腰痛に悩む人はとても多くいるのではないでしょうか。
または首から来る痛み、肩や関節の痛みなど、腰痛以外にも強い痛みや継続する痛みに悩む人はいませんか。
立ち仕事、座り仕事、どんな仕事をしていても腰に来る、という台詞はよく聞くものです。
また加齢によって肩の痛みや関節の痛みが出てきた、それに伴って腰痛も酷くなった、というケースもあるかもしれません。
腰痛だけでなく、様々な痛みに悩む人は病院へ行くべきか?神経ブロック注射やマッサージなどで軽減すべきか?悩むことはありませんか。
今は、痛みの軽減のために整形外科やマッサージだけでなく、ペインクリニックという診療を行っている場所があります。
ですが実際にはどんな症状や疾患で行くべきなのか、分からないという人も多いのではないでしょうか。
ペインクリニックの痛みの対象はどんなものなのか。
実際にどんな診療や治療をしているのか。
神経ブロック注射やマッサージ以外の療法もあるのか。
腰、足、頭、肩、腰椎、など痛みの対象はどこまでなのか。
また痛みが強い場合や、腰椎椎間板ヘルニアなどの検査や治療はできるのか。
痛みがある中で病院に気軽に通院したり、急に痛みが強くなった時に土日祝日も診療してもらえるか、など痛みを抱える人には、通院に関して気になることがたくさんあると思います。
ここでは、ペインクリニックでどんな治療があるのか、急性的なものと、慢性的なものの違いや原因を解説します。
腰痛改善や予防のために生活の中でできるセルフケアやよくある質問のご紹介もしますので、参考にしてみてください。
目次
ペインクリニック(pain clinic)とはどんなところなのか?
腰痛がある人が病院へ行きたいと思った時に、どこへ受診するのが一番よいと思いますか。
また腰痛だけでなく、首、肩、関節、足、頭など、痛みの種類は様々です。
そのように様々な痛みがある場合も対応してくれる場所はどこでしょうか。
整形外科やリハビリテーションなどの診療がある中、痛みに対して治療を行ってくれる場所があります。
それがペインクリニックです。
ペインクリニックでは痛みの症状を取り除いたり、痛みをコントロールし、痛みを緩和させることが目的です。
痛みの緩和、コントロールをすることで患者の生活の質が向上する、維持できるようにすることを大事にしています。
痛みに対して直接アプローチをして改善、緩和をしていくのがペインクリニックの特徴です。
そのため、腰痛や腰椎椎間板ヘルニアなどの痛みだけでなく、首、肩、関節、足、頭など「痛み」を対象として治療法を行ってもらえます。
また痛みの度合いも強いものから、長年継続しているものなど様々です。
それに対して、整形外科は主に手術やリハビリテーションを行って回復や緩和をしていくことが目的です。
骨折など異常がある場合は外科手術を行い、痛みの軽減をします。
また、リハビリテーションを行うことで、体の機能を回復、維持させ痛みを緩和していくことが特徴です。
リハビリテーションを行ってもらうことが中心になると、診療という目的より敷居が下がり、気軽にクリニックや病院へ通える、という人もいるかもしれません。
似ている治療法を行うところもありますが、大きな違いはこのようになっています。
腰痛にはどんなものがあるのか?
腰痛には急性的なものと慢性的なものがあります。
急性的なものはぎっくり腰のように急に痛みが出たり、2~3日の安静で安定してくるものを言います。
逆に慢性的なものは3ヶ月以上痛みが続き、様々な要素が重なっていることがあり、原因の特定が難しくもあります。
また慢性的になると痛みのせいで他の部分も障害されているなど、日常生活での問題が多くなるのではないでしょうか。
ここではその2つについて説明をします。
急性的なものとは
短期間で痛みが発生し、注射や内服で改善したり、ごく短期間の安静で痛みが軽減するもののことを急性的と考えます。
- ぎっくり腰のように急激に腰の痛みが発生するもの
- 注射や内服で治るもの
- 2~3日のごく短期間安静にして痛みがなくなるもの
急性的なものは、短期間安静にしていると痛みが軽減するものばかりです。
その時はとても痛みが強くあるかもしれませんが、まずは安静を保ちましょう。
ペインクリニックや整形外科でも数回や数週間の通院、診療で済みます。
慢性的なものとは
3ヶ月以上痛みが続くものであり、原因がはっきりしない場合もあります。
ただの腰痛だと思っていても慢性的な痛みが続く場合は、その痛みによって他の部位まで障害が出たり、首、肩、関節、足、頭など他の部位まで痛くなってくる、ということもありえます。
また、痛みの強い時間帯(寝起き、午前、午後、夜など)があったり、痛みの強さにも強弱や波があるなど個人差も出ます。
このような場合が慢性的なものです。
- 仙腸関節関連
- 椎間板ヘルニア
- 尿路結石
- 婦人科系疾患
- 大動脈瘤
- 内科系疾患
- ストレス(仕事、日常生活、様々なもの)によるもの
- 女性の場合、骨粗鬆症を原因とした骨折
慢性的な痛みは原因がはっきりしないことが多く、また痛みは腰痛であったとしても実際の病気は別のものである可能性があります。
また日常生活のストレスなども腰痛を悪化させることがありますので、要注意です。
慢性的な痛み何らかの原因で続いている場合、合っていない治療法の選択で腰椎椎間板ヘルニアのように手術が必要になってしまったり、その後なにかしらの障害や不調になってしまう可能性もあります。
痛みが強い、慢性的である場合は、精密な検査が必要です。
しっかり検査をして、それでも原因がわからない、診断がはっきりしない場合はペインクリニックの受診を検討しましょう。
ペインクリニックでできる治療
腰痛は冷えと大きな関係があるといわれています。
体が冷えると血行が悪くなり、余計に痛みが増す、という感じです。
ペインクリニックでは、基本的には痛みに対しての神経ブロック注射をしますが、漢方薬などで体を温めたり、リハビリテーションを行って体を柔軟に保つなどの療法もあります。
- 神経ブロック注射
- 内服薬(鎮痛剤など)の処方
- 漢方薬の処方
- リハビリテーションなどの保存療法
行きたいと思ったペインクリニックがどんな治療をしているのか、どんな雰囲気なのか、事前に調べてから受診するようにしましょう。
h3神経ブロック注射
知覚神経ブロックによる除痛効果、交換神経ブロックによる血行改善効果、それらにもとづく痛みの悪循環を改善する効果があります。
ブロック注射の種類は神経根ブロック注射、硬膜外ブロック注射、椎間板内投薬、仙骨ブロックなど様々なものがありますので、主治医と相談しましょう。
神経ブロック注射は対象の部位を限定して、効果が発揮できることも特徴です。
有効な部位
- 首や肩
- 椎間板ヘルニア全般
- 腰部脊柱管狭窄症
- 膝関節炎
- 変形性股関節症
- 頭痛
このように有効な部位はたくさんありますが、神経ブロック注射の効果は個人差があるとも言われています。
h3内服薬(鎮痛剤など)の処方
鎮痛剤などの内服をして、痛みを軽減させます。
よく処方されるロキソニンなどは、炎症のない痛みにはあまり効果がないので、自分の状態に合っているか診断が必要です。
痛みに対する内服薬は、痛みの種類や強さ、年齢や体質、併用している薬などを考慮する必要性があります。
h3漢方薬の処方
漢方は「気・血・水」のバランスの乱れによって生じると考えられています。
腰痛、関節や肩、足の痛みだけでなく、腰骨より下の痛み、筋肉がつっぱるような感じがする、など症状によって漢方を変更する必要性があります。
生理痛による腰痛でも変わってくるなど、細かい処方の違いがありますので、自分の痛みはどんなものなのかに合わせて、漢方を選びましょう。
漢方薬は副作用が少ないと言われていますが、鎮痛剤などの内服薬に比べて時間がかかるなどもあります。
ペインクリニックへ行く時の注意点
痛みがどれくらい続いているか、痛みの説明など医師にしっかりと相談しましょう。
痛みの状態を伝え、今後の治療をどうするか、医師と一緒に考えていくのがベストです。
どれくらいの期間痛みがあるのか | 〇年前からある/〇ヶ月ある/〇月〇日くらいからある |
どんな痛みなのか | 腰の奥が痛い/キリキリ痛む/刺されたような痛み/歩くことができない/座ることができない/〇〇のように痛い |
日常でストレスはないか | 仕事のことで悩みがある/毎日忙しい/ストレス発散ができていない/生活環境の大きな変化があった |
どういう時に痛くなるか | 立っている時/座っている時/仕事中/寝ている時/具体的に〇〇の時 |
痛む時間帯があるか | 午前/午後/日中/深夜/その他具体的に時間帯があるか |
痛みは個人差が強く、慢性化している場合などは痛みの増減や痛む時間帯などが変化する場合もあります。
自分が通院しやすい条件のペインクリニックを探すことも大切です。
腰痛に対するセルフケア8選
ペインクリニックのことはわかったけれど、受診するのがいやだ、時間がなくてすぐには行けない、という人はセルフケアをしてみてはどうでしょうか。
ストレッチなど様々なものがありますので、無理のない範囲内で試してみてください。
またストレッチは腰痛など痛みがない場合でも有効なものです。
継続的にしていくと腰痛予防にもなり、今後の痛みの軽減にもつながるのではないでしょうか。
ぜひ試してみてください。
- 長時間同じ姿勢で過ごさない。
- 正しい姿勢を保つように心がける。
- デスクワークなど座る時間が長い場合は、こまめに休憩とストレッチをする
- 重いものをできるだけもたないようにする
- 座った時に体重が均等にかかるように座る
- 湯船に浸かるなどして体をよく温める
- ウォーキングなど軽い運動習慣をつくる
- 体重を減らし、水分摂取を増やし血行をよくし、体の負担を軽くする
よくある質問
Q.腰痛の原因とはなんでしょうか。思い当たるものがありません。
A.腰痛の原因は色々あり、脊椎由来のもの(椎間板ヘルニアなど)、内臓由来のもの(尿路結石や婦人科系疾患)、血管由来(大動脈瘤など)、心因性など多くあります。
こまかい検査をしても原因がはっきりしない場合も多くあります。
Q.腰痛が長年治りません。どうすればいいでしょうか。
A.急性の場合は1ヶ月程度で自然に改善することが多く、その間は鎮痛剤の内服や神経ブロック注射などの対応をします。
それ以降、痛みが続いたり、再発するようでしたら神経ブロック注射を継続しつつ、セルフケアをしながら日常生活を送ることが必要だと思われます。
Q.神経ブロック注射は痛くないものですか?
A.注射なのでその時の痛みはあるようですが、採血のような痛みはありません。
思ったより痛くなかった、針が刺さった時の痛みだけだった、と言われる人がほとんどです。
Q.クリニックを選ぶ時のポイントなどはありますか?
ペインクリニックを選ぶ時のポイントは、どのような医師がいるか、どれくらい実績があるかなどが重要になります。
- どんな治療方法があるか明確になっているか(療法内容、薬、漢方の処方はあるかなど)
- 担当医は誰か(院長なのか、選べるのか、曜日で違うのか、午前や午後で違いはあるか、など)
- 設備は整っているか(画像診断や検査などがそのクリニックでできるか。できない場合はどうしているか)
- 診療時間や予約について(診療時間は何時までか、緊急では対応しているか、電話での予約はできるか、初診の時はどのようにしたらよいか明確にしているか)
- アクセス(通院が可能な範囲であるか、痛みがあっても通えるか)
- 大まかな費用
- クリニックの雰囲気(外来受付の様子、電話での対応、待ち時間、予約は取れるかなど)
このような項目を参考にしてみてください。
Q.通院期間はどれくらいになりますか?入院も必要なのでしょうか?
急性的な場合は数回のこともありますが、慢性的な場合は数ヶ月から数年かかる可能性もあります。
患者本人の年齢や体質、生活習慣、仕事の内容などによっても変化するものです。
具体的な通院期間や治療については、担当医に必ず相談しましょう。
またペインクリニックの場合、手術の必要性がないので入院の可能性は低いです。
薬物療法、神経ブロック療法は入院の必要性はありません。
症状や病状によって、手術が必要になった場合は入院が必要になりますが、担当医と相談をしましょう。
腰痛を軽減して快適に過ごしましょう
腰痛とペインクリニックのことをご理解いただけたでしょうか。
急性的な痛みと慢性的な痛みでは、対応の仕方が違うこともあります。
腰痛に悩んでいる人は、一度ペインクリニックを受診して、相談してみてはいかがですか。
ペインクリニックを受診するほどでもない、と思った人はセルフケアをして痛みの軽減をしてもいいかもしれません。
生活の中でできることをしていくことも、体にとって大切なことだからです。
セルフケアの場合、軽い運動やストレッチ、水分補給や体を温めることで血行を促してみるなどをして、無理のない範囲で、腰痛改善に努めましょう。
ストレスがあると痛みは増大する可能性が高いので、気軽な気持ちで日々を過ごし、ペインクリニックへ相談しましょう。
一番大事なことは腰痛の痛みから解放され、日常生活が快適に過ごせることです。
そのために、ペインクリニックの受診やセルフケアを活用していってください。