「足指がピリピリとしびれるのは外反母趾だから?」
「しびれたり、むくんだり足のトラブルが尽きなくて悩んでいる」
外反母趾が原因で足のしびれを起こすことがあります。こわばった筋肉や変形を起こした部分が血管や神経を圧迫すると、しびれだけでなく、むくみやふくらはぎの張り、足指の冷えなども起こることがあります。今回は外反母趾によって起きるしびれについて、原因と症状、負担のかからない正しい歩き方について紹介します。ぜひ最後までごらんください。
目次
外反母趾とは?
外反母趾とは、足の親指が小指側に曲がり、関節が突出してしまう状態を指します。多くの場合、靴の選び方や歩き方が影響し、特に女性に多く見られる症状です。初期症状では痛みを伴わないこともありますが、進行すると強い痛みやしびれを引き起こすことがあります。
外反母趾が原因でしびれが起こる理由
以下3つの理由について詳しく解説します。
- ・神経の圧迫
- ・血流の悪化
- ・筋肉バランスの崩れ
1. 神経の圧迫
外反母趾では、親指の付け根の関節(第一中足趾節関節, MTP関節)が外側に変形し、親指が人差し指の方向へ曲がります。この変形により、足の構造が崩れ、特定の神経が圧迫されることがあります。この圧迫により、足の指先にかけてしびれや感覚異常が生じることがあります。特に影響を受けるのは以下の神経です。
①内側足底神経(ないそくそくていしんけい)
- 位置: 足の裏の内側を走る神経で、親指や足の裏の感覚を担当。
- 圧迫の原因: 親指の付け根が突出することで靴に当たり、神経が圧迫される。
- 症状: 親指や足の裏のしびれ、ピリピリした痛み、感覚の鈍さ。
②浅腓骨神経(せんひこつしんけい)
- 位置: すねの外側から足の甲へと伸びる神経。
- 圧迫の原因: 外反母趾により歩行バランスが崩れ、足の甲の負担が増える。
- 症状: 足の甲や指のしびれ、違和感、圧迫された部位の感覚低下。
③モートン病(Morton’s Neuroma)との関連
- 外反母趾により足の前方部(前足部)に負担が集中すると、中足骨間にある神経(足底趾神経)が圧迫される。
- 症状: 足の指の間にしびれや痛みが生じる。
2. 血流の悪化
変形した関節や圧迫された神経の影響で血流が悪くなることも、しびれの原因の一つです。血行が悪化すると、足先が冷えやすくなり、しびれが慢性的に続く可能性があります。
①足の構造変化による血管の圧迫
外反母趾では、親指が内側に曲がるため、親指の付け根にある第一中足趾節関節(MTP関節)が通常よりも突出します。
この突出部分は、普段履く靴の中で圧迫されやすく、周囲の血管、特に足背動脈や足底動脈に直接影響を及ぼします。
- 血管への影響:
圧迫されることで、これらの主要な血管が物理的に潰され、血液の流れが阻害されます。十分な血流が確保できなくなると、足先まで酸素や栄養分が十分に供給されず、その結果、しびれや冷えの症状が現れます。 - 長期的な影響:
継続的な圧迫により、局所的な血行不良が慢性化すると、組織の代謝が低下し、神経や軟部組織の状態がさらに悪化する可能性もあります。
②筋肉の緊張による血流の低下
外反母趾が進行すると、足の正常なアーチが崩れ、歩行バランスが乱れます。これにより、足底筋やふくらはぎの筋肉が補償的に過度な緊張状態となります。
- 特に影響を受けるのは以下の血管:
- ・後脛骨動脈(こうけいこつどうみゃく):ふくらはぎの後ろを通り、足裏へ血流を送る。
- ・腓骨動脈(ひこつどうみゃく):ふくらはぎの外側を流れる。
- 筋肉の過緊張:
筋肉が常に緊張していると、その内部や周囲を通る血管が圧迫されやすくなります。たとえば、足底筋が固まると、足裏への血流が滞り、後脛骨動脈や腓骨動脈が圧迫されることで、足先に十分な血液が届かなくなります。 - 歩行時の影響:
歩行中、正常な足の動きが妨げられると、これらの血管にかかる負担はさらに大きくなり、結果として足先のしびれや冷え、さらにはむくみなどの症状が出ることがあります。
③長時間の圧迫(靴や歩行習慣)
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外反母趾の人は、足の親指付け根が突出しているため、通常の靴を履いた際に、特に前方部分で過剰な圧迫が発生しやすい状態になります。
- 靴の影響:
ヒールのある靴や、先の細いデザインの靴は、突出した親指部分に強い圧力を加えます。この圧迫が長時間続くと、局所の血流が阻害され、足先への酸素供給が不足するため、しびれや冷えが顕著になります。 - 歩行習慣:
長時間の歩行や、足の前部に負担がかかる歩行パターンも、血液循環の低下に寄与します。圧迫が持続することで、血行が滞り、結果的にしびれやむくみといった症状が出やすくなります。
- 靴の影響:
3. 筋肉バランスの崩れ
外反母趾によって歩行時のバランスが崩れると、足裏の筋肉が正常に機能しなくなり、負担がかかる部分とそうでない部分が偏ります。この影響で足の神経が過度に刺激され、しびれが生じることがあります。外反母趾は、親指が内側に曲がることで足全体のバランスが崩れ、歩き方や姿勢に影響が出ます。その結果、特定の筋肉が過度に使われたり、逆に機能低下を起こしてしまい、しびれの原因となります。
①足のアーチの崩れによる神経の圧迫
足の裏には「内側縦アーチ」「横アーチ」という構造があり、これが崩れると足裏の筋肉が過度に緊張し、神経が圧迫されます。特に、足底筋膜(そくていきんまく)や足底の小さな筋肉が硬くなることで、足底神経(そくていしんけい)が圧迫され、しびれが発生します。
アーチは、足全体の衝撃吸収や体重分散に重要な役割を果たしています。アーチが崩れると、足の構造全体のバランスが乱れ、内側に過度の負荷がかかるため、以下のような影響が出ます。
-
体重分散の偏り
本来は足全体に均等に分散される体重が、アーチ崩壊により内側(母趾側)に集中します。 -
骨格の再配置
内側にかかる過剰な圧力により、足の骨の配置が変化し、特に親指の付け根(第1中足趾関節)に負担が集中します。 -
外反母趾の進行
負担がかかることで、親指が外側に逸脱する外反母趾の変形が進行しやすくなります。 -
神経の圧迫
変形した関節部位で、周囲の細い神経が圧迫されると、しびれや違和感が生じるのです。
このように、足のアーチが崩れることにより、足全体のバイオメカニクスが乱れ、外反母趾の変形が進むことで神経が圧迫され、しびれが発生するメカニズムが働いています。
②親指の筋肉の弱化
- **母趾外転筋(ぼしがいてんきん)**という親指を広げる筋肉が弱くなると、親指をまっすぐに保つ力が低下し、さらに外反母趾が悪化。
- 親指が極端に曲がると、神経や血管を圧迫し、しびれが出やすくなります。
③ふくらはぎの筋肉が硬くなる
ふくらはぎの筋肉、特に腓腹筋やヒラメ筋が硬くなると、足首の動きが制限され、正常な歩行パターンが乱れます。足首の背屈(上に向かって曲げる動作)が十分にできなくなると、歩行時に足全体のバランスを保つため、自然と内側(足の内反)に体重がかかります。この内反傾向が進むと、母趾(親指)の付け根部分に過度な負担が集中し、外反母趾の変形が悪化します。
外反母趾の変形が進むと、突出した骨や変形した関節の周囲で、細い神経(例えば、皮膚の感覚を伝える神経)が圧迫されやすくなります。この神経圧迫が、しびれや違和感として現れるのです。
- 足首の動きの制限:硬いふくらはぎが足首の可動域を狭める
- 内反傾向の増加:補償的な内反により足の内側へ負担が集中
- 神経の圧迫:外反母趾による変形部分が神経を圧迫し、しびれを引き起こす
このようなメカニズムから、ふくらはぎの筋肉が固くなることで、外反母趾の部位にしびれが生じると考えられます。適切なストレッチやケアを行うことで、筋肉の柔軟性を改善し、足全体のバイオメカニクスを整えることが、症状の緩和につながります。
④足指が正しく使えなくなる
外反母趾が原因でしびれを感じる場所
神経や筋肉への負担により起こる症状
神経の圧迫・血流の悪化・筋肉バランスの崩れでは、しびれだけでなく以下のような様々な症状を感じることがあります。
足のしびれ
- 足の親指や足の裏、足先全体にピリピリした感覚。
- しばらくすると感覚が鈍くなる。
- 長時間立っていると症状が悪化する。
足の冷え
外反母趾になると足が冷える理由は、主に血行不良と神経の圧迫が関係しています。外反母趾は、親指の骨が異常に外向きに曲がることで、足の構造に変化が生じ、歩行時のバランスが崩れます。この状態が血液循環が悪影響を与え、足の冷えの原因となります。 通常、足のアーチは歩行時に衝撃を吸収し、体重を分散させますが、外反母趾によってその機能が失われると、足の一部に過大度な負担がかかり、血液の流れが悪くなります。 特に、親指周辺や足の甲に圧力が強くかかると、足の血管が圧迫され、血液が効率よく流れにくくなります。
- つま先が冷たく感じる。
- 靴を脱いでも温まりにくい。
- 冬場だけでなく、夏でも冷えを感じることがある。
むくみ
外反母趾により足の構造が変形すると、足の血管に圧力がかかり血液がかかり、循環が不安定になります。 特に、足の指の関節や足の甲に負担がかかると、血液が心臓に戻りにくくなり、足首や足の甲に血液が滞ることがあります。
- 足の甲や足首が腫れる。
- 靴がきつく感じる。
- 夕方になるとむくみが強くなる。
疲れやすい
外反母趾になると足が疲れやすくなる理由は、主に足の構造の変化とそれに伴って歩行や体重の負担の不均衡化が関係しています。 外反母趾は親指が外向きに曲がることによって足のアーチが崩れ、足裏にかかる圧力が偏りやすくなります。 これにより、歩行時に足底の一部に長い負担がかかり、足全体の筋肉や関節だけに負担がかかることになります。
- 少し歩いただけで足が重だるくなり疲れる。
- ふくらはぎが張った感じがする。
- 立ち仕事や歩行で足が重く感じる。
足裏や甲のつっぱり感
足のアーチ機能が低下すると、足指に力が入りずらい状態になり、歩行時に指が地面から浮いたまま指の付け根と踵の2点のみで歩くようになります。荷重ストレスが偏ってしまい、足裏の筋肉が緊張していきます。酷くなると足底筋膜炎を起こすこともあります。
- 足裏の筋肉が緊張しているような感じ。
- 甲の筋肉も引っ張られるような違和感がある。
- 寝ている間に足がつることがある。
外反母趾によるしびれを改善する方法
1. 適切な靴を選ぶ
外反母趾の進行を防ぐためには、足に合った靴を履くことが重要です。以下のポイントを押さえた靴を選びましょう。
- つま先にゆとりがあり、足指を自由に動かせる
- クッション性が高く、衝撃を吸収する
- ヒールが低く、安定した歩行ができる
2. テーピングやインソールの活用
テーピングやインソールを使用すると、足のアーチを正常な状態に保ちやすくなります。専用テープでテーピングをすれば、シャワー程度であれば付け替えせず2~3日はもちます。濡れた場合はドライヤーで乾かすとよいです。テーピングは上手くいくと、貼った瞬間から痛みが和らぎ、自然と安心感が得られます。しかし、アレルギーや水虫などの皮膚疾患がある方は、テーピング以外の方法を選択した方がよいでしょう。また、医療用インソールは、歩行時の負担を軽減し、しびれの改善に役立ちます。自分に合ったものを見つけて、足の負担を軽減してください。
3. ストレッチとマッサージ
外反母趾によるしびれを和らげるには、足の血流を促進するストレッチやマッサージが効果的です。
簡単にできるストレッチ
- 足指グーパー運動:足の指を大きく開いたり閉じたりすることで、足裏の筋肉を活性化。指が重なってうまくできない場合、手を使って補助しながらしっかり関節を動かします。
- タオルギャザー運動:床にタオルを敷き、足の指だけでたぐり寄せる。
- テニスボールマッサージ:足裏でテニスボールを転がして血流を促進。
4. 施術を受ける
症状がひどく、日常生活に支障をきたす場合は、専門の治療を受けるのも選択肢です。
- 整体や接骨院での施術:骨格や筋肉のバランスを整えることで、痛みやしびれを軽減。
- 物理療法(ハイボルト療法など):電気刺激を用いて神経や筋肉の緊張をほぐす。
外反母趾を予防するための正しい歩き方
足に負担をかけない歩き方をすることで、外反母趾の症状を緩和し、指の付け根の変形を防ぐことができます。毎日3分でも意識することの積み重ねで正しい歩き方を身に付けていきましょう。
1.脚を柔らかく、踵・指・指付け根を着地させて歩く
足指が地面に着かないと、指の付け根に負担がかかってしまいます。踵・指の付け根・足指がほぼ同時に地面に接地することを意識することで、かかと前後のバランスを整えて、足の機能が働くようにしていきます。
2. 歩幅は無理に大きくせず、自分に合った歩幅を維持
左右のバランスを整えていきます。歩幅を大きくすると、変に負担がかかってしまいますので気をつけましょう。また、歩くスピードは速くすることも過剰な衝撃が患部にかかりやすいため止めてください。自然に歩けるリズムを保ちましょう。
3. 膝を普段より1センチ高く上げ、足指を地面に着地させる
膝を伸ばしきって歩く人が多いですが、実際は軽く膝が曲がった状態で足が地面に着くことで衝撃を緩和してくれます。
4.外反母趾があればテーピングで矯正し、自分に合った靴を履いて歩くこと
足の裏に異常がある場合では、なかなか正しい歩き方は身につきません。指が変形して曲がった状態で歩けば、偏った筋肉の使い方しかできず、ますます症状が悪化してしまいます。テーピングまたは、専用の靴下で足のアーチ機能を再生させてから歩きましょう。
まとめ
外反母趾によるしびれは、神経の圧迫や血流の悪化が原因で起こります。しかし、適切な靴選び、ストレッチやマッサージ、正しい歩行習慣を取り入れることで、症状の緩和や予防が可能です。もししびれや痛みが続く場合は、早めに専門家に相談し、適切な治療を受けることをおすすめします。