外反母趾は、多くの人が悩む足のトラブルの一つです。特に女性に多く見られ、進行すると歩行に支障をきたすこともあります。しかし、適切なリハビリを行うことで、症状を改善し、痛みを軽減することが可能です。
この記事では、外反母趾のリハビリ方法や日常生活でできる対策について詳しく解説していきます。
目次
外反母趾とは?
外反母趾とは、足の親指が内側に曲がり、付け根の関節が外側に突出する状態を指します。主な原因として、以下のような要因が挙げられます。
- 靴の影響: 先の細い靴やハイヒールを長時間履くことで、足の形が変わってしまう。
- 遺伝的要因: 家族に外反母趾の人がいる場合、発症するリスクが高まる。
- 筋力の低下: 足のアーチを支える筋力が弱まると、外反母趾が進行しやすくなる。
- 歩き方のクセ: 重心が偏っている歩き方を続けると、足に負担がかかり変形しやすい。
症状が軽いうちに早めに対処したほうがよい理由
時々痛むや少しだけ親指が曲がってきているかな、という程度でもできることを対処していくことで得られるメリットがたくさんあります。
最期まで自分で歩ける足を作る
痛みを気にしないようにだましだまし過ごした結果、時が経つほどに足の変形は進んでしまい、それに伴い痛みなどの症状も悪化してしまいます。足裏にアンバランスが生じると膝や腰だけにとどまらず、首や肩にまでコリや慢性痛、疲労に悩まされます。テーピングで足や指を保持し、足の指が使える状態にすることで立った時の安定感が増します。そうすれば外反母趾による変形をこれ以上進めないようにできますし、患部に負担のかからない歩き方を身につけることで、いつまでも自分の足で歩ける身体を維持していきましょう。
足の変形を最小限に
外反母趾は生まれつきの足の形でなりやすい場合でも、それだけではなく生きていく中での様々な原因が重なって進行していきます。重力のもとで生活している以上、どのように足を着地させ、どのように歩いているかの積み重ねが、足の変形や姿勢とX脚、O脚、猫背、反り腰…を作っていきます。より機能的な立ち方、歩き方を取り戻すことは、将来の自分の体の機能性(姿勢も)を高く保つために大変重要なことです。
リウマチやヘパーデン結節の方は、変形が一気に進むためできるだけ早くケアすることがよい
病気であるからといって何もせず諦めてしまうのはいけません。リウマチとヘパーデン結節は、関節の変形が一気に進みやすく、足に関しては指の激しい変形からバランスがとりずらくなるために、または痛みによって歩行困難になりやすいです。足の変形だけであれば、普段は靴で隠れていますし気にならないかもしれません。しかし、足の変形による2次的損傷を起こしてしまいます。足腰首の関節症や、自律神経失調症の症状を起こしてしまうので決して放っておける問題ではありません。
テーピングについて
病院へ行くと、シップや飲み薬のみの処置で終わることが多く、痛みがひどい場合は手術をするしか方法がないと言われたりしますが、正しいテーピングの方法で症状を落ち着かせることは可能です。手術しようかと悩んでいる方も、まずは切る以外の方法を試して判断しても遅くはないのです。テーピングで今ある症状を軽減させることが始めにやるべきことです。
テープの選び方
5センチ幅の伸縮性のあるものを使用します。素材は薄くかぶれにくい、粘着力の高いものがよいです。
中足関節の緩めの固定で痛みを軽減させる
日常生活のなかで立ち歩きする際に、中足関節を優しく固定することが重要です。試しに中足関節を両側から指ではさむと、変形して縮まった親指や小指が元の位置に戻ってくるのが分かると思います。外反母趾は、横アーチ(中足関節)が緩み伸びてしまうことで、起きていきます。横アーチを再生させるようにテーピングをすることで、指が開き、足指が働きやすい状態を作りましょう。
横アーチを再生させるように貼る
足の付け根の少し下辺りにテープ上部がくるようにテープを当て、横アーチを再生させるように引っ張りながら貼る。テープが剝がれないように足裏を押さえながら貼る。中足関節を弱めに固定保持する。テープがきついと、歩いている時や寝ている時も痛みが出てしまうため、軽い固定感がある程度の弱さで固定すること。
痛みがひどい場合
歩くのが困難なほど痛む場合は、包帯を巻きクッション性をもたせます。足関節から指の付け根にかけて包帯で固定する。包帯を巻く途中に土踏まずへスポンジなどのクッション材を入れておくと、痛みが軽減されます。また、足背部と足裏に切れ目を入れて動けるようにしておく。
足のリハビリ運動
足の裏や指をよくもみほぐし、足を柔らかくしながら指がしっかりと動くようにします。
簡単にできる準備運動
タオルストレッチ:親指から小指まで足の指を使いタオルを引っ張る。
足裏マッサージ:テニスボールなどを使い、足裏をほぐす。
ふくらはぎのストレッチ:アキレス腱を伸ばすことで足の負担を軽減。
ちゃんと親指が握れるようにグーパー運動をおこなう
ただグーパーとしてみても、指の力が弱いままの方法ではいつまでも力がつきません。「グー」では指だけではなく、指の付け根の関節から強い力で握れることが大切です。「パー」では、なるべく指をそらさないように指の間を広げる意識をしてください。指が弱く攣ってしまうことがあっても、慣れていくうちに攣らなくなっていきます。はじめは、自力で深く握ることができないため、足を片方の手で固定し、もう片方の手で指をしっかり持って動きを誘導します。指1本ずつを引っ張ったり回したり、動かせる最大限まで繰り返します。テーピングをしている時でも構いません。また、お風呂の後などで体が温まり柔らかくなっている時に行うと効果的です。
靴下やサポーター、インソールで保持
テーピングをしていない時間は、市販の外反母趾・内反小趾用の靴下などを着用するとよいです。中足関節をきちんと保持してくれることが大切です。足の不安定から起きる、歩行時の衝撃の大きさを軽減するためにインソールを敷くと、足裏の機能性を高めてくれます。
歩行の意識
指がひらくようにケアしたら、少しずつ歩行時の長年の癖を修正していきます。歩き方を見直すことで、足への負担を軽減できます。
踵・指の付け根部分・足指の三点が着地するように歩く
「踵から着地する」ことだけに集中してしまうと踵を打ち付けるように歩いてしまい体への衝撃が増してしまいます。踵はもちろんつきますが、指の付け根部分のふわっとしているところと、指も一緒に着地して地面からの衝撃を緩和します。親指側と小指側のどちらもついていることが大事です。
最近は指が浮いた状態で歩く人や、踵よりも指の付け根部分を先に着く人が増えているようです。着地の時に衝撃が分散されないので、指の付け根にタコができたり、皮膚が分厚くなったり、骨だけが出っ張る「仮骨性外反母趾」が増えています。上手に着地できれば、そのあとの体を前に送り出す連動した動きがスムーズになり、過剰な捻じれを防いでくれます。
日常生活でできる予防策
1. 適切な靴を選ぶ
- つま先が広く、クッション性のある靴を履く。
- ヒールは3cm以下に抑える。
- 長時間歩く場合は、足にフィットする靴を選ぶ。
2. 定期的に足をチェックする
- 靴下などを脱いでいる時に足の形や痛みが変わっていないかを確認する。
- 少しでも違和感があれば、早めに対策を講じる。
3. 日常的にストレッチを行う
- 朝晩に軽い足のストレッチを習慣化する。
- 仕事の合間に足を回したり、足指を動かしたりする。
まとめ
外反母趾は進行すると手術が必要になることもありますが、適切なリハビリや予防策を取り入れることで、症状の進行を遅らせることが可能です。
- 足のストレッチやもみほぐしで柔らかくする
- テーピングで過剰な捻じれや痛みを軽減させる
- 正しい歩き方を意識する
- インソールや装具を活用する
- 適切な靴を選び、日常生活での負担を減らす
日々のケアを怠らず、健康な足を保ちましょう。そして痛みがひどい場合は無理をせず、早めに専門医に相談することをおすすめします。