反り腰は、多くの現代人が悩む悪い姿勢の1つです。長時間のデスクワークや日常的な悪い姿勢がその原因となることが多く、放置してしまうと腰痛や肩こり、さらには全身のバランスを崩してしまう恐れがあります。この記事では、反り腰の原因からその改善までに関する情報をお届けし、あなたの反り腰の悩みもこの記事で少しでも軽減されることを願っています。
目次
反り腰とは?〜生活習慣からの警告〜
普段の生活で染み付いてしまった悪い姿勢から反り腰になってしまいます。
なぜ反り腰になってしまうのか
腰が反り、お尻が突き出た姿勢のことを反り腰といいます。腰が反っているとバランスを取るために上半身は胸を張ったような姿勢になります。
反り腰になる原因は、まず運動不足による筋力低下があります。正しい姿勢を保つには背筋や腹筋が必要です。運動をほとんどしないと筋力は低下しやすく、体を支えることが困難になり、姿勢をキープできなくなるのです。運動不足は筋肉の柔軟性も低下させ、特に股関節の前側の筋肉が硬くなると骨盤が前傾しやすく、反り腰を助長させます。
また、立っている時に前かがみであったり、お尻を突き出したような姿勢でいると楽に感じますが、実は本来使われるべき筋肉を使っていないために腹筋や背筋、太ももやお尻の筋肉が弱まり、反り腰になりやすいです。
座っている時の姿勢が猫背や巻き肩、足を組む癖がある場合も反り腰になる原因です。デスクワークの人は猫背のように前傾姿勢になりやすい傾向があり、姿勢が悪くなりやすいです。
ヒールの高い靴を日常的に履く人も重心がつま先になるため、体が前傾し、バランスを取るために腰が反ります。女性の場合、妊娠すると赤ちゃんの成長に伴ってお腹が大きくなると、大きくなったお腹を支えるために骨盤が前に傾き、バランスを取ろうとして反り腰になります。
反り腰が引き起こす潜在的な健康リスク
反り腰は背中の筋肉が緊張し、お腹の筋肉がゆるむためにお腹がぽっこり出てきます。腰が反ることで腰に負荷が大きくかかり、腰痛を招きます。腰だけでなく、本来力が入る必要のない部位の筋肉にも大きく負荷がかかるので、首こりや肩こりも出現します。また重心が前に傾き、太ももの前側の筋肉で支えるために筋肉が発達し、硬くなります。反り腰になると坐骨神経が圧迫されて、お尻や足の痛み・しびれといった坐骨神経痛の症状が出ます。反り腰になると腰が浮くため腰が痛くなって、仰向けに寝ることができません。
反り腰を直すには病院?整体院?
基本的には反り腰は病気ではなく、ストレッチなどでの改善が多いに期待できます。しかし我慢は不要であり、中には病気によるものもあるため、注意が必要です。
反り腰は治療の対象外
反り腰自体は病気ではありません。ただし腰痛や足の痛み・しびれがあれば、病気が隠れている可能性があるので病院で調べてもらうことをおすすめします。
梨状筋症候群や腰部脊柱管狭窄症に注意
ただの反り腰が原因の腰痛だと思っていたら、坐骨神経痛だったということも十分ありえます。坐骨神経痛は名前の通り、坐骨神経が圧迫されてその周辺にある痛みを感じるエリアが刺激され、電気が走ったような痛みやピリピリとしたしびれ、麻痺などを引き起こします。坐骨神経は腰から足先までつながっている神経で、痛みが出る部位も人によって異なり、腰、お尻、太もも、ふくらはぎ、ひざの裏、すね、足先などです。重度になると歩行が困難になったり、座っていられない、排泄ができなくなるといった状態になります。
坐骨神経痛の原因となる病気には腰椎間板ヘルニア、梨状筋症候群、腰部脊柱管狭窄症などがあります。
梨状筋はお尻の奥深くにある筋肉で坐骨神経のすぐ上にあります。この筋肉が硬くなったり、緊張することで坐骨神経を圧迫し、坐骨神経痛の症状を引き起こすのが梨状筋症候群です。
腰部脊柱管狭窄症は中高年の坐骨神経痛に多い病気です。背骨の中にある脊柱管という通り道に神経が通っており、加齢などの原因で脊柱管がせまくなって神経を刺激するためにお尻や太ももに痛みやしびれを引き起こします。間歇性破行(しばらく歩くと足に痛みやしびれが生じてきて、少し休むとまた歩けるようになるが、また痛みやしびれが出現する症状)が出ます。足に力が入らなくなる、つまづきやすいなどの症状も出ることがあります。お尻や太ももに痛みやしびれがあり、間歇性破行がみられる場合には脊柱管狭窄症が疑われるので、病院を受診し、検査を受けましょう。
梨状筋症候群や腰部脊柱管狭窄症はストレッチなどで症状がやわらぐこともあれば、痛み止めの注射などの医療的な処置を必要とすることがあり、最終的には手術となります。ストレッチ等で軽快しない、腰から足の痛みやしびれがある場合は病院を受診しましょう。
整体でのアプローチ
整体とは
整体とは手技により、体全体のバランスを整えて自然治癒力を高め、筋肉の疲労やこりをほぐすので血流を促進し、痛みや違和感を改善させます。
料金はいくら?通う頻度、期間はどのくらい?
整体には医療保険が適用されず、それぞれの整体院が独自に料金を設定しています。もみほぐしや骨盤矯正などコースにも違いがありますが、およそ3,000〜8,000円です。人気のある整体院や都市部の整体院では相場が高い傾向にあります。
反り腰のための整体アプローチ
反り腰になっている根本的な原因を特定し、原因にアプローチする施術を行っていきます。全身のバランスを調整し、硬くなった筋肉をほぐして姿勢の改善を目指します。1人ひとりの症状に合わせて自宅でできるストレッチなどの指導も行います。
日常生活での反り腰改善ガイド
腕の良い整体の施術を受けるとともに、日常生活で気をつけることがいくつもあり、同時進行で行うことで施術効果を高めます。
正しい姿勢の維持方法
正しい立ち方は、横からみた時に耳、肩、股関節、ひざ、かかとの位置がまっすぐな1本線になっている状態です。正しい立ち方をするには、踵、親指の付け根、小指の付け根の3箇所に均等に体重がかかるようにします。つま先は少し外側を向け、お腹を引っ込めてお尻は締めるように力を入れましょう。肩の真上に耳がくるようにし、耳が上から引っ張られているようなイメージで顔を引き上げます。
お尻やお腹に力を入れて肩甲骨を背骨に寄せ、足は肩幅に開くことを意識すると正しい姿勢を維持できます。
正しい座り方は、椅子に深く腰かけて背もたれに軽く寄りかかります。背骨と首がまっすぐになるように意識し、お尻には左右均等に体重をかけましょう。足は両方ともしっかり地面につけましょう。
反り腰予防のためのストレッチ
【上半身の柔軟性を高めるストレッチ】
- 四つんばいになる。
- 息を吸いながら頭を上げ、少しずつ背中をそらしていく。
- 息を吐きながら頭を下げ、お腹をのぞくようにしてせなく丸めていく。
【腰回りの筋肉をほぐすストレッチ】
- あおむけになって足を曲げ、両ひざを胸の方に持ってくる。
- ひざを腕で抱え、さらに胸の方に引き寄せ、30秒キープする。
- 1〜2を5回繰り返す。
【太もも前側のストレッチ】
- 片ひざを立てる。
- ぺたんこ座りのようにお尻のあたりに足の裏がくるようにずらす。30秒キープする。
- もう片方の足も同様に行う。
※あおむけになった状態で足を曲げるのがきつい場合は、上体を少し起こし、後ろに手をついた状態で行いましょう。
反り腰を防ぐための日常の動作で気をつけるべきこと
座る時、足を組むクセがある人は骨盤が歪むのでやめましょう。
夜、寝る際は横向きに寝ましょう。うつぶせ寝は腰が反った状態であり、反り腰が悪化するおそれがあるので避けます。うつぶせで肘をついたままの姿勢も腰に負担がかかるので避けましょう。
反り腰の原因でもある筋肉の柔軟性低下を、ストレッチで解消するのも効果的です。同時に筋力低下も関係しており、腹直筋を鍛えるレッグレイズ、腹筋直筋全体を鍛えるベントニーシットアップ(基本的な腹筋)などの筋トレも効果があります。
まとめ
反り腰は日々の姿勢を悪くする習慣からくる問題であり、腰痛や首こり、肩こり、坐骨神経痛などの健康リスクを引き起こします。
反り腰は基本的に病気ではなく、病院に行く必要はありませんが我慢は不要です。中には、梨状筋症候群や腰部脊柱管狭窄症といった坐骨神経痛を起こす病気が隠れている場合もあり、お尻から足先までの痛みやしびれがあれば、病院で検査することをおすすめします。この症状に加えて間歇性破行の症状があると腰部脊柱管狭窄症が強く疑われ、病院受診が必要です。
整体は骨格や筋肉のバランスを整え、本来の姿勢へと導きます。費用や整体に通う頻度、改善にかかる期間は施設や個人の状態によって異なります。反り腰改善には日常生活での習慣もカギを握っており、正しい姿勢の維持や反り腰を改善するストレッチなどを行うことが大切なのです。
整体による専門的なアプローチと並行して、日々の反り腰を助長する生活習慣の見直しを行うことが反り腰の予防と改善のために必要であり、早めの対策が健康への第一歩となります。