腰の周辺でも特に右側の脇腹に痛みがある場合は、どのような病気が原因であると考えられるのでしょうか。右脇腹に痛みが出る病気のうち注意すべきものについて解説します。
また、筋肉の痛みが原因である場合の急性期の対処法や予防法についても解説します。
目次
右側脇腹の痛みはどこからくるのか
右側脇腹の痛みは、筋肉や内蔵、骨や神経などからくることがあります。
筋肉
右側脇腹の痛みは、筋肉痛をはじめ様々な原因によって起こります。ここでは、筋肉痛による右脇腹の痛みに焦点を当て、その原因と対処法について説明します。
筋肉痛とは、運動やスポーツなどによって筋肉が損傷を受けた際に起こる痛みです。筋肉繊維が微小断裂を起こし炎症反応が生じることで、痛みや圧痛、可動域制限などの症状が現れます。
一般的には、運動後24~48時間後にピークを迎え、数日かけて徐々に治癒していきます。
右脇腹には、主に以下の筋肉があります。
●腹横筋
腹部を内側へ引き締めたり、息を吐いたりする際に働く筋肉
●腸腰筋
股関節を屈曲したり、体を側方へ曲げたりする際に働く筋肉
●外腹斜筋
腹部を側方へ曲げたり、体を捻ったりする際に働く筋肉
●内腹斜筋
腹部を内側へ引き締めたり、息を吐いたりする際に働く筋肉
右側脇腹付近にあるこれらの筋肉を傷める原因としては、以下のような場合が考えられます。
●運動不足の人が生急に運動を始める
●腹筋運動や体幹トレーニングなどの筋トレ
●野球やゴルフ、テニスなど体を捻ったり、振りかぶったりするスポーツ
●咳がひどくて腹横筋などの筋肉が緊張する
内臓
右側脇腹の痛みは、筋肉痛以外にも、内臓の病気によって引き起こされることがあります。ここでは、内臓の病気による右側脇腹の痛みの原因について説明します。
右側脇腹には、以下のような内臓が存在します。
●肝臓
胆汁の生成や解毒、栄養素の貯蔵などを行う臓器
●胆嚢
胆汁を貯蔵する袋状の臓器
●膵臓
消化液やインスリンの分泌を行う臓器
●腎臓
尿を生成する臓器
●大腸
水分や塩分を吸収し、便を形成する臓器
これらの内臓の病気によって、右側脇腹に痛みが出ることがあります。具体的病名には以下のようなものがあります。
●胆嚢炎
胆嚢に炎症が起こる病気で、右脇腹痛のほか、発熱、悪寒、嘔吐、黄疸などの症状が現れます。
●胆石症
胆嚢や胆管に結石ができる病気で、右脇腹痛のほか、発熱、嘔吐などの症状が現れます。
●急性膵炎
膵臓に炎症が起こる病気で、右脇腹痛のほか、発熱、嘔吐などの症状が現れます。
●腎結石
腎臓に結石ができる病気で、右脇腹痛のほか、血尿、頻尿などの症状が現れます。
●大腸憩室炎
大腸の壁の一部が突出した憩室に炎症が起こる病気で、右脇腹痛のほか、発熱、便秘、下痢などの症状が現れます。
●虫垂炎
盲腸に炎症が起こる病気で、右脇腹痛のほか、発熱、悪寒、嘔吐などの症状が現れます。
●その他
腎盂腎炎~腎臓の感染症で、右脇腹が痛くなることがあります。
胆石~胆嚢の中に石ができると、右脇腹に鋭い痛みが生じることがあります。
痛みが急激に生じて強い場合は、すぐに病院で内科や泌尿器科を受診し、適切な対応を受けると安心です。痛みの原因を判断するために、症状の詳細や関連する情報を専門医に伝えてください。
診療の案内やアクセス情報は、病院やクリニックに電話(tel)で確認するなどしてください。また、診察結果によっては、別の専門医を紹介される場合がありますので、急いでいるときは会社の近くや自宅の近くでアクセスの良いクリニックを選びましょう。
その他
右側脇腹の痛みは、筋肉痛や内臓の病気以外でも起こることがあります。ここでは、骨や神経、皮膚などの問題による右側脇腹の痛みの原因について説明します。
右側脇腹には、以下のような骨や神経、皮膚が存在します。
●肋骨
胸郭を構成する骨
●腰椎
腰部の背骨
●脊髄
脳から腰部まで続く神経の束
●脊髄神経
脊髄から枝分かれする神経
●皮膚
体を覆っている組織
これらの骨や神経、皮膚の問題によって、右側脇腹に痛みが出ることがあります。具体的な病名には、以下のようなものがあります。
●肋骨骨折
肋骨が骨折すると、右側脇腹に痛みが出ます。また、呼吸痛や咳をした時の痛みを伴うこともあります。
●腰椎椎間板ヘルニア
腰椎の椎間板が飛び出すと、右側脇腹に痛みやしびれが出ることがあります。
●帯状疱疹
脊髄神経にウイルスが感染する病気で、右側脇腹に帯状の発疹が現れ、激痛やチクチクするような痛みが出ます。
●肋間神経痛
肋骨間の神経(肋間神経)が圧迫されることによって起こる痛みで、左右どちらかの脇腹にズキズキするような痛みが出ます。
●皮膚炎
皮膚に炎症が起こる病気で、脇腹に痒みやかぶれ、痛みが出ることがあります。
●心筋梗塞
心臓に血液を送る冠動脈が詰まることによって心臓の筋肉が壊死する病気で、脇腹の痛みを伴うことがあります。
右側脇腹に痛みが生じて続く場合や、それとともに上記のような症状がある場合は、早めに医療機関を受診することが大切です。早めの診断と治療を受けることで、重症化を防ぐことができます。
以下のようなセルフチェックをすると、医療機関での受診もスムーズです。
●痛みの場所をできるだけ詳しくメモしておく
●ズキズキする、チクチクする、鈍痛など痛みの種類をメモしておく
●痛みの強さを、10段階で評価しておく(0が痛みなし、10が想像できる最大の痛み)。
●発熱、発疹、痒み、しびれ、筋力低下など腰痛以外の症状についてメモしておく。
右側の脇腹に痛みがでる病気で注意すべきもの
右側の脇腹に痛みがでる病気で注意すべきものについて説明します。
骨盤の歪み
右側脇腹の痛みは、筋肉痛や内臓の病気、骨や神経の問題など、様々な原因によって起こります。その中でも、近年注目されているのが「骨盤の歪み」です。
骨盤は、体を支え内臓を保護する重要な役割を担っています。骨盤が歪むと、骨格全体に歪みが生じ、内臓や筋肉、神経などが圧迫され、様々な症状を引き起こす可能性があります。
【骨盤の歪みが右側脇腹の痛みに繋がるメカニズム】
骨盤が歪むと、その他の器官に以下のような影響が生じて、右脇腹の痛みに繋がる可能性があります。
●腸腰筋の緊張
骨盤が歪むと、腸腰筋と呼ばれる腰部から股関節にかけての筋肉が緊張し、右側脇腹およびその周辺に痛みが出ることがあります。
●大腸の圧迫
骨盤が歪むと、大腸が圧迫され、便秘や下痢、腹痛などの症状を引き起こすことがあります。
●腎臓への影響
骨盤が歪むと、腎臓への血流が阻害され、痛みや機能障害を引き起こすことがあります。
●卵巣・子宮への影響
女性の場合、骨盤が歪むと、卵巣や子宮が圧迫され、生理痛や不正出血、下腹部痛などの症状を引き起こすことがあります。
骨盤が歪むと、右側脇腹およびその周辺の痛み以外にも、腰痛、背部痛、肩こり、頭痛、倦怠感、冷え、むくみ、生理不順などが生じることがあります。
【骨盤の歪みを改善する方法】
骨盤の歪みを改善するには、以下のような方法があります。
●整体・骨盤矯正
整体院や整骨院で骨盤を矯正してもらいます。
●ストレッチ
骨盤周りの筋肉をほぐすストレッチを行うことで、歪みを改善することができます。
●運動
運動不足は骨盤の歪みの原因となるため、適度な運動を心がけましょう。
●日常生活習慣の改善
猫背や偏った姿勢など、骨盤の歪みに繋がる日常生活習慣を改善しましょう。
なお、以下の場合は、早めに医療機関を受診することをおすすめします。
●痛みが強い
●発熱がある
●吐き気や嘔吐がある
●排尿障害がある
●上記のような症状が長期間続く
腸腰筋の痛み
右側脇腹の痛みは、筋肉痛によって起こりますが、その中でも注目したいのが腸腰筋の痛みです。腸腰筋は、腰椎から大腿骨までを繋ぐ筋肉で、体を前に屈曲したり、股関節を屈曲したりする際に重要な役割を果たします。
【腸腰筋痛の症状】
腸腰筋痛の主な症状は、以下の通りです。
●脇腹の痛み
腸腰筋が走行する場所である腰部から股関節にかけて、痛みが出現します。
●歩行時の痛み
腸腰筋を使う歩行時に、痛みが増強することがあります。
●階段昇降時の痛み
階段を昇ったり降りたりする際に、痛みが増強することがあります。
●股関節の動きの制限
腸腰筋の緊張により、股関節の可動域が制限されることがあります。
●姿勢不良
腸腰筋の緊張により、猫背や反り腰などの姿勢不良が起こることがあります。
【腸腰筋痛の原因】
腸腰筋痛には、以下のような原因が考えられます。
●運動不足の人が生急に運動を始めることによる腸腰筋の損傷
●腹筋運動や体幹トレーニングなどの筋トレによる腸腰筋の損傷
●スポーツで、体を前屈したり、股関節を屈曲したりする動作を繰り返すことによる腸腰筋の損傷
●長時間座りっぱなしや、猫背などの悪い姿勢が続くことによる腸腰筋の緊張
【腸腰筋痛の治療法】
腸腰筋痛の治療法としては、以下のようなものがあります。
●安静
痛みが強い場合は、安静にして体を休めましょう。痛みがそれ程でもない場合は、無理のない程度に動かすのが改善につながります。
●湿布
患部に冷湿布や温湿布を貼ると、痛みや炎症を抑えることができます。
●マッサージ
痛みが和らいだ後、軽いマッサージを行うと、血行を促進し回復を早めることができます。
●ストレッチ
痛みが完全に治った後は、ストレッチを行うと、柔軟性が高まり再発を防ぐことができます。
●痛み止め
痛みが強い場合は、市販の痛み止めを服用することもよいです。用法・用量を守って服用しましょう。
●理学療法
理学療法士による運動療法やマッサージを受けることで、症状の改善を早めることができます。
【腸腰筋痛の予防策】
腸腰筋痛の予防策には、以下のような方法があります。
●運動前にはウォーミングアップを行いましょう。
●いきなり激しい運動をするのではなく、徐々に運動強度を上げていきましょう。
●運動後はクールダウンを行い、体をゆっくりとリラックスさせましょう。
●運動中はこまめに水分補給を行い、脱水症状を防ぎましょう。
●時間座りっぱなしや、猫背などの悪い姿勢を改善しましょう。
腸腰筋が原因で腰痛を引き起こしている可能性があります!そもそも腸腰筋とは?ストレッチの方法も解説
虫垂炎
虫垂炎は、盲腸の先端に位置する虫垂と呼ばれる突起に炎症が起こる病気です。放置すると重症化することがあるため、早期発見と治療が重要です。
【虫垂炎の症状】
虫垂炎の典型的な症状は、以下の通りです。
●右下腹部痛
最初はみぞおちの痛みを感じ、その後、数時間かけて右下腹部から脇腹へと移動し、激しい痛みとなります。
●悪寒・発熱
虫垂の炎症が進むと、悪寒や発熱を伴うことがあります。
●食欲不振
悪心や嘔吐を伴うこともあります。
●便秘や下痢
●右下腹部の圧痛
右下腹部を触診すると、痛みや圧痛を感じることがあります。
●筋性防御
腹膜炎を伴うと、右下腹部を触診した際に、筋肉が固く緊張している状態 (筋性防御) が認められます。
【虫垂炎の原因】
虫垂炎の原因は、虫垂内腔の閉塞と考えられています。具体的には、以下のようなものが原因となります。
●糞石(便の固まり)が虫垂の入り口を塞ぐ
●回虫などの寄生虫が虫垂に寄生し、炎症が起こる。
●食品の残骸などの異物が虫垂に入り込み、炎症が起こる。
●腸のリンパ節が腫大し、虫垂を圧迫することで炎症が起こる。
【虫垂炎の危険因子】
虫垂炎になりやすい人は、以下の通りです。
●10~20代の若者
●女性よりも男性の方がなりやすいと言われています。
●家族に虫垂炎になった人がいる場合、発症リスクが高くなります。
●肥満の人は、虫垂炎になりやすいと言われています。
●便秘がちの人は、虫垂炎になりやすいと言われています。
【虫垂炎の診断】
虫垂炎の診断は、以下の方法で行われます。
●問診
医師が症状や過去の病歴などを詳しく聞き取ります。
●腹部触診
医師が腹部を触診し、圧痛や筋性防御などを確認します。
●採血
白血球数や炎症反応CRPなどの値を調べ、炎症をみます。
●画像検査
超音波検査やCT検査を行うことで、虫垂の腫大(しゅだい)や炎症を確認することができます。
【虫垂炎の治療】
虫垂炎の治療は、基本的には手術です。開腹または腹腔鏡手術で行われます。
開腹手術ではお腹を切開して虫垂を切除します。腹腔鏡手術ではお腹に小さな穴をいくつか開け、カメラと手術器具を挿入して虫垂を切除します。
手術以外にも、抗生物質による薬物療法が行われることもあります。しかし、抗生物質のみで治療を行うと再発のリスクが高いため、基本的には手術が選択されます。
【虫垂炎の予後】
虫垂炎は、早期発見・早期治療が重要です。放置すると、虫垂が破裂し、腹膜炎などを引き起こす可能性があります。
手術を受ければ、ほとんどの場合治癒しますが、まれに合併症を引き起こすことがあります。
尿路結石症
尿路結石症は、腎臓や尿管、膀胱などに結石ができる病気です。激しい痛みを伴うのが特徴です。
【尿路結石症の症状】
尿路結石症の典型的な症状は、以下の通りです。
●激しい痛み
背中や脇腹、下腹部などに、突然激痛が起こります。波打つような痛みや、疝痛と呼ばれる激痛を伴うこともあります。
●血尿
尿に血液が混ざり、赤く見えることがあります。
●排尿時痛
排尿時に痛みを感じることがあります。
●頻尿
尿意が頻繁に起こります。
●尿勢低下
尿を出す量が少なくなったり、勢いが弱くなったりすることがあります。
●悪寒・発熱
炎症が進むと、悪寒や発熱を伴うことがあります。
●吐き気・嘔吐
吐き気や嘔吐を伴うこともあります。
【尿路結石症の原因】
尿路結石症の原因は、十分には解明されていません。しかし、尿中のカルシウムやシュウ酸などの成分が過剰に排泄され、結晶化することで結石ができると考えられています。
結石ができる原因としては、以下のようなものが挙げられます。
●食生活
カルシウムやシュウ酸を多く含む食品の過剰摂取
●水分不足
水分不足による尿量の減少
●肥満
肥満による代謝異常
●胃腸障害
胃腸障害によるカルシウムの吸収異常
●尿路感染症
尿路感染症による尿の成分変化
●家族歴
家族に尿路結石症になった人がいる場合
【尿路結石症の診断】
尿路結石症の診断は、以下の方法で行われます。
●問診
医師が症状や過去の病歴などを詳しく聞き取ります。
●腹部触診
医師が腹部を触診し、圧痛などを確認します。
●尿検査
尿に血尿や結晶がないか確認します。
●画像検査
超音波検査やCT検査を行うことで、結石の大きさや位置を確認することができます。
【尿路結石症の治療】
尿路結石症の治療法は、結石の大きさや位置、症状などによって異なりますが、以下の方法があります。
●自然排石
小さな結石であれば、自然に尿と一緒に排出されることもあります。
●薬物療法
尿路結石を溶解したり、排出を促す薬を服用します。
●体外衝撃波結石破砕術
体外から衝撃波を当てて結石を破砕する方法です。
●手術
大きな結石や、薬物療法や体外衝撃波結石破砕術で排石できない結石の場合は、手術で取り除くことがあります。
【尿路結石症の予防】
尿路結石症の予防には、以下の点に注意することが大切です。
●水分を十分に摂取する
1日1.5~2リットルの水を飲むことを目標にしましょう。
●食生活に注意する
カルシウムやシュウ酸を多く含む食品の過剰摂取を控えましょう。
●適度な運動をする
肥満を解消し、代謝を改善しましょう。
●尿路感染症を予防する
性行為前後の洗浄や、排尿後の正しい処理を行うなど、尿路感染症の予防に努めましょう。
腸炎
腸炎は、小腸や大腸に炎症が起こる病気です。様々な種類があり、原因や症状も異なります。
【腸炎の種類と原因】
●感染性腸炎
ウイルス、細菌、寄生虫などの感染によって起こります。
●虚血性腸炎
腸への血流が阻害されることで起こります。
●薬剤性腸炎
抗生物質などの薬の副作用で起こります。
●放射線腸炎
放射線治療の副作用で起こります。
●アレルギー性腸炎
食物アレルギーやアトピー性皮膚炎などが原因で起こります。
●偽膜性腸炎
抗生物質の服用後に、Clostridium difficile(CD)という菌が繁殖し起こります。
●炎症性腸疾患
クローン病や潰瘍性大腸炎などの慢性的な炎症性疾患です。
【腸炎の症状】
腸炎の症状は、原因や種類によって異なりますが、以下のような症状が現れることが多いです。
●腹痛
脇腹を中心に、下腹部全体に痛みを感じることがあります。
●下痢
水のような便や、血便が出ることもあります。
●腹部の張り
お腹が張って、硬く感じることもあります。
●悪寒・発熱
感染性腸炎の場合は、悪寒や発熱を伴うことがあります。
●吐き気・嘔吐
吐き気や嘔吐を伴うこともあります。
●脱水症状
下痢や嘔吐がひどい場合は、脱水症状を起こすことがあります。
【腸炎の診断】
腸炎の診断は、以下のような方法で行われます。
●問診
医師が症状や過去の病歴などを詳しく聞き取ります。
●腹部触診
医師が腹部を触診し、圧痛や腫大などを確認します。
●便検査
便に血液や白血球などが含まれていないか確認します。
●血液検査
炎症反応CRPなどの値を調べます。
●画像検査
超音波検査やCT検査を行うことで、腸の状態を確認することができます。
●内視鏡検査
必要に応じて、胃カメラや大腸カメラを用いた内視鏡検査を行うこともあります。
【腸炎の治療】
腸炎の治療法は、原因や症状によって異なります。
●感染性腸炎
ウイルス性腸炎の場合は対症療法、細菌性腸炎の場合は抗生物質を服用、寄生虫性腸炎の場合は駆虫薬を服用、となります。
●非感染性の腸炎(虚血性腸炎、薬剤性腸炎、放射線腸炎、アレルギー性腸炎、偽膜性腸炎)
原因となっている疾患や薬剤のに対する治療を行います。
●炎症性腸疾患
炎症を抑える薬物療法や、手術療法を行います。
【腸炎の予防】
腸炎の予防には、ウイルス、細菌、寄生虫対策等となり、以下の点に注意することが大切です。
●手洗いを徹底する
食事の前やトイレの後には、石鹸と流水でしっかりと手を洗いましょう。
●食品の衛生管理
食品は十分に加熱してから食べるようにしましょう。
●十分な休息を取る
疲労やストレスは、腸炎の発症リスクを高めます。
●禁煙
喫煙は腸の血流を悪化させ、腸炎の発症リスクを高めます。
大腸憩室炎
大腸憩室炎は、大腸の壁の一部が外側に袋状に突出した憩室に炎症が起こる病気です。日本人の約10~20%が憩室を持っていると言われています。
【大腸憩室炎の原因】
大腸憩室炎の原因は、完全に解明されていません。しかし、以下の要因が関係していると考えられています。
●食物繊維の不足
食物繊維が不足すると、便が硬くなり、憩室に溜まりやすくなります。
●加齢
加齢とともに、大腸の壁が弱くなり、憩室ができやすくなります。
●高血圧
高血圧は、大腸の血流を悪化させ、憩室炎のリスクを高めます。
●便秘
便秘になると、便が腸内に長く留まり、憩室に炎症が起こりやすくなります。
【大腸憩室炎の症状】
大腸憩室炎の症状は、軽度なものから重度なものまで様々です。軽度の場合は、腹部全体の軽い痛みや下痢、便秘などの症状が現れることがあります。重度の場合は、右側脇腹の激しい痛み、発熱、悪寒、吐き気、嘔吐などの症状が現れることがあります。
また、憩室が破れ腹腔内に膿や便が漏れ出すと、激しい痛みや発熱、ショックなどの症状が現れます。これは命に関わる重症化なので、すぐに医療機関を受診する必要があります。
【大腸憩室炎の診断】
大腸憩室炎の診断は、以下のような方法で行われます。
●問診
医師が症状や過去の病歴などを詳しく聞き取ります。
●腹部触診
医師が腹部を触診し、圧痛や腫大などを確認します。
●血液検査
炎症反応CRPなどの値を調べます。
●画像検査
超音波検査やCT検査を行うことで、憩室の状態や炎症の程度を確認することができます。
●内視鏡検査
必要に応じて、大腸カメラを用いた内視鏡検査を行うこともあります。
【大腸憩室炎の治療】
大腸憩室炎の治療法は、症状の程度によって異なります。軽度の場合は、抗生物質を服用し安静にして経過を観察します。重度の場合は、入院して抗生物質の点滴や輸液を行い、炎症を抑えます。
また、穿孔が疑われる場合は緊急手術が必要です。
【大腸憩室炎の予防】
大腸憩室炎の予防には、腸内環境を整えるために以下の点に注意することが大切です。
●食物繊維を多く摂取する
野菜や果物、全粒穀物などを積極的に摂取しましょう。
●規則正しい生活習慣を心がける
十分な睡眠と適度な運動を心がけ、ストレスを溜めないようにしましょう。
●禁煙
喫煙は、大腸憩室炎のリスクを高めます。
●便秘を解消する
便秘がちの人は、規則正しい排便習慣を心がけ、必要に応じて便秘薬を服用しましょう。
過敏性腸症候群
過敏性腸症候群(IBS)は、ストレスや腸の機能異常によって、腹痛、下痢、便秘などの症状が現れる病気です。原因は完全には解明されていませんが、近年注目されている病気の一つです。
【過敏性腸症候群(IBS)の症状】
IBSの主な症状は、以下の通りです。
●腹痛
脇腹を中心に下腹部全体に痛みを感じることが多いです。排便後に痛みが改善することが特徴です。
●下痢・便秘
下痢と便秘が交互に現れたり、一方の症状が長期間続いたりすることがあります。
●便意
便意が頻繁に起こったり残便感があったりすることがあります。
●腹部膨満
お腹が張って、ガスが溜まっているような感じがすることがあります。
●粘液便
便の中に粘液が混ざることがあります。
【過敏性腸症候群の種類】
IBSは、便通異常によって4つのタイプに分類されます。
便秘型:便秘が主な症状です。
下痢型:下痢が主な症状です。
交互型:下痢と便秘が交互に現れます。
分類不能型:上記のいずれにも当てはまらない症状です。
【過敏性腸症候群の原因】
IBSの原因は、完全には解明されていませんが、以下の要因が関係していると考えられています。
●ストレス
ストレスは、腸の動きを異常にすることが分かっています。
●腸の機能異常
腸の蠕動運動や感覚異常などが関係していると考えられています。
●脳腸相関
脳と腸の間のコミュニケーション異常が関係していると考えられています。
●遺伝
家族にIBSの人がいる場合、発症リスクが高くなります。
【過敏性腸症候群の診断】
IBSの診断は、以下の検査を行って他の病気の可能性を除外する必要があります。
●便検査
血液や白血球などが含まれていないか確認します。
●画像検査
超音波検査やCT検査を行い、腸の状態を確認することができます。
●内視鏡検査
必要に応じて、大腸カメラを用いた内視鏡検査を行うこともあります。
【過敏性腸症候群の治療】
IBSの治療法は、症状によって異なりますが、主にストレス対策等となります。
●生活習慣の改善
ストレスを溜めないようにし、規則正しい生活習慣を心がけましょう。また、十分な睡眠と適度な運動も大切です。
●食事療法
食物繊維を多く摂取し、脂っこい食事や刺激物を控えましょう。
●薬物療法
症状に合わせて、腹痛を抑える薬や下痢止め、便秘薬などを服用します。
●心理療法
ストレスが強い場合は、カウンセリングや認知行動療法などの心理療法が有効な場合があります。
クローン病
クローン病は、炎症性腸疾患の一つで、口腔から肛門までの消化管のあらゆる部位に炎症や潰瘍(粘膜がえぐれた状態)ができる原因不明の慢性的な病気です。主に小腸末端部や大腸が好発部位ですが、病変が非連続的に複数発生することも特徴です。
【クローン病の症状】
クローン病の症状は、病変の部位や範囲によって異なりますが、主な症状は以下の通りです。
●腹痛
脇腹を中心に、下腹部全体に激しい痛みを感じることが多いです。排便後に痛みが改善することが特徴です。
●下痢
水のような便や血便が出ることもあります。
●発熱
炎症が強い場合は、発熱を伴うことがあります。
●体重減少
食欲不振や下痢がひどい場合は、体重が減少することがあります。
●倦怠感
慢性的な炎症によって、倦怠感や疲労感を感じることがあります。
●肛門周囲の症状
肛門周囲に潰瘍や痔瘻(じろう)ができることがあります。
【クローン病の原因】
クローン病の原因は、完全には解明されていません。しかし、遺伝的な要因と環境的な要因が複雑に絡み合って発症すると考えられています。
●遺伝的な要因
家族にクローン病の人がいる場合、発症リスクが高くなります。
●腸内環境
腸内細菌叢(腸内フローラ)のバランスが崩れることが、発症に関与していると考えられています。
●免疫異常
自己の腸組織を攻撃する免疫異常が関係していると考えられています。
●喫煙
喫煙はクローン病の発症リスクを高め、症状を悪化させることが分かっています。
【クローン病の診断】
クローン病の診断は、症状診断に加え、以下の検査を行います。
●便検査
血液や白血球などが含まれていないか確認します。
●画像検査
超音波検査やCT検査、MRI検査を行い、腸の状態を確認することができます。
●内視鏡検査
大腸カメラや小腸カメラを用いた内視鏡検査を行い、病変を観察します。
●病理検査
内視鏡検査で採取した組織を病理検査することで、確定診断することができます。
【クローン病の治療】
クローン病の治療法は、炎症を抑え、症状を改善することに重点が置かれます。
●薬物療法
炎症を抑えるための抗炎症薬や、免疫の働きを調整する免疫抑制薬などを服用します。
●栄養療法
下痢や栄養不良がひどい場合は、経口栄養剤や静脈栄養剤による栄養療法を行います。
●手術療法
薬物療法で改善が見られない場合は、手術で病変を切除することがあります。
【クローン病の予後】
クローン病は、完治する病気ではありませんが、適切な治療を受けることで症状をコントロールし、日常生活を送ることが可能です。しかし、再発を繰り返す病気であり、長期的な経過観察と治療が必要となります。
筋肉の痛みが原因で右側の脇腹に痛みがでる場合の対処法と予防法
筋肉の痛みが原因で右側の脇腹に痛みがでる場合の対処法と予防法について説明します。
対処法(急性期)
筋肉痛は、運動不足や運動後の筋肉の使い過ぎなどが原因で起こる痛みです。右側脇腹には、腸腰筋や腹斜筋など様々な筋肉が存在するため、これらの筋肉が痛むと右側脇腹に痛みを感じることがあります。
筋肉痛の急性期は、炎症が強く、痛みも強い状態です。以下の方法で症状を緩和することができます。
●安静
痛みのある部分は無理に使用せず、安静にして休息をとりましょう。特に、痛みが強い場合は安静が重要です。
安静にすることで、炎症を抑え、治癒を早めることができます。
●冷却
患部に冷湿布や氷嚢などを当てて冷却することで、炎症を抑え、痛みを和らげることができます。冷却は、20分程度を目安に行いましょう。
長時間の冷却は、血流を悪くしてしまうので注意が必要です。
●コンプレッション
患部を包帯やテーピングなどで適度に圧迫することで、炎症を抑え、腫れを軽減することができます。圧迫は、強すぎると血流を妨げてしまうので注意が必要です。
●服薬
市販の痛み止め(アセトアミノフェン、ロキソプロフェンなど)を服用することで、痛みを和らげることができます。用法・用量を守って服用しましょう。
上記の対処法はあくまでも一般的なものであり、症状によっては医療機関を受診する必要があります。特に、強い痛みがある、痛みが長引く、発熱などの症状がある場合は、早めに医療機関を受診しましょう。
予防法
筋肉痛を予防するには、以下の点に注意することが大切です。
●運動前のウォーミングアップ
運動前に十分なウォーミングアップを行い、体を温め、筋肉をほぐしましょう。ウォーミングアップには、軽いジョギングやストレッチなどが有効です。
●運動後のクールダウン
運動後にはクールダウンを行い、ゆっくりと体を休めましょう。クールダウンには、軽いジョギングやストレッチなどが有効です。
●ストレッチ
運動前後や入浴後などにストレッチを行い、筋肉の柔軟性を高めましょう。ストレッチは、ゆっくりと息を吐きながら、気持ち良いと感じる程度まで伸ばしましょう。
●水分補給
運動中はこまめに水分補給を行い、脱水症状を防ぎましょう。脱水症状は、筋肉痛を悪化させる原因となります。
●栄養バランス
バランスのとれた食事を心がけ、筋肉の修復に必要な栄養素をしっかりと摂取しましょう。特に、たんぱく質やビタミンB群が重要です。
●疲労を溜めない
十分な睡眠と休息をとり、疲労を溜めないようにしましょう。疲労は、筋肉痛を悪化させる原因となります。
まとめ
右側脇腹の痛みは、筋肉、内蔵などからきます。右脇腹に痛みが出る病気のうち注意すべきものには、骨盤の歪み、腸腰筋の痛み、虫垂炎、尿路結石症、腸炎、大腸憩室炎、過敏性腸症候群、クローン病などがあります。
筋肉の痛みが原因で右脇腹に痛みが出る場合の急性期の対処法には、安静、冷却、コンプレッション、服薬などがあり、予防法には、ストレッチや水分補給などがあります。
腰周辺で特に右側の脇腹が痛い場合には、筋肉や内蔵など痛みの原因はさまざまです。