この記事は「日本身体運動科学研究所 代表理事・笹川 大瑛」の監修のもと作成されています。
首の痛みでお悩みではありませんか?
スマホやパソコン作業の増加で、首痛に悩む方が急増しています。この記事では、首痛の原因から効果的な治し方、自宅でできるセルフケア方法、そして病院での治療法まで徹底解説します。
首痛を治すには、まず安静にして様子を見ることが基本です。症状が急性か慢性かによって対処法が異なり、急性の痛みには冷やす、慢性的な痛みには温めるのが効果的です。また、正しい姿勢の維持や適切なストレッチ、肩甲骨周りの筋肉強化も重要です。自己判断が難しい場合や痛みが長引く場合は、専門医の診察を受けましょう。
首、肩こりの原因は脇にあるって皆さんご存知でしたか?腕組みをして脇の下に手を差し込んでみましょう。ちょうど差し込んだところにあるのが今回お話しする前鋸筋です。肩甲骨の外側にあって 肩関節の動きをサポートしているのが前 鋸筋です。
目次
- 1 首痛が起こる主な原因とは?症状別の見分け方
- 2 【自分でできる】首の痛みを和らげるための効果的なセルフケア方法
- 3 【専門家による治療】医療機関での首の痛みの治療法
- 4 もう繰り返さない!首の痛みを予防するための生活習慣改善法
- 5 まとめ:首の痛みを正しく理解し、適切なケアで健康を取り戻そう
- 6 首痛に関するよくある質問
- 6.1 Q. 首痛を治す方法として、安静にする、患部を温めるまたは冷やす、ストレッチ、市販薬を使う、病院で診察を受けるなどがありますが、どのような場合にどの方法が効果的ですか?
- 6.2 Q. 首の筋肉をほぐすためにはどのようなストレッチが効果的ですか?
- 6.3 Q. 長時間のデスクワークによる首の痛みを予防するにはどうすればいいですか?
- 6.4 Q. 首の痛みはいつ病院に行くべきですか?
- 6.5 Q. 前鋸筋を鍛えると首こりや肩こりが改善するのはなぜですか?
- 6.6 Q. 寝違えを防ぐために注意すべきことは何ですか?
- 6.7 Q. 首痛がスマホやパソコンの使用と関連しているかどうか判断するにはどうすればよいですか?
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首痛が起こる主な原因とは?症状別の見分け方
首の痛みには様々な原因があります。適切な治療法を選ぶためには、まず原因を把握することが重要です。以下に主な原因と症状の特徴をご紹介します。
姿勢不良による首の痛み
長時間のデスクワークやスマホの使用による姿勢の悪さは、首の筋肉に過度な負担をかけます。特に前かがみの姿勢が続くと、首の後ろの筋肉が引き伸ばされ緊張状態が続き、痛みや首こり・肩こりの原因となります。姿勢の悪さは正しい姿勢の保ち方で改善できる可能性があります。
筋肉の緊張・疲労による首痛
ストレスが続くと、首や肩の筋肉が無意識に緊張し、血行不良を引き起こします。これにより筋肉内に疲労物質が蓄積し、痛みを感じるようになる可能性があります。特に頚部の斜角筋や僧帽筋の緊張は、頭痛を伴う首の痛みを引き起こすことがあります。効果的なストレス管理も重要です。
寝違えによる急性の首痛
寝違えは、睡眠中に不自然な姿勢で首に負担がかかることで起こります。朝起きた時に突然首に痛みを感じ、首を動かすと痛みが強くなるのが特徴です。これは筋肉や靭帯の一時的な炎症によるものと考えられ、多くの場合は数日から1週間程度で改善する傾向があります。
頚椎の問題による痛み
頚椎症や頚椎椎間板ヘルニアなどの頚椎の変性疾患も首痛の原因となります。これらは加齢や過度な負担によって頚椎が変形し、神経を圧迫することで痛みやしびれを引き起こします。腕や手のしびれを伴う場合は、頚椎の問題を疑う必要があります。詳しくは頚椎疾患の症状と治療をご覧ください。
外傷による首の痛み
交通事故などの外傷による「むちうち症」も首痛の一因です。衝撃で首が急激に前後に動くことで、筋肉や靭帯に損傷が生じます。症状は事故直後ではなく、数時間から数日後に現れることもあります。
痛みの種類 | 主な特徴 | 推奨される対処法 |
---|---|---|
姿勢不良による痛み | 徐々に痛みが強くなる、夕方に悪化 | 姿勢改善、定期的なストレッチ、温め |
筋肉の緊張・疲労 | 首から肩にかけての張り、頭痛 | ストレッチ、温め、マッサージ |
寝違え | 朝起きた時の急な痛み、片側に多い | 初日は冷却、その後は温め、安静 |
頚椎の問題 | 腕や手のしびれ、神経痛様の痛み | 専門医の診察、適切な治療 |
外傷(むちうち等) | 事故後の痛み、頭痛やめまいを伴う | 専門医の診察、安静、リハビリ |
【自分でできる】首の痛みを和らげるための効果的なセルフケア方法
首の痛みは自宅でも適切なケアで改善が期待できます。痛みの種類や原因に合わせたセルフケアを実践しましょう。
急性の痛みと慢性の痛み、どう対処する?
首の痛みは、急性(突然発症した新しい痛み)と慢性(長期間続く痛み)で対処法が異なります。
急性の痛み(寝違えなど):発症から24〜48時間は冷やすことが効果的です。氷や冷却シートを使って15〜20分程度冷やし、炎症を抑えましょう。直接肌に氷を当てるのは避け、タオルなどで包んで使用してください。
急性の痛みや炎症がある場合は、冷やす(冷感シートや保冷剤、湿布など)と痛みを和らげることができます。慢性的な首の痛みや肩こりは温める(蒸しタオルやカイロなど)と血行が促進され、筋肉の緊張が緩みます。
慢性の痛み(長期的な首こりなど):温めることで血行を促進し、筋肉の緊張を緩和します。蒸しタオルや入浴、カイロなどを利用して、15〜20分程度温めましょう。温め過ぎには注意し、心地よい温かさを保つことが大切です。
首の筋肉をほぐすセルフストレッチ
首の筋肉を柔軟にするストレッチは、血行を促進し、筋肉の緊張を緩和する効果があります。以下のストレッチを1日2〜3回、各動作10秒ずつ行うことをおすすめします。
1. 首の回旋ストレッチ:ゆっくりと頭を右に傾け、10秒キープします。次に左に傾け、同様に10秒キープします。これを3回繰り返します。
2. 顎引きストレッチ:顎を軽く引いて、後頭部を上に引き上げるようにします。この姿勢を10秒キープし、3回繰り返します。
3. 首の回転ストレッチ:ゆっくりと頭を右に回し、10秒キープします。次に左に回し、同様に10秒キープします。これを3回繰り返します。
ストレッチ中に強い痛みを感じた場合は、すぐに中止しましょう。無理をせず、痛みのない範囲で行うことが大切です。
肩甲骨周りの筋肉を強化する前鋸筋トレーニング
首の痛みには肩甲骨周りの筋肉、特に前鋸筋を強化することが効果的です。前鋸筋は脇の下にあり、肩甲骨を支える重要な役割を果たしています。
前鋸筋トレーニングの基本:
1. 手のひらを前にしてグーを作ります。
2. 爪を見せるように拳を回し、内側に向けます。
3. 拳を下に押し下げるように10秒間力を入れます。
4. この動作を3回繰り返します。
このトレーニングは、座ったままでも立っていても実施可能で、日常生活の中で簡単に取り入れることができます。
市販薬の選び方と効果的な使用法
首の痛みが強い場合は、市販の消炎鎮痛剤を使用することも効果的です。主に以下の種類があります:
外用薬(塗り薬・貼り薬):局所的に作用し、胃への負担が少ないのが特徴です。冷感タイプと温感タイプがあり、急性の痛みには冷感タイプ、慢性の痛みには温感タイプが適しています。
内服薬:全身に作用し、痛みと同時に炎症も抑える効果があります。ロキソプロフェンやイブプロフェンなどの非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)が一般的です。
市販薬を使用する際は、用法・用量を守り、長期間の連続使用は避けてください。症状が改善しない場合は、医師に相談しましょう。
【専門家による治療】医療機関での首の痛みの治療法
自己ケアで改善しない場合や、強い痛み、しびれなどの症状がある場合は、専門医の診察を受けることが重要です。医療機関では、症状や原因に応じた適切な治療が行われます。
どんな症状があれば病院を受診すべき?
以下のような症状がある場合は、早めに医療機関を受診しましょう:
- 1週間以上続く強い痛み
- 腕や手にしびれや麻痺がある
- 頭痛、めまい、吐き気を伴う首の痛み
- 外傷後(事故、転倒など)の首の痛み
- 発熱を伴う首の痛み
- 姿勢によらない安静時の痛み
病院ではどんな検査・治療が行われる?
検査:医師の問診と身体診察が基本ですが、必要に応じてX線検査、MRI、CT検査などの画像診断が行われます。これにより、骨や神経、筋肉の状態を詳しく調べることができます。
治療法:症状や原因に応じて以下のような治療が行われます。
- 薬物療法:消炎鎮痛剤、筋弛緩剤、神経障害性疼痛治療薬などが処方されます。薬の詳細については医薬品医療機器総合機構(PMDA)の情報をご確認ください。
- 理学療法:温熱療法、電気療法、マッサージ、ストレッチ、トレーニングなどが行われます。
- 装具療法:頚椎カラーなどの装具を使用して、首の安静を保ちます。
- 神経ブロック注射:痛みの原因となっている神経に注射を行い、痛みを緩和します。
- 手術治療:頚椎椎間板ヘルニアなどの重度の症状に対して行われます。
治療法は症状や原因によって異なりますので、医師の指示に従いましょう。
整形外科と整骨院・接骨院の違い
整形外科:医師による診療が行われ、レントゲンなどの画像診断や薬物療法を含む医療行為が可能です。骨折、脱臼、神経障害など、重度の症状や疾患の診断と治療が可能です。
整骨院・接骨院:柔道整復師による施術が行われ、主に筋肉や関節の調整、マッサージ、ストレッチなどの保存療法が中心です。軽度の筋肉疲労や関節の痛みに対するケアに適しています。
症状が重い場合や原因不明の痛みは、まず整形外科を受診することをおすすめします。
もう繰り返さない!首の痛みを予防するための生活習慣改善法
首の痛みは一度良くなっても、生活習慣を改善しないと再発しやすい症状です。以下の予防法を取り入れて、健康な首を維持しましょう。
正しい姿勢の保ち方
デスクワークやスマホ使用時の姿勢は首の健康に大きく影響します。
デスクワーク時の姿勢:
- 背筋を伸ばし、椅子に深く腰掛ける
- ディスプレイは目線よりやや下に設置する
- キーボードは肘の高さに合わせる
- 1時間に1回は立ち上がって伸びをする
スマホ使用時の姿勢:
- 手を上げてスマホを目線の高さに持ってくる
- 長時間の使用は避け、定期的に休憩を取る
- 寝ながらのスマホ使用は首への負担が大きいため控える
首に優しい睡眠環境の整え方
寝違えを防ぎ、首の負担を軽減するために、睡眠環境を見直しましょう。
枕の選び方:自分の体型に合った高さの枕を選ぶことが重要です。肩幅が広い人は高め、肩幅が狭い人は低めの枕が適しています。横向きで寝る場合は、肩の幅と同じ高さの枕がおすすめです。詳しくは首痛改善のための理想的な枕選びをご覧ください。
マットレスの選び方:適度な硬さのマットレスを選びましょう。柔らかすぎると背骨が沈み込み、硬すぎると体の一部に圧力がかかります。体重や寝方に合ったマットレスを選ぶことが大切です。
寝る姿勢:仰向けか横向きがおすすめです。うつ伏せは首をひねる形になるため、首への負担が大きく避けた方が良いでしょう。
効果的なストレス管理法
ストレスは筋肉の緊張を引き起こし、首の痛みの原因となります。効果的なストレス管理法を身につけましょう。
リラクゼーション法:深呼吸、瞑想、ヨガなどのリラクゼーション法を取り入れることで、心身の緊張を緩和できる可能性があります。
適度な運動:ウォーキングやサイクリングなどの有酸素運動は、ストレスホルモンの分泌を抑え、気分を前向きにする効果が期待できます。
十分な休息:睡眠不足はストレスを増加させ、筋肉の回復を妨げます。7〜8時間の質の良い睡眠を心がけましょう。
デスクワーカーのための首ケアエクササイズ
デスクワークが多い方は、日常的に以下のエクササイズを取り入れることで、首の痛みを予防できる可能性があります。
デスクでできる簡単エクササイズ:
- 肩回し:肩を前から後ろ、後ろから前へゆっくり回します。各方向10回ずつ行いましょう。
- 首のストレッチ:首を右、左、前、後ろにゆっくり傾け、各方向で10秒キープします。
- 肩甲骨寄せ:胸を張り、肩甲骨を中央に寄せるようにします。10秒キープし、3回繰り返します。
これらのエクササイズを1時間に1回程度行うことで、首や肩の緊張を緩和し、血行を促進することができます。
まとめ:首の痛みを正しく理解し、適切なケアで健康を取り戻そう
首の痛みは生活の質を大きく低下させますが、原因を理解し適切なケアを行うことで、多くの場合改善が期待できます。
急性の痛みには冷却、慢性の痛みには温めるというように、症状に合わせた対処法を選びましょう。また、ストレッチや前鋸筋トレーニングなどのセルフケアを日常に取り入れることで、首の健康を維持できる可能性が高まります。
症状が長引く場合や、しびれや麻痺などの神経症状がある場合は、自己判断せず専門医の診察を受けることが重要です。正しい姿勢の維持、適切な睡眠環境の整備、効果的なストレス管理など、予防のための生活習慣の改善も忘れずに行いましょう。
健康な首は、健康な体と心の基盤です。この記事で紹介したセルフケア方法を実践して、首の痛みのない快適な毎日を過ごしましょう。
首痛に関するよくある質問
Q. 首痛を治す方法として、安静にする、患部を温めるまたは冷やす、ストレッチ、市販薬を使う、病院で診察を受けるなどがありますが、どのような場合にどの方法が効果的ですか?
A. 首痛の治し方は症状によって異なります。急性の痛み(寝違えなど)は冷やして炎症を抑え、慢性的な痛み(長期の首こりなど)は温めて血行を促進するのが効果的です。痛みが強い時は無理に動かさず安静にし、軽い痛みならストレッチが有効です。市販薬は痛みが強い時の一時的な対処に役立ちますが、1週間以上痛みが続く場合や、しびれ・麻痺がある場合は必ず病院を受診してください。
Q. 首の筋肉をほぐすためにはどのようなストレッチが効果的ですか?
A. 首の筋肉をほぐすには、首をゆっくり左右に傾けるストレッチ、顎を引いて上を向くストレッチ、首を回転させるストレッチが効果的です。各ポーズを10秒間キープし、1日2〜3回行うのがおすすめです。ただし、強い痛みを感じる場合は無理をせず、痛みのない範囲で行いましょう。前鋸筋のトレーニングも首こり改善に役立ちます。拳を内側に向け、下に押し下げるように10秒間力を入れる動作を3回繰り返すと効果的です。
Q. 長時間のデスクワークによる首の痛みを予防するにはどうすればいいですか?
A. デスクワークによる首の痛みを予防するには、正しい姿勢を保つことが重要です。背筋を伸ばし、ディスプレイは目線よりやや下に設置し、キーボードは肘の高さに合わせましょう。また、1時間に1回は立ち上がって伸びをしたり、簡単なストレッチをすることで血行を促進できます。肩回し、首のストレッチ、肩甲骨寄せなどの簡単なエクササイズを取り入れ、首や肩の緊張を緩和することも効果的です。
Q. 首の痛みはいつ病院に行くべきですか?
A. 首の痛みが1週間以上続く場合、腕や手にしびれや麻痺がある場合、頭痛・めまい・吐き気を伴う場合、外傷後(事故や転倒など)の首の痛み、発熱を伴う場合、安静時にも痛みがある場合は、早めに病院を受診することをおすすめします。特に神経症状(しびれや麻痺)を伴う首の痛みは、頚椎の問題が疑われるため、専門医の診察が必要です。自己判断で症状を放置すると、状態が悪化する可能性があります。
Q. 前鋸筋を鍛えると首こりや肩こりが改善するのはなぜですか?
A. 前鋸筋は肩甲骨の外側についている筋肉で、肩甲骨を外側に引っ張り、安定させる役割があります。この筋肉が弱いと肩甲骨が内側に寄りすぎて不安定になり、その結果、首や肩の筋肉が過剰に緊張して首こりや肩こりが生じます。前鋸筋を鍛えることで肩甲骨の位置が適切に保たれ、首や肩の筋肉への負担が軽減されるため、首こりや肩こりの改善につながります。また、呼吸機能の向上にも効果があります。
Q. 寝違えを防ぐために注意すべきことは何ですか?
A. 寝違えを防ぐには、適切な枕の選択が重要です。自分の体型に合った高さの枕を使用し、仰向けか横向きで寝るようにしましょう。うつ伏せは首をひねる形になるため避けた方が良いです。また、寝る前のストレッチで首や肩の筋肉をほぐすことも効果的です。空調の風が直接首に当たらないよう注意し、適度な室温と湿度を保つことも大切です。アルコールの過剰摂取は深い睡眠を妨げ、無意識に不自然な姿勢をとりやすくなるため控えましょう。
Q. 首痛がスマホやパソコンの使用と関連しているかどうか判断するにはどうすればよいですか?
A. スマホやパソコンの使用に関連する首痛(いわゆる「テクノロジーネック」)は、長時間の使用後に症状が悪化し、休息後に改善する傾向があります。また、首を前に傾ける動作で痛みが増し、姿勢を正すと軽減することが特徴です。デバイスの使用時間と首の痛みに相関関係があるか記録してみるとよいでしょう。2〜3日デバイスの使用を減らして症状が改善するかどうか観察することも判断の助けになります。頻繁な休憩、正しい姿勢の維持、目線の高さにデバイスを持ち上げることで症状を軽減できる可能性があります。