この記事は「日本身体運動科学研究所 代表理事・笹川 大瑛」の監修のもと作成されています。
椎間板ヘルニアがあると、夜も眠れないほどの痛みに悩まされることがあります。「うつ伏せで寝ると楽になる」という声もありますが、実際はどうなのでしょうか?
結論からいうと、ヘルニアがある場合、うつ伏せの寝方は一般的に避けるべきとされています。特に腰椎椎間板ヘルニアの場合、うつ伏せになると腰椎が反り返ることがあり、椎間板に負担がかかり、症状が悪化する可能性があると考えられています。
しかし、中にはうつ伏せで寝ると楽になる人もいるため、ご自身の症状に合わせて、うつ伏せで寝るかどうか検討する必要があります。この記事では、医師の見解をもとに、ヘルニアとうつ伏せの関係、正しい寝方の選び方を詳しく解説します。
「腰痛っていうのはこの3つの症状がなくても引き起こされます椎間板ヘルニアる場合ですね腰痛腰痛だからすぐ席が科で診てもらう必要はないんですけどもこの腰痛に加えてこの3つの症状かアルトですね先ほども言ったようにですねこの神経が傷つきあったり鎌田は圧迫されたりいう可能性が非常に高いのでまあ3型外科に行きましょう」
目次
椎間板ヘルニアとは?症状と原因を理解しよう
まず、椎間板ヘルニアについて正しく理解しましょう。椎間板ヘルニアとは、背骨と背骨の間にあるクッションの役割をする「椎間板」が押しつぶされて飛び出してしまった状態です。
腰椎は5つあり、その間にある椎間板がグーッと押しつぶされたり、腰に負担がかかると、飛び出してしまうことがあります。この飛び出した椎間板が神経を圧迫することで、様々な症状が現れる可能性があります。
椎間板ヘルニアの主な症状
椎間板ヘルニアの症状は大きく分けて以下の3つがあります:
症状 | 説明 | 対応 |
---|---|---|
運動麻痺 | 足首を上げる動きができなくなる、つまずきやすくなるなど | すぐに整形外科を受診 |
しびれ | 足がしびれる、触っている感覚がなくなるなど | 整形外科を受診 |
膀胱直腸障害 | おしっこが出にくい、排尿後も残尿感があるなど | すぐに整形外科を受診 |
腰痛 | 腰に痛みを感じる | 上記の症状がなければ自己ケアも可能 |
特に重要なのは、運動麻痺、しびれ、膀胱直腸障害の症状です。これらは神経が圧迫されたり傷ついたりした時に現れる可能性がある症状であり、早めに医療機関を受診する必要があると考えられています。
ヘルニアとうつ伏せ寝の関係性
では、椎間板ヘルニアの状態でうつ伏せに寝ることは良いのでしょうか?それとも避けるべきでしょうか?
うつ伏せの寝方がヘルニアに悪い理由
うつ伏せで寝ることがヘルニアに良くない主な理由は以下の通りです:
腰椎への負担
うつ伏せになると、腰椎が反り返ることがあり、椎間板に負担がかかり、症状が悪化する可能性があると考えられています。これは特に腰椎椎間板ヘルニアの場合に問題となる可能性があります。
神経への圧迫
うつ伏せの姿勢によっては、神経が圧迫され、痛みやしびれが強くなる可能性があると言われています。特に症状が重い場合はリスクが高まる傾向にあるようです。
血行不良
うつ伏せは長時間同じ姿勢を取りやすいため、血行が悪くなり、首や肩の痛みを引き起こす可能性があると考えられています。また、内臓にも良くない影響を与えることがあるという意見もあります。
うつ伏せの寝方がヘルニアに良い場合
一方で、うつ伏せが楽になる場合もあるようです:
腰を反らすと楽になる場合
腰椎椎間板ヘルニアの場合、腰を反らすことで、椎間板の圧力が軽減され、痛みが軽減することがあるという見解もあります。これはマッケンジー体操という、うつ伏せになった状態で腰部を背屈させる運動の原理に基づいているとされています。
うつ伏せで寝ると楽になる場合
症状によっては、うつ伏せで寝ることで楽になる人もいます。体調に合わせて一度試してみて、痛みが軽減するようであれば、適度に取り入れても良いでしょう。特に骨盤の傾きが強い反り腰の人の場合は、うつ伏せ寝の方が痛みを抑えられることもあるようです。
ヘルニアの痛みを和らげる適切な寝方
ヘルニアの痛みを和らげるためには、自分に合った寝方を見つけることが重要です。以下にいくつかの方法を紹介します。
横向き寝の工夫
横向きに寝る場合、膝を軽く曲げて、膝の間にクッションや枕を挟むと腰への負担が軽減されることが多いようです。特に痛みのある側を上にして寝ると楽になることがあると言われています。
仰向け寝の工夫
仰向けで寝る場合は、膝の下にクッションや枕を入れると良いでしょう。これにより腰椎の自然なカーブが保たれ、椎間板への圧力が分散される可能性があります。
うつ伏せ寝る際の注意点
どうしてもうつ伏せで寝たい場合は、以下の点に注意しましょう:
無理強いしない
うつ伏せで寝ていて痛みが強くなる場合は、無理にうつ伏せの姿勢を続けるのではなく、横向き寝や仰向け寝など、自分に合った寝方を試すことが重要であると考えられています。
クッションやタオルで腰をサポート
うつ伏せで寝る際は、お腹の下にタオルやクッションを入れて腰への負担を軽減することが重要です。これにより腰椎への負担を軽減できる可能性があります。
姿勢をこまめに変える
長時間同じ姿勢を続けることは、血行不良や筋肉の硬直を引き起こす可能性があるため、こまめに姿勢を変えるようにしましょう。寝返りをうまく打つことで、体への負担を分散させることができると言われています。
ヘルニアに優しい寝具の選び方
ヘルニアの症状を和らげるためには、適切な寝具の選択も重要です。
マットレスの選び方
理想的なマットレスは、硬すぎず柔らかすぎないものです。体重をしっかり支えつつも、体のラインに沿って適度にフィットするものが良いとされています。低反発や高反発など、自分の体型や好みに合わせて選ぶことが大切です。
枕の選び方
枕は首のカーブをサポートし、自然な姿勢を保てるものが理想的と言われています。横向きに寝る場合は肩幅に合わせた高さの枕、仰向けの場合はやや低めの枕が適しているという見解があります。
ヘルニアの治療法と専門家の見解
椎間板ヘルニアの治療法には、保存療法と手術療法があります。まずは保存療法から始めることが一般的です。
「一番最初にやらないといけないのは、まずは運動です。運動で筋肉をしっかりつけると、この腰を支えている筋肉をしっかり働かせることができます。」
保存療法
保存療法には以下のようなものがあります:
- 運動療法:腰を支える筋肉を鍛えることで症状の改善が期待できるとされています。
- 薬物療法:痛み止めや炎症を抑える薬を服用します
- ブロック注射:神経の近くに注射で炎症を抑える薬を投与する方法もあります
- 理学療法:専門家の指導のもとでリハビリテーションを行います
手術療法
保存療法で効果が見られない場合や、重度の症状がある場合は手術を検討することがあります。最近では内視鏡を使った最小限の傷口で行う手術も普及しているようです。
傷口が小さい方が術後の筋力低下が少なく、回復も早いといわれています。ただし、手術後のリハビリは非常に重要で、すぐに強い運動を行うと再発のリスクが高まる可能性があります。
ヘルニアを防ぐための日常生活での注意点
ヘルニアの予防や症状悪化を防ぐために、日常生活でできることは多くあります。
正しい姿勢を意識する
日常生活で正しい姿勢を意識し、長時間同じ姿勢にならないように気をつけましょう。特にデスクワークが多い方は、定期的に立ち上がって軽く体を動かすことが大切だと考えられています。
腰に負担のかかる動作を避ける
中腰での作業や、重いものを持ち上げるなど、腰に負担のかかる動作は避けるようにしましょう。重いものを持つときは膝を曲げて腰を落とし、背筋を伸ばした状態で持ち上げるのがポイントといわれています。
適度な運動と筋力トレーニング
腰を支える筋肉、特に腹筋や背筋をバランスよく鍛えることで、腰への負担を減らせる可能性があります。ウォーキングやスイミングなどの低負荷の有酸素運動も効果的とされています。
適切な体重管理
体重過多は腰への負担を増加させる可能性があるため、適切な体重を維持することも大切だと考えられています。バランスの取れた食事と適度な運動を心がけましょう。
医師や専門家と相談する
症状が改善しない場合や、不安な場合は、医師や専門家と相談し、適切なアドバイスを受けることが重要です。特に以下のような場合は早めに受診することが推奨されています:
- 足の動きが悪くなった(運動麻痺)
- 強いしびれがある
- 排尿や排便に問題がある
- 安静にしていても痛みが強い
- 症状が徐々に悪化している
ヘルニアとうつ伏せに関するよくある質問
Q. ヘルニアがある場合、うつ伏せで寝るのは絶対にダメですか?
A. 絶対にダメというわけではありません。一般的には避けるべきとされていますが、個人の症状によっては楽になる場合もあります。ご自身の体調を見ながら、痛みが悪化しないか確認することが大切です。腰が反って痛みが増す場合は避け、楽になるようであれば短時間なら問題ないでしょう。腹部の下にクッションを入れると負担を軽減できます。
Q. ヘルニアで夜眠れないほど痛い場合、どうすれば楽になりますか?
A. 横向きに寝て、膝の間にクッションを挟む姿勢が最も負担が少ないとされています。仰向けで寝る場合は膝の下にクッションを入れると腰の負担が減ります。温熱パッドで温めたり、医師に処方された痛み止めを服用するのも効果的です。それでも痛みが強い場合は医療機関を受診しましょう。
Q. ヘルニアの症状がある場合、どのようなマットレスを選ぶべきですか?
A. 硬すぎず柔らかすぎないマットレスがおすすめです。理想的なのは体のラインに沿って適度にフィットし、脊椎の自然なカーブをサポートするものです。低反発マットレスは体圧を分散させる効果がありますが、起き上がりにくいという欠点もあります。高反発マットレスは体をしっかり支える反面、硬すぎると感じる方もいます。可能であれば実際に横になって試してから購入することをおすすめします。
Q. ヘルニアの手術後はどのように寝るのが良いですか?
A. 手術直後は医師の指示に従うことが最も重要です。一般的には、術後しばらくは横向きか仰向けで寝ることが推奨されます。うつ伏せは傷口に負担がかかるため避けた方が良いでしょう。リハビリが進み、医師の許可が出るまでは無理な姿勢を取らないようにしましょう。回復段階に応じて適切な寝方は変わってくるため、定期的に医師に相談することをおすすめします。
Q. ヘルニアの症状があるときに避けるべき日常動作は何ですか?
A. 重いものを持ち上げる動作、中腰での作業、急激なひねり動作、長時間の同じ姿勢(特に座位)は避けるべきです。また、高負荷の運動(ウェイトトレーニングやジャンプを伴う運動など)も症状を悪化させる可能性があります。日常生活では、物を持ち上げる際は膝を曲げて腰を落とし、腰ではなく脚の力を使うようにしましょう。腰に負担のかかる作業は短時間で区切り、こまめに休憩を取ることも大切です。
Q. ヘルニアの症状が出た場合、いつ病院に行くべきですか?
A. 以下のような症状がある場合は、早めに整形外科を受診すべきです:足の動きが悪くなった(足首が上がらない、つまずきやすいなど)、強いしびれがある、排尿や排便に問題がある(出にくい、残尿感があるなど)、安静にしていても強い痛みがある、痛みやしびれが徐々に広がっている、などです。これらの症状は神経が圧迫されている可能性があり、早期の治療が必要です。単なる腰痛だけであれば、まずは安静にして様子を見ても構いませんが、2週間程度改善が見られない場合は受診をおすすめします。
Q. 椎間板ヘルニアの場合、どのような運動が適していますか?
A. 椎間板ヘルニアに適した運動としては、ウォーキング、水中ウォーキング、水泳(特に背泳ぎ)、ヨガ(ヘルニア向けの緩やかなポーズ)、ピラティスなどが挙げられます。これらは低負荷で腰部への衝撃が少なく、コア筋肉(腹筋・背筋)を強化するのに役立ちます。ただし、ジョギング、ウェイトトレーニング、テニスなど衝撃や急な動きを伴う運動は避けた方が良いでしょう。運動を始める前に医師や理学療法士に相談し、自分の症状に合った適切な運動プログラムを作成してもらうことをおすすめします。