この記事は「セルフケア整体 院長・森下 信英(NOBU先生)」の監修のもと作成されています。
五十肩の激しい痛みで腕が上がらず、日常生活に支障をきたしていませんか?五十肩の市販薬選びでは、症状の段階に応じて適切な薬を選ぶことが重要です。急性期には鎮痛消炎成分配合の湿布薬や飲み薬(ロキソプロフェンナトリウム、ジクロフェナクナトリウムなど)が効果が期待でき、慢性期には温感タイプの湿布や漢方薬がおすすめとされています。この記事では、五十肩に効く市販薬の種類から選び方、注意点まで専門家が詳しく解説し、あなたの症状に最適な薬を見つけるお手伝いをします。五十肩の市販薬による適切な対処で、つらい痛みからの解放を目指しましょう。
目次
つらい五十肩の痛み…まずは症状のステージをチェック
五十肩は医学的には「肩関節周囲炎」と呼ばれ、肩関節の周りの組織に炎症が起こる疾患です。五十肩の症状は大きく分けて急性期(激痛期)と慢性期(拘縮期)の2つの段階があり、それぞれ異なるアプローチが必要になります。
急性期(激しい痛みの時期)の特徴
急性期は痛みが最も強く、次のような症状が現れます:
- 肩や腕に激しい痛みが生じる
- 夜間痛で眠れない
- 少し動かすだけでも強い痛みを感じる
- 炎症による熱感や腫れ
慢性期(痛みや動きの制限が続く時期)の特徴
慢性期では炎症は落ち着きますが、関節の可動域制限が主な問題となります:
- 肩の動きが著しく制限される
- 痛みは軽減するが、こわばりが残る
- 日常動作(髪を結ぶ、服を着る等)が困難
- 筋肉の萎縮や血流の悪化
五十肩になる理由は、肩甲骨の裏から肩の前につく筋肉と、肩甲骨から肘の後ろ側までつく筋肉が弱くなってサボってしまい、肩と肩甲骨の位置がずれてしまうからです。そのため、腕を上げようとしても肩甲骨も一緒に動いて固まってしまいます。
五十肩に使える市販薬の種類と特徴(貼り薬・塗り薬・飲み薬・漢方薬)
五十肩の治療に使える市販薬は、成分や剤形によって様々な種類があります。症状や使いやすさに応じて選択することが大切です。中でも、肩こりや関節痛に特化した成分配合の薬を選ぶことで、より効果が期待できる可能性があります。
薬の種類 | 主な成分 | 特徴 | 適用時期 |
---|---|---|---|
貼り薬(湿布) | ロキソプロフェン、ジクロフェナク、インドメタシン | 患部に直接作用、使いやすい | 急性期・慢性期 |
塗り薬(ゲル・クリーム) | ボルタレン、フェルビナク | 患部にピンポイントで塗布可能 | 急性期・慢性期 |
飲み薬(錠剤) | ロキソプロフェン、イブプロフェン | 全身に作用、強い鎮痛効果 | 主に急性期 |
漢方薬 | 独活葛根湯、桂枝茯苓丸 | 体質改善、血流促進 | 主に慢性期 |
温感タイプと冷感タイプの使い分け
貼り薬には温感タイプと冷感タイプがあり、症状に応じて使い分けることが重要です。急性期の炎症が強い時期は冷感タイプ、慢性期の血流改善には温感タイプが効果的とされています。
【症状別】専門家が解説!五十肩の市販薬おすすめの選び方
五十肩の市販薬選びで最も重要なのは、現在の症状の段階を正しく把握し、適切な成分の薬を選ぶことです。薬剤師への相談も積極的に活用しましょう。
急性期(激痛期)の薬選びのポイント
急性期では炎症と痛みの抑制が最優先です。次の成分を含む市販薬が効果的とされています:
- ロキソプロフェンナトリウム:強力な鎮痛・抗炎症効果が期待できる
- ジクロフェナクナトリウム:患部への浸透性が良いとされる
- インドメタシン:炎症を強力に抑制する作用が報告されている
急性期の激しい痛みには、鎮痛消炎成分配合の湿布薬(ロキソニンテープ、フェイタスZαジクサスなど)や飲み薬(ロキソニンSプラス、コリホグスなど)の使用が一般的です。
慢性期(拘縮期)の薬選びのポイント
慢性期では血流改善と筋肉のこわばり緩和が重要になります:
- 温感成分(カプサイシン等):血流を促進し、筋肉をほぐす効果が期待される
- 漢方薬:体質改善により根本的な改善を目指す
- ビタミン類配合薬:神経機能の回復をサポートする可能性がある
慢性期には温感タイプの湿布薬(フェイタスシップ温感など)や漢方薬(シジラック(独活葛根湯)など)が推奨されています。
タイプ別・五十肩におすすめの市販薬詳細解説
【貼り薬】おすすめ5選と効果的な使用法
1. ロキソニンSパップ
有効成分ロキソプロフェンナトリウムを配合した強力な鎮痛消炎効果が期待できる湿布です。急性期の激しい痛みに特に効果的とされ、1日1回の使用で長時間効果が持続する可能性があります。第2類医薬品として薬剤師の指導の下で適切に使用することが大切です。
2. ボルタレンACテープ
ジクロフェナクナトリウムを主成分とし、患部への浸透性に優れているとされています。関節の深部まで有効成分が届きやすく、五十肩の痛みに効果が期待できます。貼付時間は24時間以内とし、連続使用は避けることが推奨されています。
3. フェイタスZαジクサス
ジクロフェナクナトリウムに加え、l-メントールを配合した冷感タイプの湿布で、急性期の炎症を伴う痛みに適しているとされています。冷却効果により炎症の抑制が期待できます。
4. 温感タイプ湿布各種
慢性期の血流改善には、カプサイシンやノニル酸ワニリルアミドを配合した温感湿布が効果的とされています。筋肉のこわばりをほぐし、関節可動域の改善が期待できる可能性があります。
5. インドメタシン配合湿布
強力な抗炎症作用を持つインドメタシンを配合した湿布は、急性期の強い炎症に対して効果が期待できます。ただし、皮膚刺激のリスクもあるため、使用前にパッチテストを行うことが推奨されています。
【塗り薬】おすすめ3選と正しい塗布方法
1. ボルタレンACゲル
ジクロフェナクナトリウムを主成分とするゲルタイプの外用薬です。べたつきが少なく、マッサージしながら塗り込むことで血流改善効果も期待できます。1日3-4回、患部に薄く塗布することが基本的な使用方法です。
2. フェルビナクスティック
フェルビナクを主成分とし、スティックタイプで塗りやすく、持ち運びにも便利です。肩こりから五十肩まで幅広い肩の痛みに対応できるとされています。直接患部に塗布でき、手を汚さずに使用できる利点があります。
3. サリチル酸系塗り薬
サリチル酸メチルを主成分とする塗り薬は、比較的副作用が少なく、長期使用にも適しているとされています。軽度から中等度の痛みに効果が期待でき、他の薬剤との併用も可能な場合が多いです。
【飲み薬】おすすめ3選と服用時の注意点
1. ロキソニンS
ロキソプロフェンナトリウムを主成分とする強力な鎮痛剤です。急性期の激しい痛みで眠れない時などに効果的とされていますが、胃腸への負担を考慮し、食後の服用が推奨されます。1日3回まで、必要時のみの服用が基本です。
2. バファリンプレミアム
イブプロフェンとアセトアミノフェンのダブル処方で、様々なタイプの痛みに対応するとされています。胃への負担を軽減する成分も配合されており、比較的安全性が高いとされています。ただし、長期連用は避けることが重要です。
3. 総合感冒薬タイプ
解熱鎮痛成分に加え、ビタミン類やカフェインを配合した総合タイプの薬も、五十肩の痛みに使用される場合があります。ただし、必要な成分のみを摂取できる単一成分の薬の方が、副作用のリスクは低いとされています。
【漢方薬】おすすめ3選と体質に応じた選び方
1. シジラック(独活葛根湯)
独活葛根湯を主成分とする漢方薬で、五十肩に特化した処方です。血流を改善し、肩の動きを回復させる効果が期待できるとされています。慢性期の症状改善に適しており、漢方薬の選び方も参考になります。体力が中程度またはやや虚弱な方に適しているとされています。
2. 葛根湯
肩こりや首のこわばりに古くから使われている漢方薬です。体を温めて血流を促進し、筋肉の緊張をほぐす作用があるとされています。比較的体力のある方に適しており、風邪の初期症状にも効果が期待できます。
3. 桂枝茯苓丸
血流改善に特化した漢方薬で、特に女性の肩こりや五十肩に効果が期待できるとされています。ホルモンバランスの変化による肩の症状にも対応できる可能性があります。のぼせやすく下半身が冷える方に適しています。
市販薬を使用する際の注意点と副作用について
五十肩の市販薬を安全に使用するために、以下の注意点を必ず守りましょう。薬の効果を最大限に活かすためには、正しい使用法の理解が不可欠です。
NSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬)の注意点
ロキソプロフェンやジクロフェナクなどの成分は効果が高い反面、次の副作用の可能性があります:
- 胃腸障害:胃痛、胃もたれ、消化性潰瘍のリスクがある
- 腎機能への影響:長期使用時の腎機能低下の可能性
- 心血管系リスク:高血圧や心疾患のある方は注意が必要
- アレルギー反応:喘息の既往がある方は特に注意
厚生労働省_医薬品情報では、NSAIDsの適正使用に関する詳細な情報が提供されています。
外用薬使用時の注意
貼り薬や塗り薬でも皮膚からの吸収により全身への影響が起こる可能性があります。特に以下の点に注意してください:
- 同じ場所への長時間貼付は避ける(最大24時間)
- かぶれや発疹が現れたら即座に使用を中止
- 他の鎮痛剤との併用は避ける
- 入浴前後1時間は貼り替えを避ける
- 妊娠中、授乳中の使用は医師に相談
漢方薬の注意点
漢方薬は比較的安全とされていますが、体質に合わない場合は副作用が現れることがあります:
- 胃腸症状(吐き気、下痢等)
- アレルギー反応(発疹、かゆみ等)
- 他の薬との相互作用
- 甘草による偽アルドステロン症(むくみ、血圧上昇)
薬剤師への相談が重要な理由
市販薬選びでは、薬剤師への相談が非常に重要です。症状の程度、既往歴、服用中の薬、アレルギーの有無などを総合的に判断し、最適な薬を選択してもらえます。特に複数の薬を併用している場合は、相互作用のチェックが必要です。
市販薬で改善しない?病院を受診する目安
市販薬を適切に使用しても症状が改善しない場合は、専門家による診察が必要です。次の症状がある場合は早めの受診をおすすめします。
緊急受診が必要な症状
- 突然の激しい痛みで動かせない
- 腕のしびれや脱力感
- 発熱を伴う強い痛み
- 外傷後の痛み
- 痛みで意識がもうろうとする
早期受診を検討すべき症状
- 市販薬を2週間使用しても改善がない
- 痛みが徐々に悪化している
- 日常生活に著しい支障がある
- 夜間痛で睡眠が困難
- 関節可動域が著しく制限されている
医療機関では、より強力な処方薬の投与や注射治療、理学療法など、市販薬では対応できない治療選択肢があります。症状が重い場合や長期化している場合は、遠慮せずに相談することが大切です。日本整形外科学会_五十肩ガイドラインでは、専門的な治療指針が示されています。
五十肩の市販薬と併用したい!効果的なセルフケア方法
市販薬の効果を最大限に活かすために、日常のセルフケアも重要です。専門家が推奨する安全で効果的な方法をご紹介します。
手のひらを前に向けて、手のひらの方向に手首を曲げます。この状態をキープしたまま、反対側の胸あたりに腕をグーッと振って押し当てるようにします。そうすると、肩の前のところに力が入りますので、そのままの状態で10秒を3回行います。
温熱療法の活用
慢性期では温熱療法が効果的とされています:
- 温湿布やカイロによる局所温熱(15-20分)
- お風呂での温浴(38-40度のぬるめのお湯、10-15分)
- 温感タイプの市販薬との併用
- ホットパックやヒートパッドの活用
適度な運動とストレッチ
無理のない範囲での運動は回復を促進するとされています:
- 肩甲骨の動きを意識したストレッチ
- ペンドルム運動(腕をぶらぶらと振る)
- 壁を使った肩のストレッチ
- 首や肩の軽いマッサージ
日常生活での工夫
痛みを悪化させないための生活上の注意点:
- 重いものを持つ時は両手で分散
- デスクワーク時の姿勢改善
- 枕の高さ調整(首や肩への負担軽減)
- ストレス管理(筋肉の緊張緩和)
市販薬選びで失敗しない!薬剤師が教えるポイント
五十肩の市販薬選びを成功させるためには、以下のポイントを押さえることが重要です。関節痛、神経痛、腰痛、肩こりなどに効果のある薬で五十肩にも使えるものもありますが、症状に応じた適切な選択が必要です:
チェックポイント | 急性期 | 慢性期 | 注意事項 |
---|---|---|---|
薬の成分 | NSAIDs(ロキソプロフェン等) | 温感成分、漢方薬 | アレルギー歴の確認 |
剤形の選択 | 貼り薬、飲み薬 | 温湿布、塗り薬 | 皮膚の状態確認 |
使用期間 | 1-2週間程度 | 症状に応じて調整 | 長期使用は専門家相談 |
併用薬 | 内服と外用の組み合わせ可 | 漢方薬との併用検討 | 薬剤師に相談必須 |
よくある質問:五十肩の市販薬について
患者さんからよく寄せられる五十肩の市販薬に関する疑問にお答えします。症状別の適切な薬選びや使用上の注意点について詳しく解説いたします。
Q. 急性期と慢性期で薬を変える必要はありますか?
A. はい、症状の段階に応じて最適な薬は異なります。急性期は炎症と痛みの抑制が最優先なので、NSAIDs系の薬が効果的とされています。慢性期では血流改善や筋肉のこわばり緩和が重要になるため、温感タイプの外用薬や漢方薬が適しているとされています。
Q. 湿布と飲み薬は同時に使っても大丈夫ですか?
A. 同じ成分の薬を内服と外用で同時使用すると、成分の過剰摂取になる可能性があります。異なる成分であっても、相互作用の可能性があるため、必ず薬剤師に相談してから併用してください。
Q. 漢方薬はどのくらいで効果が現れますか?
A. 漢方薬は体質改善を目的とするため、効果が現れるまでに2-4週間程度かかる場合が一般的です。ただし、症状や体質により個人差があります。2か月使用しても効果が感じられない場合は、処方の見直しを検討することが推奨されています。
Q. キューピーコーワコンドロイザーαのような関節サプリも効果がありますか?
A. 関節痛、神経痛、腰痛、肩こりなどに効果があるとされる成分を含む薬の中には、五十肩にも効果が期待できるものがあります。これらのサプリメントタイプの薬は、主に慢性期の関節機能改善や軟骨成分の補給を目的としており、長期的な症状改善に役立つ可能性があります。
まとめ:五十肩の痛みに合った市販薬で早めの対処を
五十肩の治療において、症状の段階に応じた適切な市販薬の選択と正しい使用方法が重要です。急性期には鎮痛消炎成分配合の薬で痛みと炎症をコントロールし、慢性期には血流改善や筋肉のこわばり緩和を目的とした薬を選択しましょう。
市販薬は手軽に購入できる反面、副作用のリスクもあります。使用に際しては薬剤師に相談し、適切な用法・用量を守ることが大切です。また、市販薬で症状が改善しない場合は、遠慮なく医療機関を受診し、専門的な治療を受けることをおすすめします。
五十肩は適切な治療とセルフケアにより改善が期待できる疾患です。この記事の情報を参考に、あなたの症状に最適な市販薬を見つけて、つらい五十肩の痛みから解放されることを願っています。薬による治療と並行して、適度な運動や温熱療法などのセルフケアも取り入れることで、より効果的な症状改善が期待できるでしょう。
五十肩の市販薬に関するよくある質問
Q. 五十肩に市販薬を使う場合、急性期の痛みには鎮痛消炎成分配合の湿布薬や飲み薬が有効ですか?
A. はい、急性期の激しい痛みには鎮痛消炎成分配合の湿布薬や飲み薬(ロキソプロフェンナトリウム、ジクロフェナクナトリウムなど)が効果的とされています。これらの成分は炎症を抑制し、痛みを和らげる作用があります。ただし、使用前に薬剤師に相談し、適切な用法・用量を守ることが重要です。
Q. 慢性期には温感タイプの湿布や漢方薬がおすすめとのことですが、なぜですか?
A. 慢性期では炎症が落ち着き、血流改善と筋肉のこわばり緩和が主な治療目標となります。温感タイプの湿布は血流を促進し、筋肉をほぐす効果があるとされています。漢方薬(シジラック(独活葛根湯)など)は体質改善を通じて根本的な症状改善を目指すため、慢性期に適しているとされています。
Q. 五十肩の市販薬にはどのような種類がありますか?
A. 五十肩の市販薬には主に4つの種類があります:1)貼り薬(湿布)- ロキソニンテープ、フェイタスZαジクサスなど、2)塗り薬(ゲル・クリーム)- ボルタレンACゲルなど、3)飲み薬(錠剤)- ロキソニンS、コリホグスなど、4)漢方薬 – シジラック(独活葛根湯)など。症状と使用感に応じて選択できます。
Q. 市販薬を使用する際の注意点はありますか?
A. はい、いくつかの重要な注意点があります。専門家や薬剤師に相談して適切な薬を選ぶこと、用法・用量を必ず守ること、胃腸障害や皮膚トラブルなどの副作用に注意すること、他の薬との併用を避けること、症状が改善しない場合は医療機関を受診することなどです。特に妊娠中、授乳中、既往症のある方は事前に専門家や薬剤師に相談しましょう。
Q. 関節痛、神経痛、腰痛、肩こりなどに効果のある薬で五十肩にも使えるものはありますか?
A. はい、関節痛や神経痛に効果があるとされる成分を含む薬の中には、五十肩にも効果が期待できるものがあります。例えば、キューピーコーワコンドロイザーαなどの関節サポート成分配合の薬があります。ただし、五十肩の症状の段階や程度によって最適な薬は異なるため、薬剤師に相談して適切な選択をすることをおすすめします。
Q. 市販薬で効果が感じられない場合はどうすべきですか?
A. 市販薬を適切に使用して2週間程度経過しても症状の改善が見られない場合、または症状が悪化している場合は、医療機関の受診をおすすめします。専門家による専門的な診断により、より強力な処方薬の投与、注射治療、理学療法など、市販薬では対応できない治療選択肢を検討できます。早期の適切な治療が症状改善の鍵となります。