最終更新:2024.08.16

坐骨神経痛の症状、痛みの原因、治療法について

坐骨神経痛の症状にはどのようなものがあり、痛みの原因は何でしょうか。また、どのような治療法や予防法があるのでしょうか。

こういったことについて、解説します。

坐骨神経痛の症状

坐骨神経痛 若い

坐骨神経痛の症状は様々ですが、主なものは以下のとおりです。

腰からお尻、太もも、ふくらはぎ、足にかけての鋭い痛み

坐骨神経痛の最も典型的な症状は、腰からお尻、太もも、ふくらはぎ、そして足にかけての鋭い痛みです。この痛みは片側の脚に集中することが多く、電気が走るような感覚や灼熱感を伴います。

痛みは突然始まることもあれば、徐々に増すこともあります。立ち上がる、座る、歩くといった日常動作で痛みが増すことが一般的で、特に長時間座っていると痛みが強まります。

夜間にも痛みが増すことがあり、この場合は睡眠の質を低下させる要因にもなります。坐骨神経痛の痛みは神経が圧迫されることによって生じるため、痛みを解消するには原因となる疾患(例えば腰椎椎間板ヘルニアや脊柱管狭窄症など)の治療が必要です。

早期の診断と適切な治療が痛みの管理に重要です。

足や脚のしびれや筋力低下

坐骨神経痛のもう一つの重要な症状は、(足首から下)や脚(太ももの付け根から下全体)のしびれや筋力低下です。しびれは神経が圧迫されることによって生じ、通常は片側の脚に現れます

しびれは、軽いピリピリとした感覚から、感覚が完全に鈍くなる場合まで様々です。筋力低下も同様に、神経圧迫によって起こります。

筋力低下により、足を持ち上げる、階段を上る、長時間歩くなどの基本的な動作が困難になることがあります。これらの症状は、痛みと共に日常生活の質を大きく低下させる要因となります。

しびれや筋力低下が著しい場合、足の動きが著しく制限されることもあり、転倒のリスクが増すことがあります。これらの症状が見られた場合は、早期に医療機関を受診し、神経の圧迫を緩和する治療が必要です。

痛みが増す特定の動作(立ち上がる、座る、歩くなど)

坐骨神経痛は、特定の動作で痛み等の症状悪化することが多いです。例えば、立ち上がる、座る、歩く、前屈みになる、物を持ち上げるといった日常の動作で症状が悪化します。

これは、特定の動作が神経に対する圧迫を増大させるためです。立ち上がる際には腰部に負荷がかかり、坐骨神経がさらに圧迫されます。

座っている間は、お尻や腰の筋肉が緊張し、痛みが増します。歩くときも同様に、脚の筋肉が緊張することで痛みが強くなります。

これらの痛みは、坐骨神経の炎症や圧迫が原因であることから、姿勢の改善や筋肉の緊張を緩和する治療が効果的です。

坐骨神経痛について:原因症状(痛みしびれ)神経と筋肉の関係

坐骨神経痛の痛みの原因

坐骨神経痛 若い

坐骨神経痛の痛みの原因のうち、主なものは、椎間板ヘルニア、脊柱管狭窄症、梨状筋症候群があります。

椎間板ヘルニア

椎間板ヘルニアは、脊椎の間にある椎間板が損傷して突出し、周囲の神経を圧迫している状態です。椎間板は、弾力性のある繊維輪と、その中心にある柔らかい髄核から構成されています。

何らかの理由で繊維輪が破れ髄核が外部に飛び出すと、その周囲の神経を圧迫することがあり、坐骨神経痛引き起こします。

症状としては、腰からお尻、脚にかけての鋭い痛み、しびれ、筋力低下などがあります。椎間板ヘルニアの原因は、加齢による椎間板の劣化や、過度の負荷をかける動作(例えば、不適切な姿勢で重い物を持ち上げる)などが考えられます。

治療法は、安静や物理療法、薬物療法などの保存的治療が中心ですが、症状が重度の場合や保存的治療が効果を示さない場合は、手術が検討されることもあります。

脊柱管狭窄症

腰部脊柱管狭窄症は、脊椎の中央にある脊柱管が狭くなり、脊柱管の中を走る神経が圧迫されている状態です。この圧迫によって坐骨神経痛が引き起こされす。

主な症状には、腰痛や脚の痛み、しびれ、筋力低下があり、特に歩行や立位を続けていると症状が悪化します。脊柱管狭窄症の原因は、加齢による脊椎の変性が多いです。

また、外傷や先天的な要因も影響することがあります。診断は、一般に、MRIやCTスキャンなどの画像診断によって行われます。

治療法は、痛みの管理や生活習慣の改善などといった保存的治療が基本ですが、重度の狭窄や症状が強い場合は、手術による減圧手術が検討されます。

梨状筋症候群

梨状筋症候群は、梨状筋が坐骨神経を圧迫することによって痛みやしびれが生じている状態です。梨状筋は、お尻の深部に位置する小さな筋肉で、坐骨神経はこの筋肉の下またはその中を通っています。

梨状筋が過度に緊張したり、炎症を起こしたりすると、坐骨神経を圧迫し、坐骨神経痛を引き起こします。主な症状には、お尻から太もも、ふくらはぎ、足にかけての痛みやしびれ、脚の筋力低下があります。

症状は、長時間座っている時や、歩行中、階段を上る際に悪化することがあります。原因は、過度の運動、筋肉の緊張、不適切な姿勢などが考えられます。

治療法は、ストレッチやマッサージといった物理療法、抗炎症薬や筋弛緩薬などの薬物療法が一般的です。また、重度の場合は、手術が検討されることもあります。

その他

坐骨神経痛の原因には、椎間板ヘルニア、脊柱管狭窄症、梨状筋症候群のほかにもさまざまなものがあります。以下にその一部を紹介します。

まず、「仙腸関節障害」は、骨盤の中にある仙腸関節が変形や炎症を起こし、坐骨神経を圧迫することで痛みが出ます。この症状は、中高年だけでなく、若い人にも起こる可能性があり、腰や下肢に痛みを感じることがあります。

次に、「脊髄腫瘍」は、脊髄やその周辺に腫瘍ができることで神経が圧迫され、坐骨神経痛が発生します。この場合、症状が軽くなることは少なく、むしろ徐々に悪化することが多いため、早めの医療機関での診療が必要です。

さらに、「変形性腰椎症」も原因の一つです。加齢に伴う骨の変形が脊髄に影響を及ぼし、坐骨神経を圧迫して痛みが出ることがあります。
特に前かがみの姿勢で痛みが軽減することが特徴です。

これらの症状が疑われる場合、早めに病院でレントゲンやMRIを受けることが重要です。医師と相談し、適切な治療メニューを選ぶことで、痛みを和らげることができます。

坐骨神経痛の治療法

坐骨神経痛 若い

坐骨神経痛の主な治療法について、以下で解説します。

薬物療法

坐骨神経痛の薬物療法は、痛みの緩和と炎症の軽減を目的として行われます。一般的に使用される薬物には、以下のようなものがあります:

非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)

代表薬にはイブプロフェンやナプロキセンなどがあり、炎症を抑えることで痛みを軽減します。これらの薬は、痛みを増強する物質であるプロスタグランジンの生成を抑制することで効果を発揮します。

抗けいれん薬

代表薬にはガバペンチンやプレガバリンなどがあり、神経の過剰な興奮を抑えることで痛みを軽減するので神経痛に対して効果的です。

抗うつ薬

代表薬にはアミトリプチリンやデュロキセチンなどがあり、神経伝達物質のバランスを調整し、痛みの信号を減少させます。これにより、痛みの感受性が低下します。

オピオイド

代表薬にはモルヒネやオキシコドンなどがあり、強力な鎮痛効果を持ちますが、依存のリスクがあるため慎重使用が必要です。

筋弛緩薬

代表薬にはバクロフェンやチザニジンなどがあり、筋肉の緊張を和らげることで神経への圧迫を減少させ、痛みを和らげます。

 

薬物療法は症状の重さや個々の患者の状態に応じて選ばれます。治療の目的は痛みの緩和と生活の質の向上であり、薬物の選択と投与量は医師の指導のもとで慎重に決定されます。

副作用の管理も重要であり、長期的な使用には定期的なモニタリングが必要です。

 神経ブロック療法

神経ブロック療法は、坐骨神経痛の痛みを直接的に軽減するための治療法で、痛みの信号を遮断する目的で行われます。これは、局所麻酔薬やステロイド薬を特定の神経周囲に注射することによります。

局所麻酔薬の注射

リドカインやブピバカインなどの局所麻酔薬を坐骨神経やその周囲に注射し、一時的に痛みの信号伝達をブロックします。これにより、即時痛みの緩和がなされます。

ステロイド薬の注射

ステロイド薬は、強力な抗炎症作用を持ち、炎症を軽減することで神経の圧迫を減少させ、長期間にわたり痛みを軽減します。これにより、痛みが数週間から数ヶ月間持続的に緩和させることができます。

神経根ブロック

背骨の神経の根元にある神経根に麻酔薬を注射し、痛みを和らげる注射です。他の神経ブロックに比べて痛みが強い反面、痛みの元になっている神経近くに直接注射をするため、他の神経ブロックが効かない場合にも効果が期待できます。

 

神経ブロック療法は、薬物療法や物理療法などが効果を示さない場合や、痛みが非常に強い場合に使用されます。手技は専門医によって行われ、正確な神経ブロックが必要です。

副作用として、一時的な筋力低下や注射部位の感染があるため、適切な管理とフォローアップが必要です。

 理学療法

理学療法は、坐骨神経痛の痛みを緩和し、身体機能を改善するための治療法です。理学療法士が個々の患者に合わせた治療計画を立て、さまざまな手技やエクササイズを行います。

主な手技には、マッサージ、ストレッチ、温熱療法、冷却療法、電気刺激療法などがあります。マッサージやストレッチは、筋肉の緊張を緩和し、血流を改善することで痛みを軽減します。

温熱療法や冷却療法は、炎症や筋肉のこわばりを和らげる効果があります。電気刺激療法は、神経と筋肉の活動を調整し、痛みの信号を遮断するのに役立ちます。

理学療法は、痛みの緩和だけでなく、姿勢の改善や筋力の強化にも効果があり、再発予防にも効果的です。個々の患者の症状や状態に応じたカスタマイズされた治療プランが重要です。

装具療法

装具療法は、腰や脚に対する装具によるサポートを提供することで、坐骨神経痛の痛みを軽減し、身体機能を改善する治療法です。装具には、コルセット腰サポーター足底板(インソール)などがあります。

コルセットや腰サポーターは、腰部を安定させ、動きを制限することで、神経への圧迫を減少させ、痛みを緩和します。足底板は、足のアライメント(並びや位置など)を調整し、歩行時の衝撃を吸収することで、坐骨神経への負担を軽減します。

装具は、特定の動作や活動中に使用されることが多く、日常生活や仕事の中での痛みを管理するのに役立ちます。装具療法は、理学療法や運動療法と組み合わせて使用されることが一般的で、包括的な治療プランの一部として行われます。

個々の患者の状態に応じて適切な装具を選び、正し使用することが重要です。

運動療法

運動療法は、坐骨神経痛の治療と予防において重要な役割を果たす治療法です。

運動療法の目的は、筋力を強化し、柔軟性を向上させ、正しい姿勢と動作を維持することです。運動療法は、痛みや痺れを軽減し、日常生活を良くするために非常に重要です。
具体的なエクササイズには、ストレッチング、背中や内側の筋肉を強化する筋力トレーニング、有酸素運動などが含まれます。特に伸びを意識したストレッチは、腰やお尻、脚の筋肉を伸ばし柔軟に保つことで、神経の圧迫を軽減し、痛い症状を和らげます。
筋力トレーニングは、坐骨神経痛では腹筋や背筋を強化することで、腰部の安定性を高め、再発を防ぐ効果があります。有酸素運動は、全身の血流を改善させることで、痛みを軽減します。
初めて運動療法を行う人は、無理をせず少しずつ始めることが大切です。歩けないほどの痛みを感じた場合は、先に医師や理学療法士の案内や指導を受けて安全に行うことが推奨されます。
適切なエクササイズを安全に継続することで、徐々に痛みが和らぎ、より良く歩けるようになります。また、年齢や若いころからの運動習慣がこの運動療法の効果に影響することもあるため、年齢に応じた適切なプランを取り入れることが重要です。
自分の体調や痛くない範囲で、運動を継続することが鍵となり、坐骨神経痛の管理と再発予防に効果が期待できます。

 外科的療法

外科的療法(手術)は、保存的治療(外科的療法以外の治療)が効果を示さない場合や、重度の坐骨神経痛に対して行われる治療法です。主な手術には、椎間板ヘルニアの摘出(椎間板切除術)、脊柱管狭窄症の除圧手術(脊柱管拡大術)、および神経根の圧迫を解消するための手術などがあります。

椎間板切除術は、突出した椎間板の部分を取り除き、神経の圧迫を軽減します。脊柱管拡大術は、狭くなった脊柱管を拡げて神経の圧迫を解消する手術です。

外科的療法は、最終的な手段として位置付けられており、手術のリスクと利益を十分に考慮して行われます。

坐骨神経痛原因不明?検査方法や痛みの治療法・日常生活でできる予防を紹介

坐骨神経痛の予防法

坐骨神経痛 若い

坐骨神経痛の予防法には、以下のようなものがあります。

正しい姿勢の維持

正しい姿勢を維持することは、坐骨神経痛の予防に非常に重要です。正しい姿勢を保つことで、腰や背骨に不要な圧力がかかるのを避けることができます。

座る時は、背筋を伸ばし、腰をしっかりと椅子の背もたれに当てることが大切です。また、足は床に平行に置き、膝は90度に曲げるようにします。

立っている時も、背筋をまっすぐに保ち、体重を両足均等に分散させることが重要です。長時間座ったり立ったりする場合は、定期的に姿勢を変えたり、ストレッチを行ったりして、筋肉の緊張を緩和することが推奨されます。

正しい姿勢を意識することで、背骨の自然なカーブを保ち、腰椎への負担を軽減し、坐骨神経痛の発症リスクを減少させることができます。

定期的な運動

定期的な運動は、坐骨神経痛の予防に非常に効果的です。運動は筋力を強化し柔軟性を向上させることで、腰や背中のサポート力を高めます。

特に、坐骨神経痛の予防には、腹筋と背筋を強化するエクササイズが重要です。これらの筋肉が強化されると、背骨の安定性が増し、腰椎への負担が減少します。

また、ストレッチは筋肉の柔軟性を保ち、神経の圧迫を防ぐ効果があり有酸素運動(ウォーキング、ジョギング、水泳など)は全身の血流を改善し、筋肉の酸素供給を促進します。定期的に運動することで、体重適正に維持され、体重増加による腰への負担軽減できます。

運動習慣は、坐骨神経痛の予防ばかりでなく、全体的な健康維持にも寄与するので、他の健康リスクも低減します。

適切なリフト技術

重い物を持ち上げる際には、無理のない適切なリフト技術を使用することが重要です。無理な持ち上げ方は、腰や背骨に過度のストレスを与え、坐骨神経痛を引き起こすリスクを高めます。

物を持ち上げる時は、腰ではなく膝を曲げてしゃがみ、物体に近づけます。背筋をまっすぐに保ち、腰をひねらずにリフト動作を行うことがポイントです。

物を持ち上げる際には、体全体を使ってゆっくりと急な動きを避けて行うことが重要です。また、重すぎる物無理に持ち上げるのではなく、小分けにしたり、助けを求めることも大切です。

正しいリフト技術を身に付けることで、腰への負担を減らし、坐骨神経痛の予防につながります。

まとめ

坐骨神経痛 若い

坐骨神経痛の症状には、「腰からお尻、太もも、ふくらはぎ、足にかけての鋭い痛み」、「足や脚のしびれや筋力低下」などがあります。これらの症状は、立ち上がる、座る、歩くといった特定の動作により痛みが増します。

坐骨神経痛の痛みの原因としては、椎間板ヘルニア、脊柱管狭窄症、梨状筋症候群などがあります。坐骨神経痛の治療法には、神経ブロック療法、理学療法、装具療法、運動療法、外科的療法があり、外科的療法は、最終的な手段として位置付けられています。

坐骨神経痛の予防法としては、正しい姿勢の維持、定期的な運動、適切なリフト技術の習得などがあり、普段から心掛けると良いです。

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よくある質問

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    ・リウマチによる痛みがある場合(こちらは専門の治療がいずれにせよ必要になります)

    ・急性時の痛み(足首のねんざ、靱帯損傷など)でひどく腫れている場合は、腫れが治る期間が必要です。)

    ・肩関節の拘縮 (これは筋肉が正常ではなく線維状になっているため、半年など時間や回数を多く施術しなければ改善しません。)

    ・しびれが常時ある (これは神経が傷ついているため、状態によっては病院で検査が必要になります。常時しびれがある場合(寝ているときも)しびれは改善しません。施術により痛みは改善していきますが、筋力がかなり落ちている状態であるため治すには1~2か月必要となります。)

    ・骨の変形が著しく進んでいる場合

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