現代社会ではデスクワークやスマホの長時間使用により、肩こりや腰痛に悩む人が増えています。
肩こりや頭痛、腰痛の原因となるトリガーポイントとは?痛みを引き起こすトリガーポイントを見つけ方からセルフケア整体でのほぐし方、医療機関でのトリガーポイント注射による治療法まで詳しく解説。首や肩、腰の筋肉にできるしこりの症状改善と予防法を紹介します。自分で行える効果的な改善方法で慢性的な痛みから解放されましょう。
目次
トリガーポイントとは?痛みの引き金となる点を知る

トリガーポイントとは、筋肉内にできる硬いしこり(過敏点)のことで、押すと強い痛みを感じる部位です。このトリガーポイントは「痛みの引き金」となり、離れた場所にも痛みを放散させる特徴があります。例えば、首や肩のトリガーポイントが、頭痛の原因になることもあるのです。
トリガーポイントができる原因
トリガーポイントが発生する主な原因として、以下のようなものが挙げられます:
- 長時間の同じ姿勢の維持:デスクワークやスマホ操作などによる「スマホ首」
 - 筋肉の過度な緊張:ストレスや精神的緊張による筋肉の収縮
 - 筋肉の過剰使用:重い荷物の運搬や繰り返しの動作
 - 筋肉の直接的な損傷:スポーツなどでの外傷
 - 姿勢の悪さ:猫背や前傾姿勢などの不良姿勢
 - 寒冷暴露:冷えによる筋肉の緊張
 
これらの原因により、筋肉内の血流が悪くなり、酸素や栄養が不足した状態(阻血)になります。すると、痛みを引き起こす物質(発痛物質)が蓄積し、痛みの悪循環が生じるのです。
肩こりと頭痛:トリガーポイントが引き起こす症状の関連性

肩こりと頭痛は密接に関連しています。首や肩の筋肉にあるトリガーポイントは、頭痛の主要な原因となることが多いのです。特に筋緊張性頭痛(緊張型頭痛)は、肩こりと強い関連があります。
頭痛を引き起こす主なトリガーポイント
- 僧帽筋上部:首の付け根から肩にかけての筋肉で、ここのトリガーポイントは後頭部から側頭部にかけての頭痛を引き起こします。
 - 後頭下筋群:頭の後ろの筋肉で、ここのトリガーポイントは後頭部の頭痛やめまいの原因になることがあります。
 - 胸鎖乳突筋:首の前側の筋肉で、前頭部や目の周りの頭痛と関連しています。
 - 側頭筋:こめかみの筋肉で、側頭部の痛みや歯痛を引き起こすことがあります。
 
頭痛がある場合、これらの筋肉のトリガーポイントをセルフケアすることで、薬に頼らずに症状を軽減できることもあります。頭痛が慢性的に続く場合は、肩こりとの関連性を考慮し、トリガーポイントを治療することも一つの選択肢です。
トリガーポイントと肩こり・腰痛の関係

肩こりとトリガーポイント
肩こりの多くは、首から肩、背中にかけての筋肉のトリガーポイントが原因です。特に以下の筋肉にトリガーポイントができやすいと言われています:
- 僧帽筋:首から肩、背中にかけての大きな筋肉
 - 肩甲挙筋:首から肩甲骨につながる筋肉
 - 頭半棘筋:頭の後ろから首につながる筋肉
 - 斜角筋:首の横から鎖骨につながる筋肉
 
これらの筋肉のトリガーポイントを放置すると、単なる肩こりだけでなく、頭痛や目の疲れ、めまい、吐き気など様々な症状を引き起こすことがあります。
腰痛とトリガーポイント
腰痛もトリガーポイントと密接な関係があります。腰痛の原因となる主なトリガーポイントは以下の筋肉に見られます:
- 腰方形筋:背骨と腰骨の間にある四角形の筋肉
 - 腸腰筋:背骨と太もものつけ根をつなぐ深い筋肉
 - 多裂筋:背骨に沿った小さな筋肉群
 - 大臀筋・中臀筋:お尻の筋肉
 
特に腰方形筋のトリガーポイントは、腰の痛みだけでなく、坐骨神経痛のような足への放散痛の原因になることもあります。デスクワークや長時間の立ち仕事など、日常生活での姿勢の悪さが、これらの筋肉にトリガーポイントを形成しやすくします。
慢性的な肩こりや腰痛は、生活の質を著しく低下させ、日常生活に大きな影響を与えるため、早期の対処が重要です。
トリガーポイントの見つけ方

自分自身でトリガーポイントを見つけるには、以下の方法が効果的です:
- 指での触診:指を使って筋肉をゆっくりと触り、硬いしこりや痛みを感じる部分を探します。
 - 滑らせる方法:指を肌に沿って滑らせながら、硬さや痛みを感じる部分を探します。
 - 押して確認:見つけたポイントを軽く押し、「痛気持ちいい」感覚や、離れた場所に痛みが広がる感覚があれば、それがトリガーポイントの可能性が高いです。
 
肩こりに関連する主なトリガーポイントの位置
- 僧帽筋上部:首の付け根から肩先にかけての部分
 - 肩甲挙筋:首の横から肩甲骨の内側上部につながる部分
 - 肩甲骨内側縁:肩甲骨と背骨の間の溝
 - 肩甲下筋:肩甲骨の下にある筋肉(脇の下から触れます)
 
腰痛に関連する主なトリガーポイントの位置
- 腰方形筋:腰の横、最下位肋骨と腸骨稜(腰骨の上縁)の間
 - 腸腰筋:下腹部の奥深くと腰椎の横にある筋肉(直接触れるのは難しいため、周辺筋肉を通して間接的にアプローチします)
 - 多裂筋:背骨のすぐ横、特に腰椎の部分
 - 大臀筋:お尻の筋肉、特に坐骨結節(座る時に圧がかかる骨)の周辺
 
セルフケア整体:トリガーポイントをほぐす方法

トリガーポイントを自分でケアする方法はいくつかあります。ここでは、効果的なセルフケア整体の手法を紹介します。
1. 指圧(プレッシャーリリース)
- トリガーポイントを見つけたら、指で適度な強さ(痛気持ちいいと感じる程度)で押します。
 - 30秒から1分間、圧力を維持します。
 - ゆっくりと圧力を緩めます。
 - 2〜3回繰り返します。
 
2. テニスボールを使った筋膜リリース
僧帽筋のリリース方法
- テニスボールを壁と背中の間に挟みます。
 - 膝を軽く曲げ、上下左右に動かして痛みのある部分を探します。
 - 痛みのあるポイントを見つけたら、30秒間圧迫します。
 - 同じ部位で2〜3回繰り返します。
 
肩甲挙筋のリリース方法
- 床に仰向けになり、首の下にテニスボールを置きます。
 - ボールが首の横に当たるように調整します。
 - 頭を軽く動かし、痛みのあるポイントを探します。
 - 痛みのあるポイントを見つけたら、30秒間圧迫します。
 
腰方形筋のリリース方法
- 床に横向きに寝て、腰の下にテニスボールを置きます。
 - ボールが腰の横側に当たるように調整します。
 - 上半身を少し動かして、痛みのあるポイントを探します。
 - 痛みのあるポイントを見つけたら、30秒間圧迫します。
 - 反対側も同様に行います。
 
3. フォームローラーを使ったリリース
- フォームローラーを床に置き、その上に背中を乗せます。
 - 腕を広げるか、胸の前で交差させます。
 - 足を使って体を前後に動かし、背中全体をローリングします。
 - 特に硬さや痛みを感じる箇所で一時停止し、10〜30秒間留まります。
 
4. ストレッチ
僧帽筋のストレッチ
- 椅子に座り、右手で椅子の座面を掴みます。
 - 左手を頭の右側に置き、左に傾けます。
 - 右肩が下がるように感じながら、30秒間ストレッチを保持します。
 - 反対側も同様に行います。
 
肩甲挙筋のストレッチ
- 椅子に座り、右手で椅子の座面を掴みます。
 - 左手を頭の右側に置き、左前方に傾けます。
 - 右肩が下がり、首の後ろが伸びる感覚で30秒間保持します。
 - 反対側も同様に行います。
 
腰部回旋ストレッチ(腰方形筋と多裂筋向け)
- 床に仰向けになり、膝を曲げて足を床につけます。
 - 両膝を一緒に右側に倒します(右肩は床につけたまま)。
 - この姿勢で20〜30秒間保持します。
 - 元の位置に戻し、反対側も同様に行います。
 
5. トリガーポイントマッサージツールの活用
市販のトリガーポイントマッサージツール(マッサージボールやトリガーポイントスティックなど)を使うと、より効果的にセルフケアができます。
- ツールをトリガーポイントに当てます。
 - 適度な圧力をかけながら、小さく円を描くようにマッサージします。
 - 筋肉の繊維に沿って前後に動かすのも効果的です。
 - 1箇所につき30秒〜1分間行います。
 
医療機関でのトリガーポイント注射治療について

セルフケアで改善しない場合や、より即効性のある治療を希望する場合は、医療機関でのトリガーポイント注射治療も選択肢の一つです。
トリガーポイント注射とは
トリガーポイント注射は、痛みの原因となっているトリガーポイントに直接、局所麻酔薬や生理食塩水などを注射する治療法です。この治療は、筋肉の緊張を緩和し、血流を改善することで痛みの悪循環を断ち切る効果があります。
トリガーポイント注射の効果
- 即効性:多くの場合、注射後すぐに痛みの軽減を感じることができます
 - 持続性:効果は一時的なものではなく、トリガーポイントの不活性化により持続的な改善が期待できます
 - 根本的な改善:単に痛みを抑えるだけでなく、筋肉の状態そのものを改善します
 
トリガーポイント注射が適応となる症状
- 慢性的な肩こりや首の痛み
 - 筋緊張性頭痛
 - 腰痛
 - 筋筋膜性疼痛症候群
 - 線維筋痛症の一部の症状
 
注意点
トリガーポイント注射は医療行為ですので、必ず医師の診察を受けてから行う必要があります。ペインクリニックや整形外科などで受けることができますが、事前に実施しているかどうかを確認することをお勧めします。また、注射後はストレッチやリハビリを併用することで、より効果的な改善が期待できます。
トリガーポイントの予防と日常生活での注意点

トリガーポイントの再発を防ぐためには、日常生活での姿勢や習慣の改善が不可欠です。
姿勢の改善
- デスクワーク中の姿勢:
- 画面は目の高さに調整
 - 椅子の高さを調整し、足は床にしっかりつける
 - 背中はまっすぐに、肩の力を抜く
 - 定期的に姿勢をチェックする
 
 - スマホ使用時の姿勢:
- スマホを目の高さまで持ち上げる
 - 首を前に出さない
 - 長時間の使用を避ける
 
 - 腰痛予防のための姿勢:
- 重いものを持ち上げる際は膝を曲げる
 - 長時間座る場合は腰をサポートするクッションを使用
 - 定期的に立ち上がり、腰を伸ばす
 
 
休息とストレッチの習慣化
- マイクロブレイク:
- 1時間に1回は短い休憩を取る
 - 簡単なストレッチや深呼吸を行う
 
 - 定期的な運動:
- 肩周りや腰の筋肉を強化するエクササイズ
 - 有酸素運動による血流改善
 
 
環境の整備
- 寝具:
- 自分の体型や寝方に合った枕と布団を選ぶ
 - 横向きで寝る場合は、肩の幅に合った高さの枕を使用する
 - 腰痛がある場合は、適度な硬さのマットレスを選ぶ
 
 - 温熱療法:
- 入浴やホットパックで筋肉の緊張をほぐす
 - 特に寒い季節は、首や肩、腰を温かく保つ
 
 
トリガーポイントケアの効果と限界
セルフケア整体でのトリガーポイントケアは、多くの場合効果的ですが、以下のような場合は医療機関の受診を検討しましょう:
- 3週間以上セルフケアを続けても症状が改善しない
 - 痛みが急に悪化した、または通常と異なる痛みがある
 - 腕や手、足にしびれや麻痺感がある
 - 頭痛がひどい、または普段と異なる
 - 外傷後に発生した痛みがある
 
医療機関では、より専門的なトリガーポイント治療として、トリガーポイント注射やドライニードリング、専門的な徒手療法などが行われることがあります。
まとめ:セルフケアで肩こりと腰痛を改善する

トリガーポイントへのアプローチは、肩こりや腰痛、頭痛の根本的な原因に対処するため、一時的な痛み止めよりも長期的な効果が期待できます。日常的なセルフケアの実践により、以下のような効果が得られます:
- 血流の改善:筋肉内の血液循環が良くなり、老廃物の排出と栄養・酸素の供給がスムーズになります。
 - 筋緊張の緩和:過度に緊張した筋肉がリラックスし、動きやすさが向上します。
 - 姿勢の改善:筋バランスが整い、正しい姿勢を保ちやすくなります。
 - 痛みの減少:トリガーポイントからの痛みの放散が減少し、全体的な痛みが軽減します。
 - QOLの向上:肩こりや腰痛による不快感が減ることで、日常生活の質が向上します。
 
トリガーポイントのセルフケアは、継続することで効果が高まります。毎日5〜10分でも良いので、定期的にケアを行い、併せて姿勢や生活習慣の改善に取り組むことで、肩こりや腰痛のない快適な生活を目指しましょう。
自分の体と向き合い、トリガーポイントを理解することで、痛みの悩みから解放される第一歩を踏み出してください。医療機関でのトリガーポイント注射と、自宅でのセルフケアを適切に組み合わせることで、より効果的な改善が期待できます。
「セルフケアをやってもなかなか肩こりが改善しない」「マッサージに行って良くなっても、すぐに症状が戻ってしまう」
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