この記事は「セルフケア整体 院長・森下 信英(NOBU先生)」の監修のもと作成されています。
変形性膝関節症の痛みや膝関節の可動域向上に、整体が有効な場合があります。整体では、筋肉や神経のバランスを整え、体全体の歪みを改善することで、膝関節への負担を軽減できる可能性があります。ただし、変形した関節そのものを治すことはできないため、医師の診断と治療を基本としつつ、整体を補助的に活用することが望ましいとされています。本記事では、変形性膝関節症に対する整体のメリット、注意点、整体院の選び方のポイント、そして効果的なセルフケア方法まで専門的知見を交えて徹底解説します。
目次
変形性膝関節症とは?原因と主な症状
変形性膝関節症は、膝関節の軟骨がすり減り、関節に変形や炎症が生じる疾患です。主な症状として、膝の痛み、腫れ、可動域の制限、歩行困難などが現れる傾向があります。
特に階段の昇り降りや正座が困難になることが多く、日常生活に大きな支障をきたす場合があります。また、朝起きた時の膝のこわばりや、長時間座った後の立ち上がり時の痛みも特徴的な症状として知られています。
この疾患の原因は多岐にわたります。加齢による軟骨の老化が最も一般的な要因とされ、その他に肥満による膝への負担増加、過去の外傷、筋力低下、O脚などの骨格の歪みが関係している可能性があります。女性に多く発症する傾向があり、年齢とともに発症リスクが高まることが報告されています。
変形性膝関節症と診断されて、ほぼ末期ということで、その時が55歳ぐらいでした。本来であれば今の症状であれば即手術ということでしたが、年齢的なことを考えて65歳まで手術を延ばしたいということでした。
整体で変形性膝関節症は改善する?期待できる効果と限界
変形性膝関節症に対する整体のメリット
変形性膝関節症に対する整体では、以下のような効果が期待できる可能性があります:
効果 | 詳細 | メカニズム |
---|---|---|
痛みの緩和 | 膝関節の周りの筋肉の緊張をほぐし、痛みを軽減する | 血液循環の改善、筋緊張の緩和 |
可動域の向上 | 関節の動きを改善し、膝の可動域を広げる | 関節周囲組織の柔軟性向上 |
体全体のバランス調整 | 膝関節への負荷の原因となる体全体の歪みを整える | 姿勢改善、重心バランス最適化 |
筋肉や神経の働きを良くする | 筋肉や神経の働きを正常化し、膝関節をサポートする | 神経伝達改善、筋協調性向上 |
整体の限界と重要な注意点
一方で、整体には明確な限界があることを理解しておく必要があります。変形性膝関節症の治療の基本は、医師による適切な診断と治療です。
整体は、痛みの緩和や可動域の向上に補助的な効果が期待できる可能性がありますが、変形した関節そのものを治すことはできません。また、健康保険は変形性膝関節症の整体治療には使えないため、自費診療となります。
痛みの原因が特定できていない場合は、整形外科を受診し、適切な診断と治療を受けることをおすすめします。
しゃがむ際の膝痛の根本原因とセルフケア方法
変形性膝関節症の症状の中でも、しゃがむ際の膝の痛みは特に日常生活に影響を与えます。専門家によると、この痛みには特定の筋肉の機能低下が関係している可能性があります。
しゃがむ際に膝が痛む原因は、二つの専門的な筋肉がサボって怠けたままになっているからです。一つ目の筋肉は、背骨、骨盤、股関節、そして太ももの内側までつながり、そこを支える専門的な筋肉である腸腰筋です。二つ目の筋肉が骨盤、股関節、そして膝までつながり、そこを支える専門的な筋肉の内側ハムストリングスです。
専門家が推奨するセルフケア方法
これらの筋肉を効果的に刺激するセルフケア方法が紹介されています:
まず最初に家で足の裏を合わせて座禅を組みます。次にこの状態で足の指を天井の方に少し持ち上げます。背もたれがあるなら後ろにもたれても構いませんが、少し胸は張っていただく方が良いです。そのままの状態で、かかとをつけたまま足をすぼめます。これをすると太ももの裏と股関節の前などに力が入りますので、その状態で30秒間行います。
このセルフケアにより、腸腰筋と内側ハムストリングスを計画的に刺激し、膝の安定性向上が期待できるとされています。
整形外科と整体院の違いと適切な選択
整形外科での治療アプローチ
整形外科では、レントゲンやMRIなどの画像診断により正確な診断を行い、病気の進行度を客観的に評価します。治療法として、薬物療法(消炎鎮痛剤、ヒアルロン酸注射)、理学療法、重症例では人工関節置換術などの手術を提供します。保険適用となるため、経済的負担が軽減されるというメリットがあります。
整体院での施術アプローチ
整体院では、手技による筋肉や関節へのアプローチを中心とした施術を行います。体全体のバランスを重視し、膝だけでなく腰や股関節、足首などの関連部位も含めて総合的に調整する傾向があります。ただし、基本的に自費診療となり、健康保険は適用されません。
どちらを選ぶべきか?
変形性膝関節症の症状が悪化している場合は、早めに医療機関を受診することが推奨されます。まず整形外科で正確な診断を受けた上で、医師の治療と併行して整体を補助的に活用するアプローチが効果的とされています。
整体と並行して、医師の指導する運動療法や理学療法などを行うと、より効果的である可能性があります。
変形性膝関節症に対する整体院での施術内容
初回カウンセリングと検査
整体院では、まず詳細な問診を行い、痛みの部位、程度、日常生活への影響などを確認します。その後、姿勢や歩行の観察、関節可動域の測定、筋力検査などを実施し、身体全体の状態を評価します。
過去の怪我や手術歴、現在服用中の薬、他の医療機関での治療状況なども詳しく聞き取り、個々の患者に適した施術方針を決定していきます。
手技療法による筋肉調整
マッサージやストレッチにより、膝周囲の筋肉の緊張を緩和します。特に大腿四頭筋、ハムストリングス、ふくらはぎの筋肉に対してアプローチし、血液循環の改善を図ります。
筋膜リリースという手技により、筋肉を包む膜の癒着を改善し、筋肉の動きをスムーズにする施術も行われることがあります。
関節調整と骨盤矯正
膝関節だけでなく、股関節や足首の動きを改善することで、膝への負担を軽減します。骨盤矯正により、下肢全体のアライメントを整えることも重要な施術の一つです。
身体は全体が連動しているため、一部分の問題が他の部位に影響を与えることが多く、膝の痛みであっても全身のバランスを考慮した治療が必要になる場合があります。
運動療法とセルフケア指導
筋力強化やストレッチの方法を指導し、自宅でできるセルフケアをアドバイスします。太ももの筋肉を強化することで、膝関節への負担を軽減できる可能性があります。
日常生活での注意点や、膝に負担をかけない動作方法なども詳しく説明し、患者自身が症状の改善と予防に積極的に取り組めるようサポートします。
整体院選びのポイントと注意点
整体院の選び方のポイント
変形性膝関節症の施術を受ける整体院を選ぶ際は、以下の点を確認することが重要です:
- 柔道整復師や整体師の資格を持つ専門家が施術を行うか
- 変形性膝関節症の経験豊富な施術者がいるか
- 患者の症状や状態に合わせた施術を提供できるか
- カウンセリングをしっかりと行い、施術内容を説明してくれるか
- 清潔で落ち着ける環境であるか
継続的な研修や勉強を行っているかどうかも確認のポイントです。医学の進歩により新しい治療法や知見が日々更新されているため、最新の情報に基づいた施術を受けることができます。
料金と通院頻度の考慮
自費診療のため、料金体系を事前に確認し、継続的な通院が可能かどうか検討する必要があります。無理な通院を勧めない、患者の経済状況を考慮してくれる院を選ぶことが大切です。
治療計画や期間の目安を明確に示してくれる院を選ぶことで、安心して治療を受けることができます。一般的には、症状の程度により異なりますが、初期は週1〜2回、症状が安定してきたら月1〜2回程度の通院が目安とされています。
【実例紹介】変形性膝関節症で整体を受けた方の改善事例
実際に変形性膝関節症で整体を受けた61歳女性の体験事例をご紹介します。この方は、長年にわたり様々な治療を試されましたが、専門的なアプローチにより大幅な改善を実感されています。
治療前の状況
膝を伸ばすこともできなくて、曲げることもできなくて、ここへ来院した頃は既にしゃがむことができない状態で、右の膝が全く曲がらない、90度ぐらいまでしか曲がらないのでしゃがめませんでした。歩くのも困難で、引きずりながら歩くような状態でした。
6回の施術後の劇的な変化
6回目が終わった頃には、スタスタと、膝が悪くなる前ほどには戻ってはいませんが、少なくともここへ来る前よりは全然良くなっているのが自分でも分かりましたし、足を引きずりながら歩くということが今ほとんどありません。
手術回避という結果
最初に来た時は確かに65歳になったら手術しなくちゃいけないけれど、できればそれを何年か後に延ばせないかなという気持ちで来ていました。ここに通うようになって、多分半ばぐらいからもう手術しないでいこうと自分で思っていました。
この事例では、8年以上他の整体院に通っても改善しなかった症状が、専門的なアプローチにより6回で大幅に改善したことが報告されています。
自宅でできるセルフケアと予防法
筋力強化エクササイズ
大腿四頭筋の強化は膝関節の安定性向上に重要です。仰向けに寝て片足を伸ばしたまま上げ下げする運動や、椅子に座った状態で膝を伸ばす運動を定期的に行うことが推奨されています。
スクワットやウォーキングなども効果的ですが、膝に負担をかけすぎないよう注意が必要です。痛みがある場合は無理をせず、専門家の指導を受けることをおすすめします。
効果的なストレッチ方法
ハムストリングス、ふくらはぎ、太ももの前面の筋肉を柔軟に保つことで、膝への負担を軽減できる可能性があります。入浴後の身体が温まった状態で行うと効果的とされています。
無理に伸ばそうとすると逆に筋肉を痛める可能性があるため、気持ちよく感じる程度に留めることが大切です。
生活習慣の改善
体重管理は膝への負担軽減に重要な要素です。また、長時間の正座や膝に負担のかかる動作を避け、階段の昇り降りでは手すりを使用するなど、日常生活での配慮も必要です。
冷えは血行不良を招き症状を悪化させる可能性があるため、膝を冷やさないよう注意し、適度な運動により血液循環を促進することも大切です。
医療機関との連携の重要性
変形性膝関節症の治療において、整体院と医療機関の連携は重要な要素です。日本整形外科学会では、患者の症状に応じた適切な治療選択を推奨しています。
定期的な画像検査により症状の進行を確認し、必要に応じて治療方針を調整することが推奨されています。整体を受ける場合も定期的に整形外科を受診し、症状の変化を医師と共有することが重要です。
変形性膝関節症診療ガイドラインでは、運動療法や物理療法の有効性について詳しく解説されており、これらの情報も参考にしながら総合的な治療アプローチを検討することが重要です。
変形性膝関節症と整体に関するよくある質問
Q. 変形性膝関節症に整体は効果がありますか?
A. 整体は痛みの緩和や可動域の向上に補助的な効果が期待できる可能性がありますが、変形した関節そのものを治すことはできません。医師の診断と治療を基本として、整体を補助的に活用することが望ましいとされています。
Q. 整体で変形性膝関節症は完治しますか?
A. 整体では変形した関節そのものを治すことはできません。しかし、痛みの緩和、可動域の向上、体全体のバランス調整により、症状の改善が期待できる可能性があります。軟骨の再生や骨の変形の修復は医学的に困難とされています。
Q. 変形性膝関節症の整体治療に保険は使えますか?
A. 健康保険は変形性膝関節症の整体治療には使えません。基本的に自費診療となりますので、事前に料金を確認することをおすすめします。整形外科での治療は保険適用となります。
Q. 整体院を選ぶ際のポイントは何ですか?
A. 柔道整復師や整体師の資格を持つ専門家がいるか、変形性膝関節症の経験豊富な施術者がいるか、患者の症状に合わせた施術を提供できるか、しっかりとカウンセリングを行ってくれるかなどを確認することが重要です。
Q. 整体とセルフケアはどちらが重要ですか?
A. 両方とも重要とされています。整体院での専門的な施術により症状の改善を図り、自宅でのセルフケアにより効果を維持・向上させることが理想的です。継続的なセルフケアが長期的な改善につながる可能性があります。
Q. どのくらいの頻度で整体に通えばよいですか?
A. 症状の程度や個人差により異なりますが、初期は週1〜2回、症状が安定してきたら月1〜2回程度が一般的とされています。施術者と相談しながら、自分に適した通院頻度を決めることが大切です。
Q. 整体を受ける前に整形外科を受診すべきですか?
A. はい、まず整形外科で正確な診断を受けることが推奨されています。レントゲンやMRIにより病気の進行度を把握し、適切な治療方針を立てた上で、整体を補助的な治療として活用することが安全で効果的とされています。
まとめ:変形性膝関節症と整体の適切な活用法
変形性膝関節症に対する整体は、痛みの緩和や可動域の向上、体全体のバランス調整に有効な補助的治療法として位置づけられています。ただし、変形した関節そのものを治すことはできないため、医師による適切な診断と治療を基本とし、その上で整体を活用することが重要です。
整体院を選ぶ際は、専門的な資格を持つ施術者がいるか、患者一人ひとりの症状に合わせた施術を提供できるかを確認することが大切です。また、整体院での施術と併せて、自宅でのセルフケアを継続的に行うことが、長期的な症状改善につながる可能性があります。
変形性膝関節症でお悩みの方は、まず整形外科で正確な診断を受けた上で、信頼できる整体院での補助的な治療を検討してみてください。適切なアプローチにより、痛みの軽減と生活の質の向上が期待できます。
※本記事の内容は情報提供を目的としており、医学的なアドバイスや診断に代わるものではありません。症状が悪化している場合は、早めに医療機関を受診してください。