坐骨神経痛でお悩みの人は、朝の起床時に激しい痛みや痺れが出ることが多く、時間をかけてゆっくりと起き上がっても、次は歩き出すのにまた激しい痛みが生じ、やっとの思いで洗面所に来ても、洗顔や歯ブラシなどの前かがみの姿勢が辛く、朝が億劫に感じてしまう人も多いのではないでしょうか。
起床時の痛みが怖くて、ついつい寝たきりになってしまいがちです。歩行だけでなく何をするにも痛みが伴うので、引きこもりがちになってしまうでしょう。また、高齢者は、何らかの病気が原因で寝たきりとなり、寝たきりが原因で腰痛や坐骨神経痛の症状が現れる可能性があります。
この記事では、坐骨神経痛で寝たきりにならないための予防法や、坐骨神経痛の原因について解説します。ぜひ最後までお読みください。
目次
坐骨神経痛の原因となる主な腰痛の病気
身体を動かす度に激痛に襲われてストレスになる腰痛や坐骨神経痛。坐骨神経痛の原因となる腰痛はさまざまですが、この章では、主に挙げられる腰痛の病気をご紹介します。また、坐骨神経痛の症状が現れた場合は、ご自身で判断せずにまずは整形外科などを受診して、医師に相談するようにしてください。坐骨神経痛は放っておくことで重症化したり、手術を受けないといけないケースが発生します。坐骨神経痛の原因を突き止めて、しっかりと治療を行うと良いでしょう。
坐骨神経痛とは
坐骨神経とは、腰椎から足先にまで伸びている神経のことで、人体で最も長い神経です。座骨神経が何らかの影響で圧迫されたり刺激されたりすることで下肢に痛みが現れることを坐骨神経痛といいます。電気が走ったような、ビリビリやピリピリといった激しい痛みが生じます。坐骨神経痛の症状は以下のものがあります。
- ・お尻や太もも、足の裏などに痛みやしびれ
- ・お尻が痛くて座っていられない
- ・足が痛くて立っていられない
- ・歩くことが困難
- ・前かがみになると痛みが生じる
- ・腰を反らすと痛みが生じる
- ・足に力をいれにくい
腰椎椎間板ヘルニア
腰椎の骨と骨の間には椎間板があります。椎間板はゼリー状の髄核とそれを覆う繊維輪で構成されており、衝撃を吸収するクッションのような役割をしています。椎間板や髄核が飛び出し、神経を圧迫したり刺激したりすることを腰椎椎間板ヘルニアといいます。椎間板ヘルニアの原因は、中腰での作業や腰に負荷のかかる姿勢を長時間取り続けていたことです。また、高齢者は加齢が原因で椎間板が脆くなって発症することがあります。
腰部脊柱管狭窄症
背骨の間には神経が通る道の脊柱管があります。腰椎や椎間板が変形や変性をして、脊柱管を圧迫したり刺激したりすることを腰部脊柱管狭窄症といいます。脊柱管狭窄症の主な原因は加齢です。脊柱管狭窄症の特有の症状として間欠性跛行があります。間欠性跛行とは、歩き出すと痛みが現れて休み、少し休むとまた歩き出せるといった症状です。
梨状筋症候群
梨状筋とはお尻の深層にある筋肉のことで、股関節の動きに関わる重要な筋肉です。梨状筋の周辺には坐骨神経が通っており、梨状筋が緊張して硬くなることで、坐骨神経にまで影響を及ぼし、痛みが生じることを梨状筋症候群といいます。梨状筋が硬くなる原因は長時間座り続けて臀部にある梨状筋を圧迫していることや、スポーツなどで股関節を過剰に動かして梨状筋を使いすぎていることなどが原因と言われています。
「坐骨神経痛のやってはいけないNG行動」についての記事はこちら⇩
寝たきりが原因で腰痛になる
高齢者の人は、何らかの病気や障害が原因で寝たきりになり、腰痛や坐骨神経痛の症状を発症してしまうことがあります。突然発症するぎっくり腰などでも言えることですが、病気になると、病院でもらった薬を服用して安静にするために横になって寝ている時間が増えてしまいます。この寝ていることが原因で腰痛を発症してしまう可能性があることをご存知でしょうか。この章では、寝たきりが原因で腰痛を引き起こしてしまう理由について解説します。
筋力の低下
腰椎は身体の上半身と下半身を支える唯一の骨です。腰回りの筋肉は、腰椎を支える筋肉のコルセットのような役割をしています。寝たきりで腰回りの筋肉が使えていないと、筋力が低下してコルセットの役割を果たせません。すると、腰椎だけで上半身と下半身を支えることになり、過度な負荷がかかって座骨神経痛の症状を引き起こしてしまうでしょう。他にも、腰痛だけでなく下半身の筋力が低下し、膝の痛みなどを引き起こしてしまう可能性があります。
筋肉が圧迫されている
寝たきりの状態は身体の一定の箇所が圧迫された状態になります。例えば、仰向けで足を伸ばした姿勢は腰が反れた状態になります。人の背骨は横から見ると緩やかなS字カーブになっていることをご存知の人も多いでしょう。仰向けで寝た時の腰はマットレスや布団から少し浮いた状態になっています。これは、腰の筋肉が常に緊張している状態です。この姿勢を続けることで、筋肉が緊張して硬くなり、坐骨神経痛の症状を悪化させてしまうと考えられます。
「坐骨神経痛で寝起きが激痛の原因」についての記事はこちら⇩
坐骨神経痛で寝たきりにならないための予防法
坐骨神経痛になると、薬や注射などの治療法がありますが、何か動作をする度に激しい痛みが伴い、ストレスになってしまうでしょう。動くのが辛いからといって寝たきりになってしまうのも悲しいもの。そんな辛い思いをしないために、この章では、坐骨神経痛で寝たきりにならないための予防法をご紹介します。
腰に負荷のかかる動作をさける
長時間のデスクワークや中腰での作業など、腰に負荷のかかる動作はできるだけ避けるようにしてください。しかし、仕事でしかたない場合は小まめに休憩することや、正しい姿勢を心掛けるなどの工夫が必要です。正しい姿勢は、腰痛だけでなく、肩こりの予防にもなります。中腰での作業の人は、作業中はコルセットやサポーターなどを使用すると良いでしょう。
「坐骨神経痛の楽な座り方」についての記事はこちら⇩
日常生活に筋トレやストレッチをする
お仕事や家事や育児など、忙しい毎日を過ごされている方も多いと思います。ついつい自分のことを後回しにしてしまっているのではないでしょうか。少しでも時間を作り、日頃から筋トレやストレッチを行うようにしてください。坐骨神経痛の予防にはある程度の筋力が必要なので、腰回りや背中、お尻などの筋トレは腰痛の予防やリハビリにもなります。また、運動の前後にはストレッチを行うようにしてください。運動前は怪我の予防に、運動後は使った筋肉をほぐすために行います。
また、自分にあった運動方法が分からない患者様は、整体院などを受診した際に施術の担当スタッフに聞いてみるのも良いかもしれません。ご自身にあった運動方法を説明してくれるでしょう。
体重管理をする
実は肥満は腰痛の原因になります。腰回りや上半身に脂肪が多いと、腰を支える腰椎に過度な負荷がかかります。食生活を見直して体重管理をすることで、坐骨神経痛の予防に効果が期待できるでしょう。また、腰痛は内臓の疾患で発症することがあります。肥満は高血圧や糖尿病などの生活習慣病のリスクも上がるため、太りすぎないように注意してください。
身体を冷やさない
冷えは坐骨神経痛の症状を悪化させてしまいます。身体が冷えると体温を逃がさないように、血管が収縮します。心臓から送り出される血液は、栄養や酸素を全身へと運び、不要な老廃物を回収してまた心臓へと戻っていきます。血管が収縮すると、筋肉に栄養や酸素が行き届かずに不要な老廃物が溜まり、痛みを悪化させてしまうでしょう。冬場だけでなく、夏はエアコンなどの風で体が冷えないように注意してください。
寝るときの姿勢に気を付ける
普段なにげなくしている、寝るときの姿勢ですが、坐骨神経痛でお悩みの人は痛みのある方を上にして寝るようにしてください。痛みのある方を下にして寝ると、神経がより圧迫されて痛みが悪化してしまいます。痛みのある方を上にして、温かい恰好で就寝してください。
まとめ
坐骨神経痛の腰痛の主な原因は、椎間板ヘルニアや脊柱管狭窄症、梨状筋症候群などがあります。これらは、腰に負荷のかかる動作で発症することや、加齢やスポーツなどで腰や背中などの部位に痛みを引き起こします。
坐骨神経痛の激しい痛みで寝たきりにならないためには、いくつかの予防法があります。腰に負荷のかかる動作を避けることや、日常から筋トレやストレッチを行うこと、体重管理をして体を冷やさないことです。これらを日常生活に取り入れることで、坐骨神経痛の予防や改善に効果があるでしょう。そして、普段何気なくしている、寝ている時の姿勢にも注意が必要です。痛みがある方は必ず痛い方を上にして寝るようにしてください。
これまで、坐骨神経痛で寝たきりにならないための予防法や、坐骨神経痛の原因などをご紹介しましたが、座骨神経痛の症状が現れた場合は、すぐに整形外科などで検査をするようにしてください。放っておくことで重症化してしまうリスクがあります。しっかりと診察をしてもらい、坐骨神経痛の原因を知ることが大切です。必ずご自身で判断せずに、専門の医師に相談しましょう。