糖尿病の人で腰痛持ちの人が多いのはご存知でしょうか?糖尿病の人は筋骨格系の痛みが現れる事が多く、腰痛だけでなく首や背中も痛いと感じる人もいます。また、糖尿病の合併症が原因で、腰痛を引き起こすことがあります。この記事では、糖尿病の人が腰痛を引き起こしてしまう理由と、腰痛の他に血圧にも注意しなければならない理由について解説します。ぜひ最後までお読みください。
目次
糖尿病とは?
糖尿病とは、血液中にあるブドウ糖(血糖)が増えてしまう病気のことで、血液検査の血糖値とは、ブドウ糖の量を表しています。では、なぜブドウ糖が増えてしまうのか?それは、インスリンというホルモンが強く関係しています。
私たちは食事をすると血糖値が上がりますが、血糖値が上がるとインスリンというホルモンが分泌されます。膵臓で作られたインスリンは、血糖を正常範囲に維持する役割があるので、食事をして一時的に上がっても、インスリンの作用により正常範囲を保たれています。しかし、インスリンが役割を果たせなかったり、分泌量が少なかったりすることで、上昇した血糖値を正常範囲に戻せない状態となり、糖尿病となります。
糖尿病が長期にわたって継続し、重症化すると失明や腎不全、足の切断をしなければならないといった、合併症を引き起こしてしまいます。また、糖尿病には大きく分けて1型糖尿病と2型糖尿病があります。
引用:https://www.diabetes.co.jp/dac/diabetes/symptom-type
1型糖尿病
インスリンは膵臓で作られますが、何らかの影響で膵臓がインスリンを作れなくなることで糖尿病になってしまった場合は、1型糖尿病に分類されます。1型糖尿病の人はインスリン注射を必要とするため、インスリン依存型とも呼ばれます。明確な原因はわかっていませんが、膵臓の細胞が破壊されていることが考えられます。
2型糖尿病
膵臓で作られるインスリンが少なかったり、作られたインスリンが作用しなかったりすることで糖尿病になってしまった場合は、2型糖尿病に分類されます。糖尿病と診断される多くの人は2型糖尿病で、遺伝や運動不足や肥満などといった生活習慣が原因で発症します。2型糖尿病の治療は主に食生活の見直しや運動療法ですが、場合によっては薬を使用することがあります。初期症状はほとんどなく、進行すると喉の渇きや多尿、疲労感、目のかすみ、手足のしびれなどがあります。
腰痛と糖尿病の関係
糖尿病は合併症に注意が必要で「糖尿病性神経障害」・「糖尿病網膜症」・「糖尿病腎症」の三大合併症があります。その中でも糖尿病性神経障害は発症頻度が多く、腰痛の症状が現れることがあります。その他にも、腰に痛みが生じる合併症に感染症脊椎がや、肥満が原因での腰痛が起こる可能性があります。この章では、糖尿病の人が腰痛を引き起こす合併症や理由について解説します。
糖尿病性神経障害
糖尿病性神経障害とは、糖尿病の三大合併症の一つで、最も発症頻度が高い合併症です。血糖値が高い状態(高血糖)が続くと、運動神経や感覚神経、自律神経などの神経系に影響を及ぼします。神経系に異常があると、足先から痛みやしびれなどの症状が現れることが多く、他にもさまざまな以下の症状が現れます。
- ・手足の痛みやしびれ
- ・足がつる(こむら返り)
- ・足の裏に紙が張り付いたような感覚
- ・手足の感覚が麻痺する
- ・物が二重に見える
- ・下痢や便秘
- ・頻尿や失禁
- ・発汗異常
- ・立ちくらみ
- ・胃もたれ
糖尿病の人が、座骨神経痛の症状が現れたと思う人がいますが、これは糖尿病性神経障害の症状です。足先の痛みやしびれなどの座骨神経痛と似た症状が現れます。そのため、座骨神経痛の症状が出たと勘違いされる方がいます。糖尿病で座骨神経痛の症状が現れることはなく、手や足に痛みやしびれなどの症状がある場合は、糖尿病性神経障害と考えられるでしょう。
坐骨神経痛とは、腰椎から左右の足先にまで伸びている神経のことで、腰椎椎間板ヘルニアや腰部脊柱管狭窄症などが原因で重症化すると、下肢の痛みやしびれなどの症状が現れます。糖尿病性神経障害は、安静時や左右対称に症状が出るのに対し、坐骨神経痛は身体を動かしたときや、左右どちらかに症状が現れるのが特徴です。
化膿性脊椎炎
化膿性脊椎炎とは脊椎(背骨)の感染症のことで、糖尿病やがんなどの疾患がある人は、免疫力が低下していることから、化膿性脊椎炎を発症することがあります。化膿性脊椎炎となった場合は、腰や背骨の痛みに加えて、高熱や手足の麻痺やしびれなどといった症状が現れます。化膿性脊椎炎には早期発見が重要で、早期に発見することができれば、抗生物質を使用して安静にします。しかし、骨が破壊されるまで進行している場合は、膿瘍を摘出する手術が必要となります。
肥満が原因の腰痛
腰椎は上半身を支える唯一の骨です。上半身や腰回りに脂肪が着き過ぎると、上半身を支える腰椎に過剰な負荷がかかり、腰痛を引き起こしてしまうでしょう。肥満の人は運動不足の人が多いです。腰回りの筋肉は、腰を支えるコルセットのような役割を果たしています。運動不足などで腰回りの筋肉量が低下し、コルセットの役割を果たせずに腰を痛めてしまうことからも、肥満は腰痛の原因であると考えられます。また、肥満や運動不足は糖尿病の大きな原因のひとつです。
「腰痛と肥満の関係性」の記事はこちら⇒https://selfcareseitai.com/blog/himantoyoutsuunokankeiseigataijuuzoukagayoutsuunogeninni/
糖尿病の人は血圧にも注意が必要
血圧とは、心臓から流れる血液が血管の壁を押す圧力のことで、高血圧とは圧力が高い(上が140㎜Hg以上、下が90㎜Hg以上の)状態のことをいいます。糖尿病の人は高血圧になりやすいと言われている理由は、肥満やインスリン抵抗性、血液量の増加などが血圧を上昇させる要因となっているからです。
引用:https://www.jpnsh.jp/data/jsh2019_gen.pdf
肥満
2型糖尿病の人は肥満の人が多く、肥満は交感神経が緊張状態となって血圧を上げるホルモン「アドレナリン」や「ノンアドレナリン」が多く分泌されます。これらのホルモンは血管を収縮させて血圧を上昇させるため、高血圧になりやすいと言えるでしょう。
インスリン抵抗性
インスリン抵抗性とは、インスリンの効果を受ける細胞の感受性が低下してしまい、高血糖の状態が続くことをいいます。糖尿病の人はこれを補うために、大量のインスリンが分泌される「高インスリン血症」を引き起こすことがあります。高インスリン血症となると交感神経を刺激してしまい、血管を収縮させて血圧を上昇させ、高血圧になりやすい状態となります。
血液量の増加
糖尿病になると血液の浸透圧が高くなり、腎臓や細胞内から水分が出てくるため、血液が増加して血圧が上昇します。また、腎臓の機能が低下することで、血液中のナトリウムがうまく排出されず、ナトリウム濃度が高まって血液量が増え、血圧が上昇してしまいます。
糖尿病と腰痛の予防法
糖尿病の患者数が増加傾向にある日本ですが、合併症を起こすと怖い病気になってしまいます。腰痛や背部痛なども引き起こしてしまうため、できるだけ糖尿病とは無縁の健康な身体でいたいもの。この章では、糖尿病と腰痛の予防法をご紹介します。糖尿病と腰痛の対策は似ていることから、この章でご紹介する予防法を実践することで、糖尿病と腰痛の二つの予防が可能となるでしょう。ぜひ参考にしてください。
食生活の見直し
糖尿病の対策としては、まずは食生活の見直しをしましょう。1日3食をしっかりと摂れていますか?仕事や家事などで忙しい朝は、食事を抜いている人も多いでしょう。しかし、朝食は一日のエネルギーとなるため、しっかり食べるようにしてください。お昼はファーストフードやカップ麺などで済ませていませんか。身体に良いものをゆっくりとよく噛んで食べるように心がけてください。夕食は一日の終わりに、塩気のあるものや味の濃いものをアテにして、アルコールを多めに摂取してしまうことでしょう。飲みすぎには注意して楽しむようにしてください。また、料理の味付けにも注意が必要です。味が濃くなりすぎないように心がけるようにしましょう。なお、お菓子などの糖分を多く含んだ甘い食べ物は糖尿病の原因や悪化させてしまう可能性があります。間食は少量で糖分が少ない物を選ぶようにしてください。
「腰痛に効く食べ物」の記事はこちら⇒https://selfcareseitai.com/blog/youtuuninayamuanatahe/
運動を行う
仕事や家事などで忙しい毎日の中、運動を習慣としている人は少ないのではないでしょうか。運動をしたくても、なかなか外に出て身体を動かすことを、億劫に感じてしまっている人も多いでしょう。運動は糖尿病の対策にもなりますし、腰痛の対策にもなります。腰痛が起こる原因は多岐にわたりますが、長時間のデスクワークなどで筋肉が緊張し、硬くなってしまうことで腰痛を発症することがあります。日常に運動を取り入れることで、普段使わずに硬くなってしまった筋肉や関節を動かし、痛みのない身体作りができるでしょう。また、腰回りの筋肉は腰椎を支えるコルセットのような役割をしています。腰回りの筋肉があることで、腰椎の負担が軽減され、痛みが緩和されるでしょう。
体重管理をする
糖尿病の主な原因のひとつに肥満があります。肥満は糖尿病だけでなく脳梗塞や心筋梗塞、高血圧などの病気になりやすいと言われています。最後に体重計に乗ったのは随分前だと思っている人も多いのではないでしょうか。体重の管理をしっかりとすることで、糖尿病以外にも病気のリスクを抑えることができます。自分の適正体重を確認して維持するようにしてください。適正体重を求める計算方法は「体重(㎏)÷身長(ⅿ)÷身長(ⅿ)=BMI(体格指数)」です。BMIが25以上が過体重、30以上が肥満となります。
≪例≫身長168㎝、体重が85㎏の場合は
85÷1.68÷1.68=30.12となり肥満ということになります。
こちらのサイトで計算ができます⇒https://keisan.casio.jp/exec/system/1161228732
ストレス発散をする
忙しい現代人は仕事や人間関係、家事や育児などでストレスを感じている人が多いことでしょう。気分も下がり、イライラやモヤモヤした気持ちになるので、できるだけストレスを感じずに生活したいはず。実はストレスは糖尿病や腰痛の原因になります。ストレスを感じると交感神経が優位となりアドレナリンやグルカゴンといったホルモンが働き、血圧が上昇してしまいます。また、交感神経が優位となっているときは、身体の筋肉が緊張して硬くなり、腰痛を引き起こす要因となってしまいます。
趣味や興味のあるものに没頭する時間を作ったり、気心知れた友人との会話などをしてストレス発散をすると良いでしょう。また運動もストレス発散になります。筋トレやストレッチ、やってみたかったスポーツなどをこの機会に行うのも良いでしょう。趣味が無い人や、運動が苦手な人にはウォーキングがおすすめです。ウォーキングは手軽に始められて、怪我のリスクも少なく、ダイエットにも効果がある有酸素運動です。また、血流が良くなるので、腰痛対策にも良いです。始めは少しの距離からスタートしてはいかがでしょう。
健康診断を定期的に受ける
食事の見直しや運動習慣、ストレス発散をして体重管理をすると、後は定期的な健康診断です。糖尿病は初期症状がほとんど見られず、ある程度進行してから手足の痛みやしびれなどの症状が現れます。症状が現れてから病院を受診し、原因を突き止めるためにさまざまな検査をするには時間や費用もかかり、不安な気持ちになることでしょう。
症状が出る前に、定期的に健康診断を受診して、自分の体の状態を知っておくことが重要です。糖尿病だけでなく他の病気などの早期発見に繋がるでしょう。自覚症状がなくても、血糖値や血圧が高い、または低いなどの今の自分の健康状態に気付き、改善して病気のリスクを抑えることができます。
なお、健康診断で指導があった場合は、速やかに専門の医療機関を受診して詳しく検査をするようにしてください。せっかく健康診断で異常が見つかったのに、放っておいた結果、症状を悪化させてしまう可能性があります。
腰痛になった時の対処法
糖尿病の人が腰痛の症状が現れた場合は、まずはかかりつけ医に相談するようにしてください。症状に寄って治療法が異なります。また、手足の痛みやしびれなどは、坐骨神経痛の症状ではなく、糖尿病性神経障害の症状だと考えられます。違いは、糖尿病性神経障害は左右の両方に痛みやしびれが出るのに対し、坐骨神経痛は左右のどちらかに症状が現れます。糖尿病性神経障害の症状が現れた場合は、放っておかずに速やか医師に相談してください。軽い腰痛の場合は、この章でご紹介する以下の対処法を試してみてください。
腰の負担になる動作を避ける
腰を曲げて作業をしたり、中腰で重い物を持ち上げるなどの、腰に負担のかかる動作をさけるようにしてください。腰を捻る運動やスポーツなども同様です。腰を痛めているのに、無理にこれらの動作を続けることで、悪化してしまう恐れがあります。
また、寝るときの姿勢にも注意が必要です。あお向けで足を伸ばして寝る姿勢は腰が反れた状態になります。両膝を曲げて、曲げた膝の下にクッションなどを敷くと良いでしょう。横向きに寝る姿勢は骨盤が安定せず、腰椎に負担がかかってしまうでしょう。横向きで寝る際は、両足を軽く曲げて膝と膝の間にクッションなどを挟むと腰が安定します。ご自身の寝やすい姿勢を探してみてください。
コルセットを使用する
腰の痛みが激しく、動くのが困難な場合はコルセットを使用するのもおすすめです。コルセットは身体を動かす際の、サポート役として使用すると良いでしょう。ただし、コルセットの付け過ぎは控えてください。安静時や就寝中にコルセットを使用すると、腰回りの筋肉が衰えてしまうことや、血流が悪くなってしまうことから、腰痛を悪化させてしまう可能性があります。コルセットの使用には十分注意し、身体を動かすときのサポート役として使用するようにしましょう。
腰痛体操やストレッチをする
腰痛は安静にしすぎると、かえって症状を悪化させてしまう可能性があります。横になって安静にし過ぎると、腰回りの筋肉が落ちてしまうことや、腰回りの脂肪が増えることで痛みが増してしまいます。痛みが激しい場合は安静にすることをおすすめしますが、症状が和らいでくると徐々に、無理の無い範囲で身体を動かすようにしてください。
また、痛みが生じる動作は腰を反らすと痛く感じたり、前かがみになると痛みが感じたりと、症状は人によってさまざまです。ご自身の腰痛にあった体操やストレッチを、無理のない範囲で行ってください。
当院「セルフケア整体」へお越しください
糖尿病で医師から運動を進められている方や、腰痛でお困りの方は当院セルフケア整体の施術を受けてみてください。当院では、患者様それぞれの大切な身体の情報を聞きいて使い方や癖を見抜いて、使えていない筋肉の「ズボラ筋」や、使いすぎている筋肉の「ガンバリ筋」をバランス良く使える身体になるようにセルフケアをお伝えしています。セルフケアは患者様それぞれの、特別な内容となっており、口頭だけの説明では難しいため、セルフケアの撮影をした動画をお渡ししています。患者様はご自宅などで、時間のあるときにセルフケアの整体を行い、痛みの改善ができるでしょう。
また、当院では優秀なスタッフが自信を持って施術をさせていただいているため、納得のいかなかった患者様には初回返金保証を行っています。それだけ患者様一人ひとりと向き合い、自信を持って施術をしております。腰痛だけでなく、身体のどこかに違和感や痛みがあって悩まされている人は、ぜひ一度セルフケア整体へお越しください。
まとめ
糖尿病の人は筋骨格系に痛みが現れる事が多く、腰痛だけでなく首や肩、背中なども痛いと感じる人がいます。また、腰痛の症状で有名な「坐骨神経痛」の症状を訴える方がいます。しかし、糖尿病で坐骨神経痛の症状が現れることはありません。糖尿病には「糖尿病性神経障害」・「糖尿病網膜症」・「糖尿病腎症」の三大合併症があり、この内の「糖尿病性神経障害」は、手足の痛みやしびれなどの症状があります。これが坐骨神経痛の症状と似ているため、坐骨神経痛と感じる人が多い理由です。違いは糖尿病性神経障害は左右の両側に痛みやしびれなどがあるのに対し、坐骨神経痛は左右の片側にだけ痛みやしびれなどの症状が現れることです。他にも、糖尿病の合併症に「化膿性脊椎炎」があります。化膿性脊椎炎は脊椎の感染症のことです。脊椎が感染することで、背中や腰などに痛みが生じてしまうでしょう。
糖尿病の主な原因としては、肥満や運動不足などがあります。食生活を見直し、適正体重を維持し、日常生活に運動を取り入れることで糖尿病だけでなく、腰痛の改善が期待できるでしょう。