指の付け根部分の横幅が広く、皮膚が分厚くなっています。生まれつき指が長かったり、靴が脱げないように足指をハンマーのような形で固めて歩く癖がついてしまっています。足のクッション性の低下の影響を受けるため、地面からの衝撃を受けてしまい痛みが起きやすいです。
・足、膝、腰などにスポーツ障害
・十字靭帯断裂、半月板損傷
・こどもの疲労感、ヘルニア、分離症
・調整能力の低下
病変性外反母趾
リウマチやヘパーデン結節や、けがが加わり変形や脱臼を伴う状態。
変形が著しく萎縮しがているため、形を直すのは困難であり、手術をしても再発の可能性があるため注意が必要。症状の軽いうちにテーピングなどで形を整えておくと激しい変形を防ぐことができます。リウマチならば、手首や手の甲にも症状があるため分かります。ヘパーデン結節では、手の指の第一関節が太くなっているので区別がつきます。
・足指の著しい変形、脱臼
・膝、腰の痛み
外反母趾の治療方法
保存療法(手術しない方法)
① 適切な靴を選ぶ
- つま先が広く、クッション性のある靴を履く
- ヒールの高さを3cm以内にする
② インソール(足底板)を使用する
足のアーチをサポートするインソールを使うことで負担を軽減できます。
③ ストレッチやエクササイズ
- 足指じゃんけん(親指を動かす運動)
- テニスボールを使った足裏マッサージ
- タオルギャザー運動(足の指でタオルを引き寄せる)
- 足指グーパー運動(足の指を開いたり閉じたりする運動)
- ふくらはぎのストレッチ(足全体の血流を改善)
④歩き方の改善
- かかとから着地し、足指を使って蹴り出す歩き方を意識する
- 正しい姿勢を保つ(猫背にならない)
- 階段を意識して使い、足の筋力を鍛える
- ストレッチを習慣化し、筋肉の柔軟性を維持する
手術療法
保存療法では改善が難しい場合、手術が選択肢となります。手術方法には骨切り術や人工関節手術などがあります。
まとめ
いかがでしたか。今回は外反母趾について、なぜなるのかを詳しく解説しました。ご自身の症状がどれに当たるのか、そして原因を知ることが症状を進行させないためには大切です。外反母趾は日常生活の中で予防・改善できるものです。早期発見と適切な対策を取ることで進行を防いでいきましょう。
この記事のポイントまとめ
・外反母趾は靴の選び方や足のアーチの崩れが原因の一つである
・外反母趾は筋力の問題で女性に多い
・身体のバランスを足で取ることができず、靴に頼ってしまうことでさらに症状が進んでいく
・歩行時間の減少やフラットな地面での歩行から、足裏への刺激が乏しく、足の力が弱いことが原因になっている
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