健康診断などで、腎臓に結石があると言われたことはありませんか?または、過去に尿路結石を発症し、酷い激痛に襲われた人もいるのではないでしょうか?初めて経験された方は、痛みに驚いたことでしょう。
今回ご紹介するのは、腰痛と尿路結石についてです。刺すような激しい痛みが起こることで有名な尿路結石ですが、腎臓に何らかの影響で結石ができてしまい、結石が尿路を移動することで痛みが生じます。痛みの場所は、腎臓や尿路の周辺である下腹部だけでなく、腰痛や背部痛の症状が現れるのが特徴です。また、ひどいときには、吐き気や嘔吐を伴うこともあるでしょう。尿路結石以外にも、胆石症も腰に痛みを感じる人がいます。
この記事では、腰痛が起こる尿路結石や胆石症について解説します。ぜひ最後までお読みください。
目次
腰痛が起こる尿路結石とは?
そもそも、尿がどういった流れで体外へと排出されるのかをご存知でしょうか。尿は腎臓で作られて、腎臓内の腎盂というところに集まります。腎盂に集まった尿が、尿管を通って膀胱へ溜まり、尿道を通って体外へと排出されます。このような尿が流れる道を「尿路」といいます。腎臓でできてしまった結石が尿路に引っかかったり、塞いだりすることを「尿路結石」といいます。尿路結石は泌尿器科で診断され、腎臓結石や尿管結石、膀胱結石や尿道結石などの総称を尿路結石といいます。結石のある場所によって病名や症状、痛む場所などに違いがあります。この章では、それぞれの結石について解説します。
腎臓結石
結石が腎臓内にある状態を腎臓結石といいます。腎臓結石の場合や結石の大きさが小さいときは、痛みがほとんど無く、検診で発見されることがあります。痛みが生じる人は、背中に鈍い痛みを感じるでしょう。
尿管結石
尿路結石の中でも、異常なほどに痛みが激しいのが尿管結石です。腎臓で作られた結石が落ちてきて、尿管が詰まることを尿管結石といいます。結石があることにより尿の通りを悪くしてしまい、腎臓内の圧力が急上昇すること(水腎症)で痛みが生じます。また、結石があることで、腎臓の機能が低下したり、腎盂腎炎や感染を引き起こす原因にもなります。腎臓は左右に一つずつあり、結石がある側の脇腹から下腹部にかけて、刺すような激しい痛みが2~3時間程度続くでしょう。その後も結石が移動すると痛みが生じるなどの、痛みの強弱があります。このような症状は夜間や早朝に起こる事が多く、血尿や吐き気や嘔吐を伴う場合もあります。
膀胱結石
結石が尿管を通って膀胱まで降り、膀胱に結石があることを膀胱結石といいます。膀胱結石は、尿管結石ほどの痛みではありませんが、下腹部や排尿時に痛みが生じます。また、残尿感や頻尿といった膀胱炎の症状もあります。
尿道結石
結石が膀胱から尿道に落ちて、尿道に結石があることを尿道結石といいます。尿道結石は、尿を体外へ排出するときに、瞬間的な痛みを起こしたり血尿が出たりなどの症状があります。
「腰痛と腎臓の関係性や原因」についての記事はこちら⇒https://selfcareseitai.com/blog/youtsuu-hakike-dannsei/
尿路結石ができやすい人
尿路結石を発症する男女比は1.83:1で男性にやや多く、男性では40代、女性では閉経後に発症することが多いことが分かっています。また、高血圧や高血糖、肥満などの人は尿路結石ができやすいと言われています。
尿路結石ができる主な原因は、食生活の欧米化や運動不足です。そもそも結石とは、尿に溶け込んでいる、シュウ酸やリン酸、カルシウムなどが何らかの影響で石のように固まってできたものです。また、尿路結石の多くの主成分はシュウ酸カルシウムであることから、シュウ酸や動物性たんぱく質を多く摂りすぎている人は、尿路結石のリスクを高めてしまいます。
シュウ酸が多く含まれるもの
- ・ほうれん草
- ・さつまいも
- ・バナナ
- ・チョコ
- ・コーヒー
- ・玉露や紅茶
- ・ココア
引用:https://www.jstage.jst.go.jp/article/jpnjurol1989/89/5/89_5_538/_article/-char/ja/
尿路結石の治療法
尿路結石はクリニックで尿検査や超音波検査、レントゲン検査などで診療します。患者の状況や結石の大きさなどによって治療方法の種類は異なりますが、5㎜以下などの小さい結石は薬を使った薬物療法や飲水など経過を見ながら、自然と体外へ出るのを待ちます。しかし、1か月以上結石が排出されない場合は、手術が必要となるケースがあります。
また、5㎜以上の結石は、体の表面から衝撃波を当てて砕石し、尿と一緒に排出されるのを待ちます。結石が大きい場合や、衝撃波では砕けなかった場合は、尿道から内視鏡を挿入し、結石を破砕して取り除く手術が必要となる可能性があります。腰に痛みが生じた場合は、自分で判断せずに早めに検査を受けて、治療方法などを確認するようにしてください。
尿路結石の予防法
痛む時間が長く激しい痛みを伴う尿路結石ですが、主に食生活が原因で発症しています。また、尿路結石は一度発症すると、再発する可能性が高い病気であることが分かっています。この章では、尿路結石の予防や、再発するリスクを下げるために気を付けたい食事をご紹介します。日々の生活の疲れやストレスで、食べたいものを食べて栄養が偏ってしまっている人も多いのではないでしょうか。ご自身の食生活と照らし合わせ、食生活の改善を行ってみてはいかがでしょう。
水分をしっかり摂る
尿路結石の予防法として重要なことはお水をしっかりと摂ることです。尿路結石の主成分はシュウ酸カルシウムであることが多いです。結石は、腎臓でシュウ酸とカルシウムが固まってできたものですが、体内の水分量が不足していると、尿が濃縮されて結石ができやすくなってしまいます。尿が濃縮しないためには、一日の水分量は食事以外で2リットル以上を目安に補給すると良いでしょう。また、病気の有無に関わらず、1日2リットルの水分補給は、健康や美容、お通じ改善に良いとされています。日常から意識的に水分補給を行いましょう。
カルシウムやクエン酸を摂る
尿路結石の成分の多くはシュウ酸とカルシウムなので、シュウ酸が減ると結石が作られるのを避けられます。そのためには、カルシウムやクエン酸を摂ると良いでしょう。
カルシウムは、シュウ酸が尿として腎臓に届く前に、腸でカルシウムと結合して便となります。便となったシュウ酸やカルシウムは体外へと排出されるため、カルシウムを同時に摂ることで、結石のリスクを下げられます。クエン酸は、シュウ酸とカルシウムが結合するのを抑えてくれる効果があります。
カルシウムが多く含む食べ物
- ・牛乳やチーズ、ヨーグルトなどの乳製品
- ・骨ごと食べられる小魚
- ・豆腐や納豆
クエン酸が多く含む食べ物
- ・みかんやグレープフルーツなどの柑橘系
- ・梅干し
- ・いちご
- ・お酢
「腰痛予防の牛乳について」の記事はこちら⇒https://selfcareseitai.com/blog/youtsuu-gyuunyuu/
糖分や塩分、タンパク質や動物性脂質を摂りすぎない
糖分や塩分は、尿中のカルシウムが増加したり濃度をあげてしまう働きがあります。また、タンパク質は尿酸の濃度を高め、動物性脂質はシュウ酸を増やしてしまいます。これらの過剰摂取は尿路結石のリスクを高めるだけでなく、肥満をはじめとする糖尿病や高血圧などの生活習慣病のリスクも高まります。ファーストフードを控えたり、外食の際のメニューに気を付けたりだけでなく、自宅で調理をするときにも、自分好みの濃い味付けにならないように気を付けなけらばなりません。
アルコールを控える
毎日の夕食時や週末などに、欠かさずアルコールを摂取している人も多いのではないでしょうか。ビールをはじめとするアルコールには、プリン体が多く含まれています。プリン体は尿酸値を上げてしまい、尿酸値が上がると結石の原因になります。また、プリン体は高尿酸血症や痛風などの原因となります。アルコールの適量は、ビールはロング缶1本、チューハイは缶1本、日本酒1合(180ml)、ウイスキーやブランデーはダブル(60ml)、ワインは2杯弱を目安に楽しむこと良いでしょう。また、休肝日などを作ることも心掛けてください。
引用:https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/alcohol/a-01-012.html
「腰痛に効果的なお風呂の入り方」の記事はこちら⇒https://selfcareseitai.com/blog/youtsuu-furo/
腰痛として感じることがある胆石症
腰痛を伴う結石で有名なものは、これまで紹介してきた尿路結石ですが、実は胆石症も腰痛を感じるケースがあります。胆石症の症状は、主にみぞおちの痛みや右肩や背中の痛みなどですが、なかには腰に痛みを感じる人もいます。胆石症も尿路結石と同じで、胆石のある部位で病名や症状が変わります。この章では、胆石症について解説します。症状などで当てはまる場合は、早めに病院を予約して検査をするようにしてください。
胆のう結石
胆のうは肝臓で作られた胆汁を貯蔵しておく臓器で、胆のう内にできる石のことを胆のう結石といいます。胆のう結石の症状は、右上腹部の痛み、吐き気や嘔吐、発熱や黄疸などがあります。胆のう結石の治療法は、腹腔鏡を用いて胆石を摘出する手術です。お腹に数カ所穴を開けて器具を挿入し、胆石を取り出します。
総胆管結石
肝臓から十二指腸まで胆汁が通る道を胆管といいますが、胆管にできた石を総胆管結石といいます。症状は右上腹部の痛みや吐き気や嘔吐、発熱や黄疸などがあります。胆管結石の治療は、主に内視鏡を用いて結石を取り除く手術です。
肝内結石
肝臓の中に石があることを肝臓内結石といいますが、非常に稀な疾患です。肝内結石は、腹痛や発熱、黄疸といった症状があります。治療法は内視鏡を用いて石を取り除きますが、再発リスクが高いことや、肝内結石を繰り返すことでがんの発生母地となってしまう可能性があるため、場合によっては肝臓の一部を切除することがあります。
胆石症の原因
胆石ができる明確な原因は分かっていません。しかし、脂っこい食事からコレステロール結石ができやすいことが分かっています。また、肥満や高脂血症、糖尿病などといった生活習慣病などが原因で発生すると言われています。
胆石症の予防としては、食生活の見直しや適度な運動を取り入れると良いでしょう。また、ストレスが原因で胆石ができる可能性もあります。ストレスは腰痛にもなるため、食事改善をして、適度にストレス発散も行いましょう。
まとめ
急に激しい痛みが伴う尿路結石は、下腹部の痛みだけでなく腰痛や背部痛、左右のどちらかのわき腹の痛みなどの症状が現れます。腎臓は左右に一つずつあり、結石が詰まっている方のわき腹や腰が痛くなるでしょう。その他の症状としては、吐き気や嘔吐、血尿などがあります。このような症状があった場合は、すぐに泌尿器科を受診して調べるようにしてください。また、尿路結石は結石が存在する場所で病名や症状が大きく変わります。一番痛みが激しいのが尿管結石です。結石が尿管に詰まり、尿が腎臓に溜まって圧力が上昇して痛みが生じます。
結石ができる原因は食生活の欧米化や運動不足です。また、水分摂取量も大きく関係しています。尿路結石を予防に良いとされる食べ物は数多くあるので、このタイミングで食生活の見直しをおすすめします。結石は、シュウ酸やカルシウムが結合することで石のように固まってしまいますが、水分をしっかり摂ることで、リスクを下げられます。他にも、日常から食事のバランスを整え、運動を取り入れることで尿路結石の予防ができるでしょう。
なお、食事の見直しや運動は尿路結石の予防だけでなく、腰痛の予防にもなります。日々の生活を見直し、健康な体作りを目指しましょう。