坐骨神経痛の治療では、一般に保険診療が行われます。しかし、現段階では通常医療と見なされていない「代替医療」や「先進医療」は、保険適用とはなりません。
坐骨神経痛は、保険医療機関ではない整骨院や鍼灸院で治療されることもありますが、そこでの治療は保険診療となるのでしょうか、自費診療となるのでしょうか。
目次
保険診療について
概要
保険診療とは、公的医療保険(被用者保険、国民健康保険、後期高齢者医療制度)を利用した診療のことを言います。日本では、すべての国民が健康保険に加入することを義務付けられており(国民皆保険制度)、医療費の負担を軽減するための仕組みとなっています。
日本の公的医療保険制度は、大きく分けて以下の三つの制度から成り立っています。
●被用者保険
企業に勤める被用者やその家族が加入する制度です。企業が保険料の半分を負担し、被用者が残りの半分を支払います。
●国民健康保険
自営業者や無職の人、学生などが対象となる制度です。自治体が運営し、被保険者が保険料を全額負担します。
●後期高齢者医療制度
75歳以上の高齢者、または一定の障害がある65歳以上の方が対象となる制度で、保険料の一部を本人が負担し、残りを公費で賄います。
保険診療の対象範囲
保険診療では、診察、検査、手術、入院、処方薬など、幅広い医療サービスが保険適用されます。ただし、美容整形や予防接種(インフルエンザなどの一部を除く)など、保険適用外の診療も存在します。
保険適用外の医療サービスを希望する場合は、全額自己負担となります。
保険診療の負担割合
保険診療の際、患者は医療費の一部を自己負担します。一般的な自己負担割合は以下の通りです。
●70歳未満の現役世代
3割負担
●70歳以上の高齢者
原則2割負担(現役並み所得者は3割負担)
●75歳以上の後期高齢者
原則1割負担(現役並み所得者は3割負担)
自己負担額が高額になる場合、高額療養費制度を利用することで、一定の自己負担限度額を超える分が払い戻される制度もあります。
保険診療の利用方法
保険診療を受けるためには、医療機関で保険証を提示する必要があります。保険証は、加入している健康保険組合や自治体から交付されます。
保険証の提示により、保険適用の診療が受けられ、医療費の一部を保険がカバーしてくれます。
自費診療について
保険診療とは別に、患者自身の全額費用負担で受けられる診療を「自費診療」といいます。保険診療では対応できないより高度な治療や、美容目的の治療などが、自費診療として行われます。
例えば、整形外科では、日常生活に支障をきたしている変形性膝関節症で自費診療が提案されることがあります。自費診療ではヒアルロン酸注射などが行われ、これらの治療は保険診療よりも効果が早く期待できます。
その他、歯科での歯のホワイトニング、インプラント、審美歯科など、見た目を美しくする治療、皮膚科でのシミ、しわ、脱毛など美容に関する治療が自費治療となります。また、内科での高濃度ビタミン点滴、プラセンタ注射など美容と健康を目的とした治療も自費治療となります。
自費診療は、保険診療では受けられない高度な治療が受けられ、痛みや症状の改善が早く期待でき、美容目的の治療も受けられるのがメリットです。しかし、自費診療では、費用が高額になる場合があるのが注意が必要です。
坐骨神経痛の保険診療と自費診療について
坐骨神経痛は、腰椎や頚椎の問題が主な理由となっていることが多いです。他にも、膝や肩、首の状態が影響することもあります。
仕事中の姿勢の悪さや、交通事故後の後遺症としてもよく見られます。寝違えや長時間同じ姿勢での作業が原因で再発することが多いです。
治療には保険診療と自費診療がありますので、各々について詳しく説明します。
保険診療
【診断】
保険診療では、まず問診と身体検査が行われます。医師は、患者の症状、痛みの場所や持続時間、痛みの強さなどを確認します。
次に、X線検査やMRI、CTスキャンなどの画像診断が行われ、坐骨神経痛の原因を特定します。
【治療法】
●薬物療法
非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)やアセトアミノフェンといった鎮痛薬、筋肉の緊張を和らげる筋弛緩薬などが処方されます。
●理学療法
理学療法士によるストレッチや運動療法が行われ、筋力を強化し、柔軟性を向上させます(リハビリテーション)。
●物理療法
温熱療法や超音波療法などが行われます。
●神経ブロック
神経に直接麻酔薬やステロイド薬を注射し、痛みを一時的に軽減します。
●手術療法
圧迫された神経を解放するために、ヘルニアを起こした椎間板の一部を除去(椎間板ヘルニアの手術)したり、狭くなった脊柱管を広げる(脊柱管狭窄症の手術)といった手術が行われます。
自費診療
保険診療に含まれない治療法やサービスは自費診療となります。以下は、坐骨神経痛の治療で一般的な自費診療の例です。
●代替医療
現段階では公的に通常医療と見なされていない、さまざまな医学・健康管理システム、施術、生成物質などのことをいいます。たとえば、鍼灸治療やカイロプラクティックなどです。
鍼灸治療とは、東洋医学に基づく治療法で、鍼や灸を使用して痛みを軽減します。カイロプラクティックは、脊椎の矯正を行い、神経の圧迫を軽減する治療法です。
●先進医療
先進医療とは、高度な医療技術を用いた治療やその他療養のうち公的医療保険が適用されないが、一般の保険診療との併用が認められているものを指します。たとえば、PRP療法(多血小板血漿療法)や高度な画像診断、特別なリハビリテーションなどがあります。
PRP療法とは、患者自身の血液を利用し、再生医療の一環として痛みの治療を行います。高度な画像診断には高解像度MRIがありますが、これは、通常のMRIよりも詳細な画像を撮ることができます。
特別なリハビリテーションにはパーソナルトレーニングがありますが、これは、個別のトレーニングプログラムを提供し筋力と柔軟性を向上させます。
保険診療と自費診療の費用比較
保険診療は、国が定めた基準に基づいて一部自己負担で済むため、費用が比較的安価です。例えば、初診料、検査費用、治療費の一部を患者が負担し、残りは保険でカバーされます。
一方、自費診療は全額自己負担となるため、診療内容によっては高額になることがあります。特に代替医療や先進医療は高額な場合が多いです。
保険診療と自費診療の選択のポイント
保険診療は、基本的な診断と治療をカバーし、経済的負担が少ないため、多くの患者にとって利用しやすい選択肢です。一方、自費診療は、より高度な治療や個別対応が必要な場合に有効です。
患者の症状や希望に応じて、保険診療と自費診療を組み合わせることも可能です。坐骨神経痛の治療では、医師と相談しながら最適な治療法を選択することが重要です。
整骨院での坐骨神経痛治療について
整骨院は、坐骨神経痛の治療において広く利用される施設の一つです。ここでは、整骨院での坐骨神経痛治療について、保険診療と自費診療の両方を比較し、それぞれの特徴、メリット、デメリットを詳しく説明します。
保険診療
【特徴】
保険診療では、整骨院で行われる基本的な治療がカバーされます。保険適用の範囲は、急性の外傷や痛みを伴う症状が中心であり、坐骨神経痛の治療においても、急性の痛みや明確な原因がある場合に適用されることが多いです。
【主な治療法】
●電気療法
電流を利用して筋肉の緊張を和らげ、痛みを軽減する治療法です。
●温熱療法
温めることで血行を促進し、筋肉の緊張をほぐします。
●手技療法
手技によるマッサージや関節の矯正を行い、痛みを和らげます。
●テーピング
患部をサポートし、負担を軽減するためにテープを貼ります。
【メリット】
●費用の軽減
保険適用により、治療費の一部が健康保険でカバーされ、患者の負担が軽減されます。
●信頼性
国が定めた基準に基づいて治療が行われるため、安全性と信頼性が確保されています。
●利用しやすさ
多くの整骨院が保険診療を行っているので、アクセスしやすいです。
【デメリット】
●制限が多い
保険診療は急性の症状や外傷に限られるため、慢性的な坐骨神経痛には適用されにくい場合があります。
●治療法の制限
保険適用外の治療法は利用できないため、選択肢が限られます。
自費診療
【特徴】
自費診療では、保険適用外の治療法やサービスを利用することができます。坐骨神経痛の治療においては、より高度で専門的な治療が受けられることが特徴です。
【主な治療法】
●カイロプラクティック
脊椎の矯正を行い、神経の圧迫を解消する治療法です。
●特殊電気療法
高周波や低周波を使用したより専門的な電気治療です。
●整体
全身のバランスを整え、筋肉や関節の調整を行います。
●パーソナルトレーニング
個別にカスタマイズされた運動プログラムを提供し、筋力と柔軟性を向上させます。
【メリット】
●治療の選択肢が豊富
多様な治療法を利用でき、患者の症状やニーズに合わせた個別の治療が可能です。
●専門的なケア
専門的な技術を持つ治療者によるケアが受けられます。
●柔軟な対応
慢性的な痛みや特定のニーズに対しても対応可能です。
【デメリット】
●費用が高い
全額自己負担となるため、治療費が高額になる場合があります。
●効果の個人差
特に代替医療の効果には個人差があり、すべての患者に効果があるわけではありません。
保険診療と自費診療の比較と選択のポイント
●コストと効果
保険診療は経済的負担が少なく、基本的な治療が受けられるため、急性の症状や軽度の痛みに対して効果的です。一方、自費診療は費用がかかるものの、より専門的で高度な治療が受けられ、個別の症状やニーズに応じたケアが可能です。
●症状の程度と治療の継続性に応じて選択
急性の坐骨神経痛や保険適用範囲内の症状には、まず保険診療を受けることが推奨されます。慢性的な痛みや保険適用外の症状には、自費診療を併用することで、より効果的な治療が期待できます。
●治療の目的とライフスタイルに合わせて選択
患者の生活習慣や治療の目的に応じて、保険診療と自費診療を組み合わせることも一つの方法です。例えば、日常的な痛みの管理には保険診療を利用し、特別なイベントやスポーツ活動前後のケアには自費診療を活用することが考えられます。
鍼灸院での坐骨神経痛治療について
鍼灸院は、坐骨神経痛の治療においても広く利用されています。鍼灸治療は東洋医学に基づき、鍼や灸を用いて身体のバランスを整え、痛みを軽減します。
ここでは、鍼灸院での坐骨神経痛治療について、保険診療と自費診療とを比較し、それぞれの特徴、メリット、デメリットを詳しく説明します。
保険診療
【特徴】
鍼灸治療においても、一部の症状に対しては保険診療が適用される場合があります。しかし、日本では鍼灸治療の保険適用は比較的限定的であり、主に医師の診断書が必要とされる場合が多いです。
具体的な適用範囲としては、神経痛、リウマチ、五十肩、頸腕症候群、腰痛症、頸椎捻挫後遺症(むちうち症)などがあります。また、保険適用を受けるには、医師から「鍼灸治療が必要である」との診断書が必要です。
診断書が発行されることで、鍼灸院での治療が保険適用となります。
【主な治療法】
●鍼治療
細い鍼を皮膚や筋肉に刺し、経絡(けいらく)やツボを刺激して神経の圧迫を和らげ、痛みを軽減します。
●灸治療
艾(もぐさ)を燃やして皮膚に温熱刺激を与え、血行を促進し、痛みや炎症を緩和します。
【メリット】
●費用の軽減
保険適用により、治療費の一部が健康保険でカバーされ、患者の負担が軽減されます。
●信頼性
医師の診断に基づいた治療が行われるため、安全性と信頼性が確保されています。
【デメリット】
●制限が多い
保険適用の範囲が限定的であり、すべての坐骨神経痛の症状に適用されるわけではありません。
●治療の手続きが煩雑
医師の診断書が必要であり、手続きが煩雑です。
自費診療
【特徴】
自費診療では、保険適用外の治療法やサービスを利用することができます。坐骨神経痛の治療においては、より高度で専門的な治療が受けられることが特徴です。
【主な治療法】
●高度な鍼治療
保険適用の範囲を超えた部位や症状に対して、より詳細な治療を行います。例えば、微細な鍼の技術を駆使して特定の神経や筋肉をターゲットにします。
●灸治療のバリエーション
伝統的な灸治療だけでなく、現代的な機器を使用した温熱療法も含まれます。
●総合的なアプローチ
鍼灸に加えて、漢方薬の相談や生活習慣の改善指導も行われることがあります。
【メリット】
●治療の選択肢が豊富
多様な治療法を利用でき、患者の症状やニーズに合わせた個別の治療が可能です。
●専門的なケア
鍼灸の専門家による高度な技術を活用した治療が受けられます。
●柔軟な対応
慢性的な痛みや特定のニーズに対しても対応可能です。
【デメリット】
●費用が高い
全額自己負担となるため、治療費が高額になる場合があります。
●効果の個人差
特に代替医療の効果には個人差があり、すべての患者に効果があるわけではありません。
保険診療と自費診療の比較と選択のポイント
●コストと効果
保険診療は経済的負担が少なく、基本的な治療が受けられるため、急性の症状や軽度の痛みに対して効果的です。一方、自費診療は費用がかかるものの、より専門的で高度な治療が受けられ、個別の症状やニーズに応じたケアが可能です。
●症状の程度と治療の継続性に応じて選択
急性の坐骨神経痛や保険適用範囲内の症状には、まず保険診療を受けることが推奨されます。慢性的な痛みや保険適用外の症状には、自費診療を併用することで、より効果的な治療が期待できます。
●治療の目的とライフスタイルに合わせて選択
患者の生活習慣や治療の目的に応じて、保険診療と自費診療を組み合わせることも一つの方法です。例えば、日常的な痛みの管理には保険診療を利用し、特別なイベントやスポーツ活動前後のケアには自費診療を活用することが考えられます。
まとめ
坐骨神経痛の治療では、一般に保険診療が行われます。しかし、現段階では公的に通常医療と見なされていない「代替医療」や、高度な医療技術を用いた「先進医療」は、保険適用とはなりません。
坐骨神経痛は、保険医療機関ではない整骨院や鍼灸院で治療されることもありますが、そこでの治療は保険診療の場合と自費診療の場合があります。
急性の外傷や痛みを伴う症状の治療は保険診療となりますが、慢性的な坐骨神経痛の治療では自費治療となる場合があります。
整骨院や鍼灸院で坐骨神経痛を治療する場合には、体のどこが痛いか、しびれを感じるか、歩くと痛いか、尻・太もも・ふくらはぎはどうか、不調はいつからか、といった情報をまとめます。
そして、通院予定の院に、それらを気軽に電話で伝えて、治療の流れなどを聞いてみると費用等で悩むこともありません。
ぎっくり腰やストレートネック、股関節の痛みなど、坐骨神経痛に関連する症状に対して保険が適用される可能性があります。これらの症状に対して整骨院等では、コルセットの使用、姿勢矯正などが行われます。
来院時には、受付で保険適用についての説明を受け、必要に応じて予約を行ってください。
治療メニューや料金一覧は治療院のサイトマップにも掲載されていますので、確認しておくと安心して治療を受けられます。
また、何か質問があれば、スタッフに相談するとよいです。
祝日や日曜も診療している場合がありますので、必要であれば事前に確認することをおすすめします。
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