腰痛を緩和するためには、食事にも注意が必要です。
食べ物の栄養素は実は腰痛と密接な関係があり、予防に効果があります。
この記事では、腰痛に有効な食べ物や7つの栄養素について詳しく解説し、腰痛の予防や改善に役立つ方法をわかりやすくご紹介します。
目次
腰痛の原因とは?代表的な腰痛の種類を解説
事前に、腰痛の原因を理解することが大切です。
そして、病院での受診時に、腰痛は2つのタイプに分かれています。
それぞれの特徴をくわしく紹介します。
特異的腰痛
特異的腰痛は、具体的な異常がレントゲンやMRI、血液検査で見つかる腰痛のことです。
しかし、腰痛や坐骨神経痛の原因が特定できるのはわずか15%だとされています。
特異的腰痛と言われる腰痛の種類は、以下になります。
- ・腰椎椎間板ヘルニア
- ・腰椎圧迫骨折
- ・脊椎分離症・脊椎すべり症
- ・変形性腰椎症
- ・脊柱管狭窄症
- ・骨粗しょう症
非特異的腰痛
「非特異的腰痛」とは、MRIやレントゲンで異常が見られない腰痛のことです。
整形外科では、腰の痛みの原因が特定できないことがよくあります。
腰痛は一般的に重篤な疾患ではなく、「非特異的腰痛」と呼ばれる原因不明の痛みが背骨や腰によく見られます。
また、以下は、非特異的腰痛の疑いのある症状です。
- ・椎間関節性腰痛
- ・椎間板性腰痛
- ・仙腸関節炎
- ・筋筋膜性腰痛症
- ・梨状筋症候群
- ・上殿皮神経障害
- ・ぎっくり腰
腰痛の仕組みは?痛みが生じる背景を理解しよう
腰痛の原因は大まかに「脊椎、神経、内臓、血管、心因性」の5つに分けられます。
- ・脊椎:椎間板の問題や脊柱の異常
- ・神経:神経根の刺激による腰痛や下肢痛
- ・内臓:内臓の病気による腰や背中の痛み
- ・血管:血液循環障害による腰痛
- ・心因性:精神的なストレスや不安による腰痛
腰痛の原因は多岐にわたりますが、その中でも最も一般的なものは脊椎に関連したものです。
脊椎の問題や椎間板の変形が痛みを引き起こすことがあったり、精神的なストレスや不安も腰痛の原因になったりします。
これらの要因は単独で痛みを引き起こすこともありますが、時には複合的に作用して腰痛が起こることも考えられます。
腰痛対策には、軽い体操やストレッチも行うことで、腰痛の改善や予防にも効果的です。
栄養不良による腰痛とその他の腰痛の違い
腰痛の原因は、栄養不良と他の要因にあり、以下ではそれぞれの違いについてまとめました。
腰痛の種類
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原因
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栄養不足の腰痛
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①食べた糖質が体内で変化してAGEを作る
②AGEは骨や筋肉を劣化させる ③特に椎間板の繊維輪をもろくし、腰痛を引き起こす
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その他の腰痛
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・腫瘍
・感染 ・炎症 ・脊柱の外傷 ・椎間板の変形 ・椎間板ヘルニア
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腰痛はさまざまな原因がありますが、食事の偏りも悪化の一因です。
バランスの取れた食事で摂取する栄養素は、腰痛の改善に役立つことがあります。
腰痛対策に役立つ!食べ物で得られる7つの栄養素
腰痛に効く栄養素を食事に積極的に取ることで、骨の強化や筋肉アップなどの改善や対策になります。
ここからは、腰痛予防のために食事で摂取すべき栄養素7つの基礎情報を紹介します。
カルシウム
カルシウムは、身体の調節と骨や歯の健康に必要な栄養素です。
カルシウム不足が関わるのは、骨に関連した場合のケースです。
例えば、高齢者や更年期の女性では、骨粗鬆症が原因で腰痛が生じることがあります。
更年期にはホルモンバランスの変化により、カルシウムが不足しやすくなり、骨が弱くなることで腰痛が起こりやすくなります。
たんぱく質
タンパク質は、筋肉や皮膚、骨などに必要で、腰痛改善に重要な栄養素です。
筋肉が弱まると腰に負担がかかり、骨も弱くなります。
したがって、タンパク質を摂取することで、腰痛が改善されることがあります。
ビタミンC
ビタミンCは、体内でコラーゲン生成に必要な栄養素です。
コラーゲンは傷の治癒に欠かせないたんぱく質であり、その働きによって腰痛の緩和が期待できます。
人間の体内にはブドウ糖をビタミンCに変換する能力がありません。
したがって、野菜や果物などから直接摂取する必要があります。
ビタミンD
ビタミンDは、カルシウムの吸収を助け、骨の健康に役立つ栄養素です。
カルシウムは骨の健康を保つのに重要ですが、ビタミンDがないと効率的に吸収されません。
そのため、ビタミンDとカルシウムは一緒に摂ると、腰痛予防に効果的です。
ビタミンE
ビタミンEは、血液や血管を健康に保ち、血流を改善する栄養素です。
血行が良くなると、筋肉にたまった乳酸などの老廃物が排出され、筋肉に栄養と酸素が届けられるため、筋肉のこりや硬さが緩和されます。
ビタミン群
ビタミンB群は腰痛の緩和に効果があり、ストレス解消や疲労回復に役立つ栄養素です。
- ・ビタミンB12:神経修復に役立ち、腰痛や神経痛の改善
- ・ビタミンB1:腰痛や肩こり、疲れ目の疲労に効果的
ビタミンB12は末梢神経を修復し、その結果、腰痛や肩こり、神経痛の改善に効果的です。
さらに、ビタミンB群には、ストレス解消や疲労回復の効果も期待されています。
マグネシウム
マグネシウムは、骨を強化し、神経調整をサポートする栄養素です。
不足すると筋肉の緊張調整が難しくなり、高齢やストレスによって不足しやすくなります。
骨の強度を上げるためにも、マグネシウムの摂取は欠かせません。
腰痛に効果的な食材は?改善と予防のための食べ物
腰痛の改善や予防には、体の内部を整えることが大切です。
以下では、気軽に摂取できる食べ物の特徴について、4つの栄養素に分けて紹介します。
痛みを和らげる食べ物【ビタミンB12】
ビタミンB12は、神経の健康維持や赤血球の生成などに重要な水溶性ビタミンです。
魚介類に含まれるビタミンB12は水溶性なので、スープに溶かして食べるのがおすすめです。
また、植物性食品にも添加されていることがあります。
ビーガンやベジタリアンの人は、朝食にシリアル、植物ミルク、豆腐、ビール酵母などからビタミンB12を摂取するのもおすすめです。
痛みを軽減する食べ物
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特徴
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卵
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・コリン(卵黄)は脳機能をキープ
・ビタミンとミネラルが豊富
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鮎
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・老化予防
・血行促進
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海苔(海藻)
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・代謝や免疫力の向上
・鉄分・食物繊維が豊富
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牛乳
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・骨粗しょう症予防
・生活習慣病予防
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秋鮭
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・抗酸化作用
・動脈硬化や心筋梗塞の予防
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納豆
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・強い抗酸化作用
・更年期障害の緩和効果
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味噌
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・胃がんの予防
・美肌効果や老化を抑制する効果
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醤油
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・抗酸化作用
・胃がんの予防
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イワシ
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・老化防止やがん予防
・動脈硬化や心筋梗塞の予防
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しじみ
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・貧血予防
・疲労回復や肝機能の向上
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チーズ
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・骨粗鬆症の予防
・美肌づくり
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ヨーグルト
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・骨粗鬆症の予防
・腸内環境を整える
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レバー(牛、豚、鶏など)
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・貧血予防
・皮膚や目の健康をキープ
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筋肉をサポートする食べ物【たんぱく質】
「動物性たんぱく質」と「植物性たんぱく質」と一緒に摂ることで、必須アミノ酸のバランスがよくなり、食事の栄養価が向上します。
以下の食品は筋肉増強に必要なたんぱく質が多いので、他の栄養素や特徴も含まれています。
筋肉を強化する食べ物
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特徴
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卵
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コリン、ビタミンD、9種類の必須アミノ酸で豊富
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豆腐
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・良質な植物性たんぱく質
・消化しやすく胃腸にやさしい
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納豆
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カルシウムやビタミン、食物繊維も豊富
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バナナ
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・筋肉の疲労回復
・消化もよく糖質エネルギーの補給が早くできる
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レバー
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貧血予防に効果的
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かつお
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・ビタミンが豊富
・動脈硬化の予防
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エビ・イカ
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脂質も少ないので減量中でも安心
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サバ
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・貧血予防に効果的
・動脈硬化や心筋梗塞の予防
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カッテージチーズ
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ビタミンB12、カルシウムが豊富
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まぐろ・サーモン
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・疲労回復
・オメガ3脂肪酸が豊富
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皮なし鶏肉(ササミ、皮を除いた鶏むね肉) | ・骨格の形成
・筋肉の疲労回復
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赤身の肉(牛・豚のもも・ヒレ)
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・筋肉を作るためのアミノ酸生成を促進 ・筋肉構築に必要な亜鉛、鉄、ビタミンBなどが豊富 |
骨や軟骨をサポートする食べ物【カルシウム】
カルシウムは骨を丈夫にし、腰椎や骨盤を強化して姿勢を良くし、腰痛を軽減します。
次に、骨や軟骨を強くする食品の特徴を説明します。
骨や軟骨を強化する食べ物
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特徴
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鮭
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・強力な酸化防止効果
・動脈硬化や心筋梗塞の予防
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鰻
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・高血圧の予防
・高抗酸化作用で活性酸素を除去
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納豆
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・高血圧を予防する
・腸内環境を整える
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大豆
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・アンチエイジング効果
・空腹を減らし食べ過ぎ予防
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レバー
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・免疫力向上
・鉄分が豊富で貧血予防
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あさり
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・貧血予防・肝機能向上
・鉄分・ビタミン類・タウリンが豊富
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海苔
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・高血圧予防
・食物繊維が豊富
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いわし
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・老化防止やがん予防
・動脈硬化や心筋梗塞の予防
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しらす
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・動脈硬化の予防
・老化防止やがん予防
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さんま
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・美肌や老化防止
・血中コレステロールを予防
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まぐろ
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・生活習慣病の予防
・動脈硬化を予防
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煮干し
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・鉄分が豊富で貧血予防
・脳や目の発達や血液の流れを改善
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小松菜
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・風邪予防
・貧血予防
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アーモンド
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・LDL(悪玉)コレステロールの軽減
・アンチエイジング効果
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ほうれん草
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・免疫力の向上
・抗酸化作用
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干しシイタケ
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・骨粗鬆症の予防
・生しいたけの11倍のビタミンD
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乳製品(牛乳・チーズ)
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・血圧の改善
・病原菌の感染予防
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疲労回復をサポートする食べ物【ビタミンB1】
ビタミンB1は、疲労回復に役立つ栄養素で知られています。
また、血液循環を促進し、精神を安定させるDHAやEPAも疲労回復に効果的です。
以下に、ビタミンB1を多く含む食品の特徴を紹介します。
疲労回復に役立つ食べ物 | 特徴 |
鰻
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・高血圧予防
・強力な抗酸化作用で活性酸素を排除
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豚肉
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他の肉類に比べて5~10倍のビタミンB1
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鶏肉
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抗酸化力が高いイミダゾールペプチドが豊富
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牛肉
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豊富なカルニチンで脂質代謝を改善
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海苔
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・高血圧予防
・豊富な食物繊維
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サバ
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・貧血予防
・動脈硬化や心筋梗塞の予防
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いわし
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・老化やがん予防
・動脈硬化や心筋梗塞の予防
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腰痛悪化のリスク!避けたい食べ物
腰痛を悪化させる食べ物を知っておくことで、腰痛予防につながります。
ここからは、腰痛を悪化させてしまう食べ物について、解説していきます。
お菓子・菓子パン
甘いお菓子や菓子パンは、腰痛の原因につながることがあります。
これは、その中に含まれる糖分が体内で変化して老化物質AGEを生み出し、これが筋肉の硬化や骨粗鬆症を引き起こす可能性があるからです。
そのため、甘いお菓子や菓子パンを摂取する際は、適量を心がけることが重要です。
ビールや缶チューハイ
腰痛の時にはアルコールを控えるべきです。
アルコールの過剰摂取は内臓に負担をかけ、その神経に繋がっている腰や背中にも痛みを引き起こす可能性があります。
アルコールの過剰摂取は、食事のバランスを乱したり、精神的なバランスも崩れることがあり、それが腰痛につながる可能性があります。
加工食品のハムやソーセージ
加工食品に含まれるリン酸塩は、腰痛の原因につながります。
これは、リン酸塩が過剰に摂取されると、体内のカルシウムとのバランスが崩れ、骨や関節の健康を損なうことがあるからです。
その結果、骨や関節にストレスがかかり、腰痛を引き起こす可能性があります。
腰痛悪化を防ぐ!効果的な改善方法2選
腰痛を改善するためには、効果的な予防と改善方法を知ることが重要です。
食べ物による腰痛の影響も理解し、効果的な改善方法について紹介します。
食べすぎは腰痛改善の大敵
食べ過ぎは、胃腸や背中の筋肉に負担をかけるだけでなく、腰痛の原因にもなります。
さらに、過度の食事は体重増加を招き、腰椎椎間板ヘルニアなどのリスクを高める可能性があります。
そして、アルコールは食欲を増進させるため、暴飲暴食につながるため、飲みすぎには注意が必要です。
骨粗鬆症予防には十分なミネラル摂取を!
ミネラルの摂取の不足や、何らかの理由で体内から排出される量が増えると、「欠乏症」という症状が現れることがあります。
鉄不足による貧血や、カルシウム不足による骨粗しょう症などがその代表例です。
食事に牛乳やヨーグルト、干しエビや煮干しを取り入れることで、ミネラル摂取量を増やすよう心がけましょう。
まとめ:腰痛予防には栄養バランスで快適な生活を
この記事では、腰痛に効く食べ物や悪化させるもの、予防法を紹介しました。
腰痛改善になる栄養素を、食事にバランスよく取り入れることで、薬を使わずに腰痛が改善する可能性もあります。
逆に腰痛を悪化させる「糖質や糖分、アルコール、加工品」を適量にすることで、骨粗鬆症を予防することも可能です。
また、手軽なお酒のつまみとして人気の、小魚とピーナッツが入ったおつまみは、カルシウムやタンパク質、鉄分、DHA・EPAを含んでいます。
また、カロリーも控えめなので、腰痛対策にも役立ちます。
毎日の食事には、腰痛に効果的な栄養素を多く含むものを体内に届けつつ、健康的な食生活を心がけましょう。