外反母趾は、足の親指の付け根が変形し、痛みを伴うことが多い症状です。特に、長時間歩いた後や合わない靴を履いたときにズキズキと痛みが走ることがあります。腰や背骨もそうですが、痛みが軽いと我慢して2~3年放っておくと、骨が出っ張ったり曲がったりしていきますが、痛みは自然と無くなっていきます。しかし、変形は一生残るので、それにより機能が低下した部分を補うように体のバランスが崩れ、腰痛や膝痛などを引き起こします。
この記事では、外反母趾の原因や症状を解説し、痛みが強いときの応急処置方法、そして長期的な改善策について詳しくご紹介します。
外反母趾とは?
外反母趾とは、足の親指が小指側に曲がってしまう足の変形のことを指します。足の指が外側に15度以上曲がっていると外反母趾と診断されます。しかし、15度以下でも外側に曲がっているのが確認できるなら、症状が進行中であるといえます。変形によって親指の付け根が突出し、靴に圧迫されることで痛みや炎症が生じます。悪化すると歩行が困難になったり、他の足の指にも影響を及ぼすことがあります。
外反母趾の主な症状
- 親指の付け根が腫れる
- ズキズキとした痛みを感じる
- 長時間歩くと痛みが増す
- 靴を履くと圧迫感がある
- 進行すると親指が他の指を圧迫し、指全体のバランスが崩れる
外反母趾の種類
親指部分の変形の状態や原因から、5種類に分類されます。
仮骨性外反母趾
親指は曲がっていないのに、親指の付け根外側の骨が出っ張っている状態。
靭帯性外反母趾
足の指の付け根にある、5本の指が広がらないように締め付けている中足靭帯が、ゆるんだり伸びてしまったため、関節の位置がずれている状態。
混合性外反母趾
仮骨性と靭帯性が合わさった状態。
ハンマートゥ性外反母趾
足の指が縮こまっていたり、ハンマーのように曲がっていたり、立っているときに足指が床につかず浮いている状態。
病変性外反母趾
関節リウマチやヘパーデン結節の病気が原因で起こる外反母趾。
外反母趾の主な原因
外反母趾の原因には、遺伝的要因と生活習慣によるものがいくつかあります。
遺伝的要因
親や祖父母が外反母趾の傾向がある場合、遺伝的に同じような足の骨格を持っている可能性が高く、発症しやすくなります。
現代人の生活環境
土の上で遊ばなくなり、裸足で過ごすことが減ってしまいました。室内でも靴下やスリッパを履く習慣ができ、次第に足裏への刺激が減少していきました。足の反射機能が衰えると靭帯が緩んでいき、足の変形につながっていきます。
合わない靴
特に、つま先が細いハイヒールやサイズが小さい靴を履くことで、親指が圧迫されてしまいます。
歩き方のクセ
足裏の筋肉を正しく使わない歩き方が外反母趾の原因になります。
足の筋力低下
運動不足により足の筋肉が弱くなると、足のアーチが崩れ、外反母趾を引き起こしやすくなります。
外反母趾がズキズキ痛むときの応急処置
外反母趾は人によって症状や悩みの程度も違うものです。外反母趾でも痛みを感じない場合もあります。しかし、痛みがあるときは、組織が炎症を起こしている時で、変形が現在進行していっている状態なのです。足の裏、指の付け根の出っ張り、親指の付け根、土踏まず…場所は様々ですが、ズキズキと痛みが出てくるときは、応急処置を行うことで症状を和らげましょう。処置が早いほど痛みは早く取れますし、なにより変形を最小限にくい止めることが可能です。早い人で痛みを感じた後、1.2か月後に急に骨の変形が始まったりします。まずは今ある痛み、炎症を止めることを最優先してください。
立ちっぱなしNG
長時間立ち続けていると、足に負担がかかり、腫れや痛みをひどくしてしまいます。仕事でもなるべく休憩をはさんで休む時間を作ることが大切です。
靴を脱いで足を休ませる
まずは靴を脱ぎ、足をリラックスさせましょう。圧迫を避けることで痛みが軽減されます。
スリッパ・サンダルは短時間のみ
スリッパやサンダルは脱ぎきしやすく仕事中に履くことも多い便利な履物ですが、要注意です。足が靴にフィットしていない分、足指や足裏に過剰な緊張が起き、負担がかかり続けます。靴が脱げないように足指をギュッと握る状態で歩くことが習慣になると、足指で地面をとらえる役割を果たせなくなり指の付け根部分に衝撃が増します。足首の自然な転がりも効かなくなりますので、膝や腰にも悪いです。どうしても履かねばならない場合も2~3時間ほどにとどめておきましょう。
冷やして炎症を抑える
痛みがひどい場合は温める方法は適していません。氷や冷湿布を使って冷やしましょう。冷やすことで炎症が抑えられ、ズキズキした痛みが軽減していきます。
テーピングやサポーターを活用する
外反母趾用のテーピングやサポーターを使うことで、親指の動きをサポートし、痛みを軽減することができます。
足指のストレッチを行う
親指を優しく伸ばしたり、足の指をグーパーするストレッチを行うことで、血行を促進し痛みを和らげる効果が期待できます。
外反母趾の長期的な予防と改善方法
応急処置だけでなく、外反母趾を根本的に改善するための方法も知っておきましょう。
正しい靴選び
- 足にフィットした靴を選ぶ:つま先が広く、足全体をしっかり支える靴が理想的です。踵が安定して角に丸みがあり、軽いことも重要です。サイズが合っていないと、靴の中で足がすべってしまったり、不要な捻じれを起こすため、適度にフィットしたものを選びましょう。
- ヒールは低めに:3cm以下のヒールが足に負担をかけにくく、歩きやすくなります。
- インソールを活用する:足のアーチをサポートするインソールを使うことで、負担を軽減できます。緩んでしまった横アーチを再生させるもので症状悪化を防ぎましょう。
おすすめのインソールを紹介します。
足のトレーニング
- タオルギャザー:床に敷いたタオルを足の指でたぐり寄せるトレーニングを行いましょう。
- かかと上げ運動:つま先立ちをしてかかとを上げる運動をすることで、足の筋力を鍛えることができます。
- 足指グーパー運動:足の指を開いたり閉じたりすることで、固まっている足指を柔軟にします。左足のグーパー運動を行う場合、左手で足首部分を持ち固定します。右の手は親指を足裏に置き、人差し指は伸ばして足の甲側に置き、残りの三本の指で親指をしっかりと持ちグルグルと回しましょう。硬さが取れてきたら指の根元からしっかりと折り曲げてグーを作ります。多少痛みがあると思いますが無理はしないようにしてください。次の日に痛みが残らない程度の力で行います。他の指も1本ずつ回したりしっがりとグーを作ったりしながら丁寧に動かします。慣れてくると手で助けずに足指の力でグーパー運動もしてみてください。これを続けていると、次第に歩くとき、立つときに足指が床につき安定します。
- 足を整えるセルフケア:タオルギャザーやグーパー運動と共に、歩くために重要な筋肉を効率よく鍛えていきましょう!動画を紹介します。
整形外科や整体での相談
外反母趾が進行してしまった場合、専門家のアドバイスを受けることが重要です。整形外科ではインソールの処方や手術の相談ができ、整体院では足のバランスを整える施術を受けることができます。
まとめ
外反母趾は、適切な対処を行えば痛みを軽減し、症状を悪化させずに済みます。ズキズキと痛むときは、
- 靴を脱ぎ足を休ませる
- 冷やして炎症を抑える
- テーピングやサポーターを活用する
- 足指のストレッチを行う といった応急処置を行いましょう。
さらに、長期的な対策としては、
- 正しい靴選び
- 足のトレーニング
- 専門家への相談 を心がけることが大切です。
日常生活の中で少しずつケアを続けることで、外反母趾による痛みを軽減し快適な歩行を取り戻しましょう。