肩こりやストレス問題は現代の多くの人々にとって日常的な悩み事です。これらの問題を解決し、健康な生活を実現する方法のひとつとして、肩甲骨はがしという整体法が注目されています。肩甲骨はがしは、肩甲骨周りの筋肉と関節にアプローチし、痛みや緊張を和らげます。この記事では、肩甲骨はがしについての詳細な情報とアドバイスを紹介します。
目次
肩甲骨はがしとは?
肩甲骨周りの筋肉をほぐして、緊張を緩和させて本来の動きができるようにする施術を肩甲骨はがしといいます。
肩甲骨の動きと役割
肩甲骨は背中の左右についている羽根のような骨で、胴体と腕をつないでいます。肩甲骨自体は鎖骨だけで胴体についており、あとは筋肉によって支えられています。肩をすくめたり、上げた肩を下げたり、胸を張ったり、腕を前に出す、バンザイをする、背中に腕を回すといった上や下など6方向に柔軟に動くことが可能です。
首や肩の動きにかかわる筋肉が多数ついている肩甲骨は、肩を動かすのに重要な働きをしています。
あなたの肩甲骨はガチガチ?セルフチェック法
壁に背を向けて立ち、背中、腕、かかとをつけてまっすぐ立ちましょう。腕が壁から離れないようにしながら肘をまっすぐ、手のひらは下にした状態で肩の位置まで上げます。さらに腕を上げ、痛みの感じないところまであげることができた角度を確認しましょう。
腕の角度が60度以上にできた場合は問題ありません。肩甲骨の柔軟性は十分にあります。45〜60度はややガチガチ肩甲骨です。肩甲骨の動きがやや悪くなっています。言い換えれば、肩甲骨を動かす筋肉が硬くなっている状態です。45度未満の場合、ガチガチ肩甲骨です。肩甲骨を動かす筋肉が硬くなっており動きが制限されています。肩関節のみ動いている状態です。
肩甲骨はがしの効果とは
肩こりや頭痛の解消
肩甲骨周りの筋肉をほぐすので姿勢改善が期待できます。肩の筋肉がほぐれ、動く範囲(可動域)が広がると血流が良くなり、肩こりが和らぎます。
片頭痛、群発性頭痛、緊張性頭痛の中でも肩こりが原因で起こる「緊張性頭痛」の緩和にもつながります。緊張性頭痛は反復性緊張型頭痛(頭や首、肩の筋肉の緊張から起こることが多いと考えられる)と慢性緊張性頭痛(脳そのものが痛みを感じやすいのが原因ではないかといわれている)があり、後頭部を中心に両側が痛む、偏頭痛のようなズキズキする痛みや寝込むほどの強い痛みではない、首や肩のこりを伴うことが多いなどの特徴があります。緊張性頭痛は長時間同じ姿勢でいたり、無理な姿勢でいたことにより、首や頭の筋肉に負担がかかって緊張が高まり、血行不良が起こります。その結果、疲労物質がたまり、これが神経を刺激して頭痛が引き起こされていると考えられています。精神的ストレスも関係しているといわれています。そのため、肩こりが解消されて緊張状態が軽減されると頭痛も改善されるわけす。
血液循環とリラクゼーションへの影響
筋肉の緊張がほぐれ、血流が良くなると、自律神経にも良い影響を及ぼします。自律神経のうち、交感神経は血管を収縮させ、副交感神経は血管を広げる作用があります。血行をコントロールしているのは自律神経ですが、血行がよくなると自律神経のバランスが整いやすくなり、心身のリラックス状態が促進されます。
運動パフォーマンスの向上
アスリートにとって肩甲骨が良く動くことは投球パフォーマンス向上につながります。同時にゲガ防止にも有効です。野球のピッチャーの投球、バレーのスパイクは肩甲骨が大きく動くとパワフルに行うことができます。ゴルフのスイングも脇を締め、肩甲骨を引き締めて行うと飛距離を伸ばすことができます。
肩甲骨のはがしって痛い?
肩甲骨はがしとは痛そうな響きのワードですが、痛くはありません。痛い施術はかえって筋緊張を高めて筋肉がほぐれるどころか硬くなってしまい、効果が期待できません。
自宅でできる肩甲骨のケア
整体院での施術だけでなく、自分でも肩甲骨をほぐすストレッチをするのもおすすめです。肩甲骨がガチガチに固まってしまうのは、長時間のデスクワークやスマホ操作で同じ姿勢をとってしまうのが原因であり、作業の合間にストレッチなどを実施して肩の血流を促進させて肩こりを予防します。ストレッチやフォームローラー、テニスボールによる肩甲骨はがしは痛ければ効果があるわけではないので、痛みが出ない程度に無理なく実施しましょう。
ストレッチによる肩甲骨はがし
座ってできるストレッチ①
- 両肘を曲げ、肩より高く上げて両肘をゆっくりと後ろに引きます。
- 息を吐きながら5秒かけて肩甲骨をしっかり寄せます。
- 肩甲骨を寄せたまま、肘を下げて力を抜きます。
- 1〜4を5回繰り返します。
座ってできるストレッチ②
- 両肘を曲げ、脇を開くように腕を肩より高く上げます。
- 肩甲骨をしっかり寄せながら、息を5秒かけて吐きながら肘を後ろに引きます。肘の高さは肩より下にならないように気をつけます。
- 肩甲骨を寄せた状態から肘を下げて、腕を下ろします。
- 1〜3を3回1セット、1日2回行いましょう。
フォームローラーの利用法
バンザイストレッチ①
- 床に枕とローラーを縦に並べておきましょう。
- 膝を立てて座った状態から手を後ろにつきながら、頭が枕の上にくるように仰向けに寝ます。
- 両手の親指同士を引っかけて離れないようにし、両手を頭の上にグッと伸ばします。この時、肩甲骨がローラーに面しているのを感じながら、腰が反らないよう、お腹を引き締めましょう。
腕の上下運動②
- ローラーの上に寝た状態で両腕を天井に伸ばします。伸ばした腕は垂直になるようにするのがポイントです。
- 息を吸いながら、腕をさらに天井の方へ伸ばします。
- 息を吐きながら肩甲骨をローラーに挟むようにして腕を床の方に下ろします。
- 2と3の腕の上下運動を10回繰り返しましょう。
テニスボールの活用
仰向けで肩甲骨はがし①
- 床の上で仰向けになります。可能であれば、硬過ぎず柔らかすぎない布団の上で行う方がボールの押す力がちょうど良くなります。
- 床と自分の間にテニスボールを挟みます。背骨と肩甲骨の間の菱形筋にテニスボールが当たるようにします。
- 右ならえの状態から腕を天井の方にまっすぐあげ、体に沿わせるようにしながら腕をゆっくり下ろします。
- 肩甲骨の縁に沿って少しずつボールを当てる位置をずらしながら、3の動作を行います。片方の肩甲骨の縁に沿って行い、肩甲骨の下までほぐしたら、もう片方の肩甲骨の縁に沿って同様に行います。ほぐしている間は、呼吸を止めないようにしましょう。
仰向けで肩甲骨はがし②
- 床のうえに仰向けに寝ます。膝を伸ばすか立てるかは、自分がラクだと思う方で良いです。
- テニスボールを2個用意し、首の付け根の両サイドと床の間にテニスボールをそれぞれ置きます。ボールが直接、肩甲骨や背骨などの骨に当たらないように注意しましょう。
- 頭を左右にゆっくり、10回揺らしましょう。
肩甲骨はがしの際の注意点
四十肩や五十肩などで肩周りに痛みが出ている時に肩甲骨はがしをしてはいけません。ストレッチ中に痛みやしびれを感じた場合はすぐに中止しましょう。肩甲骨は無理に動かし過ぎてもかえって筋肉や靭帯を痛めかねませんので、ほどほどに実施しましょう。
プロのアドバイスを受けるメリット
肩甲骨の専門家からアドバイスを受ける主なメリットは、一人ひとりに合わせてカスタマイズされたアプローチと指導が得られることです。専門家は個々のニーズと目標に合わせてセッションやトレーニングプランを調整し、最適なケアを提供しています。本人の健康状態や目標に合わせてセッションを計画し、進捗をモニタリングした結果からアドバイスを提供し、健康状態の改善をサポートしているのです。
まとめ
肩甲骨は鎖骨・上腕筋とともに動くことで様々な方向に動くことを可能する重要な役目を担っています。そのため、長時間のデスクワーク等で同じ姿勢でいたり、日常生活において運動不足だと肩甲骨周囲の筋肉がこり固まり、動きが悪くなります。肩甲骨周囲がこると、腕を十分に上げられないなどの日常生活に支障を及ぼしかねない状態になります。腕だけでなく肩や首もこり、頭痛が起きたり、アスリートにおいては投球などのパフォーマンス低下につながります。
プロによる施術で肩甲骨周りの筋肉をほぐし、動きをよくしてもらいましょう。施術だけでなく、日常生活で気をつけることやセルフケア方法のアドバイスをもらい、自宅や職場で実践しましょう。