この記事は「日本身体運動科学研究所 代表理事・笹川 大瑛」の監修のもと作成されています。
デスクワークや同じ姿勢の継続、ストレスなどが原因で起こる肩こりと頭痛。特に40代、50代になると更年期障害による自律神経の乱れからくる頭痛に悩まされる方が増えてきます。
肩こりや頭痛を解消するためには、姿勢を正し、こまめに休憩を取り、肩周りを温めるなどの対策が効果的です。特に、首や肩の筋肉の緊張をほぐすためのストレッチや、自律神経を整えるための頭皮マッサージもおすすめです。また、症状が改善しない場合は、医療機関を受診しましょう。
肩こりが原因で起こる頭痛は、放置すると緊張型頭痛や偏頭痛として慢性化し、うつ病や不安障害などの心の病気を合併するリスクもあります。
本記事では、理学療法士が教える肩こりと頭痛を同時に解消する肩甲骨ストレッチと、血流改善法について詳しく解説します。これらのエクササイズは、まぶたのたるみ予防にも効果的です。
本記事では、理学療法士が教える肩こりと頭痛を同時に解消する肩甲骨ストレッチと、血流改善法について詳しく解説します。これらのエクササイズは、まぶたのたるみ予防にも効果的です。
筋肉のこわばりにより上半身のバランスが崩れてくると、骨盤の位置や頭の位置もずれてしまうので、スタイルも悪く見えてしまいます。加齢や運動不足によって筋肉量が落ちるとさらに、肩こりや頭痛の症状が悪化します。
目次
肩こりからくる頭痛とは?症状と原因を理解しよう
肩こりが引き起こす頭痛には、主に「緊張型頭痛」と「偏頭痛」の2種類があります。それぞれの特徴を知ることで、適切な対処法を選ぶことができます。
肩こりと頭痛の関係性
肩や首の筋肉が緊張すると、その緊張が頭部にまで及び、頭痛を引き起こします。特に長時間同じ姿勢を続けることで、肩甲骨周りの筋肉が硬くなり、血流が悪化することが原因です。したがって、首の筋肉や肩の筋肉の緊張をほぐすことが重要です。慢性的な肩こりは血行不良を引き起こし、自律神経のバランスを崩してしまいます。日常の姿勢にも注意し、同じ姿勢を長時間続けないよう心がけましょう。
緊張型頭痛の特徴と症状
緊張型頭痛の特徴は、頭全体がきつく締め付けられたような痛みです。長時間のデスクワークやスマホ操作による首や肩のこり、目の疲れも同時に発生するケースが多く見られます。
特に肩甲骨周りの筋肉がこわばると、首から頭にかけての筋肉も硬くなり、頭痛を引き起こしやすくなります。そのため、こうした状態が続くと、筋肉の緊張が慢性化し、頭痛も常態化してしまうことがあります。
偏頭痛の特徴と前兆
頭の片側がズキンズキンと脈打つように痛む頭痛です。痛みの前に「閃輝暗点(せんきあんてん)」と呼ばれる、目の前に突然自在の光が見えて徐々に消えていく現象が現れることがあります。
一方で、偏頭痛は、ストレスから解放されたときに起こることが多く、週末や休暇中に発症することから「週末頭痛」とも呼ばれています。40代以降の女性は、エストロゲンの減少による自律神経の乱れから偏頭痛が増加する傾向にあります。
肩こりと頭痛の関連については、日本内科学会雑誌の研究でも報告されています。また、最新の医学研究では、筋肉の緊張と頭痛の関連性が詳しく解説されています。
頭痛のタイプ | 主な症状 | 原因 |
---|---|---|
緊張型頭痛 | 頭全体が締め付けられるような痛み 首や肩のこりを伴う | 長時間の同じ姿勢 筋肉の緊張 ストレス |
偏頭痛 | 頭の片側がズキンズキン脈打つ痛み 閃輝暗点などの前兆がある場合も | ホルモンバランスの変化 血管の拡張 ストレスからの解放時 |
肩甲骨はがしで頭痛を解消する4つの効果的なストレッチ
ここからは、理学療法士が教える「肩甲骨はがし」のストレッチ法をご紹介します。これらのエクササイズは、肩こりからくる頭痛の改善に非常に効果的です。まずは肩甲骨の動きをチェックしてから、4つのストレッチを順番に行っていきましょう。
肩甲骨の動きをチェックする方法
ストレッチの前後に肩甲骨の動きをチェックすることで、効果を実感できます。
- 両手の甲を前方に見せるようにして、肘と肘をくっつけます
- 肘を離さずに、できるだけ上に持ち上げてみます
- 肘が上がりにくい場合は、肩甲骨が硬くなっている可能性があります
このチェックを行った後、以下の4つのストレッチを実践し、再度チェックして変化を感じてみましょう。
ストレッチ1:肩甲下筋と前胸筋のストレッチ
肩の前側にある肩甲下筋と前胸筋を働かせるストレッチです。
- 手のひらを外側に向け、肩を内側に入れます
- 腕がまっすぐになるところで、反対の手でグッと押さえます
- 10秒間力を入れ続けます
- 次に肘を曲げて手のひらを前に向け、同様に10秒間力を入れます
- 反対側も同じように行います
このストレッチにより、肩甲骨の動きが良くなり、首の筋肉も緩みます。
ストレッチ2:首の斜角筋のストレッチ
ストレッチ1で筋肉を働かせた後は、首の横側の斜角筋をストレッチします。
- 斜め上を向いて、反対側に首を傾けます
- 後ろにのけぞるようにして10〜20秒間ストレッチします
- 反対側も同様に行います
このストレッチにより、頭部への血流が改善され、頭痛の緩和に効果的です。
ストレッチ3:肩甲骨内側の筋肉トレーニング
肩甲骨を内側に寄せる筋肉を強化するストレッチです。
- 手のひらを天井に向け、脇を締めます
- 手首を反らせ、手のひらを外側に向けたまま維持します
- 肩甲骨を上に持ち上げるようにして10秒間力を入れます
- これを3回繰り返します
このエクササイズで、肩甲骨を背骨に寄せる筋肉が強化され、姿勢改善に効果的です。
ストレッチ4:肩の後側と二の腕のトレーニング
腕のたるみ防止にも効果的なストレッチです。
- グーをして手首を反らせます
- ドアノブをひねるように外側に回転させます
- 二の腕に力が入るのを感じながら10秒間維持します
- これを3回繰り返します
このエクササイズ後、首を下に向けて斜めに倒すと、首の後ろ側の筋肉がストレッチされます。
まぶたのたるみ予防にも効果的な血流改善法
肩こりや頭痛の改善に取り組むと、同時にまぶたのたるみ予防にも効果があります。目元のケアに関する注意点と、効果的な方法をご紹介します。
目元のケアで避けるべきこと
まぶたに直接マッサージを行ったり、ゴシゴシこすったりすると、皮膚の組織を痛めてしまい、かえって目の上のくぼみやたるみの原因になります。
そのため、肩甲骨と首周りの筋肉トレーニングによる血流改善が重要です。
頭皮マッサージで血流を促進
前述のストレッチで首周りの筋肉がゆるんだ後は、頭皮マッサージを行うことで、さらに血流改善効果が高まります。
- 側頭筋(こめかみ周り)を優しくマッサージします
- 頭皮全体を指の腹で円を描くようにマッサージします
- 頭皮の皮膚を動かすイメージで行います
このマッサージで目の疲れを解消し、リラックス効果を高めましょう。
肩こりと頭痛を予防する日常生活での注意点
肩こりや頭痛を予防するためには、日常生活でのちょっとした工夫も大切です。専門家のアドバイスに基づいた予防法をご紹介します。
正しい姿勢を維持する
猫背や前かがみの姿勢は、首や肩に負担をかけ、肩こりや頭痛の原因となります。デスクワークやスマホ操作時は、以下の点に注意しましょう。
- 背筋をまっすぐにして、あごを引く
- イスに座るときは足を組まない
- スマートフォンは目線と同じ高さに持ち、30cm程度離す
- 長時間同じ姿勢を続けない
適度な休憩とストレッチを取り入れる
長時間のデスクワークでは、定期的に休憩を取り、ストレッチを行うことが重要です。1時間に1回は立ち上がって軽く体を動かしましょう。本記事で紹介したストレッチを日常に取り入れることで、肩こりや頭痛の予防につながります。
肩や首を温める
冷えは肩こりの原因となります。特に冷房の効いた環境では、肩や首が冷えないように注意しましょう。入浴やホットパックで温めることで、筋肉の緊張をほぐし、血行を促進します。
十分な睡眠と水分補給
睡眠不足は肩こりや頭痛の原因となります。質の良い睡眠を確保するよう心がけましょう。また、適切な水分補給も重要です。
肩こりの原因やさらに詳しい対策については、肩こりの原因と対策の記事もご参照ください。また、効果的なストレッチやデスクワークと健康についても関連情報をまとめています。
肩こりと頭痛に関するよくある質問
Q. 肩こりからくる頭痛と偏頭痛の違いは何ですか?
A. 肩こりからくる頭痛(緊張型頭痛)は頭全体が締め付けられるような痛みで、首や肩のこりを伴います。一方、偏頭痛は頭の片側がズキンズキンと脈打つような痛みが特徴で、光や音に過敏になったり、吐き気を伴うことがあります。また、偏頭痛は閃輝暗点などの前兆が現れることもあります。
Q. 肩甲骨ストレッチはどのくらいの頻度で行うべきですか?
A. 肩甲骨ストレッチは毎日行うのが理想的です。特に朝起きた後と、デスクワークなど長時間同じ姿勢を続けた後に行うと効果的です。1回のセッションは5〜10分程度で十分ですが、継続することが重要です。
Q. 肩こりからくる頭痛には市販薬は効きますか?
A. 市販の鎮痛薬は一時的な痛みの緩和には効果がありますが、根本的な原因である筋肉の緊張を解消するものではありません。薬に頼るだけでなく、本記事で紹介したストレッチや生活習慣の改善を併せて行うことをおすすめします。症状が改善しない場合は、医療機関を受診しましょう。
Q. 更年期と肩こり・頭痛にはどのような関係がありますか?
A. 更年期にはエストロゲンの減少により自律神経のバランスが乱れやすくなります。これが血管の収縮や拡張に影響し、肩こりや頭痛を引き起こす要因となります。また、ホルモンバランスの変化によるストレスも筋肉の緊張を高める原因となります。
Q. まぶたのたるみと肩こり・頭痛には関連がありますか?
A. はい、関連があります。首や肩の筋肉の緊張は、頭部全体の血流を悪くします。血流が悪くなると、目の周りの筋肉や皮膚の新陳代謝も低下し、まぶたのたるみにつながることがあります。肩甲骨ストレッチで首や肩の筋肉をほぐすことで、頭部全体の血流が改善され、まぶたのたるみ予防にも効果があります。