この記事は「日本身体運動科学研究所 代表理事・笹川 大瑛」の監修のもと作成されています。
肩こり ひどくなると、痛みや不快感だけでなく、頭痛、腕や手のしびれ、吐き気、不眠などの症状が現れ、日常生活に支障をきたすことがあります。「たかが肩こり」と軽視してしまうと、様々な不調に発展する可能性があります。本記事では肩こり ひどくなった場合の症状と対策法、医療機関受診のタイミングまで詳しく解説します。
頭痛とか首のだるさとか自律神経失調症とかで言われることが多いんですけれども、剣豪としっかり動かせ筋肉を働かせると症状が和らいでいきます
理学療法士の笹川先生(動画 00:00:09)
目次
肩こり ひどくなると現れる主な症状
肩こり ひどくなると、様々な症状が現れることがあります。ここでは代表的な症状について詳しく解説します。
痛みや重だるさ
肩や首の筋肉が硬くなり、痛みや重だるさを感じるようになります。初期の段階では、腕のつけ根から首への肩上部にある僧帽筋が緊張して張り詰め、肩の動きに違和感や重さを感じることがあります。進行すると、重い砂袋が詰まっているような、または鉄板で動きを封じられているような硬さと痛みを感じるようになります。
頭痛
肩こり ひどくなると首や肩の筋肉の緊張が頭部まで伝わり、締め付けられるような頭痛(緊張型頭痛)を引き起こすことがあります。首の後ろ側や後頭部の緊張で頭部へと走る神経が刺激され、頭全体が締め付けられるような痛みが特徴です。一般的にズキズキとした痛みではなく、圧迫感のある鈍い痛みが継続的に生じる傾向があります。
腕や手のしびれ
肩こり ひどくなると筋肉が神経を圧迫し、腕や手の痺れや麻痺、力の入りにくさを感じることがあります。肩こりが背中にまで広がったり、首こりにまで発展したりすると、神経痛の症状が出始める可能性もあります。特に朝起きた時や長時間同じ姿勢を続けた後に症状が強く出る傾向があります。
吐き気
肩こり ひどくなると、吐き気や嘔吐を感じることもあります。これは、肩こりによって首や肩の筋肉が硬くなることで血行不良が起こり、脳に血液がスムーズに届かなくなることが一因と考えられています。また、肩こりによる痛みが精神的ストレスとなり、自律神経の乱れを引き起こし、吐き気の原因となることもあります。
不眠
肩こり ひどくなると痛みや不快感、自律神経の乱れによって睡眠の質が低下し、不眠になることもあります。これがさらに精神的な負担を増大させ、頭痛やめまい、吐き気などの症状を悪化させる悪循環に陥ることも少なくありません。就寝時の姿勢や枕の高さなども睡眠の質に影響するため、適切な睡眠環境を整えることが重要です。
自律神経の乱れ
肩こり ひどくなって慢性化すると、交感神経と副交感神経のバランスが崩れ、自律神経失調症のような症状が現れる可能性があります。特に首には自律神経が集中しているため、首こりが悪化すると副交感神経の働きが低下する傾向があります。その結果、頭痛、吐き気、胃腸障害、不眠、うつ状態、めまい、倦怠感、動悸や息切れ、ドライアイなど様々な症状が現れることがあります。
肩こりと自律神経の関係については日本自律神経学会の研究でも言及されています。またPubMedの研究では肩こりと頭痛の関連性について詳しく解説されています。
鬱状態
肩こり ひどくなると自律神経の乱れや慢性的な痛みが原因で、鬱状態になる可能性もあります。長期間にわたる肩こりは精神的にも大きな負担となり、やる気の低下や気分の落ち込みにつながることがあります。慢性的な痛みによる睡眠障害やストレスが脳内の神経伝達物質のバランスを崩すことが一因と考えられています。
姿勢の悪化
肩こり ひどくなると、肩こりによる痛みを避けるための無意識の姿勢が身につき、さらに姿勢が悪化する悪循環に陥ることがあります。これにより、筋肉バランスが崩れ、猫背や反り腰といった不良姿勢が定着しやすくなります。長期的には脊椎の変形や椎間板への負担増加につながる可能性もあります。
眼精疲労
肩こり ひどくなると同時に眼精疲労も引き起こしやすくなります。長時間のパソコン作業や読書、スマホなどの使用で肩こりと眼精疲労は密接に関連します。肩こりの影響で血流が悪くなると、目の周囲の筋肉や血管にも影響が出ることがあり、目の疲れや焦点の合わせにくさ、かすみ目などの症状を感じることがあります。
耳鳴りや目のかすみ
肩こり ひどくなると筋肉によって神経が圧迫され、耳鳴りや目のかすみなどの症状が出ることもあります。これらの症状は、肩こりが神経系に影響を及ぼした結果として現れることがあります。特に首の筋肉の緊張が耳や目に関連する神経に影響を与えることで、これらの症状が引き起こされる可能性があります。
その他
肩こり ひどくなると身体の各部位への影響(例:首の骨や軟骨の変形、内臓機能の低下など)も考えられます。肩こりは局所的な問題だけでなく、全身に様々な影響を及ぼす可能性があるため、早期発見と適切な対処が重要です。
肩こりを放置するデメリット
肩こり ひどくなって放置すると、さまざまなデメリットがあります。早期に対処することが重要です。
日常生活に支障が出る
肩こり ひどくなると痛みやしびれ、不眠などが原因で、日常生活や仕事に支障が出ることがあります。集中力が低下し、パフォーマンスが落ちてしまうことも少なくありません。家事や育児、趣味などの活動にも影響し、生活の質が全体的に低下する可能性があります。
慢性的な疲労
肩こり ひどくなると痛みや不眠、精神的なストレスが慢性化し、疲れがなかなか取れない状態になることがあります。常に体が重く、疲労感を感じるようになり、日常生活の質が低下してしまいます。慢性的な疲労は免疫機能の低下にもつながり、他の健康問題を引き起こすリスクも高めます。
自律神経の乱れや鬱状態
肩こり ひどくなった状態が続くと、慢性的な肩こりは自律神経の乱れや鬱状態を招くリスクがあります。精神的な健康状態にも影響を及ぼし、日常生活の質を大きく低下させる可能性があります。特に痛みが長期間続くと、心理的な負担が増加し、不安やストレスが蓄積しやすくなります。
病気の悪化
肩こり ひどくなって放置すると、椎間板ヘルニアや頸椎症などの病気が悪化する可能性があります。肩こりが別の病気の症状として現れている場合、適切な治療を受けないと症状が悪化する恐れがあります。定期的な健康チェックと早期治療が重要です。
肩こりの解消法については肩こり解消法の記事でも詳しく解説しています。
また即効性のある肩こりストレッチも参考になるでしょう。
肩こり ひどくなった場合の対処法
肩こり ひどくなった場合は、放置せずに早めに医療機関を受診し、適切な治療を受けることが大切です。また、日常生活でも以下のような対処法を試してみると良いでしょう。
対処法 | 効果 | 実践方法 |
---|---|---|
肩を温める | 血行促進、筋肉の緊張緩和 | 入浴、温湿布、カイロなど |
ストレッチ | 筋肉の柔軟性向上、血行促進 | 肩回し、首のストレッチなど |
適度な運動 | 筋力強化、ストレス発散 | ウォーキング、水泳など |
姿勢の改善 | 筋肉への負担軽減 | 背筋を伸ばす、適切な椅子の高さなど |
専門家の施術 | 根本的な原因の特定と改善 | 整体、マッサージ、鍼灸など |
薬物療法 | 痛みの緩和、筋肉の緊張緩和 | 湿布、内服薬など(医師の指導のもと) |
肩こり改善のための効果的なストレッチ
理学療法士が推奨する肩こり解消ストレッチをご紹介します。1日3回程度行うことで、肩こり ひどくなった症状が和らぐ効果が期待できます。
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理学療法士のスター(動画 00:00:45)
特に以下のストレッチは、肩こり ひどくなった場合の緩和に効果的です:
- 肩甲骨ストレッチ:手の甲を合わせて、肘を伸ばし続けながら肩甲骨の間の筋肉を使って背中を丸めるようにします。10秒間キープして3回繰り返します。
- 首回しストレッチ:頭はまっすぐ保ったまま、肩を右、左とゆっくりと回転させます。各方向5回ずつ行うと効果的です。
- 腕の伸展ストレッチ:手のひらを天井に向け、軽く握ってから腕を後ろに伸ばします。左右交互に10秒間ずつ、3セット行います。
本当に肩こりが辛くなった時はセルフケア整体へ
セルフケア整体では、多くの方が肩こりの症状を改善されています。上記の動画では、腰痛と肩こりで悩んでいた方が、セルフケアを続けることで大幅に改善した事例が紹介されています。特に肩こりがひどく、「頭痛になってもう吐いてしまうぐらい」辛かった方も、継続的なセルフケアによって「肩はもうびっくりしてるんですけど、ほぼなくなりました」と驚きの改善を実感されています。
医療機関を受診すべきタイミング
肩こり ひどくなった場合は、放置せずに早めに医療機関を受診することが大切です。特に以下のような症状がある場合は、早急に医師の診察を受けましょう。
- 肩こりに加えて、急な頭痛や吐き気、しびれなどの症状がある
- 肩こりの症状が長期間(数ヶ月以上)続いている
- 痛みが強く、日常生活に支障をきたしている
- 自律神経の乱れを感じる(動悸、息切れ、めまいなど)
- 薬や湿布などの市販薬で症状が改善しない
肩こり ひどくなったときは「たかが肩こり」と軽視せず、早めに適切な治療を受けることが重要です。肩こりの原因となる病気が隠れている場合もありますので、気になる症状があれば医療機関を受診しましょう。
また日本整形外科学会のサイトでも症状チェックができますので、参考にしてみてください。
よくある質問
- Q.肩こり ひどくなるとなぜ頭痛が起こるのですか?
- A.肩こりが悪化すると、首や肩の筋肉の緊張が頭部まで伝わり、脳へ向かう血流が悪くなります。また、緊張した筋肉が神経を圧迫することで、頭全体が締め付けられるような緊張型頭痛を引き起こすことがあります。特に後頭部から側頭部にかけての痛みが特徴的です。
- Q.肩こり ひどくなると吐き気を感じるのはなぜですか?
- A.肩こりが悪化して首や肩の筋肉が硬くなると、血行不良が起こり脳に血液がスムーズに届かなくなることがあります。また、肩こりによる痛みや不快感が自律神経を乱し、吐き気などの症状を引き起こすこともあります。頭痛に伴う吐き気は片頭痛の症状としても現れることがあります。
- Q.肩こり ひどくなると自律神経に与える影響はどのようなものですか?
- A.肩こりが慢性化すると、交感神経と副交感神経のバランスが崩れ、自律神経失調症のような症状が現れる可能性があります。特に首には自律神経が集中しているため、首こりが悪化すると副交感神経の働きが低下し、頭痛、吐き気、不眠など様々な症状に発展する可能性があります。緊張状態が長期間続くことで、自律神経系全体の機能低下につながることもあります。
- Q.肩こり ひどくなって放置するとどのような病気になる可能性がありますか?
- A.肩こりを放置すると、自律神経失調症や慢性的な頭痛(緊張型頭痛)、不眠症などを引き起こす可能性があります。また、頸椎症やヘルニアなどの背骨の病気が隠れている場合は、症状が悪化する恐れもあります。長期間続く場合は、うつ病などの精神疾患のリスクが高まることも報告されています。
- Q.肩こり ひどくなるのを予防するためには日常生活でどのようなことに気をつければいいですか?
- A.正しい姿勢を保つ、デスクワーク中は定期的に休憩を取る、適度な運動を行う、ストレスを溜めこまないようにする、寝具や枕を適切なものに選ぶなどが有効です。また、冷えは肩こりを悪化させるため、体を冷やさないよう注意しましょう。特にパソコンやスマートフォンを使用する際は、画面の高さを調整し、長時間同じ姿勢にならないよう意識することが重要です。