お尻から足にかけてしびれを感じたことはありませんか?
これは坐骨神経痛の症状の一つであり、原因は椎間板ヘルニアです。
例えば、長時間座ったり、重い物を持ち上げたりする時に、しびれが悪化する可能性があります。。
今回の記事では、坐骨神経痛によるしびれの原因や、症状を和らげるための具体的なマッサージ方法について、わかりやすく説明します。
日常生活で前もって注意したいポイントも紹介しますので、自分でできる範囲で行ってみましょう。
目次
坐骨神経痛とは?引き起こしてしまう腰痛を確認しよう
坐骨神経痛とは、お尻から太もも、ふくらはぎにかけての痛みや痺れなどを引き起こす症状の総称です。
これは坐骨神経が何らかの原因で圧迫されることで発症します。
主な原因として、以下の2つが挙げられます。
- ・腰椎椎間板ヘルニア
- ・腰部脊柱管狭窄症
これらの特徴を理解することで、日常生活の負担を軽減する助けになりますので、ぜひ参考にしてください。
ヘルニアと坐骨神経痛の関係
腰椎椎間板ヘルニアは、腰の部分の椎間板が飛び出して神経を圧迫し、坐骨神経痛を引き起こす病気です。
椎間板は骨と骨をつなぐクッションの役割を果たしており、このクッションがずれて神経に触れることで、強い痛みや痺れを引き起こします。
腰椎椎間板ヘルニアは、20~30代の若者や、40代以降の壮年期の男性に多く見られます。
これらの年齢層は、日常生活や仕事での身体的な負担が大きいことが一因とされています。
腰椎椎間板ヘルニアを引き起こす姿勢や動作は以下のとおりです。
ヘルニアを引き起こす姿勢 | ・あぐら
・横座り ・猫背 ・中腰 |
ヘルニアを引き起こす動作 | ・肥満
・過度な運動 ・腰を回す ・重いものを急に持ち上げる |
特に、重い物を急に持つ動作は、腰椎椎間板ヘルニアのリスクを大幅に増加させます。
また、腰だけでなく、膝を使って持ち上げるようにしてゆっくりと持ち上げることで、腰への負担を軽減することが大切です。
腰部脊柱管狭窄症が引き起こす坐骨神経痛
腰部脊柱管狭窄症は、腰の脊柱管が狭くなり、馬尾神経を圧迫して坐骨神経痛を引き起こす病気です。
脊柱管は背骨の中にあり、脊髄と神経が通っており、加齢に伴い、椎間板や椎骨が変形し、脊柱管が狭くなることが一般的です。
腰部脊柱管狭窄症は特に加齢によるものが多く、50代以上の中高年に多く見られます。
この年齢層は、長年の姿勢や運動習慣の影響を受けやすく、脊柱管が狭くなりやすいのが理由の一つです。
脊柱管狭窄症を引き起こす姿勢 | ・前かがみの姿勢
・長時間同じ姿勢での作業を続ける |
脊柱管狭窄症を引き起こす動作 | ・背中を反らす動作
・腰をひねる動作 ・背筋を伸ばす |
急に方向を変えたり、体をひねる動作は腰に大きな負担をかけます。
急に振り向く動作は避け、ゆっくりと体を回すようにしましょう。
坐骨神経痛の主な原因
坐骨神経痛は、お尻から足にかけての痛みや痺れを指し、さまざまな原因によって引き起こされます。
ここでは、主な原因について詳しく紹介します。
帯状疱疹
帯状疱疹は、水痘・帯状疱疹ウイルスが神経に潜んで再活性化することで発症します。
坐骨神経にこのウイルスが感染すると、腰椎椎間板ヘルニアによる坐骨神経痛と似た症状が引き起こります。
帯状疱疹による坐骨神経痛は、水ぶくれが痛みの部位に一致して現れることで判別が可能です。
しかし、皮膚症状が出るまでに1週間近くかかることが多いため、最初は椎間板ヘルニアと誤診されることがあります。
帯状疱疹が治った後も、神経の痛みが続く場合はこれを帯状疱疹後神経痛といい、通常の鎮痛薬では効果が不十分な場合が多いです。
梨状筋症候群
梨状筋症候群は、お尻の奥にある梨状筋が坐骨神経を圧迫することで生じる痛みです。
主に運動のしすぎや運動不足が原因です。
筋肉を過度に伸ばすことで、梨状筋が坐骨神経を圧迫することがあります。
例えば、スポーツやトレーニングの際に、梨状筋に負担がかかりやすくなります。
また、日常的に重いものを運ぶ仕事などで、梨状筋が酷使されやすくなったり、デスクワークや長時間の運転で、梨状筋が硬直しやすくなったりします。
変形性腰椎症
変形性腰椎症は、腰の鈍い痛みや重い感じ、だるさを引き起こす病気です。
特に朝起きたときや疲れたとき、腰を動かし始めたときに痛みが強くなります。
例えば、長時間前かがみの姿勢を続けると、腰を伸ばすのが難しくなります。
また、胸を張るような姿勢をとると痛みが増したりする一方、温かいお湯で筋肉が緩みやすくなり痛みが軽減することがあります。
その他の症状では、朝起きたときに腰のこわばりが出たり、痛みをかばうために姿勢が悪くなったりと背骨がゆがむことがあります。
脊椎炎・脊椎カリエス
脊椎炎や脊椎カリエスは、細菌や結核菌によって引き起こされる深刻な病気です。
これらは椎間板や骨を破壊し、激しい痛みを伴います。
化膿性脊椎炎は、頚椎、胸椎、腰椎のどこでも発症し、腰椎で発症すると坐骨神経痛に似た症状が出ることがあります。
主に背中から腰にかけて激痛が走り、身動きが取れないほどの痛みが出るのが特徴です。
対して脊椎カリエス(結核性脊椎炎)は結核菌が原因で、腰椎に発症する病気です。
坐骨神経痛のような症状を呈し、進行すると全身に影響を及ぼします。
神経腫瘍・腰椎腫瘍
腰椎腫瘍は、腰椎にできた腫瘍が神経を刺激し、坐骨神経痛を引き起こします。
腫瘍は良性でも悪性でも、激しい痛みを伴う症状が見られます。
腫瘍ができた部位を中心に激痛が走りますが、腰部脊柱管狭窄症とは異なり、安静にしていても痛みが続きます。
診断方法としてレントゲンやMRIで診断が可能ですが、最終的には骨の一部をとって検査することで確定します。
腰椎分離症・分離すべり症
腰椎分離症・分離すべり症は、腰椎の骨がずれることで神経を圧迫し、痛みや痺れを引き起こします。
腰椎分離症は腰椎のずれにより腰に痛みが生じ神経が圧迫されることで、お尻や足に痛みやしびれが広がる症状が現れます。
対して変性すべり症は脊柱管狭窄症を伴うことが多く、下肢痛やしびれ、間欠性跛行、排尿障害などの症状が見られるのが特徴です。
腰椎分離症では、病状の評価にレントゲン、CT、MRIなどの画像検査が使用されます。
レントゲン検査では、病気が進行している場合、脊椎の一部がずれているのが見えます。
分離すべり症では、腰椎がずれることで神経根が圧迫されますが、脊柱管(馬尾神経が入っている部分)が狭くなるわけではありません。
そのため、MRIでははっきりとした診断が難しい場合があります。
マッサージが坐骨神経痛に効く理由
坐骨神経痛のほとんどの場合、痛みの原因は血行不良によって硬くなった筋肉内のトリガーポイントです。
多くの人が「坐骨神経が圧迫されて痛みが出ている」と思っていますが、実際には神経の圧迫ではなく、筋肉の問題が主な原因です。
医療現場では、坐骨神経痛と診断された患者のほとんどが、筋肉のトリガーポイント治療で改善しています。
一般にネットなどでは神経の圧迫による痛みや痺れとして説明されることが多いため、混乱することもありますが、実際には神経が圧迫されても痛みや痺れを引き起こすことは少ないです。
神経は痛みを感じるための伝達経路であり、圧迫されても感覚がなくなるか、動かせなくなる麻痺が起こることがあります。
坐骨神経は腰部から始まり、お尻や脚に至るまでの途中で大きな筋肉に覆われています。
痛みや痺れの原因はこの表層の筋肉からの問題が多く、正しい治療が必要です。
坐骨神経痛は足指のマッサージで解消!やり方を動画で解説
当院の「NOBU先生」はチャンネル登録145万人を誇るユーチューバーとして有名です。
マッサージのやり方や坐骨神経痛の原因について詳しく解説された動画を各3つ紹介します。
ぜひ日常生活に取り入れてみてください。
【坐骨神経痛の解消法】9割の坐骨神経痛は足指はがしで解消!
【骨盤リセット】2分で骨盤矯正!老廃物むくみ流して・ぽっこり下腹部・坐骨神経痛・反り腰まで消えた方法!
【腹筋100回より痩せて坐骨神経痛・腰痛も解消】リンパ流し立ち腹筋で勝手に痩せ体質になる方法
自宅でマッサージをする際には、腰や足の状態に合わせて両手で軽く圧力をかけ、指の力の強さを調整するようにしましょう。
腰や足を曲げたり、反対側に動かしたりすることで、腰や太ももの外側の筋肉をほぐし、骨盤の位置を正すことができるので、歪みの解消にも効果的です。
また、姿勢以外にも体重の増加が足腰に負担をかけ、坐骨神経痛を引き起こすことがあります。
運動不足により筋力が低下すると、足が痛くなることがありますので、腰の痛みで仰向けの姿勢が難しい場合は3つ目にご紹介した、立ち腹筋のトレーニングを取り入れるのもおすすめです。
動けないほど辛い場合は、椅子に座ってストレッチする動画を取り入れてみてください。
当院では、足腰に関する悩みの相談やカウンセリングの予約も受け付けていますので、お気軽にお問い合わせください。
もしマッサージを行っても「症状が改善しない場合」や「押しているときに痛いと感じる場合」は、マッサージを続けずに整形外科を受診するようにしましょう。
保存療法で坐骨神経痛を和らげるやり方
マッサージに保存療法を組み合わせることで、坐骨神経痛の症状をさらに暖和できるでしょう。
ここでは、保存療法について詳しく説明します。
運動療法
運動療法で腹筋と背筋を強化することで、腰椎の安定性が増し、正しい姿勢を保つのに役立ちます。
運動療法は、筋力トレーニングとストレッチを組み合わせて行います。
これにより、筋肉の血行が改善され、筋力が増強されることで、坐骨神経痛の症状を改善する効果が期待されます。
物理療法
物理療法には、主に3つの方法があります。
はじめに温熱療法は熱を利用して筋肉の緊張をほぐし、血行を促進することで痛みを和らげます。
一般的に、温湿布や温水浴などが用いられます。
次にマッサージ療法では筋肉のこりや緊張をほぐし、血行を改善することで痛みを緩和します。
特に、お尻や背部の筋肉を対象にした施術が効果的です。
最後に牽引療法は患部を引っ張ることで椎間板への圧力を減らし、神経の圧迫を軽減できるので椎間板ヘルニアなどで特に有効です。
薬物療法
坐骨神経痛に対する薬物療法では、主に2種類の薬物が使用されます。
- ・鎮痛剤
- ・筋弛緩剤
一つ目の鎮痛剤は痛みを和らげる目的で使用され、非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)やオピオイド系の薬物が一般的です。
二つ目の筋弛緩剤は筋肉の緊張を和らげ、痛みを緩和する効果があります。
近年では、個々に合った薬物の選択肢が広がっており、副作用のリスクや個人の体質に応じた治療が可能です。
手術で坐骨神経痛を改善するやり方
坐骨神経痛が重症の場合、手術治療が考慮されます。
そこで椎間板ヘルニアと腰部脊柱管狭窄症の手術方法を消化しいます。
腰椎椎間板ヘルニアに対する手術治療
従来、椎間板ヘルニアを取り除く手術は背中から大きな切開が必要でしたが、現代では顕微鏡下や内視鏡下での手術が主流となっています。
これにより、手術後の回復期間が短くなり、患者への負担が大幅に軽減されました。以下は、具体的な3つの手術方法とその詳細です。
顕微鏡下手術
顕微鏡下手術は、手術用顕微鏡を使用して、患部を高倍率で拡大しながら行う手術方法です。
この方法では、細かい神経や血管を避けながら正確に椎間板の一部を取り除くことができます。
手術のメリットとしては、以下の点が挙げられます。
- 従来の方法に比べて切開が小さく、傷口が早く治る
- 手術が非常に正確に行われ、周囲の組織へのダメージが少ない
- 患者の回復期間が短く、早期の社会復帰が期待できる
内視鏡下手術
内視鏡下手術は、内視鏡という細いカメラと特殊な手術器具を用いて行う方法です。
内視鏡を使用することで、皮膚に小さな切開を入れて手術を行うことが可能です。
この方法のメリットは次の通りです。
- ・極小切開:数ミリの小さな切開で済み、術後の痛みが少なく、傷跡も目立ちにくい
- ・短い入院期間:短期間の入院で済み、早期に日常生活に戻ることができる
- ・低侵襲:周囲の組織に与えるダメージが少なく、手術後の合併症のリスクも低い
腰椎固定術
腰椎固定術は、椎間板の一部を取り除き、その空間に骨を移植して腰椎を固定する手術です。
この手術は、椎間板の安定性を回復させ、痛みを軽減する目的で行われます。
まず椎間板のヘルニア部分を取り除き、圧迫されている神経の圧力を軽減します。
取り除いた椎間板の空間に、骨の移植片を挿入します。この骨移植片は、患者自身の骨や人工骨が使用されます。
さらに腰椎を安定させるために、金属製のプレートやスクリューなどの固定装置を取り付けます。
最後に移植された骨が周囲の骨と融合し、腰椎が安定するまで固定します。
この手術により、椎間板の安定性が回復し、腰痛や坐骨神経痛の症状が大幅に改善されます。
また、腰椎固定術は再発率が低く、長期的な効果が期待できる手術です。
現代の手術技術の進歩により、患者への負担が大幅に軽減され、手術後の回復も早くなっています。
顕微鏡下手術や内視鏡下手術、そして腰椎固定術の導入により、患者はより安心して手術を受けることができ、早期の社会復帰が可能となります。
腰部脊柱管狭窄症に対する手術治療
腰部脊柱管狭窄症は、脊柱管が狭くなり、神経を圧迫することで痛みやしびれを引き起こす病気です。
この病気に対する手術治療には、主に2つの方法があります。それぞれの手術方法について詳しく説明します。
椎弓切除術(ラミネクトミー)
椎弓切除術は、脊柱管内の圧力を解消するための手術です。
まず脊柱の後方部分にある椎弓(ついきゅう)という骨を部分的に、または完全に切除します。
これにより、脊柱管が広がり、圧迫されている神経への圧力が解消されます。
次に椎弓とともに、脊柱管内にある黄色じん帯も切除します。
黄色じん帯は、脊柱管を狭める原因の一つとなることがありますが、この手術により、神経への圧力が軽減され、痛みやしびれの症状が改善されます。
手術は比較的短時間で行えるため、回復が早いのがメリットです。
腰椎後方固定術
腰椎後方固定術は、椎弓切除と同時に行われる手術です。
まず、椎弓切除術と同様に椎弓と黄色じん帯を切除し、脊柱管内の圧力を解消します。
次に、切除した部分に骨移植を行います。移植する骨は、患者自身の骨や人工骨が使用されます。
移植された骨が安定するまでの間、腰椎を固定するために金属製のプレートやスクリューなどの固定装置を取り付けます。
この手術の目的は、脊柱管の圧迫を解消するとともに、腰椎を安定させることです。
固定術により、腰椎の動きを制限し、再発を防ぐ効果もあります。
まとめ:坐骨神経痛の予防や治療は専門医に相談してみるのがおすすめ
今回は坐骨神経痛によるしびれの原因や、症状を和らげるための具体的なマッサージ方法について紹介しました。
坐骨神経痛の検査は時間をかけた、専門医の診断と適切な治療計画が重要です。
治療の一環としては、保存治療を受けながら痛みや痺れと向き合う必要があります。
例えば、薬物療法や物理療法を通じて症状を管理し、運動やバランスのとれた食生活を意識することが重要です。
また、運動には腹筋や背筋の強化を含めた上で、ストレッチや有酸素運動を取り入れましょう。
食事では炎症を抑える食品と栄養バランスを考慮し、肥満をしっかり管理することもおすすめです。
生活習慣の見直しも欠かせず、長時間の同じ姿勢を避けて腰回りの負荷を軽減したり、動かす部位を改善したりする工夫が効果的です。
また、肩こりから坐骨神経痛につながる可能性もあるので、首から足先まで全身に効果のあるラジオ体操を取り入れてることが助けになります。
坐骨神経痛は継続的な努力が必要な疾患ですが、専門医の指導のもとで個別に合ったアプローチを取り入れ、健康な生活を目指しましょう。
もしも、マッサージをしても痛みが取れない場合は、他の病気も関連している場合もあるのでかかりつけの病院へ受診することをおすすめします。