この記事は「セルフケア整体 院長・森下 信英(NOBU先生)」の監修のもと作成されています。
五十肩(肩関節周囲炎)は接骨院での治療により改善が期待できる疾患です。手技療法や電気治療によって肩関節の可動域改善や痛みの緩和が可能性があります。本記事では、五十肩の原因から接骨院での具体的な施術方法、整形外科との違い、治療期間や料金まで、専門家の知見を交えて包括的に解説いたします。
つらい症状でお困りの方が最適な治療法を選択できるよう、実践的な情報をお届けします。また、自宅でできるセルフケア方法や信頼できる接骨院の選び方についても詳しくご紹介します。
目次
五十肩とは?その原因とつらい症状について理解する
五十肩は正式には「肩関節周囲炎」と呼ばれ、肩関節を取り囲む組織に炎症が起こることで発症する疾患です。四十代後半から五十代にかけて多く見られる症状ですが、最近では40代の患者さんにも増加傾向が認められます。
主な原因として、加齢による肩関節周囲の組織の変化、日常生活での姿勢の悪化、運動不足による筋肉の硬直などが挙げられます。特に現代では、デスクワークが多い生活習慣により、肩こりが慢性化し、それが五十肩へと発展するケースが増えています。
症状の特徴として、肩の激しい痛みと腕が上がらなくなる可動域制限が挙げられます。さらに、痛みは夜間に強くなることが多く、寝返りを打つだけでも眠れないほどの痛みを感じる方も少なくありません。
また、髪を洗う、服を着るといった日常生活の動作が困難になるため、生活の質が大幅に低下してしまいます。このような症状は、適切な治療により改善される可能性が高いとされています。
五十肩は早期治療が重要で、放置すると症状が悪化する可能性があります。適切な治療により、多くの方が改善を実感されています。
五十肩の治療選択:接骨院と整形外科のメリット・デメリット
五十肩の治療を受ける際、多くの方が「接骨院と整形外科のどちらが良いのか」という疑問を抱かれます。それぞれに異なるアプローチと特徴があるため、症状や治療方針によって適切な選択をすることが大切です。
接骨院での治療アプローチの特徴
接骨院では、手技療法を中心とした自然治癒力を高める治療を行います。柔道整復師による手技により、固まった肩関節や筋肉を緩和し、血流や可動域の改善を目指します。
薬に頼らず、身体本来の回復力を引き出すアプローチが特徴的です。また、患者さん一人ひとりの状態に合わせたオーダーメイドの施術が可能で、継続的なケアを受けやすい環境が整っています。
整形外科での治療アプローチの特徴
一方で、整形外科では、レントゲンやMRI検査による詳細な診断が可能で、薬物療法や注射治療などの医療行為を行うことができます。炎症が強い急性期には、痛み止めや炎症を抑える薬の処方が効果的な場合があります。
比較項目 | 接骨院 | 整形外科 |
---|---|---|
治療方法 | 手技療法、電気治療、運動療法 | 薬物療法、注射、リハビリ |
保険適用 | 健康保険適用(条件あり) | 健康保険適用 |
料金目安 | 1回 300円〜2,000円 | 初診 2,000円〜4,000円 |
検査能力 | 問診・触診中心 | レントゲン・MRI等可能 |
通院頻度 | 週2〜3回程度 | 月1〜2回程度 |
症状の程度や個人の治療方針によって適切な選択が異なります。急性期で強い炎症がある場合は整形外科での診断と薬物療法が有効であり、慢性期で可動域制限が主な悩みの場合は接骨院での手技療法が適している傾向があります。
接骨院で行われる五十肩への【3つの効果的アプローチ】
接骨院では、患者さん一人ひとりの症状や状態に合わせて、複数の施術方法を組み合わせた治療を行います。以下に、主要な治療法とその効果について詳しくご説明します。
1. 手技療法による可動域改善
接骨院の治療の中核となるのが、柔道整復師による手技療法です。肩関節や周囲の筋肉を直接調整することで、固まった組織を緩和し血流や可動域の改善を促進します。
この手技療法は、患者さんの痛みの程度や可動域制限の状態に応じて強度を調整するため、無理なく治療を進められる特徴があります。
接骨院では手技療法により肩関節の可動域改善が期待できます。患者さんの状態に応じて、丁寧に施術を進めていくことが重要です。
2. 電気治療・物理療法
電気治療は、痛みを緩和し、筋肉の緊張を和らげる効果が期待できます。低周波や干渉波などの電気刺激により、患部の血流を促進し、自然治癒力を高める可能性があります。
さらに、温熱療法や超音波治療などと組み合わせることで、より効果的な治療が可能になる場合があります。これらの物理療法は、手技療法と併用することで相乗効果が期待できるとされています。
3. 運動療法・ストレッチ指導
適切な運動療法は、五十肩の改善において極めて重要な要素です。接骨院では、症状の段階に応じたストレッチや可動域訓練を指導し、患者さんが自宅でも継続できるようサポートします。
無理のない範囲で徐々に可動域を広げていくことが、回復への近道となる可能性があります。また、正しい運動方法を学ぶことで、再発防止にもつながります。
【段階別治療戦略】五十肩の症状と正しい対処法(急性期・慢性期・回復期)
五十肩は病期によって症状や適切な対処法が大きく異なります。各段階での特徴と治療のポイントを詳しく解説いたします。適切な段階に応じた治療により、より効果的な改善が期待できます。
急性期(発症~3ヶ月):炎症期の対応
急性期は、激しい痛みと炎症が特徴的な時期です。特に夜間痛が強く、安静にしていても痛みを感じることがあります。
この時期は無理に動かさず、適切な安静と炎症を抑えることが最優先となります。接骨院での急性期治療では、炎症を悪化させない範囲での軽い手技療法や電気治療を行い、痛みの緩和を図ります。
また、日常生活での注意点や適切な姿勢についての指導も重要な治療の一環です。患者さんには、無理な動作を避け、患部を冷やしすぎないよう注意していただきます。
慢性期(3ヶ月~1年):拘縮期の治療
慢性期に入ると、痛みは徐々に軽減しますが、肩関節の可動域制限が顕著になります。この時期は、積極的な可動域訓練と筋肉の柔軟性向上が治療の中心となります。
接骨院では、この時期に最も効果を発揮する手技療法を集中的に行います。硬くなった関節包や筋肉を段階的に緩めていき、動きの改善を目指します。患者さんの状態に応じて、ストレッチの強度や頻度を調整していくことが重要です。
回復期(1年~2年):機能回復期の取り組み
回復期は、可動域と筋力の回復を目指す時期です。痛みはほぼ消失し、日常生活での動作も徐々に改善していきます。この時期の治療では、機能回復と再発防止に重点を置きます。
接骨院では、筋力トレーニングや姿勢改善の指導を行い、肩関節の機能を完全に回復させることを目指します。また、再発防止のための生活習慣の改善についてもアドバイスを提供します。
接骨院での五十肩治療期間と費用の実際
五十肩の治療を接骨院で受ける際の期間、費用、保険適用について、患者さんが最も気になるポイントを実際のデータに基づいて詳しく解説いたします。
治療期間の現実的な目安
五十肩の治療期間は、症状の程度や患者さんの年齢、生活習慣によって大きく異なりますが、実際の症例に基づく一般的な目安をご紹介します。
- 軽度の場合:3~6ヶ月程度(改善率約85%)
- 中等度の場合:6ヶ月~1年程度(改善率約75%)
- 重度の場合:1年~2年程度(改善率約65%)
接骨院での施術頻度は、急性期では週2~3回、慢性期以降では週1~2回程度が一般的です。継続的な治療により多くの患者さんが改善を実感されています。
症状に応じて電気治療や温熱療法を組み合わせることで効果が高まります。患者さんの状態を見ながら、最適な治療プランをご提案しています。
詳細な費用と保険適用について
接骨院での五十肩治療は、条件を満たせば健康保険が適用される場合があります。保険適用の場合、1回の治療費は以下の通りです:
- 初診料:500円~800円程度(3割負担)
- 再診料:200円~600円程度(3割負担)
- 電気治療等追加:100円~300円程度
- 運動療法指導:150円~250円程度
ただし、保険適用には「急性または亜急性の外傷性の負傷」という条件があるため、慢性的な症状の場合は自費治療となることがあります。料金については事前に接骨院に確認することをおすすめします。
五十肩改善のための【5つのセルフケア戦略】と注意点
接骨院での治療と併せて、日常生活でのセルフケアを行うことで、より効果的な改善が期待できます。専門家が推奨する自己管理のポイントをご紹介します。
段階別ストレッチと運動プログラム
症状の段階に応じたストレッチを継続することは、五十肩の改善において極めて重要です。以下に、安全で効果的なストレッチ方法をご紹介します:
- 振り子運動(コッドマン体操):身体を前傾させて腕を自然に垂らし、小さく円を描くように動かす
- 壁押しストレッチ:壁に手をつき、身体を壁に近づけるように前方へ体重をかける
- タオル体操:タオルの両端を持ち、健康な腕で患部の腕を引き上げる
- 肩甲骨ストレッチ:肩甲骨周りの筋肉を緩める動作を含める
- 首周りのケア:首の筋肉の緊張も肩に影響するため、首のストレッチも行う
無理をせず痛みを感じない範囲で徐々に行うことが重要です。急激な動きや強い痛みを伴うストレッチは、症状を悪化させる可能性があります。
日常生活での効果的な注意点
日常生活の中で以下の点に注意することで、治療効果を高めることができます:
- 姿勢の改善:デスクワーク時の正しい姿勢を心がけ、定期的に肩甲骨を動かす
- 適切な温度管理:急性期以外は患部を温めて血流を促進する
- 質の高い睡眠:良質な睡眠は組織の修復に重要な役割を果たす
- ストレス管理:精神的ストレスは筋肉の緊張を高める要因となる
- 栄養バランス:抗炎症作用のある食品を積極的に摂取する
信頼できる接骨院選びの【7つのチェックポイント】
五十肩の治療を成功させるためには、適切な接骨院選びが重要です。以下のポイントを参考に、信頼できる治療院を見つけましょう。
基本的な選定基準
- 資格と経験:柔道整復師の国家資格を持ち、五十肩治療の豊富な経験がある
- 説明の丁寧さ:症状や治療方針について分かりやすく詳細な説明をしてくれる
- 清潔な環境:院内が清潔で、適切な感染症対策が行われている
- アクセスの良さ:継続通院しやすい立地にあり、駐車場も完備されている
- 料金の透明性:治療費について事前に明確で詳細な説明がある
- 最新設備:効果的な治療機器が整備されている
- 患者対応:スタッフの対応が丁寧で、患者さんの悩みに真摯に向き合う
日本柔道整復師会では、認定された接骨院の検索が可能です。
初回相談で必ず確認すべき事項
初回の相談では、以下の点を確認することをおすすめします:
- 症状の詳細な評価と根本原因の説明
- 具体的な治療計画と期間の目安
- 治療費用と保険適用の可否
- 自宅でのセルフケア方法の指導
- 他の医療機関との連携体制について
- 治療効果が見られない場合の対応策
- 予約の取りやすさと緊急時の対応
患者さんの質問に真摯に答え納得できる説明をしてくれる接骨院を選ぶことが、治療成功への第一歩となります。
厚生労働省_柔道整復師制度についても参考にして、制度について理解を深めることをおすすめします。
五十肩の接骨院治療に関するよくある質問
Q. 五十肩は接骨院で治療できますか?
A. はい、接骨院での治療が可能です。手技療法や電気治療により、肩関節の可動域改善や痛みの緩和が期待できます。ただし、症状によっては整形外科での診断も必要な場合があります。
Q. 接骨院と整形外科の違いは何ですか?
A. 接骨院は手技療法中心で自然治癒力を高める治療を行い、整形外科は薬物療法や注射などの医療行為が可能です。急性期は整形外科、慢性期は接骨院が適している場合が多いです。
Q. 五十肩の治療期間はどのくらいですか?
A. 症状の程度により異なりますが、軽度で3~6ヶ月、中等度で6ヶ月~1年、重度で1~2年程度が一般的です。継続的な治療とセルフケアにより改善が期待できます。
Q. 五十肩の症状を自分で改善する方法はありますか?
A. 症状に応じた適切なストレッチや運動療法、姿勢の改善、患部の保温などが効果的です。ただし、無理をせず痛みを感じない範囲で行うことが重要です。
Q. 接骨院での治療費用はいくらぐらいですか?
A. 健康保険適用の場合、初診で500~800円、再診で200~600円程度(3割負担)です。ただし、慢性症状では自費治療となる場合があるため、事前に確認することをおすすめします。
Q. 五十肩と四十肩に違いはありますか?
A. 基本的に同じ疾患で、正式名称は「肩関節周囲炎」です。発症年齢によって四十肩、五十肩と呼び分けられていますが、症状や治療法に大きな違いはありません。
Q. 接骨院での治療は痛いですか?
A. 手技療法は患者さんの状態に合わせて強度を調整するため、基本的に我慢できない程の痛みはありません。むしろ施術後は筋肉の緊張が和らぎ、楽になる方が多いです。